読割 50
電子書籍
ニッポン居酒屋放浪記 立志篇(新潮文庫)
著者 太田和彦
日本中の居酒屋を飲み歩くという志を、ひとたび立てたからには後には引けぬ―。大阪で焼いたタコの湯気にのぼせつつ杯を重ね、新潟で枝豆を肴に地酒を飲み比べ、小倉でフグや鯖を熱燗...
ニッポン居酒屋放浪記 立志篇(新潮文庫)
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ニッポン居酒屋放浪記 立志篇 (新潮文庫)
商品説明
日本中の居酒屋を飲み歩くという志を、ひとたび立てたからには後には引けぬ―。大阪で焼いたタコの湯気にのぼせつつ杯を重ね、新潟で枝豆を肴に地酒を飲み比べ、小倉でフグや鯖を熱燗とともに味わい…地元に息づく市井の酒場、失われゆく古きよき居酒屋を求めて、今日も流浪の旅は続く。各地で出会った酒と肴と人の醍醐味を語り尽くす極上の居酒屋探訪記の第一弾、ついに登場。
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紙の本
うまい酒、うまい肴…これは拷問だ
2001/02/19 18:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:がんりょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は決して空腹時には読まないほうがよい。たこのまんま、ひれ酒、たこぶつ… 全編に紹介される居酒屋メニューと地酒の数々は満腹時によんでもよだれが出てくる。
飄々とした文体とは裏腹の作者のバイタリティはユンケルを飲んでまで居酒屋を梯子する。それだけのために旅に出て、それぞれの地方で納得いく店に出会えるまで夜の町をさまよいつづける姿には、脱帽してしまう。
店の住所や電話番号は記載されていないため、ガイドブックとしては使えないが、今すぐ居酒屋へ行きたくなってしまう一冊である。
評者も真似をして、八王子の町を放浪してみたが2軒目で移動するのが面倒になって、その店で酔いつぶれてしまったことを報告しておく。
紙の本
酒酒酒〜
2002/07/01 10:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りゅうこむつみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これを電車で読んだのが間違いだった。
ぷーんと居酒屋の香りが漂い、食べ物のうまそうな光景が浮かび、とたんによだれじゅるじゅるとなってしまったのだ。しかも酒が飲みたいという衝動付きである。
一体どうしたらいいのだ。
カバーをつけて読んでいたからいいものの、つけてなかったら「あっあの娘っこ(もうそんな歳でもなくなってきたが)酒が好きなのかなあ。あんな居酒屋の本とか読んで顔がゆるみきってるぞ。あっあっ口の端がなんだかおかしいぞ」と見破られていたに違いないのだ。
思い出しただけでまたまた居酒屋に行きたくなり酒が飲みたくなる。
うーんガマンできない。
紙の本
よい店をよいという、そうでない店もまたよいという、そんな太田さんがとってもよい。
2003/05/30 23:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アベイズミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
俺は思うわけよ。と、酔っぱらって帰ってきた連れ合いが言う。
この年になると、やっぱり諦めなくっちゃなんないこともあんのよ。聞いてる? と確認を挟んでさらに続ける。時間がね、ないのよ。たんないのよ、圧倒的に。だそうである。この年と大見得を切るほどでもないし、酔っぱらってばかりいたらそりゃあ時間もないだろうよと、ここまで(喉の所ね)出かかったモノの、相手は酔っぱらいだわ、たいそう機嫌もよいだわで、とりあえずは、ああ、そうね。と曖昧に相づちを打つ。打っておく。でもね。と、まだ続きがあるようだ。美味い酒を飲んでいられたら、それだけでもういいのよ。それだけでもう、俺は幸せなのよ。
というわけで、今回はそんな連れ合いから「幸せになるって」と手渡された一冊である。「ニッポン居酒屋放浪記」立志篇。さらに疾風篇、望郷篇と続く放浪三部作(?)の始まりである。まさに北は北海道から南は沖縄まで、土地土地の居酒屋を求め「いい酒、いい人、いい肴」を求め、日本中の居酒屋を飲み歩く。もっと言ってしまえば、ただそれだけの話でもある。
それなのに。ああ、それなのに。
太田さん。私はアナタの魅力にすっかり参ってしまいました。だって、アナタはとってもチャーミングなのですもの。
たいして飲めもしない私なのに、外で飲むことなんて数えるぐらいの私なのに、旅といえるほどの旅などしたこともない私なのに、酒と肴はともかく「いい」と断りが付いていようと、人になど会いたくもない私なのに。だのに、だのに。私は太田和彦というヒトリの酒飲みに、完全に魅入られてしまったようだ。
よい店はよいという。それでも決して長居はしない。本日のお奨めをさくっといただいてさくっと腰を上げる。次の(もっとよい)店を求めて次から次へと暖簾をくぐる。それは意地汚いのではなく、あくまでも男らしいのである。美学なのである。んでもってやっぱりちよっと意地汚くもあるのである。ホントにまあ、呆れるぐらいよく食べよく飲みよく喋る。そこがまたよいのである。
もちろんよい店ばかりとは限らない。そうでない店もまたよいという。そこにはそこの楽しみ方があり、それをちゃんと心得ている。どうしても腹に据えかねるような店ならば、次の暖簾をまた探せばいい。そう、常に次の暖簾は待っているし、暖簾の向こうではいい酒と肴と人がきっと待っている。そしてアナタをあたたかく迎えてくれるはずなのだ。
何だかこの本に漂うゆるさが嬉しい。
酒飲みのゆるさやさしさあたたかさが私を人恋しくさせるのだ。
そして、よい酒を飲むためのコンディションの整え方といったら。もう。温泉につかり、仮眠をし、ユンケルまで飲んで、万全の体制で臨むのである。それだけに、これだけに、こんなにも情熱を傾けられるこの人に、私は感心も呆れも通り越し、かわいいなあとさえ思ってしまう。本当に連れ合いの言うとおり。これぞ人間のまっとうな姿。と、私までゆるっみっぱなしの今日この頃なのである。
とにかく、この本を読んでからというもの、今までは通り過ぎていた居酒屋が、どれもこれもが気に掛かる。一つ一つ名前を読んでは歩いてみる。よい店もそうでない店もたくさんあって、その店々の灯りの下には、酔っぱらいが杯を傾けているのだろう。文句を言ったり言わなかったり、つまみを食べたり食べなかったりして。それってこんなによいことだったのだ。
ああ、居酒屋に行きたいなあ。よい店もそうでない店も。遠くも近くも。一人でも二人でも。そこでぼんやりと酒を飲んでみたいなあ。ああ、ホントに。つくづく私の幸せなんて、なんとも単純なのかもしれないねえ。なんて。