闇に香る嘘
著者 下村敦史
村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄...
闇に香る嘘
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商品説明
村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。
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緻密な構成に裏打ちされた謎が謎を呼ぶ展開に脱帽です。
2019/03/23 22:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
緻密な構成に裏打ちされた謎が謎を呼ぶ展開に脱帽です。人格自体を特定することが困難な満州残留孤児(引き揚げ者も含む)を対象とし、更に謎を解明すべき主人公を視覚障害者とすることで、謎を更に根深いものとして描くことに成功している。周囲で起きている事象を的確に認識・判断することの困難さから、主人公がどんどん疑心暗鬼に陥っていく心理描写も凄い。そして全編を通じて貫かれる国を超え、家族愛すら超越した人間愛に感動でした。中国側からみたら何を日本を美化してるんだと言われそうですがね。こんな人達がもう少し沢山いれば戦争なんて亡くなるだろうになあ。いや、そんなことより単なる推理小説としても実に素晴らしい出来でした。流石、第60回(2014年)江戸川乱歩賞受賞です。
力作
2018/03/03 09:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全盲であるが故の疑心暗鬼と、彼を思いやるが故の周囲の人たちがつく嘘が余計に疑惑を深めていく様が克明に描写されており、加えてお酒で精神安定剤を服用することによる記憶障害が彼自身に対する不安も強めていき、読み進むのが苦しくなるくらいでした。
中国残留孤児の苦悩も、兄・竜彦や兄の正体を探るために会って話をした他の中国残留孤児やその支援者たちを通じて切々と訴えられ、作品全体にやるせなさが漂っています。
最後のどんでん返しと、分断していた家族が再び一緒になる展望が見えることで一種のカタルシスが得られるので、読後感は悪くないです。
真実から逃げないこと
2018/02/11 10:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
これぞミステリー。主人公は全盲の男性。闇の中で疑惑と戦う。誰を信じ、誰を疑うのか。晴眼者では考えられない恐怖が次々と彼を襲う。読んでいて息が止まるほど怖かった。まるで私も眼が見えなくなってしまったかのように。知らない世界。考えても見なかった暗闇。彼は挫けなかった。傷つこうとも死の淵が真横にあろうとも進み続けた。彼の望みは意外な形で終わりを迎える。「真実」は時に残酷である。けれど乗り越えれば人間は大きく成長できる。彼も彼を取り巻く人間もみなふんばり、頑張った。だからこそ遺恨無く結末を迎えられたのだと思う。
やっぱり乱歩賞
2016/10/05 08:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hdk - この投稿者のレビュー一覧を見る
安定した読み応えでした。全盲の方の閉そく感やジレンマがビシビシ伝わるにも関わらず、テンポよく読めます。
残留孤児のニュースを肌で感じられていた方はもちろん、そうでない方も丁寧に描かれているので抵抗少なく読めます。
慎重に読みたい小説
2020/02/11 15:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
丁寧に細かい伏線が張られた小説だなあと、読後もう一度読んだ。
視力を失った人はかなり気配に敏感で、においや音などにも感覚が鋭い。そういったことを考えるとしたら、たばこの匂いや家の中の人の動きなど、伏線の綻びにつながりかねないと思う。ところがそこは、「後天的な」それも年齢がいってからとの設定が、回避に働いている。
文も、読み易くていながら、親子や孫などとの関係性に違和感を感じさせない。そういった点も、結末に納得できる要因だったと思う。
これは受賞作だが、ここで受賞するまで、たびたび候補に挙がってきていたという。それだけ力が有るということだろうが、他の本も読みたいものだ。
目の見えない主人公が新鮮なミステリー
2018/10/08 20:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
テーマは中国残留日本人孤児。そういえば昔、ニュースでよく聞きました。そのときは意味が分かっていませんでしたが。このテーマで敷居が高い気はしますが、読みやすく、すごく勉強になりました。主人公は白杖を持った目の見えない方で、この特性を活かしたトリックは新鮮で秀逸。主人公の世界が暗闇であるのとシンクロして、ストーリーもまさに暗闇の中を歩いている感じが読んでてしました。そして結論は、、闇の中、ではなくスッキリ!良質ミステリーでした!
文字通り手探りで読んでいる感じ
2019/01/20 18:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まっしゅ - この投稿者のレビュー一覧を見る
盲目の男が主人公である。その主人公の見る闇の中から視覚以外の感覚だけで物語が進んでいく。誰が見方で誰が敵なのかがいつまでたってもわからないところがものすごく息苦しいと感じさせられる。
説明が長い
2018/09/20 09:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦中、戦後の話が関わってくるということ、残留孤児についての説明が詳しいことによって、若干のとっつきにくさと読みづらさがあった。ミステリーとしてはよくできていたと思う。
主人公が嫌いになった
2017/02/18 23:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
初見の作家さんです。
書店でサイン本があったので買ってみました。
ストーリーはよくできていると思いました。
ただ読み始めから最後まで私は主人公が好きになれないどころか、なんとも地味に嫌な奴にしか感じられずに、もう付き合いきれない気分になって途中で読むのを止めようかぐらいに思ってました。このキャラクター設定は当然作者の意図したものでしょうから、「嫌い」という負の感情であれ思い入れできる人物を創作されたのたのはこの作者の力なのでしょう。