教育と勝負の間で揺れ動く高校野球の世界
2016/02/08 16:54
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投稿者:雪風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても面白い本。1992年夏の甲子園での明徳義塾対星稜の一戦を丹念に追ったルポである。著者は明徳の選手がこの試合を後悔しているという予想のもと取材を始めるが、その前提は早々に突き崩されてしまう。表れたのは、「高校野球」はこうあるべきというマスコミの誘導。そして、「野球」と「高校野球」という似て非なるものを目指すそれぞれの立場。
選手・監督だけではなくそれを世に伝えたマスコミ関係者まで取材し、現代にいたるまで横たわる学校スポーツの問題を丁寧に描いた作品だ。
甲子園が割れた日 松井秀喜5連続敬遠の真実
2013/10/20 14:17
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投稿者:チョコあかとんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会問題にまでなったこの試合。中継を見ていて、元高校球児として言葉には出来ない熱い気持ちを感じていました。
松井選手や明徳の監督や選手の気持ちはよく話題にされますが、松井選手の後を打つ5番打者の気持ちを知りたくてこの本を手にしました。
しかし、高校野球への接し方、高校野球と野球の違いなど、今まで自分が知っていた高校野球とは違う次元のものがそこにはあったように思います。
ノンフィクションの面白さを教えてくれるこの一冊。この試合のことを知っている人には是非お勧めしたいです。
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投稿者:レッドストーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
松井秀喜の高校時代にスポットライトを当てたルポルタージュ。欲を言えば松井秀喜にインタビューする章があって欲しかった。
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投稿者:mimidad - この投稿者のレビュー一覧を見る
このタイトルにある試合をリアルタイムには見れなかったが、その日のどのニュース番組でも取り上げられた試合だったことは記憶に残っている。
真っ先に、誰もが思うのは「松井はどんな心境だったんだろう?」「相手投手はどんな心境だったんだろう?」でなかろうか。しかし、この一冊に込められた真実には主に両校の監督のお話や両校の当事者以外の選手の心境がつづられていて、これまで興味を抱かなかった人たちの苦悩がよく理解できた。チームは一人ではないし、チームは監督のものでもなく、属する選手たち一人一人がそれぞれの心境をもって一つ一つのプレーが形成されることを改めて知らされた。
安易に手に取った一冊ではあったが、高校球児だった一人として考えさせられることが多いと感じました。
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まいったな、松井選手のあの事件があってからそんなに時が経つのね。野球に深い思い入れがあるわけではなく、松井への敬遠の試合も生で見ていたのかニュースで見たのかも定かではないけど、この話題でしばらく持ちきりであったことは覚えている。当時の僕の印象は相手の監督にくたらしいやっちゃな、投手は勝負したかったろうな、というミーハー、一般的な認識で・・。
著者のフィルターが掛かっているとはいえ、実際のところの選手の気持ち、野球に対する考えを読むと、確かにかなりいろいろな色の色眼鏡を通してこの事件の記事や報道を読んでいたことが判る。
えらい昔のことだが母校の野球部の選手がまったく言ってないことを記事に書かれたと憤慨していたことがあったけ。
「高校野球」というものに沿って読者の期待する、あるいはマスコミが誘導したい世界にそったものを読まされている可能性があったわけだ・・・。
今、マスコミやインターネットで話題になるようなあの事件、その事件も数年後に優れた書き手でまた新しい面を見せられることになるかもしれない。今、表面に見えている情報だけで踊るまいぞ、と思うのだか。
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松井連続5敬遠のあの日を追ったノンフィクションです。情緒的な文面ながらも関係者に丁寧にインタビューをしているところに仕事の丁寧さを感じます。
それにしても高校球児は意外と「野球バカ」ではなくてその後もきちんとした人生を歩んでいることに感動しました。あと、アマチュア野球の中って先輩後輩の人間関係で成り立っているような雰囲気が漂ってきました
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見る角度を変えると、違う事実がうかんでくる。真実がここにある!
だれが悪いとか、悪くないとかではないんだなぁと感じました
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1992年夏、星稜vs明徳義塾。怪物・松井との勝負を避けた明徳に全国から非難の声があがった。球史に残る「あの試合」から始まった、それぞれの葛藤。15年を経て吐露されたその心情とは?
両チームの選手を始め監督、関係者を丹念に取材している。敬遠した明徳の河野投手のことはテレビで観た記憶があるけれど、5回勝負された星稜の5番打者のことは知らなかった。「高校野球は…あるべき」という当時のマスコミ(筆者自身も含まれる)の報道姿勢に対する自戒の念も込めた眼は印象的。
(B)
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とても考えさせられる一冊。
これまでは5連続敬遠というものがとても卑怯な作戦だと思っていた。
しかし、僕はマスコミなどに扇情されていたのかもしれない。
敬遠を選ぶ明徳にもまた、確固たる哲学と覚悟があった。
ひとつの5連続敬遠を両者の意見を交え、多角的に見ることで、あらゆる人間の哲学が浮き彫りになる。
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http://www.youtube.com/watch?v=EVQnRB9q2wo
暑い夏でした。
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スポーツ記者らしい、余韻が残る無駄のない文体。読みやすく、「伝説」がシンプルでわかりやすく描かれている。
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明徳義塾選での5連続敬遠策。当時の両チームの関係者はもちろん、同様の策を採ったことのある人物、また、解説者などあらゆる人物に話を聞いたノンフィクション。作者がインタビューを進めるにつれて自身が抱いていた筋書きが崩れていくのを自覚ているからこその多角的取材はとても読み応えがあった(両校の背景、土地柄も含め)。賛否は読み終えても各自違うだろう、私自身は高校の部活は教育の一環であると考えるとそこまで勝利することを策の中心としていいのかという思いは変わらなかった、それがたとえ勝つことで名を挙げる私学であろうとも。
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高校野球と野球は似て非なるもの。
なにか高校野球に特別な神聖さを見出し、潔癖になっていないか。
高校野球はあまり興味がなくとも、三年間すべてをかけて取り組んできた部活の最後の瞬間を知っている人は、興味深く読めると思う。
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松井秀喜5打席連続敬遠。
高校野球を知らない自分もこの事件は知っていた。
そして、この作戦に賛否両論があることも。
この事件は数多くの当事者がいてそれぞれの苦悩をもたらしていたことを知らされた。
指示を出した明徳の監督、指示を受けたピッチャー、リードするキャッチャー、星陵の監督、松井の後の打順のバッター、松井秀喜。
皆それぞれに色々な想いがあったし、世論やメディアに晒された苦悩があった。そして憤慨したり卑屈になったりしている。
その気持ちは本書を読めば、痛いくらいに伝わる。
しかし、松井本人はすべてのことを悟っているかのようにコメントし、批判や自己的な感情は一切出さない。人間的な大きさを改めて感じる。
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1992年の夏の高校野球2回戦、石川県の星陵高校対高知県の明徳義塾高校の試合、星陵の主砲、松井秀樹は5回バッターボックスに立つが、全て敬遠され、一度もバットを振ることが出来なかった。試合は3対2で明徳義塾高校が勝ったが、前代未聞の甲子園での5連続敬遠は、大きな議論を呼び、明徳義塾高校の馬渕監督を非難する人達も多かった。この本は、その松井5敬遠事件の関係者への取材を通じて、その背景を描いたもの。取材も行き届いており、面白い本だった。僕自身も、この時のことはよく覚えている。敬遠がルール違反でない以上、明徳義塾高校は批判されるいわれはない、とその時に思っていたことはよく覚えている。それは、今回のW杯の準々決勝のガーナ対ウルグアイ戦の試合終了間際の、ウルグアイ側の意図的なハンドによって得たPKをガーナが決めきれず、結局、最後はPK戦で敗退してしまった試合で、ウルグアイがフェアではないという非難を浴びたのと似ているような気がしている。フェアでないから、ハンドを犯した選手は退場となり、ガーナにPKが与えられるというルールになっているわけで、ルール通りに試合が進んだ、としか、僕には思えないのだが。