女のいない男たち
著者 村上春樹
舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい...
女のいない男たち
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商品説明
舞台俳優・家福をさいなみ続ける亡き妻の記憶。彼女はなぜあの男と関係したのかを追う「ドライブ・マイ・カー」。妻に去られた男は会社を辞めバーを始めたが、ある時を境に店を怪しい気配が包み謎に追いかけられる「木野」。封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。村上春樹の最新短篇集。
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村上ワールド短編集
2016/11/18 12:11
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
女を失った男達の短編集。
村上春樹が書くと短いページにも村上ワールドがしっかりありました。
村上春樹さんの好きな長編小説を読んでいるように感じられる短編小説で、ちょっと儲かった気分です。
「ドライブ・マイ・カー」良いです。
唯一の友人と呼べる高槻との関係が不穏なものを感じさせる。
妻に先立たれ、妻の謎を解きたいと考えるが、男と女の違いに、フッと男の寂しさと愚かさが感じられる。
北海道の町の議員さんがクレームをつけた小説だったんですね。
クレーム自体が、消えてしまう程の村上さんの対応にあっぱれでした。
「イエスタディ」
村上春樹さんの作品には珍しく、希望を持てるラスト。
「木野」は海辺のカフカを思い出しました。
主人公が怪しい不吉なものに追いつめられるシーンが良かった。
「シェエラザード」
主人公は地方都市にある「ハウス」に送られ、「連絡係」の女が定期的に必要な食料などを運んでくれ、彼とベットを共にし、興味深い不思議な話をする。
女達と親密な時間を過ごすにつれ、いつかその時間を失うことに恐れを感じる男の弱さがなんとも怪しく描かれている。
シェエラザードの最後の話の続きが聞きたい。
村上さんぜひとも長編で書いてください。お願いします。
通勤電車のなかで、毎日一作づつ読み進めていくのが、心地よかった。そして、人生についてよく考えることができる時間をつくることができた。
2022/09/26 09:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「自分の小説にまえがきやあとがきをつけるのがあまり好きでなく」との「まえがき」から始まる短編集。
通勤電車のなかで、毎日一作づつ読み進めていくのが、心地よかった。そして、人生についてよく考えることができる時間をつくることができた。
〇ドライブ・マイ・カー
俳優の家福(かふく)は、ある事情から自家用車の専属運転手を探していた。
二十代の女性ドライバー渡利みさき。
無口で堅実な運転で、その仕事を着実にこなす。
妻を亡くした家福が語っていった秘密とは。
〇イエスタデイ
大田区田園調布生まれで大田区田園調布育ちなのに、ほぼ完璧な関西弁を話す木樽。
「僕」は、早稲田大学文学部二年生の時に、アルバイト先で浪人生にして同級生の彼に会った。
木樽は恋人の栗谷えりかと僕を付き合わせようとする。
〇独立器官
渡会は52歳。これまで結婚したことのない、同棲の経験すらない。麻布のマンションで一人暮らしをつづける美容整形外科医。
何不自由のない生活に、抗いようのない変化が訪れる。
〇シェエラザード
「千夜一夜物語」の王妃シェエラザードのように、彼女は不思議な話を聞かせてくれた。
「十代の頃のことだけど」とある日、彼女は打ち明けた。
「私はときどきよその家に空き巣に入っていたの」
〇木野
木野は夫婦のトラブルをきっかけに、会社を辞めバーを始めた。
店のなまえは「木野」にした。他に適当な名前を思いつけなかったからだ。
〇女のいない男たち
夜中の一時過ぎに電話がかかってきた。
「妻は先週の水曜日に自殺をしました、なにはともあれお知らせしておかなくてはと思って」
その女性は、「僕」の「昔の恋人」だった。
人生とは何か。
財産があれば幸せになれるのか。
よい環境にいれば、幸福なのか。
どんな恵まれた環境にあっても、人は宿命に翻弄される。
だが、その宿命に抗っていく力も持ち合わせている。
著者の人間を見つめる眼を通して紡がれた短編集。
村上春樹氏の最新短編集です!
2016/11/13 09:01
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、村上春樹氏の最新短編集で、全部で6つの短編が収められています。「ドライブ・マイ・カー」、「イエスタディ」、「独立器官」、「シェエラザード」、「木野」、そして「女のいない男たち」です。このそれぞれの短編に登場する男たちは、何かを失い、そして何かを残されていきますが、それがなんなのか、本書はそれを考えるという面白さがあります。私個人的には、「ドライブ・マイ・カー」と「木野」がとても気に入りました。そして、私なりに、それぞれの主人公が失ったもの、残されたものを思い浮かべ、とても納得させられました。村上氏の秀逸の一冊です。
昇天
2016/11/25 12:06
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hone - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の『女のいない男たち』に、本当に久しぶりに小説としての新しい表現に持ってかれた感じだった!
そこに出てくる楽曲のタイトルから何一つ私が音として記憶してる具体的なものはなかったのに(そもそも曲名というものを覚えられない人生を送っており)、しかもそのわからない曲名ばっかが出てくる内容だったのに、『女のいない男たち』の前に収録されたそれぞれの短編の女のいない男たちが、みな綺麗で高揚していくような美しいメロディの数々の楽曲と共に、キラキラとした明るい色彩に包まれて天国へ昇天していった!かのような読後感。
何だこれ!今まで感じたこともないような、文章の表現からのこの感覚!
作者が、これまでになかった表現を生み出した瞬間に出会ったのかも!という驚きの体験だった。
如何せん自分の貧困な語彙力ではうまく表現できないが、おお〜、、、、と驚いて暫く静かに興奮してた短編だった。
その前に収録されている短編の中では特に『木野』がとても気に入った。
シェエラザードの話が面白くて何度も読み返ししてしまいました
2023/06/26 17:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画を観たので読んでみました。村上春樹らしい本。映画も悪くなかったけど、原作も良かったです。私はどうやら短編の村上春樹の方が好きなようです。
映画はまだ見てない
2022/07/02 22:09
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もちろん、2022年度のアカデミーの国際長篇映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」だ、私は原則として先に小説を読むことにしているので(イングリッシュペイシェントのような例外もあるが)、受賞作はまだ見ていない。主人公は妻と死別した俳優で、女性ドライバーを雇ってサーブを運転してもらうという設定はどうやら同じようだが、この短編集に載っている他の話も登場したりするらしい(そのことは長女に聞いた)、この本での家福は妻の浮気現場は見ていないことになっているのだが、映画では妻と高槻の現場をみてしまう、これは「木野」に出てきたシーンだ、また、家福の妻が書いた脚本の内容が「シェエラザード」に登場する、作者本人が「短篇はまとめて書くので、そのテーマは類似性が多い」と言っているからこういった引用が可能なのだろう
どんな恵まれた環境にあっても、人は宿命に翻弄される。 だが、その宿命に抗っていく力も持ち合わせている。 著者の人間を見つめる眼を通して紡がれた短編集。
2022/06/15 11:23
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「ドライブ・マイ・カー」のアカデミー賞国際長編映画賞受賞のニュースを受けて、電子書籍で購入。
「自分の小説にまえがきやあとがきをつけるのがあまり好きでなく」との「まえがき」から始まる短編集。
通勤電車のなかで、毎日一作づつ読み進めていくのが、心地よかった。そして、人生についてよく考えることができる時間をつくることができた。
〇ドライブ・マイ・カー
俳優の家福(かふく)は、ある事情から自家用車の専属運転手を探していた。
二十代の女性ドライバー渡利みさき。
無口で堅実な運転で、その仕事を着実にこなす。
妻を亡くした家福が語っていった秘密とは。
〇イエスタデイ
大田区田園調布生まれで大田区田園調布育ちなのに、ほぼ完璧な関西弁を話す木樽。
「僕」は、早稲田大学文学部二年生の時に、アルバイト先で浪人生にして同級生の彼に会った。
木樽は恋人の栗谷えりかと僕を付き合わせようとする。
〇独立器官
渡会は52歳。これまで結婚したことのない、同棲の経験すらない。麻布のマンションで一人暮らしをつづける美容整形外科医。
何不自由のない生活に、抗いようのない変化が訪れる。
〇シェエラザード
「千夜一夜物語」の王妃シェエラザードのように、彼女は不思議な話を聞かせてくれた。
「十代の頃のことだけど」とある日、彼女は打ち明けた。
「私はときどきよその家に空き巣に入っていたの」
〇木野
木野は夫婦のトラブルをきっかけに、会社を辞めバーを始めた。
店のなまえは「木野」にした。他に適当な名前を思いつけなかったからだ。
〇女のいない男たち
夜中の一時過ぎに電話がかかってきた。
「妻は先週の水曜日に自殺をしました、なにはともあれお知らせしておかなくてはと思って」
その女性は、「僕」の「昔の恋人」だった。
人生とは何か。
財産があれば幸せになれるのか。
よい環境にいれば、幸福なのか。
どんな恵まれた環境にあっても、人は宿命に翻弄される。
だが、その宿命に抗っていく力も持ち合わせている。
著者の人間を見つめる眼を通して紡がれた短編集。
村上さんな短編集
2022/03/21 16:08
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東京のSS - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画で賞を総なめしたドライブマイカーが掲載されています。長編が苦手な方々には、お手頃で読めます。村上春樹は独特の世界観がありますが、これは気楽に読めますね。普段はパソコンやスマホにどっぷりの人は、紙の本をしっかり読むべし。私はあらすじを書くネタバレものには成りたくない。とにかく読むと腹にストンと何かが落ちます。
話題の映画のこれが原作
2022/02/18 07:11
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2014年4月に刊行された村上春樹さんのこの短編集が、文庫化され、2021年から22年にかけてまた大いに読まれているという。
それはもちろん、この短編集に収められた6篇の短編のうちの巻頭の、そして初出となった雑誌「文藝春秋」にもっとも早く掲載された「ドライブ・マイ・カー」が濱口竜介監督で映画化され、国内外のさまざまな賞を受賞、さらには日本映画初となる米国アカデミー賞作品賞にノミネートされた影響だ。
改めてこの短編集に収められた作品を収録順に書いておくと、「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」となるが、「ドライブ・マイ・カー」はその中で映画化しやすい作品とは決して思えない。
むしろ、どの作品よりも映画化は難しいような気がした。
おそらく「ドライブ」と対になるような感じがする「木野」でさえ、まだ映画化しやすいのではないか。
つまり、「ドライブ」はそれだけ小説としての世界観がしっかり出来上がっているように思える。
だから、妻の死後彼女が(おそらく)何度か肉体関係を持った男と友だちになろうとする主人公の心の隙間は文章としては成立しても、映像化は難しいように感じた。それが、映画化されたのであるから脚本を書いた濱口監督と大江崇允さんのアカデミー賞脚色賞受賞は夢ではない。
ただ、やはり私の読書後の印象ではやっぱり「イエスタデイ」が好きだ。
新感覚な村上春樹でした
2021/08/25 22:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り女性を失った男を描いた短編集。妻に先立たれた男が妻の浮気相手と酒を酌み交わす、「2番目の男」として複数の女性と関係を持つ、バーにやってきた謎の女性と一夜を共にするー行動のひとつひとつはいかにも村上作品らしいんだけど、どこか違う味わい。
いつものニヒルでモテる青年が出てこず、どこか情けなかったり、達観した中年男性を主軸にした物語だから不思議な味わいの物語に仕上がってるように思える。特に、複数の女性と関係を持つことに慣れていた男性医師が、一つの失恋をきっかけに静かに生気を失っていく「独立器官」がなかなか面白かった。
何が言いたいのか分からないとか一貫性がないとか考えるのがもったいないくらい、書いてあることをストレートに面白く読めて「あれ?村上春樹ってこんな面白かったっけ?」とすら思ったくらい。
女性を失った男のその後
2022/06/03 02:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:悟り小僧 - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編間に共通して、「演技」する女性と裏切られる男性という構図があるように思う(シェエラザードは異色か)。浮気されたら怒ったり呆れたり悲しんだりというのが第一に思い浮かぶが、本書では自責的だったり回避的だったりと直接に女性を責める描写は見当たらず、そこが妙に現実的である。
どの編でも女性の本心については明かされない。結局のところ、そんな「分からない」相手をどうにかすることはできない。行き場のない感情について他者に共有するわけでもなく、自分の感情を見つめ、折り合いをつけていくことで問題を解消しようとする。そこに一種の「男らしさ」を感じた。
ドライブマイカーを見るならおすすめです
2022/02/28 14:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ユミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画をみるなら、見るまえに読むと、映画がさらに深く見られると思います。
映画をみた後に読んでも、感じ方が広がると思います。
シンプル故に一気読み可能
2020/07/24 01:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
6編収録。
「ドライブ・マイ・カー」・「イエスタデイ」・「独立器官」・「シェエラザード」・「木野」・「女のいない男たち」。
はじめの三つはシンプルでわかりやすい(「イエスタデイ」と「独立器官」は語り手が同じ人だし)。
「シェエラザード」からちょっとあやしげな雰囲気になり(SFまで行かないが、幻想的な要素あり)、「木野」に至っては自分にしか見えない蛇が出てきます。
エピソードとしての面白さやリアルさは短編のほうが引き立つのかも。長編だとその部分だけ目立って全体と調和しないような気になるから(『ノルウェイの森』では先輩がナメクジを飲み込むところと、ピアノ教師のエピソードが強烈すぎて、ストーリーが思い出せない)。
出てくるのはみな、愛する女性を失ったか失いつつある男性。
その喪失感が及ぼす破壊性みたいなもの。
でも、なんとなくタイトルからは「ずっと女性に縁がなく、コミュニケーション不全気味の男性」という印象もあったので、愛する相手ではなくとも関係を持てる女性のいるリア充の話ってことで一部から批判を受けてるのかな、という気がした。
世界観
2022/12/07 15:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹氏の描く世界観が惜しみなく披露されています。アカデミー賞受賞作「ドライブマイカー」の原作も含まれています。本作を読んでから映画を見るもよしその逆もまた良いかと思います。
村上春樹らしい村上春樹
2022/07/12 22:26
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつみかん - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに村上春樹の本を読みました。
のめり込めるストーリーと、のめり込めないストーリーがあり。村上春樹らしい村上春樹でした。