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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
友人の結婚式に参列中、急遽呼び出しされた先が会社絡みのお葬式。なまじ「アットホーム」な会社だけ、行かないわけにはいかない。「結婚式」を理由に断ってしまいなさいよと誰しも思うだろうが、有無を言わさず行かざるを得なくなるのが、この津村文学の不条理なところだろう。しかし面白さはここではない。タイトル「婚礼、葬礼、その他」の「その他」の部分なのだ。主人公の彼女が直面する苦悩とはいかに。これはもう人間なら誰しも経験があること。なので、彼女の苦しみを読者は120%自分の苦しみのように感じ取れるはず。この一体感は神級。
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投稿者:みむら - この投稿者のレビュー一覧を見る
たった1日の出来事に翻弄され、ココロが上下左右に
津村さんの独特の言い回し、表現の絶妙な風景、
理不尽な大人社会が面白く、そしてイライラ、
私は面白かったと思います。
おかしみと、ちょっとの恐ろしさ
2016/10/23 09:53
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「婚礼、葬礼、その他」。結婚式と葬式(通夜)に、同じ日に出席することは人生でそうはないはずで、そんな奇跡?に遭遇・巻き込まれた主人公のドタバタ劇。役割を全うできない知人、思惑を隠しきれない他人に振り回されて、なんとか自分の役割を全うしようとして・・・。おかしくて仕方がなかったし、空腹の辛さが痛々しいくらい伝わってきた。腹が減っては戦はできぬが、腹をくくればできることもある。
「冷たい十字路」。こちらはちょっと怖い。人は自分が受けた小さな苦痛と、自分のそばで他人が受けた大きな苦痛の、どちらを恐れるのだろうか。他人の苦痛に動揺しても、結局半径5m以内の安全を守る行動を取るだけ。逆に善意から5mのラインを超えた結果、不幸を招くことだってあり得る。いくら気を付けても不幸はかいくぐってやってくるもの。まずはそれを認めよということか。後味は悪いけど説得力はあった。
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婚礼、…:よくあるいらだち、どうしてこうなるの?という感じ、ぼんやりとした設定。津村さんらしい話。
冷たい…:心が重くなります。これも津村さんらしさ。
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実際にありそうだからハッと考えさせられる。
津村記久子さんの描くやさぐれた(?)女性は面白い。
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「婚礼、葬礼、その他」と「冷たい十字路」の二編。
「婚礼、葬礼、その他」は、やっぱり津村さん、すごくよかった! 最近の「とにかく家に帰ります」とか「ウエストウィング」に通じていくものがある感じ。初期のころのちょっと読むのがしんどくなるような感じがなくて、すごくユーモアがあって。長編でもよかったのになあとか思う。
結婚式の受付やらスピーチやら二次会の幹事を頼まれたら、旅行の予定があっても断れない、結婚式の最中に会社の上司の親が死んだと連絡があったら葬儀にかけつけるのを断れない、そしてあからさまには文句も言わないっていう、まじめで義理がたく、要領が悪いといえばそれまでの主人公が、むくわれもせず、どたばたと苦労するのが、悪いけれどかなり笑えて。
津村さんの小説に出てくる人たちは要領悪くて損してる人が多いけれど、みんないい人だ。最近の世の中、要領悪い人ってダメと思われる気がするけど、いや、要領悪い人ってすごくいい人じゃないか、要領がいいなんていいことじゃない、とか思ったり。
葬儀に列席して、主人公が死について考えて、亡くなった自分の祖父母のことを考えて、思わずひとり泣きだす場面がよかった。
そのあと、故人の孫娘の高校生がおにぎりをもってきてくれるところも。
ラストが、主人公にこれからいいことがありそうな感じだったのも好き。
「冷たい十字路」はちょっと雰囲気が違ってユーモアもあんまりなくて確かに冷たい感じだけどこれも津村さんの一面であるなと。
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結婚式と葬式が重なり、シッチャカメッチャカになったヨシノと、自分は最近破談したばかりなのに後輩の結婚式に出てきてさらにボロボロになったホンダ先輩からなるエンディングシーン。このままくっついて上手くいくのか?!みたいな雰囲気があまり感じられないところが、妙に温かく感じた。
十数年前に隣の旦那さんのお葬式に出たときのこと。挨拶するくらいの間柄だったのに、なぜか号泣してしまい、途中からトイレへ逃げたという過去を思い出した。
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年を重ねる度に、「死」ってなんだか思っていたよりも自分の近くに存在していたんだなぁ、と実感していたので、共感しながら読んだ。
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『ポトスライムの舟』や『アレグリアとは仕事はできない』もそうですが、働くこと、あるいは働いている人についてとなると、津村さんの筆致はひときわ冴えまくります。コピー機や故人といったモノ(物・者)に対する呪詛にどこか共感できたり笑えたりするのは快感です。
本書に収録されている「冷たい十字路」は、『アレグリア~』に収録されている「地下鉄の叙事詩」と似た手法で書かれています。一つの出来事を複数の関係者の視点から描くというのは新奇ではありませんが、プロ作家としての手腕が発揮されています。
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ああ、面白い。
東の長嶋有、西の津村記久子。
「人のおかしみ」って言葉があれば、現代でそれを一番上手く表現できるのは、この2人ではないでしょうか。
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主人公ヨシノと話がしてみたい。できれば飲みに行ってくだをまき、その言い草!と笑ってみたい。呼ぶことのできない人生かもしれないが、呼ばれることはいいことだ。私も会いたいもの、ヨシノ。いちいちなんだかおもしろすぎて、気がついたら2回続けて読んでいた。
「冷たい十字架」は、気をつけたって仕方ないのよ、不幸はそんなものかいくぐってやってくる。のことばがずしり。
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登場人物達の人間臭きドタバタ感が好かった。人間的等身大のユーモアとアイロニーの流れが、何処か澄ましたような文体から滲み出て来る小説で、アイロニカルな穏やか空気の流れを肌で感じるようだった。
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誰に腹を立てていいのやら、自分のせいではないのにめぐりめぐって最悪な状況に陥ってしまう主人公。自分だったら、早々に爆発するか投げ出してしまう間の悪さの極地のような状況でも、主人公はそのときできることを、そのとき発揮できる能力とエネルギーでもって実行していく。無意識だろうけど、誰も不幸にならないよう配慮できる主人公の「いいひと」さ加減がうらやましかった。そしてかつて自分を救ってくれた後輩カップルのエピソードが素敵だった。
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津村さんの主人公って、なんだかゆらゆらして頼りないけど、まわりからはなかなか信頼されてるよね。
食べることは生きること。
そして、生きることは死を思うこと。
つまり、なんとなく流されながら生きているヨシノの生きることへのしたたかな(使い方合ってる??)欲望が描かれている。
極限状態っていろんなこと考えちゃうもんなのかしらね。
結婚式については…ごめんよくわからない。
ただ、婚礼が新たなスタート、葬礼が人生のゴールだとしたら、「あいだに立つ人」が津村作品のひとつのテーマになってるのかも。(「君は永遠に・・・」のレビューにも書いた。)
「冷たい十字路」はひとつの事件に関わる周辺の人の物語。この人にもこういうのあるんだなー。
2013/08/17読了。
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本書には、「婚礼、葬礼、その他」と「冷たい十字路」の短編2作品が所収されている。
「婚礼、葬礼、その他」は、1日の間に、友人の婚礼(2次会の幹事を依頼されている)と会社の上司の父の葬儀が重なってしまって、さあ大変、という状況での主人公の行動や、人間観察、人間関係の機微、そこでの主人公の心の移ろいが描写されている。
一方、「冷たい十字路」では、自転車通学の高校生達による傍若無人な自転車の乗り方から起こるべくして起こった事故を題材に、その事故の周辺の人びとの生活や思いなどが粛々と綴られた作品。
いままで、津村さんの作品では、どちらかというと20歳代後半から30歳代の働いている女性達を主人公に設定し、彼女たちが日々悩み、悶々としながら、それでも頑張って働いている姿が描かれることが多かった。
本書は、そうしたイメージが完全には払拭されたわけではないけれど、それでも今までとは違った感じがする2作品。こういう津村作品も、イイ!