栄光に巡り合えなかったアスリートの姿を描いた好著
2016/07/14 18:10
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
スポーツに取り組む以上、本当の一握りのエリートを除いて負けや、引退や不本意な結果を受け入れる経験は必ずあるもの。努力を重ねつつも栄光にめぐり合えなかったアスリートを丁寧に取材したノンフィクション。次の一文にめぐり合えただけで、綺麗ごとだけではないスポーツの世界の本当の一面を感じました。以下抜粋”「どこの監督も言いますけど、強いチームには必ず陰の部分もあるんです。故障で走れなくなったり、練習についていけずに脱落したり。みんなが芽が出ているわけではない。そういうのを見るのが辛かった」がしかし、誤解を怖れずに言えば、勝利を第一義としたチャンピオンスポーツの世界にはそういう面は抜きがたく存在する”
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5名の一流アスリートのその後(現役の方もいるが)を追跡し、「悲運」とくくられるゆえんを問う内容にしようとした本と見た。筆者の想定が強烈すぎて、それにそうように勝手に解釈を完成させようとしているのでは?という疑念がまず起きてしまい、途中、いらっとしてしまった。が、総じて客観的ではあるとは思い、特に水泳選手の記事には色々思うところもあり、最後まで通読できた。
まじめな人、感性が独特の人等スポーツという極めて厳しい世界で名を馳せた、馳せることがどんだけのものなのかということを少し感じ取ることができたのではないか、と思っている。いや、やっぱ究極であると思うことしきり。自分の日常にこのような状況はないので、今後どう咀嚼するかは課題になるかもしれない。
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ノンフィクションの醍醐味は期待が裏切られていく面白さにある。中村計の面白さも、取材がうまく進まない書き手自身の苦悩やいらだちさえも物語の一部として組み込んでいくところにあると思う。「期待通り」の答えを返さないアスリートたちの「ボケ」に「なんでそんな型通りやねん!」「違うやろ!」と「ツッコミ」を繰り返しながらその人物に迫っていく。読者自身も「確かになんでだ?」とぐいぐい引き込まれてしまう。アスリートの人物像だけでなく、その取材過程までも読ませる中村計、これからの仕事からも目が離せない。
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単なる「あの人は今」的な内容ではない。
追っているのは、元エリートアスリート。
心に傷を持つもの、
まったく心の傷を感じさせないもの、
恩師との確執があるもの・・・。
本音を感じたような気がして、
中々興味深かった。
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凄い記録を出して時の人となったけど、その後伸び悩んで表舞台から姿を消した5人のスポーツ選手を取材したノンフィクション。
いきなり「勝っちゃった」ことで、考えすぎたり自分を痛めつけすぎたりで歯車が狂っていく姿が、読んでいて痛々しい。
タイミングやルール改訂に泣かされたり、頑張り過ぎたり逆に気が抜けちゃったり。
才能・努力って、タイミングによっては 残酷なこともあるんですね…。
著者が、取材していくうちに選手像が描けなくなって混乱していく姿も正直に書かれていて、リアル感が増しています。
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著者の作品は初めて。一瞬脚光を浴びた人、地道に自分のポリシーを貫く人。5人のアスリートの生き方を描く。
追記を読んで、涙が出そうになりました。
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類まれな才能に恵まれ一度は栄光を掴んだものの、その後消えてしまった「不運」のアスリート達を追ったスポーツノンフィクション。
不運なルール改定や、ちょっとしたタイミングの悪い小さな出来事、など「あの時あんなことさえなければ…」というのは結果言い訳に過ぎない。
その後のトップアスリート達の、張り詰めた糸がギリギリと音をたてるような精神状態を追いながら、五輪で金メダルを獲ったり、プロで一線であり続けるような頂点に立つ者は、場の雰囲気や全ての運を自分に引き寄せるメンタルを持った一握りの神に選ばれし者だということがヒシヒシと分かる。
そして類まれな才能に出会ってしまった指導者と選手の結びつき、確執、葛藤。
両者の思いのズレや温度差が人間臭くて、スポーツとは身体能力も当然ながらそれ以上にメンタルがどれだけ重要か。
一瞬の煌めきを放ったアスリート達のそれぞれの人生。ドラマ以上のドラマがここにある。
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類い稀なる超一流の才能を持ち、一度は表舞台に立ちながら勝ちきれない5人のアスリートの話。
オリンピックで勝つには実力だけでないことがよくわかる。表舞台に立ち続けられる人は実力だけでないものを持ち合わせる。決してこの5人に限らず、実力を十分に持ちながら消えていったアスリートは存在する、いや、そんな人のほうが多いはずである。「パズルのピース」を合わせるのがどれほど大変なことか。また、そのパズルが崩壊するのがどれほど簡単なことか。それぞれがもがき苦しみながら、今も懸命に立ち向かう姿に安堵する。ノンフィクションはあまり読まないけど、これは秀逸でした。
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スポーツ選手も一人の人間。マスコミを通してしか知ることができないのに、それを鵜呑みにしていたのを反省。当たり前のことだけれど、その人に聞かなければ本当のことは分からないんだなぁと思った。
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スポーツの面白さは陽の部分ばかりではない、と思わさせる。「歓声から遠く離れて」というタイトルに惹かれた。雑誌連載のタイトルは「不運の名選手たち」というが、こっちのほうがいいのではないか。才能はあっても、それを最高峰の舞台で輝かせることがどれだけ奇跡的なことか。一方で、比類無き才能の輝きは、その一瞬を持ってして人を魅了し、そこには必ず物語が生まれ得るとも感じた。女子マラソンのランナー、プロゴルファー、三段跳びの日本代表選手、平泳ぎの日本代表選手、そして登山家。いずれも活躍ぶりはよく知られているアスリートと何ら遜色はないが、ただ一線が違ったのだ。時代の流れや人間関係、理由を挙げればきりがない。その悲運さが、またおもしろいと思ってしまう。今まで知ることができなかった、スポーツの別の面を見せてくれる本だと思った。
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スポーツノンフィクションやスポーツドキュメンタリーとは、トップアスリートの成功の裏側にある努力譚を記したり、かつて栄光に彩られた選手が困難の中にある様子を描いたりするものがほとんどだと思う。それはそれで興味深いし、読んでいて感動したり、刺激をうけたりするのだけれど、本書あとがきで高橋秀実が語るように、そうしたノンフィクションやドキュメンタリーは「『努力』を軸にした人生訓話」という側面が強く、時に説教めいたりもするので、読んでいて疲れたり、読むこと自体気が引けたりすることがある。
その点、本書『歓声から遠く離れて 悲運のアスリートたち』は、「人生訓話」めいてないので、ノンストレスですいすいと読むことができた。あらゆる不遇な状況に翻弄され、期待されながらも結果がだせなかったということを描く点にこそ、一般の読者としてリアリティを感じたのも読みやすかった理由の一つ。
「〈不運〉と決めつけられるのは決して気持ちのいいものではないかもしれませんが、そうした不遇を経験した人間にしかわからない知恵や、強さを描ければと思っております」と、本書の著者、中村計は書く。単なる訓話や悲劇の英雄譚にならぬよう、丹念に謙虚にアスリートを描こうとする中村計の筆致も一見の価値あり。
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才能があるだけでは勝ち続けられない。一度頂点に立ったタイミングだったり、野心のようなものだったり、性格だったり、日陰にいるアスリートたちが欠いていたものがあった。それが良いとか悪いとかそういう問題ではなくて、世界を舞台にした勝負を続けていくには向いていなかったということなのかな。
解説の「無闇に努力をしないこと、『努力はした』というのは自分への言い訳」というのも納得。
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普段なかなか知ることのできない競技の人の事がよくわかった。こういうニッチな世界(というのは失礼だが)というのも面白い。
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スポーツに取り組む以上、本当の一握りのエリートを除いて負けや、引退や不本意な結果を受け入れる経験は必ずあるもの。努力を重ねつつも栄光にめぐり合えなかったアスリートを丁寧に取材したノンフィクション。次の一文にめぐり合えただけで、綺麗ごとだけではないスポーツの世界の本当の一面を感じました。以下抜粋”「どこの監督も言いますけど、強いチームには必ず陰の部分もあるんです。故障で走れなくなったり、練習についていけずに脱落したり。みんなが芽が出ているわけではない。そういうのを見るのが辛かった」がしかし、誤解を怖れずに言えば、勝利を第一義としたチャンピオンスポーツの世界にはそういう面は抜きがたく存在する”
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類希なる才能と、運を手にしたアスリートの
光と影を読むことができました
ここにでてくるアスリートは
恥ずかしながらほとんど知らないひとばかりでした。
その世界では滅多に得られない結果を
「出してしまった」人達
彼らは運と才能で得た栄光がゆえに、
生涯悩み、抜け出せず、苦しみ続ける
常に結果を出し続けることの難しさ、
常に前線にいる類希さを、
この本で知りました。
私達が良くTVでみるアスリートは
それらを超えたひと握りの人達なんだ。
最後の章に出てくる登山家は
唯一その困難さをわかったうえで、
自分の道を進むつよさを感じました。