電子書籍
暗号ミステリ
2017/07/29 08:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クレメル鯰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆる暗号ミステリと呼ばれる作品です。
私は暗号ミステリとはどういう物だろうという事で本書を手に取り読んだのです。
なるほど、確かに暗号とミステリ要素が入った小説でした。
しかし、私にはあくまでも"暗号"と"ミステリ"が乖離して別々に存在した小説だと感じました。
件の暗号が、例えばリアル脱出ゲームのようなものに用いられていたなら、面白かったのになと勝手な感想を抱きました。
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竹本健治氏があの「匣の中の失楽」でデビューした作家さんだと既知されて読まれた読者が何人いたのでしょう?全く大きなお世話だとは思いますが、このミス2017で1位だったから読んだ方にはお疲れさまでした。正直この作家さんの作品は、本書を読んで理解出来る程簡単じゃない。極論するならデビュー作を読んで「気になったら」今まで書かれた作品を読んでほしいのです。名作珍作入り乱れていますが、中井英夫の後継者だと言える作家だと気づくことでしょう。
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竹本健治の、天才囲碁棋士シリーズ。黒岩涙香と日本の国語、それからゲーム研究までをテーマにした、暗号ミステリの大作。
読むのには、かなり体力が要った。どこまでが創作なのかはっきりとは分からないが、著者にしては果てしない労力がうかがわれ、それが良く活きている、というかそれですべて成り立っている。
いろはだけでも詠む価値がある。
惜しいのは探偵の過程。推理のひらめきは、なにか必然的な言動をスイッチに至るのがよいのだが、超緻密なトリックに比して、ただの「ひらめき」が多かったのが残念。
しかしながら、「探偵が謎を解かなければならない動機」や、読み終えても明らかにならない二つの謎等、ユニークな趣向も散らされている良作。
4-
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牧場智久シリーズ長編。黒岩涙香の残した暗号に挑む。
いろは歌がこんなにもバリエーション豊富に作れるというのがまず驚き。
正直、殺人事件はどうでもよくて涙香の暗号の解読がメインなのだが、短歌や連珠、囲碁の素養がないのでこの凄さを理解できたとはいえず残念。たぶん自分にもっと基礎知識と興味があれば目眩がするほど素晴らしいのではないかと思う。
涙香の作品は「無惨」くらいしか読んだことがないが、その人生と人となりが面白かった。
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暗号本。久し振りの竹本健治だったのです。
ミステリとしては、本格ロジックと言うよりは、火サス並みの流れ作業展開だったのです。
竹本健治氏のツイッターをフォローしてたので、いろは歌とか出てくるのかな……?と思ったらビンゴ。
出てくるのかなレベルではなく、50ページくらいいろは歌40首以上と登場人物のその感想+解説だったのです。
40首以上のいろは歌をどこまで解読するか……はめちゃめちゃ時間がかかるので、もう文学として読む作業にもなってしまったのでした。
いろは歌は本当に圧巻。
面白いし、感動もするのです。
元々、短歌や俳句や詩に抵抗がないならもういろは歌だけでも十分楽しめたのです。
五並べと言うか、連珠と言うゲームについてはあまりピンと来なかったのですけど
最後までジックリ読み進めていくと思わず「へぇぇ」と漏らしてしまう。そんな感じだったのでした。
牧場智久シリーズは読んだことなかったので、二人の関係や、主人公のあまりの天才っぷりにポカーンな部分も。
何十年か後に、俳句とか趣味でやるようになったら、もう一度読んで見たいのでした。
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超絶技巧暗号ミステリ。殺人事件が完全に添え物のよう。「入神」で感じた、そこまで凝るか、という作りはさらに進化していた。7.0
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竹本健治さんの本は結構久しぶりに読みました。牧場智久シリーズ、なんですね。シリーズ自体が初めてです。
日本のミステリ・・・だけでなくいろいろなものの「始祖」である黒岩涙香の暗号を解読しつつ殺人事件の推理も・・という。黒岩涙香という人については全然知らなかったんですがこの本で「ずいぶんすごい人だったんだなあ・・」と勉強になりました。これほどの傑物がなんでここまであんま知られてないんだろう?
で、この本自体は・・面白いは面白いんですが黒岩涙香の生涯の話がメインになってしまって関心がそっちに偏ってしまった印象。暗号文もあんまり多いと読んでてちょっと疲れてしまったというか。。。
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牧場智久シリーズ。黒岩涙香、というと、なんとなく名前を知っている程度だったのですが。知れば知るほど奥が深い……いろいろと気になってしまいます。
一応、殺人事件が起こってそれに関する推理もきちんとあるのだけれど。そちら側のインパクトは薄く感じました。といってもそれが面白くない、というわけでは決してなく。その他の要素が凄すぎるのです。
四十八首のいろはと、それにまつわる暗号が圧巻すぎる! このいろはをひとつひとつ読んでいるだけでも充分楽しいのに、それにまだ暗号が隠されてるってそれは一体何!? もちろん自力で解くことなんてとってもかなわないのですが(苦笑)。解かれる過程を読むだけでもそりゃもう充分楽しくって。いろはって奥が深いなあ、とひたすらに感嘆しました。
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明治の新聞王にしてミステリのパイオニアである黒岩涙香が遺した(という設定の)パングラムの暗号解読をメインに、殺人事件を絡めたミステリ。暗号がすさまじく緻密で圧巻だが、難解すぎて、読者を置いてけぼりにしている感。解読の手順にも若干不自然さがある。殺人事件の方は平凡かつ粗雑で、クローズドサークルも演出上の都合以上の意味はなく、小説としてのバランスはよくない。犯人の動機に関わる謎が完全には明らかにされていないのももどかしさが残る。とはいえ、歴史教科書では『萬朝報』と「理想団」の創立者としてしか知られていない黒岩涙香の多面的才能と活躍を再評価した意義は大きく、暗号も殺人もある意味、黒岩を引き立てるための道具であると考えれば納得できる。
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牧場智久がその頭脳ゆえに命を狙われたのなら、犯人は絞れるよね。麻生、井川、永田、弥生、大館は麻生邸での会合の時、既に智久の才能を見せつけられているんだから、発掘調査の時、初めて智久に会ったメンバーに犯人は限られるのでは?涙香さんが主人公のお話でした。
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久しぶりに竹本健治 のミステリを読みました。
しかしなんという暗号。
すごすぎます。
まさに暗号ミステリの最高峰でしょう。
よくぞこのようなものを考えたものです。
もう頭がついていきませんでした。
黒岩涙香も何冊か読んだことがありましたので、この辺も大満足。
いや~面白かった。
一気に読みました。
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『このミステリーがすごい!2017』第1位
謎解きが凄いとの評判に期待満々で読み始めたが、私のタイプの作風ではなかった。
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黒岩涙香という実在の人物が残したであろう暗号を解き明かしていくのだが、その暗号が非常に難しい。「いろは歌」が四十八首ある地下室、その頭文字を読み取り現れる「いろは歌」、そこから更に暗号を解く。本格ミステリではあるが、とても知識が及ばない為に自分で考えられない。
よく考えられていると思うがエンターテイメントとしては好みが分かれる。
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2017年のこのミス第1位。本格暗号ミステリーと言うことで、レビューも賛否評論分かれていたが、私は意外にあっさり読めた。確かに暗号の件は、「よくここまで考えたものだ」と圧倒されるが、肝心の殺人事件の解決がどこかおざなりで、何をメインにしたいのか、とらえどころがない。暗号の解読は、他の読者さんが書いていたように高田崇史のQEDなどを読んでいれば、そんなに抵抗はないかと…文体もフランクなので、結構読みやすい。1980年代から続くシリーズらしいけど、私はこの作者さん初読み。そして、他のシリーズは読まなくてもいいかな。そもそも囲碁とか分からないし。涙香のうんちくは楽しめた。
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このミス一位ということで読んでみたけど、かなり斬新な暗号ミステリーだった。良くまあこんなことが思い付くなと。初めて読んだ作者だったけど、シリーズみたいだし他の作品も読んでみることを検討しようかな。