- 販売開始日: 2016/12/15
- 出版社: 早川書房
- ISBN:978-4-15-335030-4
爆発の三つの欠片
著者 チャイナ・ミエヴィル , 日暮 雅通 , 嶋田 洋一 , 市田 泉
豚の頭をかぶる男、病気の患者を演じる女……。英国SF界のトップランナー、チャイナ・ミエヴィルが、人間のもつシュールで残酷な面を鋭く描き出し心に爪痕をのこす28の物語を収録...
爆発の三つの欠片
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商品説明
豚の頭をかぶる男、病気の患者を演じる女……。英国SF界のトップランナー、チャイナ・ミエヴィルが、人間のもつシュールで残酷な面を鋭く描き出し心に爪痕をのこす28の物語を収録した短篇集。
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新しい世界との共存
2021/11/18 22:08
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来風の28作の短編が収められていて、短いものが多いが中身が濃い。そして何気に怖い。
ビルの爆破解体を内側から体験するテクノロジー。
ロンドン上空に氷山が現れる。自然破壊によって起きる地球の反作用なのか。
人間の死体の形態が変わってしまう。物理的なものか、生物学的なものか、心理的なものか、社会的なものか、原因がまったく分からないが、とにかく変わる。
未知の古代文明の遺跡発掘調査で、新しい発掘技術をめぐる人間臭いトラブル。
孤島に住む人々のところに、定期的に船がやってくる。だが人々が外部世界がどうなっていて、どこから船が来るかを知らない。そして一人の少女が島からの脱出を思いつく。
グアンタナモで行われた「合法的な」拷問の方法というのがあるのだそうだ。その実物(虫)から新たな悪夢が始まる。
軌道エレベーターが実現可能だと言われ始めているが、それが実際に建設された場合を考えると、そういう超巨大建築を題材にしたSFって昔からけっこうあったなと思う。
戦争で敗れた国は、その国の神も奪われてしまったとしたらどうだろう。国を守れなかった神を、民衆は守ろうとするのだろうか。
恐怖を生み出した怨念は、宗教や因習と未分化だった時代の法律による残忍な刑罰で生まれた。現代人がそれを過去のことと言えるだろうか。
セラピストが患者の不安を取り除くための究極の方法。患者だけでなく、自分の場合も。フレドリック・ブラウンのような味わい。
イベントのクラマックスで動物の頭を切り落とし、それを被って練り歩くというのが流行するという題材によるホラー。これも何か自然の復讐といったことを暗示してるのだろうか。
医学生の実習のために、特定の症状を訴える演技をするという仕事。だが未知の症状を主張する者が突然現れる。
炎を上げて燃える鹿が街に現れる。
自分の周囲の物質を消失させてしまう人たち。それは疫病のように感染する。パンデミックどころではない文明の危機。
海上に建設された石油採掘みたいな巨大プラントって、たくさんの柱が脚みたいじゃないですか。あの脚で歩いて地上にやってきたらどうしようと。巨大ロボットよりも、リアルで、身近で、ちょっと切ない。
ある種のイデオロギーにとっての聖典、伝説、歴史、そういう種類の物語がエンターテイメント映画に改作されたら。ほぼ同じような話をごく最近聞いたような気がします。
ウェブサイトに渾身の自作アートやコミックを公開しているのだが、さっぱり面白くない。そういうのってたいてい怖いやつだから。
人体の、誰も気づかず、触れることもできない場所に、アートが刻まれている。その謎は探求されるべきなのか、しかもそれを見つけることすら難しい。
論理的に考えられる、というか言語的に書くことができるようなsことが、物理的実体を持って顕在化する、というのが題材全体の共通項な気がする。それには合理的な解答や解決があるとは限らず、ちょっとしたひとつの出来事が文明全体を変容させてしまう。現代社会の脆弱性が次から次へと想起されまくって、ちょっと震えるのである。