- 販売開始日: 2016/12/14
- 出版社: 太田出版
- ISBN:978-4-7783-1291-6
愚民社会
近代への努力を怠ってきたツケが、今この社会を襲っている。日本の終わりを書きとめるための、過激な社会学者と実践的評論家による奇跡の対談集。2003年~04年にかけて『新現実...
愚民社会
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商品説明
近代への努力を怠ってきたツケが、今この社会を襲っている。
日本の終わりを書きとめるための、過激な社会学者と実践的評論家による奇跡の対談集。
2003年~04年にかけて『新現実』に掲載された2本の対談に加え、2011年夏に行われた新たな対談を収録。東日本大震災を経てより明確になった日本の問題点を、真摯かつ過激に語り合う。
私たちは、やりなおせるのか――。
空気に縛られやすく、政治を人任せにしてきた日本人が、自分で考える力を持った近代的個人となるためにはどんな教育が必要か。民主主義を制度にとどめず、私たちの心の習慣にするための真摯な提言は必読。
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「近代化」を怠ってきた、「土人」の群れ
2012/01/05 09:37
12人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミルシェ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実践的社会学者宮台真司氏と、実践的評論家
大塚英志氏による、震災を機に、一挙に様々な方面から噴出している、
これまで空気に縛られやすく、政治にしても、何にしても、不確かな何か
大きな存在に依存しようとし、依存し続けてきた日本人、つまり日本人はこれまで、
真の意味での日本の近代化を、怠ってきたという内容です。
さすがに、そろそろ宮台氏辺りも、日本の政治家・政党・有権者、
というか、全てひっくるめた、結局これまで体裁だけを整えたに過ぎなかった、
日本の民主主義自体?に対して、期待が低くなってきたように感じました。
確かに、現状を見ていると、しかたないかなという気は、しますが。
全体的に、悲観的な調子ですね。
特に、私はどちらかというと、より悲観的かつ、そのためより現実的とも感じた、
大塚英志氏に賛成でした。
震災や原発事故くらいでは、もう何百年にも渡り、
自らで考え行動するという、近代化を怠ってきた、日本人及び日本人は、
そう簡単には変わらないという。
やはり、西欧的近代化は、日本には無理じゃないの?など。
それから、私も以前から何かと苦々しく思っていた、
元テレビ朝日の女性キャスター出身で、
自民党の某女性議員などの、
(自己顕示欲・例によって、本職行き詰まりの結果の、
転職目的の出馬にしか見えない出馬、これまでの主張とは、正反対な自民党から出馬をし、
政権党・権力の側にいたいのが丸わかりな、見え透いた思惑。
当選当初「獅子身中の虫」となって、自民党を改革したいと、ご大層な決意を表明しておきながら、
間もなく最大派閥の町村派入り。この発言も、どうせ最初から、口先だけだと思っていましたが。
このように、立候補当初からの彼女の数々の言行不一致・一貫性のなさ、
国会議員としての見識を疑うような言動の数々。ニューヨークに住民票を移したまま、
そのまま出馬はするわ、そもそも、一度も投票した事すらないわ、数年前の新潟の地震時に、
ウェディングドレス姿で、まるで芸能人気取りで記者達を呼び、結婚会見だの。
そしてこの五年間の間に、何か具体的な実績を上げた訳でもなし。
本書を読んでやはり、ついに馬脚を現わしたという感じです。
そしてこれは、山内昌之氏も、有権者側の問題として指摘し、私もかなり以前から思っていた事ですが、なぜ普通の議員には、基本的に厳しいくせに、タレント・テレビ関係者出身の議員には、
甘い有権者が多いのでしょう?例え何もしていなくても。)
このような自民党の、女性保守議員達の、お前が言うな!的な、今回の原発事故に関して
国民の尻馬に乗った浅ましい言説について、「狂信的な振る舞い」・「卑怯」とずばりと、
批判・指摘してくれて、わずかに溜飲が下がる思いでした。
自分達自民党がこれまで国策とし、一向に収束する気配も見えない、
政策的・安全的・経済的にも、全く合理性のない原発政策をここまで推し進めてきた問題・責任は、
どう感じているんだ?とか、むしろ彼女達に、聞き返したい。
しかし、このように自分達の党の原発政策に関する
責任は、棚に上げて、一向に総合的な検証をする訳でもなく、ただ民主党や東電を批判するだけで、
事足りると思っている・支持が得られると思っている、
このような女性議員達のような、政治家を支持する有権者達の方も、
一体政治家にそもそも何を、求めているのだろう?と、思ってしまいます。
自民党保守議員の彼女達は、当然依然として原発推進派だろうし、代わりに今後安全な原発を、
国に作らせるような、能力もないんでしょうし。
ましてや、現在も進行形の、事態が悪化するばかりの福島原発を、正常な状態に復旧させていく、
具体的かつ有効な、アイディアや意見があるとも思えないし。復興の方に関しても同様でしょう。
ただ自分達と一緒になって、民主党や東電を批判して、
単に気持ちをすっきりとさせてくれる事、
日本はまだだいじょうぶだなどと、何も具体的根拠のない、無責任で勇ましいだけの
鼓舞・激励だけを、求めているんでしょうかね?コーチが欲しいのでしょうか?
私なら、そんな政治家いらないと思いますが。
私なら、実行・具体的な成果を、求めます。
このような、政治家といい有権者といい政党といい、日本を取り巻く政治の諸問題を思うと、
憂鬱になってきます。
それから、本書の中で印象的だった事として、
若干手法などの違いが見られるとはいえ、
基本的には宮台氏と大塚氏の日本人・日本に対する処方箋が、あまり違いがないように感じた事です。それだけ、保守・リベラルと、彼らの政治思想の違いも超えた、普遍的で大きな問題が、日本人及び日本社会には、数々存在しているという事ですね。
それにしても本文中で数多く紹介されている、
民俗学者柳田國男氏の慧眼には、つくづく感心しました。
もう、彼はずっと昔の時代から、
現在まで続く、日本及び日本人の問題点を、
数々指摘し、言及していますもの。そしてその対策に
ついてまで、思考しているし。ずっと、たいして進化し
ないマスコミの本質とか、補助金なしでやっていけない、農業問題や空気に縛られやすく、
いつまでも依存体質が抜けない、日本人の問題など。
「日本はまだ始まっていない!」
2012/02/07 16:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hharu - この投稿者のレビュー一覧を見る
書籍の帯には、大きく「日本は既に終わっていた!」とあるわけだが、むしろ大塚氏が言う「日本の近代はまだ始まっていない」といった言葉をキャッチにした方が、ふさわしかった気がする。
本書の主題の一つは「日本は民主主義社会ではない」ということになるが、それはマスメディアなどがよく言う「政治に民意が反映されていない」とか「民意を問え」といった話では、もちろんない。何しろ、日本国民のことを宮台氏は「田子作」と呼び、大塚氏は「土人」と呼んでいるのだから、そのような「民意」を尊重すべきという話にはならないだろう。
民主主義論の一つに「熟議民主主義」というものがある。そこで重要とされるのは、「『ある意見を何人の人が賛成したか』ではなく、『その意見がいかなる根拠に基づいているか』である」だという(『語る—熟議/対話の政治学』風行社)。“愚民社会ではない社会”とは、一つには、“多数決に任せてしまうだけではない社会”と言えるのではないかと思う。
そのためには「田子作」であり「土人」である私たちはどうすればいいのだろうか。大塚氏は「知らねーよ」と答える。結局、ありきたりではあるけれども、誰かと時々は政治の話もしてみるとか、呟いてみるとかによって、少しずつ自分で考えていくしかないのだろうと思う。