紙の本
新聞社の生き残り
2016/12/17 00:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞発行部数が近年、急激に落ちているが、新聞社がIT企業に買収されるという作品である。登場人物の顔が浮かび上がってくる内容である。
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IT企業に買収されかけている新聞社の生き残りをかけた戦い。
そこにあるのは記者としての矜持と紙の新聞への思い。それはそのまま毎日届く新聞を楽しみにしている私たちの声でもある。
確かにネットの情報の方が先に届くし、必要な時に必要なものが取り出せて便利ではある。けれど、そこには出自不明なうわっつらだけの言葉の羅列も多くある。それを取捨選択するだけの目が私たちにあるのだろうか。じゃぁ、紙でモノを読むことって何だろう。ただの文字や情報だけではないなにかがそこにはあるはず、だからこそ私たちは紙の情報を必要としているのだろう。安芸たち記者が必死に守ろうとしていた「新聞」を今日はちょっといつもよりゆっくり読もう。ひとつひとつの記事の後ろにいる彼らの、そしてそれを届けてくれるたくさんの人たちのことを考えながら。
しかし、これだけの買収を目の前にして、最後はこうなのか、ってところに違和感もあったのだけど、それが短期間にのしあがってきた轟木たちの薄さってことなのか、とも。
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IT企業が新聞社に買収を仕掛ける。
防戦する新聞社。
突飛な仕掛けはありません。
割と正攻法のM&A話です。
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面白かった。序盤,新聞社側はさすがだけどIT企業側が何かステレオタイプだなとか,ラストは読めるし池井戸潤みたいになってきたなとか思ったけど,ぐいぐい引き込まれて,そんな浅はかな感想をもってごめんなさい,と思った。株式の譲渡制限があることを知らなかったし,その深さに感銘した。トランプの発言とか見てると,現実味を増すというか,頑張って欲しいなぁと心から思う。
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読み応えのある作品。ストーリー展開もさることながらテーマである紙の媒体、この作品では「新聞」の行く末を、業界の体質からインターネット配信やデジタル化と行った課題に至るまで考え抜かれた作りとなっていて、読者を良質な議論に巻き込みつつ最後まで読み手を飽きさせない。面白かった。
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よかった。テンポよくすすむ。
特に終盤は、読み方が雑になってしまうほど次が、次が…と、読み進めてしまった。
新聞社が新進気鋭?ぽっと出?のIT社に買収されようとしている。
それを社員は阻止できるのか?
この作家さんの本は、初めてだったけど元は新聞社だけあってリアルだった。
池井戸さんも、元は銀行員だけあってリアルだったけど、それを知ってるだけに通ずるものがお二方ともある。
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図書館で結構待って借りて読んだ。返却もあるので、通勤時間を中心に、1週間程度読了。
偶然にも先月、新聞社が舞台の映画「クライマーズ・ハイ」を見ていたので、リアルな映像を浮べながら読むことができた。結構分厚いなぁと思っていたのに、映画の様な疾走感♪
最終章、主要キャラクター2人の言葉が心に残った。
●308ページ 安芸の言葉
「いつも身近にあったものが突然なくなった時、あとで大切だと気付いても遅いからです。私は過去にそのような苦い経験をしているんです。だから大切だと感じたものは絶対になくさないよう守ろうと決めたんです」
●313ページ 権藤の言葉
「お言葉ですが、潤沢な資金と知恵があったとしても、記者の心までは買うことはできません」
そして、最後の最後、桐島と尾崎の生き生きとした記事が飛び込むシーンで、爽快な気分で読み終われた。
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第3の権力、新聞の未来予想図を垣間見ることが出来る一冊。新聞社間協定、記者クラブ制度、軽減税率など、新聞自体が取り扱い難いセンシティブな内容まで踏み込んでいるのが特徴。
(1)これだけ新聞離れが起きてもなお新聞に載っている記事は正しいという性善説の下で読まれている。
(2)人間というのは成功を手に入れる者の顔が見えた途端、その人間の失敗した顔を見たい衝動に駆られます。
(3)新聞社がインターネット業界に参入して来ていたら脅威だった。新聞社がニュースを売るのではなくポータルサイトの運営に乗り出していたら成長出来なかった。
(4)新聞社というのは何千人の大所帯ですからね。学歴が高くプライドが高い人間が多い。まぁプライドが高くても本当に優秀なら会社を変えてますけど。
(5)若い頃は最前線でネタを取る記者が買われるが、デスクになる年齢が近付くに連れ、自分を押し通す記者より上司の意見に忠実な記者が出世していく。
(6)悔しさって何かに残さないと直ぐに忘れてしまう、いかに身に染み込ませるかの方法を持っている人がビジネスでも勝者になると思います。
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本城雅人「紙の城」読了。
新聞社がIT企業に乗っ取られそうになる。
なんとかそれを阻止したい新聞記者達が奮闘する。
結末は然もありなんではあったが、新聞の将来、ネットとの共存、などなど考えさせられる。
本、雑誌を含め紙という媒体の行方に思いを馳せた。
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テレビの創成期は親会社の新聞がいて、まだ手探りで試行錯誤を繰り返していたテレビがぶら下がっていた。僕が就職する頃はまだ、新聞社は一流企業には違いなかったが速報性という点でテレビに勝てないことは周知の事実だったし、待遇という面ではグループ会社なのにテレビに大きく水をあけられていた新聞社もちらほら散見していたのも事実だった。
新興メディアのITがテレビを猛追しだしたのが、2000年代。ライブドアによるニッポン放送買収騒動は2005年。楽天によるTBSの敵対的買収事件は2009年だった。楽天のオーナー三木谷氏は僕よりひとつ年上で、学生時代にマスコミに就職しようとしていた僕とは違い、起業家としてマスコミを乗っ取ろうとしていたことに半ば呆れ、感心した。氏はプロ野球チームのオーナーにもなり、その後も数々の企業を傘下に収め、一方、ライブドアのホリエモンは粉飾決算で実刑判決を受けた。
著者の本城雅人氏は産経新聞出身だから、ネットニュース(新)VS紙メディア(旧)という物語の構図では当然、紙メディア寄りである。東洋新聞を買収しようとするインアクティブの轟は前述のホリエモンのエッセンスを取り入れた分、キャラクターに既視感もあるが、上場しているテレビ局に敵対的買収をかけて、非上場の新聞社を狙うというのが目新しい。大手広告代理店から転職した知人に聞いたのだが、新聞の一面から四面までの広告欄に出稿できるのは出版社だけだという。旧メディアはお互いに談合し、もたれあい共存しているが、外部から世間の常識を突き付けられたら、本書が指摘したいくつかの身勝手な業界の常識は通用しないし、自由競争に晒されて、すべての企業が生き残れるとは到底考えられない。転職は同業界限定。互助会である。外部からの参入障壁の高さを思い知らされた。
「お言葉ですが、潤沢な資金と知恵があったとしても、記者の心まで買うことができません」という権藤の言葉にすべての結論が込められている気がした。経済、効率優先。おっしゃるとおり。でも、人は感情や理想で動く。主人公の安芸を慕う安芸会の若手記者たちに新聞メディアの進化を託したい気持ちになった。
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IT企業がテレビ局の株を買占めにかかるが、真の目的は子会社である東洋新聞であった。IT企業で画策するのは、学生時代に新聞配達員をしていた元東洋新聞記者。テレビ局は新聞社を見放し、株を譲渡しようとするが・・・
新聞社、またそれらを取り巻く旧制度(新聞社間協定、記者クラブ制度、軽減税率など)に対しての話は珍しいものではないが、“もし新聞社が90年代からインターネット戦略を掲げていたら、ポータルサイトは・・・”という推測にはなるほどなと。
IT会社によるマスコミ買収とくれば、ライブドアによるニッポン放送→フジテレビの買収騒動を思い出すが、そのせいもあり、実在する人物の顔が浮かぶことも。筆者が元サンケイ新聞の記者ということも面白い。
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新聞は先細りだなあとは実感しています
定期購読者は高齢者ばかりのような
ネットニュースの速さにはかなわないですけれど
無責任なコメントが横行しているような気がします
新聞が正義だとは思えませんが他の媒体よりましかなあと応援しています
新聞記者出身の筆者の物語にとてもリアリティーを感じ引き込まれて読みました
≪ 紙の城 もろいけれども 守る人 ≫
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有能な女性記者とか、美人副社長と関係を持ってる、とかベタな登場人物が多いように感じられて冷めた気持ちで読みました。
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200万部の全国紙を発行する東洋新聞が、新興のIT企業に買収されようとしている。社会部デスクの安芸稔彦は、同僚たちと買収阻止に向けて動く。
インターネットでいち早くニュースが配信される中、紙媒体としての新聞は必要なのか、新聞の在り方を問う話。
現状にあぐらをかいていてはダメだという主人公たちの姿勢は良かったが、それでも奢りが感じられた。
(図書館)
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新聞というものを殆ど読んだことがありません。それでも家には必ず新聞がありました。テレビ欄しか見なかったけれど。良く考えたらそれだけの為に買っていた家も有ったんじゃないかな?
昔、新聞紙を学校に持っていく時に困った事なんて無かったけれど、今工作で新聞必要なんて言われたらコンビニに買いに行くしかないよなあ。
と、内容ではなく、個人的にはそんな思い出しかない新聞ではありますが、新聞を毎朝読むような大人に憧れる自分もいます。
は!そういえばこの感覚って、本を読まない人と読む人の反応と同じなのでは?必要なものだし否定する気はさらさらないという所を鑑みても、本を読まない人の感覚というのは、僕が新聞に対して抱く感情と同じなのか?!うーん新発見。
そう考えると新たなメディアが目白押しの中、あえて新規に紙メディアに没入していく人が増えるとはとても思えないです。そう考えると出版全体の危機ですねえ、本当に。
本書は、デジタルメディアに買収される新聞社の奮闘。という簡単な一言に集約されてしまうのですが、作者がそこまでがっつり勉強して書いたわけではないのか、買収話についてさほど突っ込んだ記述がありません。そしてその辺に関心が無い僕には逆に楽しんで読める要因だったと思います。経済小説好きには物足りないのではないかと読んでいて感じました。
新聞というメディア自体の衰退を示唆していますが、誰もがそうだよねと思っている事なので新味が無いのも弱い。しかし、これから新聞という威厳のある看板を利用しようとする企業が出てくることはあり得る事なので、一企業のお抱えになる事で、ジャーナリズムとしての客観性を保てるのか?という問題提起はなされています。