紙の本
二人の関係が進んでほしいような、進んでほしくないような
2021/04/12 21:42
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「切羽」というのは炭鉱や鉱山において採掘や坑道掘進する坑内の現場,また掘進方向における掘削面をいうらしい。。日本の鉱山は地質上断層,褶曲が多く,鉱脈も薄いので切羽は小規模となりがちであるとのこと。主人公の母がトンネル内で十字架を拾ったことがもとになっているが、読み進んでいると意味深長なタイトルであることがわかってくる。セイと石和がお互いにひきつけられていることはだんだんとわかってくる、この二人の関係がが恋愛関係に発展するのか(あからさまに言うとセックスするのかどうか)。どきどきしながら読む、ある時はそれを期待しながら、ある時はそんなところまでは進んでほしくないと思いながら。セイのご主人がいい人だけに。
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90歳のしずかさんがいちばんすき
2016/03/02 06:35
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
荒野さんの「静子の日常」がとんでもなくよかったから、じゃあ次はと思って選んだ「切羽へ」。悪くないんだけど、ああわたしは別に情愛のどーのこーのが読みたいわけじゃないんだと気づく。いわゆる大人の官能小説(とてもソフト)なんだが、求めていないのでいまいちのれず。セイさんは夫ある身ながら、島へやってきた若い男性教師に何故か惹かれる。本能で惹かれるのか、魂が呼応しあっているのか。実際なにがおこるわけでもないから、安心なんだけどお話としては平坦。行間の愛か。身寄りない90歳のしずかさんを大切にし看取る場面が一番好き。
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読みが足りないのかな
2017/10/23 16:21
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投稿者:L - この投稿者のレビュー一覧を見る
う~ん、ストーリーはわかった。主人公夫婦が幸せなのもわかった。しかし、周りの人たちが何をしたかったのかがよくわからない。
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10/11/03読了 登場人物に関しても舞台の島に関しても情報が圧倒的に少ない。だから読み進めたくなるのかもしれない。
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描かれていない唐突に翌月へと変わってしまう章立てや、
石和と別れた翌月の三月や、
セイと石和の思いがありありと伝わってくる筆力の圧倒的な力を感じる。
理由もなく本能的に惹かれ合っているのに理由ばかりを求めるセイの姿や、
そんなに求めているのに結局消毒以外に触れ合うことも無い2人の姿はまさに先の無い切羽のようだった。
それは周囲にある夫や家族という安定した存在だけがそうしているのではなく、
2人の自分自身の中にあるものがそうしているような気がする。
セイの思いが石和へと動いているのにまるで夫が離れていくような気配がして、
世界の終わりのような気持ちになるのもその一つの要因であると思う。
石和のことが全くわからず、わからないからこそ読者もセイと同じように石和と惹かれていく話だと思った。
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静かに流れて行く一年二ヶ月。小さな変化はあれど、何が起こる訳でもない。それでも、目に見えなくても、ときが過ぎないわけではない。切羽はどんどん前へ進む。私達は切羽まで歩いていくのだ。
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これの前に小学生が主人公の本を読んでいたらから、いきなりの大人な内容だな(笑)。
島の狭い人間関係と切なさがうまく混じりあっていてなんとも言えない雰囲気がある。
現在、田舎暮らし。
そういや、田舎暮らしも島ぐらしに近いものがあるように思う。昔から住んでる人とよそ者は区別しているし、周囲で起こったことはあっという間に広まるし。
近所は皆家族ってな感じ!?
隠し事なんてできそうもないもん。
そんな狭い世界で、島外から人がやってくるとか日常と違うことがあったら心がざわざわしそう。
石和の独特の雰囲気が余計にこちらの心も揺さぶってくるし……。
よくわからないって気になるものね〜。
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可もなく不可もなく…特にすごくおもしろかったところも
心動かされたところも思い出せず。
もう一度くらい読んでみたらまた違う感想が出るかもしれないけど。
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閉鎖的な島で夫と暮らす「私」と、
島へ移住してきた男との心の揺れを
描く物語。
設定はいかにもだけど、
荒野さんの丁寧で緻密な文体と、
生命力溢れる島言葉が美しい。
そして何より、
「切羽」という場所に惹かれて読んだ。
タイトルを見て、切羽詰まる、の「せっぱ」かと思ったら違った。
「トンネルを掘っていくいちばん先」のことで「きりは」と読む。
「トンネルが繋がってしまえば、切羽はなくなってしまう」
「掘り続けている間は、いつも、いちばん先が、切羽」。
有って無いような場所。
先へ先へと求め続けるけれど、
いつかは無くなってしまう場所。
それ以上先へは進めない場所。
それとも、未来へ続く扉にもなる?
その切羽まで、「どんどん歩いて行くとたい」と夫に言い放った主人公の母親。その覚悟。
夫か、別の男か、どちらが切羽へ進む道なのだろう?
139回直木賞受賞作。
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繊細な文章から平穏な離島の暮らしが窺えた。
方言ものんびりとした雰囲気を醸し出しているし、登場する料理もとても美味しそう。
ヒロインは東京から赴任してきた石和に惹かれるのだけど、正直なところこの石和の良さがさっぱり判らない。
かえってご主人の陽介さんの方が好みなんだけど、恋に落ちるのに理屈はいらないということなのね……。
文章が抑え気味なので、どの程度の恋心なのか測りかねますが、精神的には夫を裏切ったわけで、精神的な裏切りと、心を伴わない肉体的な裏切りの場合、どちらの方が罪は重いのかなとふと思った。
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http://takotakora.at.webry.info/201101/article_9.html
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切羽、「きりは」と読みます。
聞きなれない単語ですが、物語を進める内にキーワードとして登場。
都会と田舎、本土と島。母と娘。対比しながら人間模様を描いています。じっくりと軽く読むことができる大人の恋愛小説。
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この温度、静けさ。
ともすれば現実味が薄くいけすかない、甘いとこ取りの作品になりそうなところに、
島の人たちが話す言葉の訛りや、質素だけど豊かな食卓なんかが、生活感を程よく与えている。
最後までセイははっきりと自分の感情を言葉にすることはないし、穏やかな夫に加え、新しい温かみを宿した今後も、石和の存在が彼女を激震させることは無いだろう。
でも、月江との関係を告げられた時の痛み、危なげな石和に向ける視線。何も無かったことには、ならない。
石和が自分の唇から指を伸ばした場面。結局その指はセイにふれなかった、何も起こらなかったのに、乱暴な手つきでつかまれたように、はっと心がすくんだ。
トンネルが繋がると消えてしまう、幻のような、切羽。それはピアノと料理が上手で、アラン編みのセーターを着て現れる。
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愛する優しい夫がいるのに始終他の男のことを考える。もうこれ以上先がない「切羽」。こんなにも切なくリフレインされる言の葉。ピンと張った糸のような恋とも言えない恋。
井上荒野が描く女性は、華奢でちょっと憂鬱で。それでいて柳のムチのようにしなってピシリと強く打つ。
そんな女が切羽の先に見たものは。
山田詠美の解説を読むだけで切ない。
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好きだなあと思った一冊です。
よく磨かれていて、うつくしい小説だと思いました。主人公に感情移入をしてしまうのですが、あまりに深く移入し過ぎて途中読むことが辛くなったほどです。
もっと大人になってから、もう一度読みたいです。