西太平洋の遠洋航海者
著者 ブロニスワフ・マリノフスキ , 増田義郎
ソウラヴァ(首飾り)とムワリ(腕輪)をそれぞれ逆方向に贈与していく不思議な交易「クラ」。「未開社会の経済人」は、浅ましい利得の動機に衝き動かされる存在なのか? 物々交換と...
西太平洋の遠洋航海者
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商品説明
ソウラヴァ(首飾り)とムワリ(腕輪)をそれぞれ逆方向に贈与していく不思議な交易「クラ」。「未開社会の経済人」は、浅ましい利得の動機に衝き動かされる存在なのか? 物々交換とは異なる原理がクラを駆動する。クラ交易は、魔術であり、芸術であり、人生の冒険なのだ。人類学の金字塔が示唆する「贈与する人」の知恵を探求する。(解説・中沢新一)
目次
- 訳者まえがき
- 序文 J・G・フレイザー
- 序 論 この研究の主題・方法・範囲
- 第一章 トロブリアンド諸島の住民
- 第二章 クラの本質
- 第三章 カヌーと航海
- 第四章 ワガの儀式的建造
- 第五章 カヌーの進水と儀式的訪問──トロブリアンド諸島の部族経済
- 第六章 渡洋遠征への出発
- 第七章 船団最初の停泊地ムワ
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ニューギニア島の人々が行う「クラ」という交易形態を通じて、原始経済の意味を問い直していく名著です!
2020/03/27 10:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ニューギニア島の人々の不思議な交易形態を中心に、彼らの労働観や呪術などにも触れながら、原始経済の意味を問い直した人類学の記念碑的名著の一冊です。ニューギニア島の人々は、「クラ」と呼ばれる交易を行っており、それは首飾りと腕輪をそれぞれ逆方向に贈与していく不思議な形態をとっていると著者は言います。そして、「クラの交易は、魔術であり、芸術であり、人生の冒険なのだ」とも主張しています。一体、この「クラ」と呼ばれる交易のどこにそうした要素があるのでしょうか?同書では、そうした原始的な交易形態を通して、彼らの思考や文化について考えていきます。
圧倒的大作です
2022/06/21 07:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニューギニア島の北東に位置するトロブリアンド諸島にて著者が行ったフィールドワークとそこで展開されるクラと呼ばれる交易の様子、そしてその背景にある精神世界への詳細な考察を綴った大部の書。
私はこの地域に住む人々のフィールドワーク部分に興味を持って読み始めたのだが、気楽に読めるほど平易な内容ではなかった。現地人の日常生活の様子から始まって、クラに用いるためのカヌー作り(それは材木の選定と切り倒しからスタートする)、竣工・進水式を経て実際の交易に漕ぎ出し帰還するまでの場面の描写、そしてこれらすべてのシーンに用いられる呪文の内容まで細かく描写され、それらの背景にある精神世界の考察が展開される。フィールドワークにて得られた現地の生活の様子をここまで深く「科学的」に分析・考察した例を他には知らない。そして著者は、それ以前の「未開人の展開する原始共産制には私有という意識がない」などという誤った「思い込み」への鋭い批判を展開する。現地人の中に入り込み、永年に亘ってその生活を体験し記述したフィールドワーカーにしか言えないコトバであり、当時の欧米の頭でっかちのエリート学者たちが実態を知りもせず好き放題に理屈をこねる「社会人類学」を鋭く批判する態度が貫かれている。著者自身が観察者として現地人とは違った言語や発想形態をもっていることの限界性も認識し、それを消し去らないと真の科学的分析にならないという恐ろしく中立的な科学論への意見もある。本書後半は殆どが呪文とその意義の解説であり、一冊まるごとトロブリアンド諸島という著書であった。人類学の記念碑的著作と言われるが読んでみてなるほどその通りだと納得した。この書自体が大学における研究対象になりうるだろう。