紙の本
古代への誘い
2014/04/21 20:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
650ページに及ぶ大作ながら、テンポが良く、あっという間に読み終わりました。
内容は、明治時代に起きた、ある山村の消滅事件の謎を追う過程で、邪馬台国の謎を解き明かし、ラストは国家の陰謀に迫るという壮大な物語でした。
この手の小説は、提示される仮説を「いかに本当っぽく思わせるか」というのが生命線だと思います。本書においては、酒と鉄の視点という民俗学的アプローチで邪馬台国の実像に迫るというのは新鮮でした。「邪馬台国は移動国家だった」という仮説は、十分な説得力がありましたし、「箸墓古墳≠卑弥呼の墓」という推理も納得しました。
一方で、本書で取り上げた神話・伝説は、高天原神話・出雲神話・桃太郎伝説・浦島太郎伝説・南北朝伝説・アトランティス伝説と手を広げ過ぎていて、手に負えなくなったのか、それぞれ浅い考察に終わっています。取り上げる伝説はもっと絞った上で、深い考察を展開した方が、よりリアルに仕上がったのではと思いました。
全体としては、暗号解読の楽しさあり、古代史の謎解きあり、横溝正史っぽい描写ありと、退屈させない展開に十分満足しました。
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投稿者:のきなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史上の謎と言えば絶対に外せない謎の邪馬台国。
それが北森ワールドで読めるなんて。
北森さんの急な訃報で一生日の目を見ることはない作品かと思っていましたがそれが読めてとても満足です。
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いきなりこれから読んだのがちょっと選択ミスではあったけれど、やっぱり史実とからんだ推理小説は面白い。もう、作家の執念のようなものを感じる。調査量も時間も半端ない。1から読んでみよっと。
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シリーズの前三冊は大変好きだったんだけれども……別の方が書いたものだという先入観があるからか、シリーズ前三作とは違って長編だからか、あまり面白いとは思えなかった。同じような説明文何度も繰り返すし(そんなことは分かってるんじゃ、っつーかさっきもそれ説明したじゃんとツッコミまくって疲れたし気が散ってならなかった)、内藤くんの心情吐露いつになくくどいし、蓮丈先生やけに内藤くんのこと褒めるし……先生こんな甘かったっけ。これも先入観のせいかな……。
ただ、未完の遺作がこうして刊行されたことはとても素晴らしいことだと思います。
が、やはりスパッとした謎解きが好きだったので、個人的には蓮丈那智シリーズは全三巻。
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明治維新、鳥取県が島根県に吸収され復活した際に消えた阿久仁村。阿久仁村遺聞に隠された秘密。那智が調査する「邪馬台国」と廃村の謎。講座の生徒を装い三國に近づく榊原。阿久仁村遺聞を那智に渡した越名の豹変。冬狐堂・宇佐見陶子の調査。越名にかけられた後催眠。チベットへの第二皇軍派遣計画。出雲の国の国譲り。
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未完の遺作を、パートナーが完成した作品。
うーん。
那智とミクニのパワーバランスがちょっとな。
まぁそこのところは、本筋とは関係ないんだろうけど。
で、邪馬台国は?って話。
今更邪馬台国、って感じはあったのだけど、さすが北森鴻は目の付け所が違う。
感心しきりなのであった。
にしても、わけのわからない、ってことの恐ろしいこと。
というか、わからさないようにされているものに対峙することの恐怖か。
<故意に隠す>ということは、もうそれだけで負の領域におかれるということなのかもしれない。
面白かった。
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終盤はどうかなーと思ったけど、違和感無く終了してて良かったです。
これなら「暁英 贋説・鹿鳴館」もラストまでお願いしたかったなぁ。
あっちこっちのシリーズから総出演って感じで豪華なメンバー。
そういえば古事記も日本書紀も遠野物語もしっかりとは読んだことがなかったので、今度読みやすそうなの探してみよう。
邪馬台国に関して、こういう考え方もあるんだなぁと目から鱗でした。
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民俗学好きにはたまらない蓮丈那智フィールドファイル、初の長編にして最終巻です。
残念なことに北森鴻さんが連載中に亡くなり、公私ともにパートナーであった浅野里沙子さんがこれを完成させています。
以下ネタバレあるかもです。
明治時代と思われる三郎五という人物のある夜から序章が始まります。
廃村の民俗学に興味をもつ内藤。阿久仁村遺聞と題された怪文書、奇妙にリンクする邪馬台国と阿久仁村の歴史。
そして日本史史上最大の謎、邪馬台国に蓮丈那智が挑む。
というわけで大風呂しき広げただけあってそれはすっきりと謎が解けていきます。
これまでもなんどとなく出てきたたたら製鉄、記紀、出雲の国譲り。
それらが有機的に繋がって最後へと向かう様は圧巻でした。
確かに解説によれば473ページまでが北森さんの手によるものとあり、それ以降の説明的な部分がやや勝ちすぎるのは否めない。
けれど、未完のままであるよりずっと良かったと思う。
何はともあれ、那智とも三国ともお別れ。
それが少しさみしい。
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絶筆で読むことが叶わなかったはずの作品が、婚約者の作家によって引き継がれて完成されると言うのは、いい話ではあるが、北森鴻以外の手が入ることによって、それはもう北森鴻の作品とは呼べないと思う。
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異端の民族学者、蓮丈那智の元に持ち込まれた奇妙な古文書『阿久仁村遺聞』。
助手の三國や仲間たちとその謎を調べていくうちに、ある共通項を持ついくつかのキーワードが浮かび上がってくる。
その共通項は“邪馬台国”。かの国はどこに存在したのか?歴史上の秘密に蓮丈那智たちが挑む......!
2014年3月21日読了。
作者である北森鴻さん急逝のため、未完となっていた作品。
このまま埋もれさせてしまうのは忍びないと、北森さんと結婚の約束をされていたという浅野里沙子さんが後を引き継いで完成させたとのこと。
プロットも残っていなかったそうなので、本当に雲をつかむような話だったと思うし、並大抵の覚悟では完成出来なかったと思います。
それを一つの作品としてこの世に送り出した浅野さんや編集者の方々の北森さんへの想いが滲み出ていて、とても感慨深く読ませていただきました。
ストーリーや文体に違和感はなかったですし、伏線もきちんと拾われていたと思います。
唯一感じたのは、那智のキャラクターが少しだけナチュラルになっていたかな?ということ。これは女性視点になった由縁かなぁ。
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蓮丈那智シリーズ初の長編。北森氏が亡くなってこのシリーズも出ないものだと思っていたので、本屋で文庫を見つけてびっくり。長い間寝かせておきましたがようやく読み終えました。感想としては、意外と蓮丈先生の活躍は少ない気がしました。まあいつもそんなに出張ってるイメージはありませんが、その他の方々がとても活躍していた気が。正直短編の方が読みやすいとも思いましたが、読めるだけありがたいかも。
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母校の先輩だそうで。
いや、面白かった。民俗学からの邪馬台国論争が新鮮で。銅鏡・たたら・鬼と、いろんな神話が絡んでいて、ほーとうなってばっか。でも、箸墓とか纏向のはほんとあせっただろうなー。
邪馬台国の考え方としてはどうでしょうかね。むかーし自分が思っていた、「移動説」と少なからずリンクしているところあったのかなw
執筆中に急逝されたとのことで、このシリーズの続編が出ないのは残念ですが、前作とかも読んでみようかな。
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これぞ北森民俗学の集大成というべき作品だと思います。オールスターキャストが集結して最大の謎に挑む構成、阿久仁村遺聞という途轍もなく凝った文書を創作する想像力、テーマの大きさなど文句のつけようがない。
筆者が替わった後はそれぞれのキャラクターから魅力的な毒が抜けて物足りない気がしますが、それよりこの作品を世に出してくれた関係者の勇気に感謝します。
ただ、北森氏による結論を永遠に読むことができないのが残念でなりません。
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このシリーズでは初めての長編。締めは北森さんが急逝された後にパートナーだったフィアンセの方が書き上げたと云うことだが、その点に違和感はなかった。しかし、長いし、説明が多い。正直、私には長編は耐えられないわ。ちと疲れた。
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骨董品から出てきた古文書から、消えた村→邪馬台国へと繋がっていく。
もっと軽いエンターテイメント的な作品だと思ってたら、なかなか本格的な民俗学満載の作品だった。
日本書紀や古事記を勉強いたことのある人には面白いかも。
自分は全く無知なので、ついていけない所が多い。
そんな自分でも、天照大神=卑弥呼はどうかと・・・。