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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
熊吾はまた会社のお金を横領され窮地に陥る。
これで三度目。
伸仁が読んでいた赤毛のアンの一行を自分に例えて「松坂熊吾に同じ失敗を繰り返すなということは、性格を変えろということになるだろう」と考えながらも、そんな自分の性格による生き方に快楽を感じている自分に気づいている。
歳を重ねて自分を振り返ることが多くなり、事業の勢いも失速気味、物語は終盤になり、軸は父から妻と息子に変わりつつあるようだ。
しかし、読者としては熊吾に暴れまくって欲しい。
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投稿者:aratakadowaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
商売をしていて、こんなに横領や持ち逃げをされる人はいるのだろうか。熊吾はまたしても部下に騙されてしまいます。そして博美とその生き血をすするヤクザの登場で、いよいよ最終的な破滅への足音が聞こえてきそうな雰囲気です。
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投稿者:ふくたま - この投稿者のレビュー一覧を見る
大長編私小説。
「流転の海」を読み始めてから、もう十数年が経つ。そのとき第三部となる「血脈の火」まで刊行されていたように思う。ただ、続巻刊行まで数年かかるので、登場人物の関係性を思い出すのに、その都度読み返したり苦労します。そこらへんは心得ていらっしゃるのか、さりげなく過去の経緯を織り込んでくださってはいますが。
そろそろ、ストーリーは波瀾万丈な熊吾から伸仁へと移ってゆくのかという気配はあります。時とともに丸くなってきた?熊吾でありますが、まだまだ、松阪熊吾の意地・矜持は捨てきれないし、読者としても持ち続けてほしい。
たまたま、わたしの現住地は松阪一家が事業を興した玉川地区。時代背景も風景もよく分かるし、あれはきっとあそこのことだと想像もつくし、そういった意味でも興味深く、文庫本はあと2巻になるのでしょうか、読破したいと思っています。
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投稿者:夏実 - この投稿者のレビュー一覧を見る
弱り目に祟り目みたいな今巻の熊吾。それに反して伸ちゃんは逞しくなり、房江も心に余裕が出来て、主要人物の立場が何か逆転していく様が、これまでに感じたことの無い熊吾に対する悲壮感を感じさせた。
巻末にこれまでのあらすじを、簡潔に1巻毎書き添えて頂いているので、1巻目以降若干おぼろげになっていた記憶の断片を再構築しやすくなっているのでとてもありがたかったです。
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伸仁の成長!良かったなあ…熊吾さん頑張れ。でも、ここからどんどん辛くなるんだよなあ…。最終章の執筆が始まったそうですごく楽しみ。最後どんな文章で終わるんだろうか。
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発表、発売が緩やかで、これまでの話を忘れてしまうのが惜しい。主人公熊吾は66歳である。まだ懸命に働いている。様々な事件が襲い、人間模様に翻弄される。2016.11.19
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房江がけっこう良さげに想い語ってるやん て思ってたらあとがきで次巻は最悪になるって知らされて…盛り上げどころになるのは分かるけど今回幸せそうになってきてよかったやん て思ってたのに。まぁ熊吾はでっかい人やからこそちっこい綻びあったっていいやん。伸は15,6なのに良い子過ぎやわ〜このまま成長できるのか気になる。毎回 読んで学んでるのは失敗しても凹み過ぎず素直に反省しポジティブにも考えられる、心持ち スケールでかくしていたいって事かなぁ。
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大阪鷺洲・中古車販売のハゴロモ編(伸仁14歳から16歳・中3から高2)
この巻で、私が一番心に残った熊吾の言葉は、ハゴロモの社員・神田三郎との会話の中にあります(p1 96)
自分の鶏すき鍋が運ばれてくると、熊吾は焼酎の水割りを飲みながらトクちゃんが守屋忠臣の弟子となるために京都へ引っ越して行ったときのことを神田に話して聞かせ、「行」というものがいかに大切かを教わったのは十二歳のころだと言った。
「ぎょう…?行なうの行ですか?」
と神田は箸を置いて訊いた。
「うん、その行じゃ。ひとつのことを実際にやり続ける。ひたすら、やり続ける。そういう意味では、わしは家庭の主婦というのはえらいと思うのお。毎日毎日、洗濯をする、掃除する、家族のご飯を炊き、おかずを作る。結婚して、歳をとって体が動けんようになるまで、営々とつづけちょる」
熊吾は、手を叩いて仲居を呼び、三杯目の焼酎を頼んでから話をつづけた。
「大工は家を建てるのが行。医者は病人を治すのが行。運転手は車を安全に運転するのが行。百姓はうまい米を作るのが行。どんなものでも、行が伴って万般に通じる何かをそれぞれが会得していく。勉学もそうじゃ。わしは十二、三のころに、叔父からそう教えてもろうた。しばらくのあいだは覚えちょって、あれをしたい、これをしたいと思うと、『まず行じゃ。行動じゃ』と自分に言い聞かせて、具体的にそれに向かって実際にからだを動かすことをこころがけたが、いつのまにか忘れっしもうて、茫茫五十数年が過ぎた。つまり、わしは自分の才の及ぶ範囲内で努力したに過ぎん。単調でつらい行から逃げて、たかが知れちょる小才で生きてきて六十五になった。トクちゃんを守屋さんの家に送った帰り道に、叔父の教えを思い出したが、もう手遅れじゃのお」
→ こんな素敵な言葉を語る熊吾なのに、会社のお金を持ち逃げされたり、森井博美と続いていたり…糖尿病も悪くなっていく。なんで、そんなふうに展開していくの!?と叫びたくなります。
第8巻は、房江さんに気持ちを寄せて感想をまとめたいと思います。涙なしでは読めません。
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読者としても、もはや引くに引けないお付き合いとなる長編。
宮本輝は自身の生い立ちや経験をなんども作品化している。名前や設定は変えつつもこれまで他の作品で描かれてきた主題がじっくりと描かれている。これは「重複に対する批判」ではなく逆にファンとしては嬉しいことなのだ。筆者の、繰り返してきた年輪と成熟が大樹の中に流れる生命の音を静かに奏でる音に、旅人はただその傍らにたたずみ、時折耳をそばだててその流転する血潮に包まれるだけ。無事完結を祈る作品の一つ。
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全九巻の本シリーズ七巻目の読了。
この七巻発刊までに要した期間は30年、幸いにも全巻が刊行されてから読みだした私にとっては途絶えることなく読み続けられて嬉しい限りだけど、一巻発売時からのファンのなかには鬼籍に入られた方もこのシリーズの時代背景からも少なくないのではないかと思う。
自分が育ってきた歴史を振り返ってみても、色々なことが思い起こされる。
再び信頼していた部下に裏切られ、多大な運転資金を横領されてしまった熊吾。
暫く途絶えていた元ダンサーとの腐れ縁が復活。
同じ事の繰り返しも、背景が以前とは違い段々熊吾も歳をとってきている。
残された年月はそんなに多くないのに、なにをやっているんだともどかしく思うが、興味は尽きない。
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熊吾さんはどうしてこうなんだろう。
自分でお分かりになってらっしゃるようなのに。
歳を重ねて、経験を積み重ねても自分を戒める事はますますもって難しくなるんだろうか。
あぁ、房江さんがただただお気の毒だ……
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次から次と数多の人物が登場しますが、結局、優しい乱暴者で終わりそうだ。
熊吾に残ったのは房江と伸仁、家族は大事ですよ・・・って事か。完結まで後2冊。
飽きてきた。伸仁に将来を託すでThe endかな?
宮本さんは熊吾に「この俺が杜撰だった」と云わせていますが、それじゃ読者が可哀そう!?
杜撰・「ずさん」と読むことを知りました。少し利口になりました( ´艸`)
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中古車販売会社「中古車のハゴロモ」の取り扱い規模も人員も増やし商売が軌道に乗ってきた熊吾は森井博美と再会し歯車が狂ってくる。従業員の不審な動きに気付いた熊吾は借金を抱えたまま窮地に陥ってゆく。
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息子の危なっかしいところはだいぶ落ち着いてきたが、親父は懲りないというか、ますます人間臭さを強く放ってくる。
修羅場に直面した時の、熊吾の一貫した肝のすわりかたはすごい。自業自得感は否めないのだけど。
望んでいないけど、そろそろ夫婦関係に一大事か?
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今回も熊吾は同じ失敗をしている。信頼している部下に裏切られるのだ。何回同じ過ちを犯しているのかとほぞを噛む思いだ。さすがの熊吾も自分の性格を分析している。
この先房江には困難が待ち受けているそうだ。しかしそれは満月の道であるという暗喩。
伸仁が逞しく成長している。