紙の本
言いたいことは何となく分かったと思う
2017/10/24 19:06
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、橋本治へのインタビューを基に文章化されたものだ。話がいろいろな方向に広がり過ぎて分かりにくい。でも、言いたいことは何となく分かったと思う。経済の話が中心で、経済は飽和状態に達しているというのもよく分かる。「損得で物事を判断しない」ことを「正義」って呼んでいるというのもよく分かる。細部についてよく分からないところもあるが、なんとなく分かるっていうぐらいの気持ちで読めばいいのではないか。
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17/02
「ローマ帝国」はあっても、「ローマ帝国主義」はない。
「東洋的専制君主」はあっても、「西洋的専制君主」はない。概念として、ない。(7/1)
7/15読了。
心のない論理、心の論理、心のある論理。
歴史の縦糸・横糸、心の内外をそれこそ縦横無尽に知性として昇華させる。橋本ワールド、素晴らしい。
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うーん。著者初めての「語り下ろし本」らしいが、ただでさえいろんな知識の豊富な人が、語り始めたらいろんな知識が錯綜して、止まるところを知らなくなってしまったという感じ。この人の著作は、たぶんもう読まないと思う。
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少し自分には難しい本だったけど、橋本さんが言おうとしてることが すごく この先の 世の中にとって大切なことだと思った。誰しも気付けることなのに 誰しも 気付いてない もしくは気付いてない振り なぜかと言えば そこには 個々の 各国の欲、利益がついて離れないからだと理解した。橋本さんにすごく興味が湧いた。また別の著書も読ませて頂きたいです。
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歴史、文化への知識に支えられた感性による世界認識。人口減少社会に住むわれわれは「大きくなること」への懐疑を持てる可能性もあるが、今人口爆発となっている地域ではとても受け入れられないと思う。やはり豊かさの奪い合いという悲惨で惨憺たる未来しか思い浮かばない。
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最近、「話す」人が増えて、「聞く」人が減った。
「聞く」人は、「話す」人の話しを、ニーズだと思うようになった。
自分にとって、利益があるか、ないか、その功利性が、「話し手」と「聞き手」、
「私」と「他人」の境界を分ける要素となった。
橋本氏は、本当に不思議な人で、「まぁ、とりあえず、俺の話しを聞いてよ、意味ないと思うけど」
と相手に予め言っておいて、相手のために、自分に与えれた知性と獲得した知性をフル活用して、
聞き手や読み手に、贈り物をしてくれる。
その贈り物は、お金を儲ける方法とか人間関係を解決する方法ではなくて、
人間のあり方から生まれる「心のある論理(五章参照)」である。
こういう語り手は、今は絶滅品種だと思う。日本の知識人の中では、おそらく両手に数えられるぐらいだと思う。
他人のために行動していると思っている人の多くは、自分のためだけにやっている。
橋本氏は、この点、本当に無私だと思う。「自分のため」だけにやったり、「読者のため」にやっていては、
40年に渡って作品を残し続けることは、できないと思う。
この本の評論をするには、橋本氏並みの知性が必要となると思う。
よって、不可能。だって、「大きなものの終焉」と言われて、それがイギリスのEU離脱につながり、
ソ連の崩壊のきっかけになり、バブル崩壊の根本原因となって、今現在のアメリカの暴走につながるなんて、、、
あまりに問題把握の射程が大きすぎる。
個人的には、第五章が、面白かった。「心のない論理」と「心のある論理」と「心の論理」を論じる章である。
「心のない論理」を頭だけで考えただろう官僚的論理(政治家もそう)、「心の論理」とは、「不倫はやめた方がいいですよ、
相手が傷つくから!」という昨今のマスメディアが大好きな、視聴者に(一応)寄り添うことを
主軸にした態度と理想論(中身は、基本空洞)、そして、心のある論理、これが、橋本氏の使っている論理だろう。
(以下引用)
「心のない論理」や「心の論理」で生きる人たちは、自分が絶対に正しいと思っているんだよ。
でも、「心のある論理」の人は、自分の正しさを相手に認めさせたいわけでもないんだ。
「心のない論理」と「心の論理」側が、全く通じ合わない。
だから、「心のある論理」の人が、繋げ役をして、なんとか、
社会を維持するようにする。それが、現代では難しくなったんだろう。
大きく考えれば、確かに、もうこの社会は、終わっているのかもしれない。
それを認めたくないから、終わった後の世界を生きていけないんだろう。
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2017/07/07:読了
橋本さん 岡潔
心のない論理(金融経済、ニューアカ):内容のない観念
心のある論理(秩序ある管理) :内容のある観念
心の論理 (心が論理、講談、スポ根):-
小林秀雄・岡潔の対談「人間の建設」
「心のない論理」、「心の論理」と違って、
「心のある論理」は、欲望が論理に入り込むことを
認めない。それをやると論理がゆがむ。
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心のない論理や心の論理で生きる人たちは、自分が絶対に正しいと思っている。でも、心のある論理の人は、自分の正しさを相手に認めさせたい訳でもない。
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ご隠居の床屋談義のようです。経済が終わったと世界史的なアプローチから始まったと思ったら、昭和の世相史を批判的に語り出したりして、タイトルに比べて矮小感が拭えません。軽いんですね。ヴィジョンが示されると思っていたら肩透かしでした。むしろ、このタイトルに相応しいヴィジョンなら「サピエンス全史」の方が提示していましたね。
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俺なんかもバブルの時になんか変だな、嫌な感じと思ってたから、そうだったんだぁ~!て膝を打てるけど、その頃ちっちゃかったり、まだ生まれてない人も今や大勢いるから、実感湧かない人もさらにもっといるんだろうな。
人ってやってる最中は何やってんのかよくわからないことのほうが多い。特に状況がそうなっててその状況に対応する時なんてそうだと思う。だから、後になって、あれはそういうことだったのか!となる。でも、必ずそうなるわけじゃなくて「あれは一体何だったのだろう?」と自分で問いを立てないとおそらく永遠になんだかわからないまま終わるでしょう。それで、無事に人生終えるならそれはそれでおめでたいことではある。
でも、なんだか気になる人は、橋本さんの本を読んでみたらいいと思う。
もう、ほとんどエマニュエル・トッドさんとおっしゃることが一緒なので人間の知性は普遍的だなぁ~と感じた。
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序章,第一章まで読んだ.面白い!(2007年)再度読み始める.第6章にまとめの部分があり、全体の把握に最適だ.この先、どうしたらいいのか? の解答として、"まずは日本人が天動説から地動説に戻って、「自分たちが社会の上に乗っかって動いている」という謙虚な意識を取り戻さないと「心のある論理」は生まれてこない.(p217)" がエッセンスだと感じた.ここでいう天動説は、80年代以降の現象を要約した概念だ."もう豊かな社会が出来上がってしまっている.それが当然の環境で育った若い人は、自分たちが汗水垂らして社会を作ろうなんて意識はなくなる.自分の幸せのために社会があるっていう、自己中心の「天動説」になったんです.(p137)" 橋本節が満喫できました.
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聞き書きの本。
50代と30代のライターを相手に、話ながら進めていく。
橋本治さんが育った時代の、目に見える世界の変わりよう、
生活や人が変わっていくのを肌で実感し、
そこから大事なことを抽出すると
ちゃんと世界を見るものさしができあがる。
橋本さんの中で、イギリスのEU離脱のお題は、
遠くローマ帝国の時代にまでさかのぼりながら、
ロシア崩壊や日本のバブル期、今の世の中にあふれる物言いにまで
経済というキーワードですべてつなげていく。
決してアクロバティックな論理ではなく、ごく普通にたどっていくだけで
物事がシンプルに見えてくる。
今のビッグデータなんてものに振り回されなくても、
橋本治という一人の頭の中で、
長く広い膨大な全体を網羅的にとらえ、
ひとの、普遍的な本質を取りだすことができる。
今ある、欲望を満たすだけのための「心のない論理」と
上っ面だけを装う、一見なんの問題もないきれいごとの「心の論理」ではなく
必要なのは、時間をかけて絡まったものをほどきながら考えていく「心のある論理」
でもそんな悠長ですぐに結論に達しない(結論もないかもしれない)ものに
辛抱強く付き合えるだけの力はどんどん奪われていって
1,2,3で分かるようなものにだけ反応し、決めつけ、排除してオシマイ。
橋本治のいなくなった世界で、誰が今を見直すヒントを出すことができるんだろう。
ネットやらAIやらと、取り巻く環境がこの先どんどん変わっていくとしても、
きっと橋本治の本の中に、そのヒントは書かれてある。
ほんとにね、橋本治の本はもっと読まれないといけないと思う。
説明するというのは時間がかかるもので、
でも橋本治さんだからこそ、
新書なんていうボリュームの中に収まるくらいにまで
すっきりさせることができるのだ。
難しい言い方で置いてきぼりをくらうこともなく、
平易な言葉と、身近な例で、
分からないことを丁寧に考えていくと、
いつのまにか、言われれば分かりきったこと、にまでたどり着く。
「金融経済」は殺しても死なないゾンビ。
オリンピック参勤交代方式。(金を使わせて余計なことをする体力を奪う)
「社会建設」がなくなって、欲望がすぐ充足されると、ヒトは人間じゃないものになる。
「大きくなる」はもう限界。お客のいない産業ってどういうこと?
「損得で物事を判断しない」ことを「正義」という。
もうね、橋本ワールドのまっとうさって凄いです。
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口述という体裁もあってか今回もあっちこっちに話が飛ぶのに、最後に必ず元に戻ってきて、きちんと筋が通っているところが相変わらず凄い。またこの人の言葉の使い方、特に喩えが超絶に上手い。昭和=「復興経済」との表現もすごく腑に落ちる。
英EU離脱は成長、拡大を追求した経済飽和の象徴であり、もうこれ以上の拡大路線は無理でしょ?というのが骨子。
カワキタ氏やホヅミ君だけでなく、自分も含めてこう言う言い方をされると「じゃあどんどん縮小していく世の中が幸せなのかよ」という発想になりがちだが、著者はこのような0-1の二元論に陥るのを止めて、その中間の心地良い所を探しませんか、と言っている。まあそう言われればそうかも知れない。
経済に飽和点があるのか?という問いは宇宙の膨張に終わりはあるのか?に等しい難しい命題だ。かつて某経済学者はモノが行き渡って需要が飽和するとの論を一刀両断にしていた。「あなたにはもう欲しいものが何もないのか?」と。しかしこれに関しては橋本氏の「どうしてもなければ困るモノはもう持ってるでしょ?」との問いかけの方がしっくりくる。確かに昔は借金してでも買いたいものが確実に存在したが、住宅を除いてもうそんなものはなくなった。どちらが正しいのかはわからないが、宇宙の果て論争と同じで誰も正解は持っていないのだろう。
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自分の生きてきた時代ってこういうことだったのか
なんとなく変な感じがあったのにはこんな背景があったのか
橋本さんの書かれたものはベタベタしていなくて冷たくなくて読んでホッとできるから好き
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再読。
橋本治が亡くなって、もう、3年近くなるのだなあ。
訃報をネットで見た時は、すごく頼りになる親戚のおじさんが亡くなったような、随分と心細い気持ちになった。
この人の言っていることは一貫していて、「ちゃんと自分で悩んで、考えなくちゃいけないんだよ」てことに尽きる。
自分で考える、っていうのは自分のことを考えるのではなくて、自分と社会のあり方を考えるということで、でもそれってなかなか難しいんだ。