紙の本
布施京一、行動、信条の新境地を見せる
2018/09/30 00:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今野敏の警察小説のカテゴリーに入るのかもしれないが、主人公は関東のネットワーク・キー局で報道番組の記者をしている布施京一である。本シリーズはこの作品で4作目を数える。スクープ、ヘッドライン、クローズアップがこれまでの作品である。いずれも設定は同じである。
男性キャスター、女性キャスター、デスク、記者に加えて警視庁捜査一課で未解決事件を追う部署にいる刑事2名である。今回の味付けの一つは、視聴率が取れないデスクの鳩村に業を煮やした油井報道局長が助っ人を用意したことであろうか。
関西の系列局から出向という身分で、視聴率が取れないデスクという形容詞が付された鳩村の機嫌は当然悪い。関西弁丸出しという遠慮のない姿勢が鳩村を刺激する。こういう性格の人物は悪役によくあるタイプである。しかも、油井局長から直接の説明はなかなかない。全てに腹の立つ状況である。
警視庁の2名の刑事と布施の関係も前3編と同じで、互いに利用したいという姿勢である。男性メインキャスターも鳩村に人事に関する情報を密かに伝えるなど、鳩村の置かれた立場はきわめて不安定になり始めた。
しかし、今回の布施はいつもにようにぶらぶらしているわけではない。鳩村の見る目は相変わらず厳しいが、布施はやるべきことはきちんとやっているようだ。10年前に殺された青年の両親が駅頭で犯人目撃のビラ配りを行っていることに布施が目を付けたことが発端となっている。
警視庁の2名はもともと未解決事件の捜査が本職である。ここで再び警視庁とテレビ局の接点ができる。事件の捜査に関しては、もう少し事件発生当初、力を入れていれば未解決にはならなかったような気がする。今回はそれは布施の事件簿の一端に過ぎず、放送局側の葛藤が中心になっているように見えてくる。
今回は今まで描かれてきた布施の特徴が出ていなかったが、布施の行動や考え方の信条が読者が考えているほど狭くはないと思わせる。人間性に幅が出てきたところで、続編ではそれを発揮してもらいたい。
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TV遊軍記者の布施の事件簿シリーズ第4弾。
視点が主人公ではなく、上司や刑事なのは相変わらずで、シリーズの面白さとしても安定したレベルです。
ミステリーとしては、布施の読みの根拠がないので、嗅覚、勘、気になって、だけでは10年も前の事件の真相を当てた説得力がないのが残念です。
ただ、登場人物たちのキャラが立っているので、エンタテイメントとして満足しました。
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テレビ局の遊軍記者布施さんと警視庁刑事の黒田さんのシリーズ(ざっくり)。必要ないのかもしれないけど、登場人物の年齢がわからず、なんかね。
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報道番組の記者・布施は、10年前の未解決事件に関心を寄せる。警視庁特命捜査対策室の刑事・黒田は、この件の継続捜査を担当することに…。異色コンビが活躍する「スクープ」シリーズ第4弾。『小説すばる』連載を単行本化。
町田の通り魔殺人が連続殺人だた。所轄が違うので関連性がわからず。一人息子を殺された両親のビラ配りを手伝っていた男が犯人だった。
番組の改善のために関西人がサブデスクとして異動。
ベテランキャスターはアンカーマンを目指す
デスクは自分のせいでチームの風通しが悪くなっていたことを自覚。布施はマイペース。
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報道番組の記者・布施は、10年前の未解決事件に関心を寄せる。警視庁特命捜査対策室の刑事・黒田は、この件の継続捜査を担当することに…。異色コンビが活躍する「スクープ」シリーズ第4弾。
相変わらずテンポはいいのだけれど、主人公を除く登場人物のキャラが極端なのが多い。テレビ離れが指摘されて久しいのに、民放のゴールデンのニュース番組のデスクがこんな化石みたいな人物だなんてあり得ない。物語を作る都合上とはいえ、鼻白む思いだった。
(Ⅽ)
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20170820
TV局記者 布施 警視庁刑事黒田が東京、神奈川で起きた継続殺傷事件から連続殺人事件を解明犯人逮捕に繋げる。
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痛快娯楽小説。
とっても読後感さわやかで、おもしろくて一気読み。
結局、こういう系が自身の好みなんだと思います。
未解決事件を担当する刑事たち、ニュース番組を作るデスク、キャスターたち、報道記者。
それぞれの立場での考えや働き方は違えど、誰でも共通する部分はあり、共感しつつ読むとこもありました。
事件解決のミステリーというよりは、働き方、物事の捉え方といった点に焦点が当たってるかも。
記者の飄々とした個性が際立って良かったです。
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スクープシリーズの第4弾。報道番組の型破りな記者布施と、警視庁捜査1課の敏腕刑事黒田が絡み、報道の世界と、刑事警察の世界が両方楽しめる安定の面白さ。
今回は、いわゆるケイゾクと呼ばれる案件を黒田と布施が絶妙の距離感で関わり合い、解決していくストーリー。
まあ、10年前に起こり未解決だった事件が、鼻が利く記者の一言で解決に至るなんてことは、現実にはないだろうけど、そこに至るまでの徐々にパズルのピースが埋まっていく感覚が楽しくて仕方ない。
今野さんの小説は多くのシリーズがあって、どれもなかなか楽しませてくれる。大本命の隠蔽捜査シリーズだけでなく、このシリーズも新作が出るとつい手に取ってしまうのも、作者のストーリー展開の上手さなんだろうな~と思う。
今回も、私の8シリーズのべ35作目の作品を読み終えて、満足なのでした。
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スクープシリーズの四作目みたいですね。10年前の事件を追うもの。相変わらず、人物が個性的で良い。しかし、綺麗に終わりすぎという感もあったな。
出版業会も厳しいですが、TV・報道も苦戦しているようで。視聴率低迷はなんとかなるのかな、関西人の助っ人も来たことだし、次の作品へ続くか。
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今野さんの新刊です!
アンカーって、ニュース番組のアンカーパーソンのアンカー。
視聴率が低迷してきたニュース番組のデスクの元へ、サブデスクとして関西の同系列のテレビマンが配属された。
一方、フラフラして仕事してないようなのに何故かスクープをものにする番組記者の布施が、10年前の未解決事件に目をつける。警視庁の継続調査の担当も、最近交代したばかりのタイミング。
未解決事件は動くのか。
また、番組は生まれ変わることができるだろうか。
今やニュースはネットの方が早く、テレビの役割は変わってきた。それを受け入れられない、いや、頭でわかっても積み上げてきたものが邪魔をする。デスクが意固地になり、よくあるパターンな感じはありますが、展開が読めても皆の意識が変わる瞬間ワクワクして読んでしまう。
もっと長ければ事件の背景など読めたのかもしれない。知りたい思いではあるこど、そこまでは触れない。
あくまでも「アンカー」ですから、そちらに重きを置いて。
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前半は各方面からイライラの種が飛んで来てて
読みながらモヤモヤしてたんだけど
ある一点でスーッと霧が晴れるように全てが解けて
そこから先は俄然面白くなった。
欲を言えば犯人の行動について
事件現場の工事をやめさせようとしたこととか
手向けられた花束とか
その辺の行動原理と動機の紐付けが見えるようで見えなかったので
自白の段階でもう少し突っ込んで欲しかったなぁ。
まぁそこはなくても話として通じるし
匙加減を間違えるとトゥーマッチになりかねないので
難しいところではあるんだけど。
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シリーズ最高作だと思う。報道側と警察側の両方をそれぞれの立場から上手く書いている。何より内面描写がよく伝わってきて素晴らしい。鳩村は頑固で保守的で本人が気がつかないうちに保身を図ってしまうがある意味とても人間的で嫌いにはなれない。谷口の成長も感じられて良かった。
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ニュース番組のチームと継続捜査官チームがひとつの事件を追っていく。その間に人間として成長する姿、犯人を追い詰めるスリル。
一気に読めた。
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スクープシリーズと言われるものらしいですが、シリーズ初読です。
10年前の事件を、被害者両親がビラ配りを続けている。それを気にした、布施記者が、真相をつかもうと行動するが、どこか飄々としていている。なぜか真相に近づいているという状態。
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最近は特にNHKでアンカーという言葉をよく聞くようになった。ジャーナリズムの側から事件を追っていく話。その中心となるのが記者布施の柔軟性。力んではいないのだが、じわじわ核心に迫る様子はジャーナリストの理想形なのかと思う。今回は迷宮入りになりそうな刺殺事件を追うが、局側は数字がとれないといって見向きもしない。最後はいつものとおり”めでたし”なのだが、布施の影響で周囲の人物たちの仕事に対する姿勢や信念が変化していく様がおもしろい。『スクープ』のシリーズ。第三弾を飛ばして第四弾を読んでしまった。でも問題なし。