紙の本
バリエーション過多
2018/01/07 17:19
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
すべて医療関係を舞台にしている、
という共通点はあれど、
芥川作品を土台にして書き上げた、
とあるだけあって、テーマに統一感はない。
個人的には
“治してほしい”エゴまみれ患者と
“治したい”思惑まみれの医者の
せめぎ合いがおもしろかったので、
「病院の中」の作風が好み。
あと、「或利口の一生」は
自身の半生からの“その先”を描いていて、
医者も人間である、とよくわかるつくり。
もっと“自分可愛さに……”という雰囲気があってもよかった。
紙の本
パスティーシュと思って読んでみたら
2017/05/19 22:56
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投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれのお話がオマージュになってて再発見して得した気分になりました。
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙絵とタイトルが面白い。その前に芥川作品をもう少し楽しんでから読みたい。あるいは、こちらを先に読んでの芥川作品かな?
紙の本
原作も読み返したくなる
2017/05/30 11:09
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投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何とも秀逸なパスティーシュ、とでもいうのでしょうか?ちょっと毒は強いですが、病み付きになること請け合いです。
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芥川作品になぞらえた短編集。芥川作品を読んでからのほうがいいかも。
久坂部作品はフィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなる。「病院の中」の最後、DNAで寿命が分かるっていうのはホント?
ブラックユーモアというかひねくれてるというか、読んでて気持ちの良いものは少ない。
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芥川作品をモチーフに,医療の矛盾と虚無とを描く短編集.いずれの作品も,現実を直視しにくい我々に対して痛烈な答えのない問を投げかける.
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芥川龍之介の作品をもじったタイトルの短編集。どれも皮肉っぽい内容で「病院の中」「或利口の一生」あたりを読むと、病院で医療を受けることが怖くなってきました。
ただ、内容に分かりづらいところがあって、結末を読んでも「?」となった話がいくつかありました。まぁこれは自分の読解力に問題があるのでしょうが…
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芥川龍之介の作品に着想を得た短篇集。
読みやすく、また面白い。
軽い文体なのですっきりと読めます。
ブラックな表現もありますが、読後感はそれほど悪くない。
「薮の中」→「病院の中」
様々な石の説明が、素人の患者家族には矛盾して聞こえる、という供述が矛盾する「薮の中」のオマージュ。
「羅生門」→「他生門」
老婆が自身の行為を正当化したことで下人においはぎされるという「羅生門」より。心臓移植を受けた患者が「支える会」にふりまわされ、またそれを克服していく話。
「鼻」→「耳」
自分の鼻にコンプレックスを持つ僧侶の話より、自分の顔にコンプレックスを持つ女の話へ。美容整形を繰り返し、手を入れていない部分は耳だけに。その耳の形に惚れた小説家が現れて…
「蜘蛛の糸」→「クモの意図」
カンダタの話から、功徳を積むことに熱心になった看護婦の話。”クモのイト”は見えにくいがたしかにあるのだよ。
「地獄変」→「極楽変」
芸術に人生を賭けた画家が娘を見殺しにした話から、芸術を深く愛するクリニック院長と偏屈なアーティストが出合った話へ。
「芋粥」→「バナナ粥」
過ぎたるは及ばざるがごとし。その例えを描いた「芋粥」から。ケアマネージャーとある介護家族のふれあいの話。
「或阿呆の一生」→「或利口の一生」
医者の人生を描いた話。がん患者を数多く診た医者は“積極的治療”に意味を感じなくなる。そして自分ががんとなったときに…。
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【収録作品】病院の中/他生門/耳/クモの意図/極楽変/バナナ粥/或利口の一生
ブラックユーモア。現場を知る医師が書いただけに、笑えない。
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芥川龍之介の作品題名を捻って、医療ミステリーに仕上げた現役医師ならではの、ブラックユーモア的な医療ミステリー。
『藪の中』をもじった『病院の中』は、医療現場で如何にもありそうな・・・
『芋粥』をもじった『バナナ粥』は、切実な介護問題を描きながら、最後は落語的なオチが。
『地獄変』をもじった『極楽変』は、シュール気味で、ちょっと敬遠。
その他4編も、それなりに楽しめた。
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医学が進歩しているという幻影
癌との向き合い方
医者のストレスなど、あるであろうなぁと思わされる短編集!
【病院の中】からは最後の最後のドンデン返しは作者の技術を感じる。
【他生門】からは心臓移植を受けた主人公の周りの期待と自分の駄目さの中で悩んでしまう葛藤。人の力を借りて生き延びることの辛さを少しだけ感じました。
【耳】と【極楽変】は芥川龍之介というよりは江戸川乱歩作品のような不気味さを感じさせられます。
【蜘蛛の意図】は唯一コミカルな話で、落語のようなテンポの良さとキッチリ決めるオチが良い!
【バナナ粥】は老人介護の現実を目の当たりにされ自分の将来の暗雲を具現化された気がします。
【或利口の一生】からは崇高なる人間の希望と現実、医者も人間という事を思い知らされる。
医療の話が中心に据えられ色んなテイストの話があり、読みやすい文体で送られる短編集!
芥川龍之介の作品を読んでからの方が倍楽しめるのではないでしょうか?
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芥川龍之介の名作をパロディちっくに模しているが、内容は結構真剣。医者との距離が近づく。2017.3.27
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芥川龍之介の書いたものを医療という形で色々と料理した一冊です。
耳、他生門、クモの意図など、グロテスクなものから温かいものまでありますが、一気読みでした。
芥川龍之介は実はパクリだらけという内容には芥川龍之介好きの私には成程と思いました。
それ言ったら元も子ない。
だって大概の文学は何かからパクッているぞと。
面白い目線だと思いました。
どの話も身近で飛躍も多少ありますが、病院って、医者ってこんな風なのかな?と思わせる一冊です。
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著者のデビュー作『廃用身』に度肝を抜かれ、その後のいずれの作品にも衝撃を受けました。いちばん最近読んだ『嗤う名医』で初めて短編を読み、その腕にも唸りました。本作はそんな著者による芥川龍之介作品のパロディ。登場順に(括弧内が芥川の元ネタ)、『病院の中』(『藪の中』)、『他生門』(『羅生門』)、『耳』(『鼻』)、『クモの意図』(『蜘蛛の糸』)、『極楽変』(『地獄変』)、『バナナ粥』(『芋粥』)、『或利口の一生』(『或阿呆の一生』)。最終話の『或利口の一生』に「パクリ」という項があり、そこに著者の本音がそのまま記されているようです。「小説というものは自分で筋を考えなければならないものだと思っていたのに、芥川の短編に『今昔物語集』に想を得たものが多いと知り、ならば芥川が『今昔物語集』からパクッた小説から、さらに自分がパクッて書いてやろうと思ったのだ」と。パクるといえば聞こえが悪いけれど、想を得たのだといえばいいんでしょと。その言葉からもわかるように、かなり人を喰ったような話で、かつグロテスク。この著者のことですから、相変わらず上手いし飽きずに最後まで読ませることは確かですが、どれもこれもバッドエンドで、パロディのわりに読後感が重い。しかも医者としての知識を存分に使っているからグロいのなんのって。同じ重さならばいつもの医療系の小説を読みたいなぁ。
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#fb この人、グロいの専門家と思ってたので、こういうコメディ?タッチは意外と面白く。芥川の何をモチーフにしたのかは各題名で明らかなんだけど、決して全てが芥川のスジをなぞっているわけではなし。個人的には、「地獄変」からの翻案が秀逸。あ、やっぱグロテスク...。