紙の本
どこかの魔法使いより・・・
2019/05/26 21:54
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投稿者:冷蔵庫の午後ティー - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はこのプラージュのような話が大好きだ。東京の「各駅停車」しか止まらない駅の安アパートに住む大学生みたいな話。このジャンルを言い表すボキャは今のこの私にはないけれど、現実味を帯びた話が好きなのだ。だから私はファンタジーが嫌いだ。
「晴れた不思議の国」より「曇天の渋谷」、「魔法の杖」より「ポケットの中でバイブレーションするスマホ」、「子どもたちは夜中にネヴァーランドへ」より「歩道橋から見るオリオン座」といった具合にファンタジックな設定はなかなか呑めない。安易に想像ができないから。
しかし現実味があればすぐに入り込めるし、実際の駅名が登場すればなおさらだ。
みんなそういう世界に環境に身を置いているのだから、安心する。ファンタジーだなんて肩に力が入ってしまう。どれだけ背伸びをしても、あの時お母さんに読み聞かせしてもらった絵本の中の主人公には一生なれないのだ。それを大きくなればなるほど、自分がいかに小さいのか、落胆し、今のこの世界で惰性的に生活を謳歌している。それがちょうどいいし、それが本来の人間だ。
紙の本
シェアハウス・ミステリー
2017/08/14 08:52
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投稿者:touch - この投稿者のレビュー一覧を見る
WOWOWでドラマ化されるとのこと。
ドラマの予告編を見ると、コメディっぽい群像劇かと思っていた。
しかし、単なる群像劇では終わらず、犯罪者が世間から受け入れられない現実や罪を犯してしまった原因などが、結構シリアスに描写されている。
そしてミステリー的な要素も……。
潜入していた記者は誰か、Aは本当に殺人を犯したのか、Bは本当は誰に殺されたのか、といった謎解きも楽しめる。
各章が短く区切ってあり、章ごとに人物の視点が変わるのだが、全然読みにくくない。
シェアハウスを舞台にしているので、もちろん友情や恋も描かれている。
エンタメ要素がてんこ盛りの作品。
ドラマの方も楽しみ!
紙の本
過去は消せないけど、でも…
2017/11/25 14:11
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投稿者:ぼぶ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマを観る前に…と思って読んでみた。シェアハウスの住人たち、特に男性キャラクターの印象がごっちゃになってしまったので、前半部分は映像化されることでもう一度楽しめそうだなぁと思った。
後半の展開は悲しくもありおもしろかった。
誰もが何かあってももう一度やり直せる、立ち直れる世界であってほしいと思いつつ、じゃあもし近しい人が犯罪を起こしてしまったら、親しくなった人に前科があったら私はどうするだろう、と考えてしまった。
紙の本
プラージュ
2018/07/21 16:29
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投稿者:kon - この投稿者のレビュー一覧を見る
やや暗いかなとの前提で読み始めましたが、意外とラストはさわやかな気分になりました。誉田世界は独特ですね。青春小説、ストローベリーナイト、ややドロドロした世界などいろいろですね。やや苦手な部類ですが、余も始めると止まりません。次はどんな作品と期待してしまします。
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訳ありのシェアハウス
元受刑者の受け入れ、再スタートの場所
殺人、傷害、窃盗、詐欺、、ドアがない部屋って怖いです。。
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WOWOWでドラマ化されるというので興味を持ち手に取りました。
訳ありばかりのシェアハウスということで
何が大きな出来事があるのかとワクワクしながら読んでいました。
といっても住人達は特に意気投合して何かをするということもなく、
ただ日常的に日々を過ごしその時に出逢った人と好きな時間に
好きなように暮らしているという何処から見ても
普通の暮らしぶりでした。
ところが一人一人の過去を辿っていくと、
社会から見ると影に潜んで生きていきている
いわゆる犯罪者という括りになってしまう人達。
けれど犯罪者といっても特別な生活をしているのではなく、
普通の生活を送っていてそれがごく普通なことであること。
その普通の中に犯罪は潜んでいることであり、
誰でもがおかしてしまうかもしれないという危うさがあります。
ふとした軽い気持ちやふとした出来事で
一度の過ちをしてしまい犯罪者という形をとってしまった犯罪者。
その一方で確信たる目的で犯罪者となった人。
形はどうであれ犯罪者になった人達は一度償いをした者には
再スタートのチャンスを与えられるべきなのか。
そしてその後社会の中でどう生きていくべきかと
そんな問いがこのストーリーでは問われていると思います。
住人それぞれの視点から描かれているので、
それぞれの心情がとても分かりやすいです。
一見ミステリーのような気がするのですが、
中盤くらいまではその要素があまりなく
後半になってから急展開で事件の謎が解けるのが面白いところです。
それよりも記者とAというのが誰かというところが、
読み進めていく面白さの一つに加わるのですが、
あまり時間の差もなく判明されていくので少し違和感を持ちました。
現代は人間関係が希薄なので
シェアハウスということでもないと隣人に対して
深く興味を持つことはあまり無いかと思います。
何かの巡り合わせで出会えた人達に少しでも興味を持つことも大事だということ。
けれどその中で特別な人間関係や隔たり、括りなどが無く
生活を共にしていくことも大切だということを学んだ気がします。
前科者、犯罪者という重いテーマを扱った作品ですが、
とても読みやすく読了後はどこかスッキリとしたような気持ちになる作品です。
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刑に服し、更生を誓っても、世の中はそれを受け入れてくれない。
必死になって頑張っても受け入れてもらえず、疲れ、傷つき、自暴自棄になって、また元の世界に戻って行ってしまう人も少なからず居るだろう。
『刑』というものがあるのなら、刑に服した人は、せめて世の中からは許されなければならないのかも知れない。
被害者とその家族、そして加害者である本人は、決して『罪』を忘れず、『罪』を許さず生きていく。
そんな風にできたら、世の中少しは変われるのかもしれない。
この本を読んで、そんなことを思った。
「プラージュ」のように受け入れてくれる場所が、第一歩を踏み出すためには必要なのだろう。
ただ現実としては難しい。
「プラージュ」のようなものが建てば、近隣は大反対するだろう。
自分の周りに前科がある人達が集まるのを良しとする人は、まずいない。
罪人にも優しい世界は、まだまだ遠い。
ラスト、皆が幸せで良かったです。
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前科者というハンデを負いながらも懸命に生きる姿に乃南アサさんの「いつか陽のあたる場所で」を思い出した。日本は社会的制裁が大きいような気がする。再犯率が高いからなのか、社会的制裁が大きいから再犯に走ってしまうのか。色々と考えさせられる作品。物語もとても面白い。
あらすじ(背表紙より)
仕事も恋愛も上手くいかない冴えないサラリーマンの貴生。気晴らしに出掛けた店で、勧められるままに覚醒剤を使用し、逮捕される。仕事も友達も住む場所も一瞬にして失った貴生が見つけたのは、「家賃5万円、掃除交代制、仕切りはカーテンのみ、ただし美味しい食事付き」のシェアハウスだった。だが、住人達はなんだか訳ありばかりのようで…。
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読み始めからちょっと予想外の滑り出し。
この作家さんの主人公にしてはものすごーく普通すぎる。
でも、ものすごーく特殊な環境に身を置くことになるんだけれど、読み進めるほどにそれがすごく居心地の良さそうな環境に思えてきて、主人公も別人なんじゃないかと思えるくらい変わっていく。
ラスト前からエンディングまでは怒濤の展開。
アクション大作とかじゃないのに躍動感のある読後。
解説も良かったなぁ。
飾り気ない言葉できちんと伝えている感じ。
ドラマも観てみよう。
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ちょっとしたことで犯罪者になってしまった者の心理やそういう人に対する世間の目について
貴生という平凡な男を通して考えさせられる。
シェアハウスで楽しそうに暮らす彼らの心の闇を追ううち、話はミステリーになっていき
最後には、えっ!っという事になる。
重いテーマを背負っている割りに軽い読み心地なのは、登場人物の性格によるものか、読後感もスッキリして良かった。
映像化では貴生が星野源ということで
なるほどすんなりハマった(笑)
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3.5くらいだけど、一応⭐️よっつです。
過去にキズを持つ人々がシェアハウスで過ごす日々を代わる代わる語る。
果たして、貴生はどう言う人間なのか!
ある目的を持ってシェアハウスに潜入したジャーナリストの正体は?
読み進めていくうちに、もしやこれは語る人によって、微妙に時間軸が違うのてはないかと疑いだした頃、ある事件が起こる。なかなか読み易いわりに、読み応えのある物語だった。
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読了感がとても不思議です。表紙カバーにドラマ配役の写真があるので普通登場人物のイメージがしやすいはずなのに、最後まで誰一人としてイメージが固まることがなかった。いいか、悪いかは個人の趣味であろうとおもう。自分自身、勧善懲悪・悪いことは悪い・法を侵して許されると思うな、と考えだったけれども別角度からものを見ることができたと思う。
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法をいくら整備しても
世界から盗みはなくならないし
戦争も止められない。
でも、
人間はそれをあきらめてはいない。
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普通のひとと、そうでないひとを隔てる壁。元の生活を取り戻そうとするシェアハウスのひとたちの苦悩。法治国家としての建前の正義の虚しさを感じました。罪を償うとは死ぬまでのことなのかなと。
自分も何かの拍子に犯罪者になっているかもしれない。一度持った偏見をなくすのは大変。
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誉田哲也の長編、ドラマ化原作。
前科者や執行猶予中の怪しい面々が集うシェアハウス「プラージュ」を舞台に、そこで暮す人々の交流と成長を描いています。ちょっとミステリ要素とエログロなスパイスもあり、なかなかイイ感じの誉田ワールドで・・・そこそこの一気読みでした(^_^;)
ま、もうひとひねりあっても良かったかな?な感じは残りましたが・・・