紙の本
幸せ運ぶ本
2017/07/02 15:11
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーというよりはアドベンチャー要素が強くて、新鮮だった。汐子とニ美男の関係、いいね。ろくでなしの叔父と姪っ子、姪っ子がしっかりしてるから、この叔父さんは生きていける。最後の汐子の言葉は深い。そして種類は違えど不幸な境遇にある人へのエールになる。せっかく生きているんだから、楽しい方が、笑える方がいい幸せになっていい。その通りだ。自分自身を納得させるのには時間もかかるだろうし、辛さもあるだろうけれど、それでいいんだよね。人生はできる限り楽しまないと。とても充実した読書だった。いい本こそ幸せを運んでくる。
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生の悲哀、人の優しさが沁みわたる、人情ミステリーの傑作。
娘を失った二美男と母親に捨てられた汐子は、貧乏アパートでその日暮らしの生活を送る。このアパートの住人は、訳アリ人間ばかりだ。
二美男はある人物から、公園の池に沈む死体を探してほしいと頼まれる。大金に目がくらみ無謀な企てを実行するが、実際、池からとんでもないものが見つかった!
その結果、二美男たちは、不可解な事件に巻き込まれていくことになる……。
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自分の不注意から最愛の娘を死なせてしまった凸貝二美男は、さまざまな事情を抱えた住人たちの棲むアパートで自堕落な暮らしをしていたが、行く場所を失くした姪の汐子を引き取ることになり、いまは二人で暮らしている。ある日、泥酔して公園で伸びていた二美男は、二人の男が池の端で何かを言い合い、何かが落ちたような大きな水音を聞いた。それがそもそもの物語のはじまりだったのである。そのことにかかわりがありそうな出来事が、あちこちから二美男のもとにやって来て、彼は否応なくその流れに巻き込まれていく。汐子に関わる問題や、剣道場の人間関係にまつわるあれこれや、大切な人を失った哀しみや虚しさなどなど、さまざまな問題要素を織り込みながら、流れはどんどん速くなり、巻き込まれ方も激しくなっていく。だらしないだけだと思っていた二美男にも、複雑な思いが胸の底にあることも判り、周りの人たちとの関係に和まされることもある。生きるって大変だけどいいこともあるんだと思わされる一冊でもある。
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「生の悲哀、人の優しさが沁みわたる、人情ミステリーの傑作」らしい。。
癖のある個性的なキャラは出てくるのだが、なんか薄い。ミステリーというか、ドタバタ劇って感じ。
以前の著者作品のような、背筋がゾクっとするような怪しさが懐かしい。
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先日、道尾秀介さんの「満月の泥枕」を読みました。
読んでて、ちょっと長過ぎるかなあと思ったりしました(このシーン、こんなに長く詳細に書く必要ある?って、読んでて思ったりとか・・・)。
まあ、道尾秀介さん自身も、長編小説2冊分の魅力を詰め込んだ1冊、と言っているので、もともとそういうコンセプトの小説で、しょうがないとは思うんですが・・・。
なので、もうちょっと削れるところは削って、もうちょっとコンパクトな形にしたほうが、もっと読みやすくなるんじゃないかなあと思ったりしました。
あと、道尾秀介さんの小説って、大雑把に言うと、普通っぽい世界観のミステリー小説と、おどろおどろしい世界観のミステリー小説と、2種類あると思うんですけど、今作は前者で、前者のタイプの作品の場合、複数の登場人物たちが、みんなでなにかを成し遂げる、みたいな設定が多いですね。
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過失から娘を亡くし妻にも去られた主人公。母に捨てられた少女を引き取り、自堕落ながらもなんとか家庭生活らしいものを営んでいる。
そこにふってわいた町の剣道道場でのお家騒動。
コミカルさと悲惨さが混じり合うのは計算されているのだろうけれどもなんとなくどっちつかずの違和感が残る。
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道尾さんらしく、物憂げなキャラクターたちが優しさでつながるストーリーで、トリックや伏線も巧みです。ただ、途中少し間延びしている印象がありました。
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休日に一気読み。
ニ美男の目線で語られる、ちょこちょこ入る「日常の中にある笑い」に和む。
アパートの仲間などの登場人物が特徴ある愛すべき人たちで、彼らのことをもっと書いてほしかったなぁ。
どんでん返しあり、伏線が回収されていくさまに、ハラハラしながら最後まで面白く読んだ。
一気読みだったのが良かったのかも。
また読みたい。
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ちょっと暗めの話かな~、なんて期待!?してたら、ど直球のエンタメ小説でした!ww
長編2冊分の楽しみをギュギュっと1冊に、というのは読んだ後にわかったよ~~w
人が絡んで、絡んで、人情あり、ドタバタありの大騒ぎでずーっと飽きずに読ませるのはさすが。
とはいえ、すべては最後の最後の汐子の言葉にー。
本当に大切なものは、自分が思っているよりも、ずっとずっと近くに存在してるんだよ、ってゆお話・・・ちゃうか!w
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ミステリーとしてはどうなのかとも思うが,日常の延長のような中で嘘や勘違いや思い込みがごった混ぜになって,しっかりしすぎた小学生の子供たちのリードで祭りから祭りへ駆け抜ける.前半のコンゲーム的な焼きメレンゲドラゴンボールを投げる辺りがとても面白かった.
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似たパターンの作品が続いてしまっているので、それらの作品とついつい比べてしまいます。「透明カメレオン」と「staph」を混ぜ合わせたような内容ですが、それぞれを超えるには至らず。勿論今作も十分に面白いのですが。
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訳ありの登場人物たちが引き起こす、スラップステッィクコメディ的なミステリ。ただしミステリとしてはけっこう複雑で、読んでいる最中にどんどんストーリーが覆されていくので。いったいどこへたどり着くのか、まったく予想ができませんでした。ドタバタ喜劇に乗せられて進んでいるうちに気づけばゴール、という印象です。まさしくあのトロッコのよう!
ただし、読み心地はそんな感じだけれど。登場人物たちの抱える問題はそれなりに重くて。だからこそ、じんわりとした感動もやってきます。いろいろ物騒に見える事件が起きても、終始誰も殺されたりはしない展開もいいのかも。優しく温かい一冊でした。
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娘を失った男、母に捨てられた少女。ろくでもない生活の終わりは、いつくる? 生の悲哀、人の優しさが沁みわたる人情ミステリー。
中盤までダラダラとした展開が続き、もう止めようかと思いつつもダラダラと読み続け…結局、モヤモヤしたまま終わってしまった。新聞連載のせいか冗長で盛り上がりに欠け、登場人物にも魅力を感じなかった。
(Ⅾ)
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夜中に泥酔した男が見た「事件」は本物だったのか…。
複雑な過去により自堕落な生活を送る男と面倒を見ることになった姪。二人の生活は夏のその事件をきっかけに思いがけない面倒事へと巻き込まれていく…、重く断ち切れない過去を深奥に秘めた人物ばかりながらも、表面的にはそんな人たちが大人数でどたばた知略を巡らせたり巻き込まれたり巻き込んだりの物語が展開します。
ミステリ風味より、人情味のほうが強く、人物たちのそれぞれの同じ場所での違う想いを受け取ると複雑な味わいがあります。哀しくもおかしくて、やりきれないこともあるけれど、それでも前に進みたい。その前に進むための力をお互いが補完しあっているのが、良いよなあと感じました。
人生捨てたものじゃないって手垢のついた言葉だけれど、そんな簡単に割り切れるものじゃないってある程度人生歩んだらわかるけれど、それでも、ともにいてくれる人、支えてくれる人のささやかな力のあたたかさは本当にかけがえがない、なんてことをつらつらと思ったのでした。
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あまり道尾秀介さんっぽくない、人情ミステリー。
序盤はテンポが遅めで、なかなか入り込めず。
途中から話があらぬ方向に進んでこんがらがった割には、オチというかラストのインパクトが少々弱い。
道尾作品だから期待してしまっていたというのもあるが…
全てが必要な要素だったのかな?という疑問が残る。
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事故で娘を亡くし、妻も仕事も全てを失った男。
義姉から姪っ子を引き取り、2人暮らしとなっても、自暴自棄な生活をしている。
そこに起きた、殺人事件???
姪っ子の同級生の言葉にまんまと踊らされ、祭にかこつけて、ある計画を断行する。
同じアパートの人々も巻き込んでのドタバタ群像劇。
池に沈んでいた頭蓋骨。
小学生の男の子からの依頼。
なかなかに重いお話かなと思ったら、所々、声に出して笑ってしまうところもあって、ミステリーというか、人情喜劇の要素が強いかなと思いました。
あと、汐子といい猛流といい、子供達がすごく賢くて、機転が利いて、大人の心に刺さる言葉を突いてくる。
こういう事をこの子達の年代にわかってあげれてたらな…と思ってしまう。