『資本論』の概要を佐藤氏が自らの経験をもって語ってくれる良書です!
2017/12/09 16:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、元外務官僚であり、ソ連情勢に詳しい佐藤氏が『資本論』の主要な概念を自らの経験を通して語ってくれるレクチャー本と言えるかと思います。ソ連崩壊後のロシア経済に見られる数々の信じがたい状況など、佐藤氏だから語れる資本主義の神髄にまで内容は及んでいます。なかなか読みごたえのある一冊です。
資本論、資本主義の入門的理解にピッタリ
2021/02/01 02:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sato - この投稿者のレビュー一覧を見る
資本論の読み解きには様々な解釈の仕方がある。著者の講義内容をまとめた本で、読んでいるうちに自分も授業を受けたような気になって、なんか大学の時の講義を思い出した。過去から現在まで「資本論」がどのように読まれ、資本主義がどのように理解されてきたかその潮流を理解しつつ学べる。著者は、経済学者の宇野弘蔵をベースに資本論を理解していく。
この本を、読めば誰でも労働力の商品化について、賃金の要素が衣食住や娯楽、再生産(子孫を残す)、技術革新による自らの勉強代によって決まっていることは理解できるようになっているので、興味はあるけど何も知らない人にはピッタリ。
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難解な資本論を平易な文章で解説。分かりやすいし、面白く読める。が、それでも内容は難解。
ただ、講義の出席者の課題レポートの内容もかなりレベルが高く、そんなレポートは自分には出せず、自分の知識の無さが身にしみた。
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マルクスの「資本論」から現代を読み解くというテーマ本。資本論は日本の幕末時代に書かれたものだが、佐藤氏の出色の解説でこの時代でも全く色あせていないのを実感できた。古典とはこのように読むものだということを学ばせてもらった。と同時になかなか素人が簡単に読み解けるものでもないなとも…。
資本論を通して、今我々が置かれている資本主義上の危機的な状況とそれに対する考え方も解説されていて、今後生きて行く上での処方箋となっている。個人的にはちょっと悲壮感を持ちつつも、対応する覚悟をもらった。
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マルクスの「資本論」を読破することは私にはできませんが、どういうことが書かれいるのか、噛み砕いて説明してくれる本は読んでみたい。佐藤優さんの講話はそんな私でも読み進むことができました。受講生の優秀さにただただ驚くばかりです。
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資本主義社会は、競争の中に入ってしまうと、基本的に一人しか満足できない仕組みになっている。
病んでいる社会の構造はどこから来ているのかと言えば、労働力が商品化されることによって、過剰に欲望を刺激する形で商品をどんどん購入させないと、この社会は成り立たなっている。
資本主義の論理が皮膚感覚になるまで組み込まれないために、資本論は処方箋として今も生きていた。
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資本論全体を理解することを目的とするよりは,それを解釈するためにどのような思考を経るべきかが記述される.元々講義と演習で展開された内容が文章化されたものなので,読んで理解できる内容ではない.受け手側としても,どのように資本論を生かすのか,その方法論の一端の理解が目的だったので,それは果たされた.
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大変乱暴な気もしたが、著者なりの観点で、宇野弘蔵を援用しながら読み解いたマルクス『資本論』のエッセンスが読み取れる。 著者は、資本主義経済の基本原則をきちんと認識するためにはマルクスの視点によらざるを得ないと考えており、これと革命論は切り離している。
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宇野弘蔵学派のマル系の本で初めて読み通せたもの。いや勿論学者先生の書いた理論書ではないし、読み通せたといっても最後の方はちんぷんかんぷんだったが。初めて読み通せたというだけで自分は偉いと思うし、読み通せる本を作ってくれたというだけで著者は立派だと思う。
与太話が多すぎて肝心の理論面にあまり紙面を割いていないのには並行する。理論面の記述が少ない分理論面の解説は雑になっていて、そのせいで難しく感じるのかもしれない。
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著者のおこなった『資本論』についての6回の講義をまとめた本です。
いわゆる『経済原論』の内容をかみ砕いたものというよりも、『資本論』のなかから著者自身の関心におうじていくつかの議論をとりあげ、現代の世界情勢について考えるためのアクチュアルな視点を紹介するといったような内容になっています。とくに宇野弘蔵や柄谷行人の思索がもつ可能性について考えるきっかけをあたえてもらったように思います。
また、毎回の講義の最後に著者から受講者へ課題があたえられ、次の講義でその課題についての解説がおこなわれています。この課題も、マルクス経済学を現代という時代に生かしていくためのポイントを読者に教えてくれるようなものになっています。
著者は、日本における講座派と労農派の対立を重視しており、とくに講座派的な発想を京都学派的な否定神学に通じるものとしてとらえるとともに、労農派的な発想が世界システム論に通じると主張し、柄谷の後期の文明論的な思想に労農派的な発想を見てとって、これを高く評価しています。ただわたくし自身は、こうした著者の整理の仕方そのものは興味深いと感じたものの、やはり文明論やシステム論的なものの見方にはなじめないという認識をあらためて確認しました。
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佐藤優氏の新潮講演を文字の起こしたもの。内容は、マルクス資本論について、労働力商品化をキーワードにして読み解き、解説するもの。
全6回の講義なので、資本論全体を読むわけではなく、全体の中で重要なところをピックして分かりやすく解説する形式であり、講義を受ければ、ある程度それ以外のところも自分で読み解けるようになることをゴールにしている感じ。
資本論や参考書籍を手元において読むのが正しいが、そうしなくても十分理解できる程度に論点が絞られ、解説も丁寧にされている。
資本論がすぐに何かに役に立つわけではないが、骨太のロジックを持つ古典を読み解くことで、知的好奇心を刺激されるとともに、全く異なる現代の課題や実務的な課題に対しても、今までにない視点で考察できるようになれるかもしらない。
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カール・マルクスの『資本論』を資本主義社会の内在的論理を解明した書として理解することを目指した、著者による6回にわたるセミナーを活字化したもの。
『資本論』は、名前しか知らなかったが、本書では全三巻のポイントを何回も漆塗りを重ねるように説明するので、労働力の商品化、商品の使用価値と価値、賃金の成り立ち、搾取と収奪といったことの説明は何となく頭に入った。
マルクス経済学にも派閥があることさえ知らなかったし、プロレタリア革命とセットという認識の修正にもなった。
古書の値段、ソ連事情、マルクス経済学の派閥による見解の違いなど、関連しつつも脱線したお話をする著者の人となりに興味を惹かれた。
とはいえ、資本主義社会の論理として、資本家は利潤の最大化をどこまでも追及するだけなのか、賃金が労働者の生活維持を保障するものなのかなど、どこか納得できないところ、さらには分からないところも結構あった。
20-42
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初めて読んだ「資本論」。難しかった!
でも世の中の仕組みについて勉強になることがたくさん書いてあった。
しばらくしてからもう一度読みたい。
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資本主義経済は止められない。(この構造よりいいものが見つからない)
では個人としてどう生きていくか。それはコモディディにならないこと。
なにか自分に合った専門分野をみつけてそれを極める。つまり代替されにくい人材になるという事。
この変化の激しい時代では何がAIによって何が代替されるか予想するのは難しいかもしれないが、「柔軟な思考をもちながら学び続ける」という事が大事だと感じた。
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同志社大卒の佐藤優さんによる一般聴講生向けのマルクス講座の文庫版。マルクスの資本論を読まずにここまで来てしまったが、過去の古典としてではなく「今を生きる」ための実践的な教養である事がよくわかる。受講生とのやり取りや佐藤優さん独特の例えも楽しめる。学問とは難しい事を平易な言葉で語って初めて理解したという事なのだと痛感。