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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
…セックスだそうである。エロいのは男の罪…それを許さないのは女の罪…なのだが、それ自体は人類の宝である。
もちろんそれだけじゃないのだが、なにぶん娯楽の少ない時代の話だしそういう面が強いのも事実である。
わが国で初めて「霊」の字を使った『日本霊異記』
ここのエピソードは知らずとも『今昔物語』『宇治拾遺物語』『発心集』が説話集というのはなんとなく認識されていると思う。
仏法説話のように見えて現世利益にこだわったり、勧善懲悪のようでいて聖人がアレだったり、若くきれいなお姉さんのアソコに蛇がささってセッ(略。
エロ、ギャグ、オチ無し、訓話、ヤマ無し、悲喜劇、恋愛、ありとあらゆる物語の要素・本質が詰まっている。
ここを全くかすめずにお話を書くのは不可能ではないの?と思うほど。
作者も歌人も不明の名作は数知れず、日本文学は意外に深くておっかない。
町田康訳にはゲラゲラ笑わせてもらったが、町田は“現代語訳”だからとデタラメや好き勝手を書いてるわけじゃない。
音韻や雰囲気や空気感にリズム感、現代の我々と当時のノリの差を埋める事に徹底してこだわっており忠実そのものの「訳」だ。
ぜひ原文にも当たっていただきたい、元のお話が最高に面白いから。
宇治拾遺の「孔子倒れ」は傑作。
儒学に傾倒した支那王朝、朝鮮王朝は著しく柔軟さも活気も失ってしまい、国家そのものが停滞した。
わが国では、儒学から朱子学までの盛衰をみると、一時的なミニブームになりこそするも根を下ろすことはなかった。
実に笑けるのは、ヒマさえあれば儒者は倭国を見下していたが、しかしその倭人(我々のご先祖様)は儒者の本質を結構簡単に見抜いていたというところだ。
隙が出来たのでセックス!とねじ込んでみる。
説話って、面白いものだったのですね
2019/11/13 22:48
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この全集に収められているのは、「日本霊異記」(伊藤比呂美訳)「今昔物語」(福永武彦訳)「宇治拾遺物語」(町田康訳)「発心集」(伊藤比呂美訳)で、いずれも説話集なのだが、説話というのは「伝説に類似するが、伝説は時代・人物が限定されないのに対して、説話は時代・人物が固有名詞で語られるのが特徴」と辞書には書かれているらしいのであるが、どうも説教臭い話だとずっと思っていた。仏教が隆盛を極めていた時代の話であるから仏教を土台とした話が多いのは当然であるのだが、みすぼらしい姿をした僧が実は尊い人だったりするから身なりで判断せずにやさしく接しろという説話があるかと思うと、ほいほい人を信用するから騙されることになるという話もある、どっちやねんと言いたくなる。でも、説話に対しての否定的な考え方が改めさせられおもしろく読むことができた。
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
町田康訳の『宇治拾遺物語』が卑怯過ぎる面白さ。
原本とどれ程かけ離れてるのかは分からないけどそんなことどうでも良いわ・・・
『日本霊異記』は性的ワードだけをカタカナにしてるわざとらしさに引く。
『今昔物語』はストーリーとして面白い。
「わが子を捨てて~」のオチでびっくりするのは現代の価値観か。
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随筆とは筆に随うの意である。そこで筆がどれほど自在に遠くまで人を連れ出すことか。現代の日本人の感受性はこれらの随筆に由来すると言ってもいい。
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人間のユーモアと機知とエロスに満ちた野蛮な魅力そのものが生き生きと語られる、「瘤取り爺」の原話等古来よりの説話100余篇を収録。「日本霊異記」「宇治拾遺物語」「発心集」は新訳で。
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twitterで、確か、宮下奈都さん他が、町田康さん訳の「宇治拾遺物語」本当に面白い、というような感想を述べていらっしゃったので図書館で借りて読みました。
が、ちょっと中途半端な下ネタみたいなものが多く、そんなに面白くもない。
町田康さんらしい文体ではあるが。
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ネットで読んだのだと思うけど、どこかに「これは宇治拾遺物語の再発見だ」と書かれていて、まさにその通り! と膝を打った。
ただ単に面白おかしく書かれているのではなく、原文の面白味を充分活かしていると知った時の衝撃たるや! 堅苦しいと思われていた古典がこんなに愉快によみがえるとは思いもしなかった。
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2016.2.13市立図書館
説話集の巻、時間に追われてつまみ読み。
伊藤比呂美による「日本霊異記」(新訳):上古のおおらかでふしぎなお話。男女の交わりなどもストレートな表現。
福永武彦による「今昔物語」(新訳)
町田康による「宇治拾遺物語」(1976年):こぶとりじいさん、芋粥、鼻など、おなじみのお話を、カタカナ語や俗語もありのポップでファンキーな現代語訳で。当時の読者が読んで楽しんだ感覚を追体験しているような気がする。
そしてまた伊藤比呂美による「発心集」(新訳):日本霊異記から400年後、鴨長明
池澤夏樹は御尊父の仕事に敬意を払ったのかもしれないけど、「今昔物語」も現代の新訳で読んでみたかった。
いずれにしても、またそのうちゆっくり読みなおしたい。
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町田康、いらない文章が散見。覚める部分。不必要な敬語とか。バランスが大事。彼はしょせん自意識の病の中にある。
その上で、「陰茎を検査した半裁」「鐘を打たせようとした話」「娘婿の変態行為の話」は格別に面白い。
しかし福永武彦の訳は端正で美しい。
天狗に狂った染殿の后の話は、鬼が白昼堂々と侵入し、夫の目の前で淫行に至る描写が生々しく恐怖。
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内容よりは資料的価値だろう。
町田康が訳した宇治拾遺物語は秀逸。
自由自在過ぎて、言葉もない。
千年経っても人間は何も変わらない。というか、千年前の人間たちのなんと奔放なことか。
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どの説話もとても面白かったです。「瘤取り爺さん」のように私の世代の人ならだれでも知っている話も収録されていました。昔は日本人は性に対して開放的であったことがうかがいしれました。なにより笑ってしまったのは『宇治拾遺物語』の町田氏の訳文です。大阪弁のどぎつく、汚いことはなはだしい。「新妻が平仮名の暦を作って貰ったら大変なことになった話」ぶっ飛んでいます。ハチャメチャが楽しいです。でも、宇治って京都ですよね。この際そんなことは気にするな、って言われそうですが。『発心集』は仏教そのものですね。
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宇治拾遺物語しか読んでないけど実に良かった。文章に芸があるから、こういう皆が名前だけ雰囲気だけ知っている作品をリライトすると相乗効果で作品が映える。
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古典を読んで、こんなに笑ったのは初めてです。
池澤夏樹さん個人編集で刊行されている「日本文学全集」ですが、私は本書に収録されている町田康訳「宇治拾遺物語」が読みたくて図書館で借りました。
宇治拾遺物語は、鎌倉時代前期の説話集。
それを作家の町田康さんが現代語訳しています。
古典の現代語訳と云っても、そこは町田さん。
古典に特有の固さや難解さなど無縁、現代の若者言葉も取り入れつつ融通無碍な語り口で面白おかしく仕上げています。
いや、誠に滑稽で、何度も吹き出しました。
現代語訳を読んで面白かったら原文も読みたい、と思うのが人情(いや、そうか?)。
というわけで、インターネットで宇治拾遺物語の原文を見つけて、何話か拾い読みしました。
えええ?
おもろいっ!
少々手こずりましたが、原文の宇治拾遺物語も実に面白いのです。
私は町田さんがかなり意訳というか、もっと云うとかなり大胆に物語を改変しているのかと思い込んでいましたが、むしろ忠実に訳していることが分かりました。
ということは、どゆこと?
そう、宇治拾遺物語そのものが面白く、それを元々面白い町田さんが面白おかしく現代語訳しているから、稀に見る面白さのスパーク状態となっているのです。
それにしても、この宇治拾遺物語の何と低俗なこと。
男たちが不思議な力で陰茎を取られるわ、師の教えに背いて女と交接していて気付くと女が師になっているわ、お坊さんが宮中で「チ○ポ、チ○ポ」と連呼して脱糞するわ、紳士淑女にはとてもおススメできません笑。
でも、これも私たちの遠い遠い先祖の営為ないしは想像の産物。
つまり、日本人は古来、阿呆だったのです。
そう考えると、何だか肩の荷が下りるじゃないですか。
日本の心だか体だかを取り戻すと傲然と肩を怒らせる政治家たちもいますが、ぜひ宇治拾遺物語にあるような日本の伝統にも思いを致してほしいと念願して止みません。
それから、文部科学省にもこの際、提言したいです。
自分は高校時代、古典がとても苦手でしたが、全部、町田さんに現代語訳してもらえば、「古典嫌い」をかなり減らすことができるのではないでしょうか。
古典、おもろ。
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時間の関係で宇治拾遺物語しか読めてないけれど、めちゃめちゃ面白かった。先に一般的であろう現代訳を読んでおいたあとで、この町田康訳を読んだわけだけど、この話絶対町田康訳になったら面白いだろうなぁって思った作品がたくさん訳されていて期待通りいわゆる町田節全開絶好調で面白かった。
それにしても宇治拾遺物語ってこんなに下ネタ話多かったん??下ネタといってもエロってよりか下品な話なのがまた可笑しい。昔の人も下ネタで爆笑ってのは変わらないんだなぁ。
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あんまりおもしろいので、もう少し、もう少しと読み進んでしまい寝れなくなる。
伊藤比呂美訳が面白く、ドライなところが素敵。
福永武彦訳はとても読みやすく、するすると入ってきます。
町田康訳は異様に親しみやすいのですが、時代背景や流れを考えるとなるほど、こうなるなという……
ストーリーの妙をストレートに楽しめる妙訳ばかりでした。