『ブレイディみかこ幻のデビュー作』
2020/08/17 20:18
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投稿者:オオハシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ブレイディみかこ幻のデビュー作』と文庫版の帯に書かれている。
たしかにオリジナル版が出た後、版元が倒産したというところを踏まえると幻なのではあるが、文庫版、相当おもしろい。「ぼくはイエローで…」からすっかりはまってしまったわけで、いろいろ読み続けているのだが原点に回帰できてよかったという印象、なるほど十数年前だからこそ、なのか、パンクな口調がキレキレで、文庫版まえがき、にもあるが「若書き」という表現で荒々しくて生々しくて、おもしろい。
このあたりの考え方・感じ方があって、後々、親となったり保育士となったり、緊縮財政への提言があったりしていくんだな、と。 まぁ、飲んだくれとしては、飲んだくれている内容での書きっぷりにおもわず笑ってしまっているのもある。 幻のデビュー作という考え方を踏まえながら「後日談」として文庫版で追加された解説なども面白い。 ブレイディみかこ節のベースとなる部分を抑えるとともに、文庫版特有の面白さもあるエッセー集。
今回は、解説から抜粋
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P303
もともと本書は、2005年に碧天舎から出版されたもので、ブレイディさんにとっては初の単行本になる。エッセイ集だ。今回のは、それに未収録エッセイとかかきおろし原稿をくわえて文庫化したものだ。しかし、ちょっとまえの文章というのはいいもんで、ほんとうに三十代のころの荒々しい、そして繊細なブレイディさんの心がむきだしのまんまあらわれている。じゃあ、その心はというと一目瞭然である。パンクだ、セックス・ピストルズだ、ノーフューチャーだ。
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2017.6.27
リズムがある文章でホント読んでて気持ちがいい。ブライトンの市井の人が大変魅力的です。
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世代も違うし育った環境も住んでる場所も違うけどシンパシーしか感じない。若い時にパンクにやられたという経験は、それだけで人格アンド思想形成の土台になるんやな。
全ての、元パンクス、必読。
〜ジャージはジャージじゃ。あほんだら。
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読売書評を見て購入。ちょっとだけ読んでみているところだけど、なんて小気味のよい文章!
視点が違うと見えてくるものが違う。こんなイギリスの姿初めて知る驚き。
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著者がブログ上で2004年から2005年に掲載したエッセイに、その後にやはりブログ上に掲載した2006年までのエッセイと、書下ろし原稿を加えた「デラックスエディション」。現在著者は英国在住の保育士という立場をベースに広くサブカルチャーから政治経済まで語ってくれているが、この本に収録された頃、彼女はまだ保育士でもなく、子どももおらず、職業として評論家のようなこともしていない。それでも彼女が友人や知り合いを見る眼差しから、英国社会が浮かび上がってくる。英国というのは階級社会というから政治的な社会なのが、外国人が見ることで政治性が明らかになるのだろうか。
とはいえ、本書のエッセイの中身は、現在の活動内容よりはずいぶん私的で、社会とのつながりは希薄なようにも思える。その分、酔ってセックス・ピストルズを聞いたりといった著者のパーソナリティーが色濃く感じられるともいえる。そして、どうしようもない、地べたの人々、街への愛情も、やはり色濃く感じられる。
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テンポの良い文章で、スラスラ読めるエッセイ。
イギリスの労働階級の人達の生活が垣間見れますが、その中でも女性の強さを感じました。
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英国在住のコラムニストによる1990年代の英国での生活を記したエッセイ集の文庫版。
オリジナルを出版した時の会社は潰れたとのこと。
文庫版はオリジナルエッセイの後日譚が追加されていたり、未発表原稿や書下ろしも載っているので読み応えあり。
著者は飲んだくれでセックスピストルズが大好き、ということからもわかるように、豪快な語り口調が魅力。
ただ、単に豪快なだけでなく、酔っぱらいながらも自己の生活や周りの人の生きざまに対する観察眼と考察は鋭く、硬軟取り混ぜた内容をサラッとかけるのがこの人の強みだと感じた。
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在英の女性コラムニストによるブライトンでの生活を書いたエッセイなんてのと全然違う。
貧民街での暮らし、イギリスの病院保険制度、持たざる者のノーフューチャーな生き方等々。
貧民暮らしを開き直って酒飲んでガハハと生きながら考察して本にまとめるなんて、しかも結構読ませる。才能あるんだな。
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書き方も、価値観も世界も環境も始めて知るもので、とても興味深くて面白かった。と言っても、重い話でもなく、ただ日常を滑稽に書いているから、軽くて読みやすいし、ネガティブなことでも面白く読めた。
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デビュー作。著者も「若書き」と言っているが、特に始めの方は勢いがある。言葉遣いは悪いけど、これはワーキングクラスの誇りを敢えてこういう表現にしたのだろう。
『僕はイエローで‥‥』の方が万人向けだが、こちらも同じ魂で書かれた本である。
著者のような生き方をする人は少ないけどいる。ああ、日本人社会では窮屈で生きられないだろうなあ、という日本人はいる。が、みんなが文才があるわけじゃない。
文才にもいろいろあるけど、この人はさっぱりとしてキリッとしてるのがいい。爽快。決して上からものを言わない。でも視野は広くて懐は深い。
『僕はイエローで‥‥』もそうだけど、多様化とか国際化とか言ってる頭の硬い役所の人なんかが読むといいと思う。
「清貧。などというのはあれは趣味だ。貧乏とは、足りないことで負けてることで醜いことだ。自分から負けることを選んでいるような趣味の問題野郎どもに、勝ちたくても負け、必死で勝とうと努力するのにやはり負け、負けたくないのに負け続けている人間の気持ちがわかるか。ちっとも負けてないやつに限って敗北の真髄なんてものを語りたがる。そんなに好きなら貴様も降りてきやがれ。」(P185)
「だが、生きる甲斐がなくても生きているからこそ、人間ってのは偉いんじゃないだろうか。最後には各人が自業自得の十字架にかかって惨死するだけの人生。それを知っていながら、そこに一日一日近付いていることを知っていながら、それでも酒を飲んだり、エルヴィスで腰を振ったりしながら生きようとするからこそ、人間の生には意味がある。」(P191)
「他人に悪態をついたり、他人のあげ足を取ったりするのは、はっきり言って、大人でも嬉し楽しいものだ。だが、大人と呼ばれる人間(歳とは関係なく)がそれをしなかったり、限界というものをわきまえていたりするのは、自分も傷ついた経験があるからだ。しかし、子供(しつこいようだが、年齢とは無関係)は、人生経験の乏しいバカ故にその楽しみや喜びをマキシマムに追求しようとする。」(P203)
「家庭とは、個人が、個人の責任でもって個人的に幸福になろうとしている人々のユニット」(P239)
「パキスタン人の美しい男性に恋をした英国人のひょろっとした青年が失恋して痛飲して道端で吐いている背中を日本の豚骨ラーメンの街から来たババアがさすってる。民際的ってのは、こういうことじゃねえのか。」(P272)
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著者の名前を知ったのは、「子どもたちの階級闘争」を目にしたときだった。本書はデビュー作とのことであるが、一読の印象は、「ハマータウンの野郎ども」の世界を、ごく近いところにいる人間が、その肌感覚で書いたというものであった。イギリスの労働者階級の暮らしぶり、医療制度の問題その他政治、経済、社会状況が、そのブロークンな筆致で生き生きと活写されている。
文庫版は何編かの増補が加えられているが、前に出てきた登場人物のその後に、思わずホロリとさせられる。
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ブライトンでの著者の日常が、フェアに、軽妙に、綴られたエッセイ。
デビュー作+10年以上経った後日談を増補された構成が過去を覗きこむ感覚になっていて、おもしろい。時間の経過は思いもしない展開をもたらすんですね。
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『ブレイディみかこ幻のデビュー作』と文庫版の帯に書かれている。
たしかにオリジナル版が出た後、版元が倒産したというところを踏まえると幻なのではあるが、文庫版、相当おもしろい。「ぼくはイエローで…」からすっかりはまってしまったわけで、いろいろ読み続けているのだが原点に回帰できてよかったという印象、なるほど十数年前だからこそ、なのか、パンクな口調がキレキレで、文庫版まえがき、にもあるが「若書き」という表現で荒々しくて生々しくて、おもしろい。
このあたりの考え方・感じ方があって、後々、親となったり保育士となったり、緊縮財政への提言があったりしていくんだな、と。 まぁ、飲んだくれとしては、飲んだくれている内容での書きっぷりにおもわず笑ってしまっているのもある。 幻のデビュー作という考え方を踏まえながら「後日談」として文庫版で追加された解説なども面白い。 ブレイディみかこ節のベースとなる部分を抑えるとともに、文庫版特有の面白さもあるエッセー集。
今回は、解説から抜粋
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P303
もともと本書は、2005年に碧天舎から出版されたもので、ブレイディさんにとっては初の単行本になる。エッセイ集だ。今回のは、それに未収録エッセイとかかきおろし原稿をくわえて文庫化したものだ。しかし、ちょっとまえの文章というのはいいもんで、ほんとうに三十代のころの荒々しい、そして繊細なブレイディさんの心がむきだしのまんまあらわれている。じゃあ、その心はというと一目瞭然である。パンクだ、セックス・ピストルズだ、ノーフューチャーだ。
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どちらかといえばガテン系な仕事を生業にしているんだけれども、全く本書を読んでいると本当にイギリスの話なのか、自分の身の周りの話なのか分からなくなってくる。国は違えどワーキングクラスの生活はいずこも同じだなーと思う。もちろん著者のフィルターを通して、親しみやすく書いてくれてるんだろうけれど。
「she's got balls 」
と、とある女性政治家の事を筆者は評していたけれども、読者から言わせればそれはアンタの事じゃ、とつっこまざるを得ない。本書がデビュー作だからなのか、全編から「なめんじゃあねーぞ」という気概、パワーが感じられる。
あとコレは自分だけだと思うんだけれど、男女関係の話や、サブロー北島ジャケットのくだりあたりはなんとなく吉田秋生イズムを感じてしまった。「あーはっはっは」の脳内再生は我知らず完全に吉田秋生のエッセイ漫画になってしまった。
ぜひとも挿絵書いて欲しかったわ。
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図書館にて。
息子さんのエピソードのエッセイから入って夢中になり、軒並み図書館で注文しては読んでいるブレイディさんの本。
この本はまだ息子さんの生まれる前のはなし。
飲んだくれる様がとても他人とは思えない。
考えろ、周りを見ろ、生き方について、社会について、政治について、自分の足で歩くことを教えてくれる気がする。
文庫になる前に出会いたかった。
現在ハードカバーの本は超高額になっててびっくり。
ブレイディさんの本はこの先絶対全部買う。
読めて良かった。