「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)
著者 川本三郎
「寅さんの負け犬ぶりにいまだに共感する」という著者が、〈美しきもの見し人〉車寅次郎の旅路を追って、「男はつらいよ」全作品を詳細に読み解きながら、北海道知床から沖縄まで辿り...
「男はつらいよ」を旅する(新潮選書)
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商品説明
「寅さんの負け犬ぶりにいまだに共感する」という著者が、〈美しきもの見し人〉車寅次郎の旅路を追って、「男はつらいよ」全作品を詳細に読み解きながら、北海道知床から沖縄まで辿り歩いた画期的シネマ紀行文。なぜ、あのいつもずっこける放浪者はかくも日本人に愛されるのか? 映画に“動態保存”された「時代」がいま甦る。 ※新潮選書に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
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あいつも俺とおんなじ渡り鳥よ
2017/07/05 15:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「「男はつらいよ」は旅の映画である。」
これがこの本の冒頭の一節。
「男はつらいよ」はご存じの通り、1969年(昭和44年)1月に第1作が封切りされ、その後主演の渥美清さんが亡くなる1995年に上映された第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』まで続いた日本映画屈指の人気作だ。
葛飾柴又に生まれた主人公の車寅次郎だが、今ではしがないテキ屋稼業。そうはいっても故郷は恋しい。故郷にはかわいい妹さくらもいる。
戻ってきてはさまざまな事件を巻き起こし、また旅の空へ。
だから、鉄道ファンでもある著者の川本三郎さんが、寅さんが出向いた日本各地を旅して記したのが、この一冊である。
映画評論家でもある川本さんは「男はつらいよ」について、こんな一文を本書に記している。
「喜劇映画としてだけでなく、懐しい風景を記録したシリーズとして長く残るに違いない」と。
戦後日本は経済成長を果たしたが、そのことで街は大きく変化をしていった。
もちろんそれは豊かさを求めた故でもあるが、一方で弱者や非効率なものは容赦なく斬り捨てられていった。
映画という芸術はある面ではそういう失われたものを残す記録的なものでもあることが、「男はつらいよ」を今観るとよくわかる。
また鉄道ファンでもある川本さんは「男はつらいよ」を何度見ても面白いのは、「失われた鉄道風景が残っている」からだという。
この本は川本さんらしい幅広さで楽しめるが、できることであれば資料編として「男はつらいよ」作品一覧は載せて欲しいところだ。