謎解きもストーリーも秀逸
2017/03/20 21:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
児童養護施設を舞台にして、そこで伝わる七不思議を解いていくという短編集。そして最終話では?!虐待などで普通の家庭で生活できない子供たちを巡る話なので、テーマは重い話のはずなのですが、めちゃめちゃいい話でした!また、一つひとつの謎解きが秀逸!読後感も爽やかで、いろんな意味で見事なストーリー仕立てでした。ミステリー要素、社会的要素、温かさを兼ね備えた作品ですので、興味があれば、皆さんも是非読んでみてください^_^
重くて優しい物語
2015/03/29 23:25
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
児童養護施設・七海学園を舞台にした連作ミステリ。学園の若い保育士 北沢春菜の目を通して描かれるのは、親のいない、あるいは親と暮らせない事情を抱えた子どもたちを取り巻く現実と、そこに見え隠れする謎です。
子どもたちを取り巻く現実はきれいごとでは済まず、時にとても残酷です。それでも謎解きを経て、ほんの少しの優しさが見える瞬間があります。読んでいて、ほっとする気持ちになったものです。
そして、その救われる気分がもっとも高まるのは最終章、ある事実が明らかになった時。
最大の驚きと最大の希望が同時に現われる瞬間を、ぜひ味わってください。
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児童養護施設が舞台なので、どうしても児童のつらい体験や悲惨な過去といったものが避けられませんが、そういったものを隠さずさらけ出しながら、それでも各児童の前向きな姿勢が前面に出ているのが好印象でした。
連作短編の形式を取っていますが、個々の話の完成度もさることながら、1冊全体としての完成度が抜群にいいです。最終章は感動的でした。
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児童養護施設の先生を通して、七不思議を解き明かしませう。
な、こうくるか!?って謎解きです。
最終話のショックに備えて、存分に推理してください。
子供達の強かさと脆さと希望も感じられます。
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児童養護施設七海学園で起こる様々な謎を、保育士の北沢春奈と児童福祉司の海王が解決していく連作短編。
それぞれの短編で起こる謎というものは七海の七不思議と呼ばれる物だけあってどれも不可思議なオカルト的のものが多いのですが、それをきっちりと各短編、伏線を活かしての論理的な解決を示してくれます。各短編独立してみても、完成度の高いものがそろっていると思います。
舞台が児童養護施設ということもあり、話の背景はシリアスなものが多いのですが、そういうところもきっちりと包み込んでくれる優しさも感じられます。保育士の春奈も海王さんの人柄もとてもよく顕れていることがそう感じる理由であるように思います。
子どもたちの描写もまたいいです。各短編に出てくる子どもたちにはそれぞれの事情があり、そのため彼らの背景の説明だけでなく、性格や個性もしっかり出さないと、この物語を成立させるのは難しいと思うのですが、どの子たちもしっかりと描けていたように思います。架空の人物たちとは分かっていながらも、みんな幸せになってほしいと思ってしまいました。
そして連作のラストを結ぶ第七話はまさかの展開でした。さすがにそれはやりすぎだろう、と初めは思ったのですが、読み終えてみると、そうなるべくしてそうなった物語だったのではないか、とも思えてきました。運命は信じていない自分ですが、この本を読み終えたときは運命の美しさに思いを馳せてしまいました。
また回文が一つの要素として絡んでくる短編があるのですが、その回文の巧さ、美しさにびっくり! こういう言葉のセンスの良さも著者である七河さんの実力を示しているように思います。
第18回鮎川哲也賞受賞
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第18回鮎川哲也賞受賞作
児童養護施設の子どもたちが遭遇する過去と現在を繋ぐ不可思議な六つの謎――
真実は人を幸せにするものだ、と私は思います。
様々な事情により家庭では暮らせない子どもたちが入所する七海学園。
そこで起きる不可思議な事件の数々。
それは学園七不思議と呼ばれる
――『蘇った先輩』『捕まえられない廃屋の幽霊』『血文字の文子』『非常階段で消えた幻の新入生』『開かずの門の浮姫』『トンネルで囁く暗闇の天使』、
そして、『語られることのない七番目の不思議』
本格ミステリの謎と真相の反転力を持ち、幻想的な面および社会派の面も備え持つ読み応えのある傑作。
また、散りばめられた伏線の数々は唸ってしまうことまちがいないでしょう。
(表紙からネタバレの回文、各話に登場する音楽の共通点、最終話の駅伝が示していた主人公のリレー、などなど)
より詳しくはコチラで↓
http://www5a.biglobe.ne.jp/~sakatam/book/nanami1.html
ミステリ :☆☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆
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何年か前、「単行本は高いなぁ」と思っていた本。文庫化ということで買ってみたが、面白かった!
子どもたちの環境には切ないものもあるが、最後ほっこりした。
続きがあるようなので、早く続きが読みたい。
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児童養護施設「七海学園」。
勤めて2年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王さんの力を借り、そこで子供たちが出会った不思議な事件の謎を解明すべく、奮闘する。
児童養護施設が舞台なだけあって、子供たちの背景はなかなかに複雑。
だけどそんな中でもいきいきと過ごす姿には、健気さやたくましさを感じさせられる。
1話目の葉子、2話目の優姫はとくにその強さ、繊細さが印象的だった。
落ち着いた文章で描かれる連作短編集。
日常系ミステリという意味では北村薫や加納朋子作品に似た雰囲気も感じる。
なにげなく読み進めていったら最終章で大きな動きがあってびっくりした。
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ずっと気になっていて読みそびれていた本の文庫化。
児童養護施設「七海学園」で起こる七不思議に纏わる7つの短篇集です。
どこか悲しく、でも温かい物語でじっくり読みいってしまいました。
そこはかとない不思議な雰囲気もとても好きです。
ほんの少しだけ不思議が残っているのも良いですよね。
とても繊細に作り込まれた物語と文章が素晴らしくて、ひとつひとつの物語もちゃんと落ちがちゃんとあってそれだけでも楽しめたのですが、最後に全てが繋がった時の驚きは溜息ものでした。
素敵な回文の数々にも感嘆しました。
アルバトロスも早く読んでみたいです。
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もしかしたらちょっと私の心が弱っているのかもしれず、ここのところ優しさにあふれるお話に興味が偏っているかも。
児童福祉施設が舞台であるから、まあ子どもたちを優しく見つめる内容かなとは思っていたけど、それだけでなく、人間そのものに対する愛情にあふれている一冊。
いやー、読んでよかった。
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途中で断念。
家庭に何かしら事情のある子供が暮らす施設の話。
児童相談所の人がそれぞれの子供の秘密を解き明かしちゃう。
淡々としてて読み切れなかった。
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鮎川哲也賞受賞作品。児童養護施設を舞台とした、日常の謎系連続短編集。
以前同じような仕事をしていたからか、謎は割とわかりやすかったかな。伏線がかなり分かりやすく散りばめられているせいもあるかも。
最終章は、ちょっとやり過ぎな感はありますが、、全編通して面白く読めました。
紹介してくれた方は、辻村深月が好きなら好きかも、といった勧め方でしたが、どちらかゆうと昔の創元推理の日常の謎系作家さん達を思いうかべました。七海女史とか、北村薫とか、ね。
と、思ったら、選考者評にも同じよなこと書いてありました。こういった受賞作品は、選考者の評が読めるのもまた楽しみの一つです。
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鮮やか。最後の章を読むとパーッと明るくなった感じでした。そうきたかーって。
タイトルに表紙絵に作者名だけ見るとラノベっぽいけど、全然そんなことはなく(まあ、ラノベの定義もよくわかりませんが)。流行り言葉で言うなら、人が死なない日常ミステリ系とでも言うのでしょうか。
この作品、中身的には「和菓子のアン」に雰囲気が似ていますね。主人公はるのんがアンちゃんみたいな感じで。女性ですが、なかなかサバサバした性格で、おかんとのやり取りとか面白く。また、子供たちそれぞれの境遇は明るいものではないけど、はるのんの表現が暗くなることなく話に入り込める感じです。
舞台は児童養護施設、七海学園。様々な事情により家庭では暮らせない子供たち。学園7不思議になぞらえた事件というか出来事。ただ謎解きされるだけではなく、謎解きが子供たちを救うというか希望みたいなモノが感じられます。そしてただ謎を解くのではなく、敢えて不思議は不思議のままにしておくとか。ここら辺も「和菓子のアン」と同じだなーと思って。「解かれなくてもいい謎」の椿店長とか。
以下ネタバレ。未読の方は絶対に見ないように。
とにかく最後の7章がもう、ホーッて感じ、まさか野中佳音が小松崎直とは。あー、そんな展開持ってきたんだー、と感心。そして本人自らのタネ明かし。まさか7人の姫、すべてだったとは。佳音の心情の吐露がつらい。でも、そこで良い保育士さんに巡り合えて、なんとか立ち直って、主人公北沢春菜と共に過ごすやり取りに明るさが灯ります。
解説にもありますが、児童養護施設が舞台ということで、社会派のような括りに見えたり、ミステリミステリに見えたり、不思議≒ファンタジーなような、いろんな側面を有したお話だと思います。なんにしても、子供の素直さを大事にし、そしてそれを温かく見守れる大人がいること、そんなごく当たり前の世の中が良いよな、と心がホッと落ち着くような温まるような読後感でした。2章の最後は棘があるというか、すこし恐怖感がありましたけど。
回文がさらさら出てくるのはすごいというか、ふつう無理だろーとか思いますけどね(笑)にしても長文回文すごい。しかも言葉が綺麗なんだな。これはこれで唸らされてしまう
児童福祉とか養護施設とか、ちゃんと理解できたわけではないけど、こういう世界があるのだな、と少しわかりました。児童虐待とかのニュースがなくならない昨今、何かと生きづらい世の中、子供たちにはいらんこと心配せず育つことができる環境を整えないとね。
続巻があるということで早速注文しようと思ったらまだ文庫されていないなんて・・・早く文庫化してー
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児童養護施設の「学園七不思議」をテーマにした連作短編集。保育士が狂言回しで児童福祉司が安楽椅子探偵という一見、地味な設定ですが、行間から漂う品の良さと、最終章での総まとめ(少々強引だけれども)の構成力など読む価値はありました。
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やたら多い登場人物・・・
全篇に散りばめられた伏線・・・・
何ともいえぬ爽やかさを含んだ文章・・・・・
ミステリの枠を超えた爽快小説。