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電子書籍
古代哲学への招待
著者 著:八木雄二
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古代哲学への招待
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古代哲学への招待 パルメニデスとソクラテスから始めよう (平凡社新書)
商品説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
宇宙の真理を数学的手法で求めたパルメニデス、対象化されざる「自己」の真理を求めたソクラテス。哲学の始源に見いだされる二つの道は、時に離れ、時にもつれあい、西洋哲学の流れを紡いでいった。それはいまもアクチュアルな問いを発し続ける…。歴史の霧のなかから、人間の思想のドラマが立ち現れる。独自の観点からの西洋古典古代哲学入門。
目次
- その1 パルメニデスとソクラテス
- その2 プラトンとクセノフォンが語るソクラテス
- その3 プラトンとアカデメイア
- その4 アリストテレス
- その5 エピクロスとストア学派
- その6 新プラトン主義とアウグスティヌス
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紙の本
異形異貌の古代精神の息吹き
2002/11/30 22:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
神についての科学(神学)を忘れた現代人、というよりキリスト教的背景なしにヨーロッパの近代科学を受容した日本人に「ヨハネス・ドゥンスの仕事を知れ」と誘う、説得力と魅力に満ちた姉妹編『中世哲学への招待』のあの輝きが感じられなかった。古代はあまりに遠すぎてわからない(それともあまりに近すぎて?)ということなのだろうか。異形異貌の古代精神の息吹きを伝えるためには、井筒俊彦の『神秘哲学』のように、古代宗教と真っ向から対峙する強靱な感受性が必要だと思う。
しかし、宇宙の理解に関して数学ないし幾何学を土台にするピュタゴラス=パルメニデスこそがヨーロッパ哲学の源泉なのであって、「プラトンもアリストテレスも、本質的にはピュタゴラス主義者だ」とする八木氏の見解と、凝縮されやや錯綜したその論証は鋭くかつ斬新だった(ように思う)し、だからこそ「わたしとあなた」の人格をかけた厳しい吟味を旨とするソクラテスの独自性(異様性?)も見事に捉えられていた(ように思う)。
私が関心を寄せ刺激を受けながら読んだのは、アリストテレス以後、紀元前四世紀から紀元後五世紀の「帝国時代の哲学」を取り上げた「エピクロスとストア派」と「新プラトン主義とアウグスティヌス」の二章で、とりわけ、物心二元論を否定するストアの生命論的思想と心身の区別を元来もたないキリスト教との親和性、もしくは「現象」を単位として世界を見るストアの姿勢と近代科学との親和性、そして一者(超越者)からの発出と帰還によって世界を説明し、感覚対象を霊魂から切り離した流体論的な新プラトン主義の哲学と神(絶対者)へのキリスト教的信仰との親和性をめぐる叙述、あるいはキリスト教的信仰の確立とともにストア的倫理哲学の伝統がヨーロッパにおいて廃れ、したがって中世神学はひたすら科学的(ピュタゴラス的)にキリスト教の視点から見える世界を吟味し論じるばかりとなった、云々の議論は掛け値なしに面白いものだった。
なんだか誉めているのか貶しているのか、この本は買いだったのかそれほどでもなかったのか、判然としなくなってきた。私には古代哲学がよくわからないこと。私がいま強烈に惹かれているのはヘレニズム期の哲学思想であること。結局のところ確認できたのはこの二点で、『中世』と同様、この本もまた私の常備本(いつかきっと再読すべき本)となった。