電子書籍
「開運! なんでも鑑定団」の十五年
著者 著:中島誠之助
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「開運! なんでも鑑定団」の十五年
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「開運!なんでも鑑定団」の十五年
商品説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
「いい仕事してますね」この名文句を初めて使ったのは、放映が始まってから半年目の伊東温泉のときだった。大人気TV番組「開運!なんでも鑑定団」を、企画段階から知る著者ならではの、貴重な内幕話、エピソードを満載。
目次
- 第1部(開運!なんでも鑑定団の十五年
- 目利き指南
- 日本人の美意識と技
- 目利きの心得 ほか)
- 第2部(住職に直言
- 心の勲章
- ジイジと呼ばれる幸せ
- おばあちゃんの会 ほか)
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紙の本
「いい仕事してますね」と語る鑑定士・中島誠之助のうしろ姿。
2008/09/20 12:49
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中島誠之助著「『開運!なんでも鑑定団』の十五年」を読みました。
各雑誌に掲載された文をまとめた一冊。それで、ちょっと読み通すのに時間がかかりました。けれど、読後感の手ごたえは十分。注文原稿でも、手をぬかずに、一回一回丁寧に書かれているため、思わず『いい仕事してますね』と声をかけたくなります。
この本をどう紹介すればよいのでしょう。
テレビ番組『開運!なんでも鑑定団』の初回から登場している鑑定士中島誠之助です。その鑑定が、もしもいい加減だったとしたら、あの番組はどうなるか。と思ってみればよいかもしれません。たとえば、私はテレビ番組「水戸黄門」を思いうかべます。毎回ドラマがあり、最後にカクさん、スケさんが印籠を出して、この紋所が見えないかと提示する。その印籠がニセモノで、そもそも水戸ご老公さまもクワセモノだったなら、どうでしょう。現実的な話です。
そんなことを思う、その参考になりそうな箇所が本文にありました。
鑑定書を紹介しているくだり。
「『鑑定書が付いています』と言われた場合、その事実が真贋の判定にとってはマイナス要因の一つとなります。それは(すべての鑑定書がいい加減な代物であるとはいえませんが)品物に添えられている鑑定書の多くが、信憑性に欠けるものだからです。・・・鑑定書を付けることにより、評価と信頼が跳ね上がるからです。そこにニセ判定の付け込むスキが生じます。程度の低いニセモノほど、かえって仰々しい鑑定書が添付されています。真贋かまわずに片っ端から鑑定書や箱書を乱発した学者や画家もいました。彼らは酒代が欲しかったのですね。」(p76~78)
ここに出てくる鑑定書というのを、鑑定士と言葉をかえてよいかもしれません?
さまざまな鑑定書があるように、さまざまな鑑定士もいるはずで。そして、そういうスキが生じないように、いま現在、ここに中島誠之助が重要な位置を占めているのだなあ、と思ってみるのです。
「美術鑑定の展望」という6ページほどの短文があります。
はじまりは、こうでした。
「美術品を鑑定するようになって四十年以上になる。とはいうものの、そのほとんどは人に鑑定を依頼されたのではなく、自分が入手しようとしている品物の真贋を鑑定してきたことにほかならない。そのために鑑定をあやまれば、即自己の金銭的な損失につながってくる。・・」
そしてこうもあります。
「困ったことに美術品を売り買いするプロたちも、鑑定を依頼された時に真贋をはっきりと回答しないことが多い。彼らは鑑定料を貰おうなどとは決して考えてはいないが、見せられた品物がニセモノだった場合に、真実を告げたがために敬遠され、商売のポイントを一点失うことをおそれるのだ。かりに見せられた物がホンモノであった場合でも、廉価で引き取れば商売として利益が上がるために、あいまいな鑑定結果しかいわないものだ。これはプロとして当たり前のことで、その道何十年苦労して磨き上げてきた鑑定眼を、そうそうたやすく素人に提供するわけにはいかないのだ。・・・・私は自分個人の範囲の中では、決して真贋の判定を公表していない。・・・そこで考えて欲しいのだ。私がレギュラーを務めているテレビ番組『開運!なんでも鑑定団』の素晴らしさを。だれも教えてくれない真贋の真実を、ずばりと腹蔵なく判定するのは、あの番組をおいてほかにはないのだ。私はプロを返上し、番組の中では真実の追求に邁進している。・・」(p94~99)
ちょくちょくと、テレビをつけては、そそくさとチャンネルを移動して、雑読ならぬ、雑見している私ですが、鑑定団の番組は、意外と見ていたことに気づきます。その魅力のありかをこの本は教えてくれています。「いい仕事してますね」と語る男のうしろ姿をご覧になりたければ。これは、またとない一冊となっております。読み始めると、読者対象がちがう雑誌に掲載された短文の集成でとまどうのですが、なあに、読み終ってみれば、さまざな方向から、中島誠之助を浮き彫りにしてくれている、貴重な一冊。