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アジャストメント ディック短篇傑作選
著者 フィリップ・K・ディック , 大森 望
世界のすべてを陰でコントロールする組織の存在を知ってしまった男は!? マット・デイモン主演の同名映画の原作をはじめ、デビュー作「ウーブ身重く横たわる」、初期の代表作「にせ...
アジャストメント ディック短篇傑作選
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アジャストメント (ハヤカワ文庫 SF ディック短篇傑作選)
商品説明
世界のすべてを陰でコントロールする組織の存在を知ってしまった男は!? マット・デイモン主演の同名映画の原作をはじめ、デビュー作「ウーブ身重く横たわる」、初期の代表作「にせもの」(映画化名『クローン』)から、中期・後期の傑作。さらに1972年執筆の幻の短篇「さよなら、ヴィンセント」を初収録。ディックが生涯にわたって発表した短篇に、エッセイ「人間とアンドロイドと機械」を加えた全13篇を収録する傑作選。
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最初から最後までおんなじことばかり書いていたわけですが、それでもディックは面白い。少なくとも、今の時点でやっと人々の現実認識が、ディックの世界に追いついた、っていう感じ・・・
2012/02/07 22:02
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
このカバーのセンスは好きです。まず、コテコテしていないのがいい。唯一つ、懐中時計の絵を中央に置いただけ。それも細密描写でも抽象でもない、どちらかというとおう生頼義範がモノトーンでザラっとしたタッチで描いたような、大胆でそれでいてデッサンが絶妙なものを。でも、このカバーのポイントは地の色。グレーにちょっと緑を混ぜたような、なんとも温かみのある色が抜群。カバーデザインは土井宏明(ポジトロン)。
で、P・K・ディック、私にとっては神様のような存在。ま、海外SFを殆ど読まない私が崇め奉っても大したことはないんでしょうが、『ハイぺリオン』のダン・シモンズ、『マン・プラス』以降のフレデリック・ポールと並ぶ重要な存在です。いや、初期から晩年にいたるまで、出来にバラつきがないという点では、ディックがダントツといっていいかもしれません。無論、私好みの世界を扱っているからなんですが。
じゃあ、ディックの世界ってなんだ、ってことになります。私の理解では「いま、あなたに見えている世界は、本当にそのまま存在するのか」というもの。古くは「邯鄲の夢」がそうですし「胡蝶の夢」でもいい。夢だと思っていたことが現実で、現実だと思っていたことが夢ではなかったのか、主体と客体、実はそれを入れ替えるだけで世界が変わってしまう、それを小説に上手く取り入れ、読者を気づかないうちに思わぬところに連れて行く。
なにもSFに限ったことではないでしょう。最近では、ミステリでも同ような手法が使われ、様々な作品が生まれています。そのルーツがディックにある、とはいいませんが、でも影響を与えていることは確かでしょう。早速、収められた13篇すべてを初出とともに簡単に紹介しましょう。
アジャストメント 浅倉久志 訳(「調整斑」改題。“Adjustment Team”オービットSF誌1954年9月―10月号 『悪夢機械』所収):犬が予定の時間に送れた、それが齟齬を産み、男は世界のすべてを陰でコントロールする組織の存在を知ってしまった・・・
ルーグ 大森望 訳(“Roog”F&SF誌1953年2月号 『パーキー・パットの日々』所収):犬の「ルーグ!」の声に応じるように行動する謎のルーグたち。犬の声をただ喧しいと思う飼い主。そにてルーグたちは・・・
ウーブ身重く横たわる 大森望 訳(“Beyond Lies the Web”プラネット・ストーリーズ1952年7月号 『パーキー・パットの日々』所収):乗務員が現地人から50セントで買ったというウーブはどう見てもただのブタ。宇宙で食料にしようと船長は・・・
にせもの 大森望 訳(“Impostor”アスタウンディングSF誌1953年6月号 『パーキー・パットの日々』所収):逮捕された男は、外宇宙からの侵略者はオレじゃあない、自分は本物のオーラムだといい続け・・・
くずれてしまえ 浅倉久志 訳(“Pay for the Printer”サテライトSF誌1956年10月号 『悪夢機械』所収):過去のものをコピーすることで生きながらえてきた人々。しかし、そのコピーも次第に精度を失い、今はなにもかもプディングのよう・・・
消耗員 浅倉久志 訳(“Expendable”F&SF誌1953年7月号 『パーキー・パットの日々』所収):事実を知ってしまった巨人への仲間たちの攻撃が始まった。一方、町では男が蜘蛛の巣に・・・
おお!ブローベルとなりて 浅倉久志 訳(“Oh,to Be a Blobel!”ギャラクシー誌1964年2月号 『時間飛行士へのささやかな贈物』所収):ブローベルと闘うためにスパイとなった男は、戦争後もそのときの改造が元で完全な人間になりきれない・・・
ぶざまなオルフェウス 浅倉久志 訳(“Orpheus with Clay Feet”エスカペード誌1964年ごろ 『模造記憶』所収):現在の自分に満足できない男が見つけたのは時間旅行サービス。彼が思いついたのは、過去に行って作家に有名な作品のヒントをあげること・・・
父祖の信仰 浅倉久志 訳(“Faith of Our Fathers”『危険なヴィジョン』1967年刊 『時間飛行士へのささやかな贈物』所収):抗幻覚剤を飲んでしまった男が見た忠誠を尽くすべき相手の本当の姿は・・・
電気蟻 浅倉久志 訳(“The Electric Ant”F&SF誌1969年10月号 『時間飛行士へのささやかな贈物』所収):自分が有機ロボットであることに気付いた男が始めたのは、胸のテープにちょっとした加工をすること・・・
凍った旅 浅倉久志 訳(“Frozen Journey”プレイボーイ誌1980年12月号 『悪夢機械』所収):宇宙飛行中、冷凍睡眠カプセルで眠っているはずの乗客の一人が、意識だけ目覚めてしまった。あと10年の旅を乗り切る方法は・・・
さよなら、ヴィンセント 大森望 訳(“Goodbye,Vincent”The Dark-Haried Girl(1988年)本邦初訳):大学に行く時に乗せてもらった友人の車、そこには超ミニのセクシーな人形が。リンダという実在の人物について話していると・・・
人間とアンドロイドと機械 浅倉久志 訳(“Man,Android,and Machine”『解放された世界』(1976年)オーストラリアのSF批評家ピーター・ニコルズが企画したSF作家連続講演企画のために書かれたスピーチ原稿):正直、小説のほうがずっと分かりやすくて面白い・・・
編者あとがき
となっています。よくわからなかったのは最後の「人間とアンドロイドと機械」。コメントにも書きましたが、小説を読んだ方がはるかに面白いです。最後は、カバー後の内容案内。
*
世界のすべてを陰でコントロール
する組織の存在を知ってしまった
男は!? マット・デイモン主演の
同名映画の原作をはじめ、デビュ
ー作「ウーブ身重く横たわる」、
初期の代表作「にせもの」(映画
化名『クローン』)から、中期・
後期の傑作。さらに1972年執筆の
幻の短篇「さよなら、ヴィンセン
ト」を初収録。ディックが生涯に
わたって発表した短篇に、エッセ
イ「人間とアンドロイドと機械」
を加えた全13篇を収録する傑作選
*
紙の本
マトリョーシカ
2024/01/25 17:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ダタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディックの作品を読んでいると
自分の知覚している世界が
揺らぎ始めるというか、
迷宮の出口が次の迷宮の入口みたいな
終りのない感じが魅力だと思う。