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アジアの原人たち
2021/01/24 09:49
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
アフリカ中心に語られることが多い人類史でジャワ原人(ホモ・エレクトス)などのアジアに進出した原人は新人が出アフリカする前段階として軽く触れられるというのが今まで読んだ人類史の本だったが本書ではジャワ原人も時代が新しくなるごとに咀嚼器が小さくなり脳が肥大化するという進化をしていたということがわかった。また、フローレス原人のような小型化した(ジャワ原人の進化の方向と逆!)人類の起源も初期のジャワ原人にあるであろうことが骨格の比較から論じられておりとても面白かった
紙の本
アジアにいた多様な「人類」はなぜ、消滅したのかを深く考察した科学書です!
2020/01/30 08:56
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、若者からシニアまで長きにわたって愛好されている講談社から出されてる「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻は、人類の進化において、多様な人類が消滅した理由を深く考察した一級の科学書です。同書では、我々ホモ・サピエンスの出現以前、地球には実に多様な<人類>がいたのだと強調されています。学校の教科書に載っている「ジャワ原人」や「北京原人」だけではなく、フローレス原人や澎湖人など、アジアには多様な人類が生存していたと主張されています。しかし、こうした多様な人類は滅び去り、現在は我々しかいなくなったのは、一体なぜなのでしょうか。同書では、その謎について深く考察していきます。
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とても興味深い
2018/05/04 21:25
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投稿者:ねこる - この投稿者のレビュー一覧を見る
この様なテーマの本はだいたい専門的で読み辛いものが多い中、文章もカジュアルなかんじでサクサク読むことができました。百万年単位で現代人となるまで気の遠くなる時間がかかっているが、いま現在もその途中なのだなあと言うことをしみじみ考えずにはいられなかった。これから新たな研究結果が発表されることを期待しています。
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Don't judge a book by its cover!
2019/05/08 09:20
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投稿者:ハマさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに惹かれて買いました。我々日本人と白人や黒人との違いは、猫とライオンやトラとの違いほど大きくは違わないのではないか。『我々は何故我々だけなのか』とはなかなか興味を惹かれるタイトルではありませんか。最近の出版業界はタイトルに結構凝ってるとは気づいていたけど、この本はそのタイトルを正面からテーマとはしておりません。(と私は思います。)ちょっと騙された感はありますが、中身はまずまずですの「星3つ」にしました。
ホモ・サピエンスがアフリカ単一起源であることはなんとなく知ってはいましたが、北京原人やジャワ原人というのがいたことは知ってはいましたが、本書はジャワ原人の発掘の現場に即しアジアの原人の世界(世界観)を鮮やかに再現してくれています。原人や旧人が生き残らずホモ・サピエンスに席巻されたのは原人たちの閉鎖性=特異化に対し、ホモ・サピエンスの移動能力=技術を使った適応力だとする見解が興味深かったです。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
すごく小さいな人類もいたんだと思うと、不思議ですね。授業で名前や機能?だけただ覚えるのより興味が持てました。
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川端裕人さんの読みやすい文と、海部陽介さんの新知見を盛り込んだ内容が面白くて、一日で一気読みした。
文句なしの星5つ。
序盤の化石についての概説は、退屈かもしれないが後半の理解には必要な情報であり、川端氏の『現地』描写を交えた筆致は決して飽きさせない。
そして怒涛の後半、第四の原人や、デニソワ人についての新たな提案。
この時、整理された理解の生じる快感、そこが面白い。
分からないことは、何が分かってないからなのか。
どこまでなら、コンセンサスがある話なのか。
この整理が、理科や歴史でざっくり
「アウストラロピテクス」とか「北京原人」なら知ってた
レベルの一般人にも伝わってくる。
小難しい数式とか一か所しか出てこないし、それもちゃんと図で示されてるから、根っからの文系でも問題なし。
そして、サイエンス系の本にはつきものの、『執筆時点では』という注釈。
それは、新たな化石の発見や詳細な研究によって、また仮説が更新される可能性があるということ。
本書を読んだ者は、その新たな仮説に対し、既存の議論を踏まえた解像度で食いつける、ということ。
知的興奮に動悸が高まるのを感じる。
かつて評論社から抄訳版が、後に集英社ホーム社から完訳版のでた、ジーン・アウルの『始原への旅立ち』シリーズは、素晴らしい小説だった。しかし、科学的知見としては当時の限界もあり、生活描写に関してはネイティブアメリカンやイヌイットの文化で大きく補綴された、ネアンデルタールとクロマニヨンズの物語であった。
しかし、本書にあるようなアジア原人、ひいては旧人と現生人類の研究が進めば、科学的知見でよりしっかり裏打ちされた、『東アジアの物語』がつづられる可能性もでてくる。
なんと胸躍ることだろう。
ぜひ手に取ってご一読あれ。
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かつてアジア地域に生息していた原人・旧人たち - 北京原人やジャワ原人という名前で知られている - についての解説本。アフリカやヨーロッパではかなり研究が進んでいるが、アジア地域ではかなり遅れていたため、最近になってフローレス原人や台湾沖での澎湖人など新しい発見が21世紀に入っても出ている状況である。その道の第一人者である国立科学博物館の海部陽介グループ長に導かれる形で著者がまとめたものである。自らの起源に関わる話であり、思い入れのある著者の筆にも熱がこもっている。
なお、我々の起源と書いたが、フローレス原人も澎湖人も北京原人もジャワ原人も我々の祖先ではないことがほぼ確認されている。タイトルにあるようにアジアからは消えてしまったのだ。アフリカから先に出て個別に進化した原人ではあるが、後に出アフリカを果たして後からたどり着いた現生人類に他の地域におけるネアンデルタール人やデニソワ人と同じようにその立場を奪われた形になったのだ。
DNAの研究により、ネアンデルタール人と現生人類が混血していることが示されたが、アジアの原人と現生人類が接触し、さらに混血したのかについてはまだ明らかになっていない。海部さん含めて現状のアジアの原人の研究は化石からの形態分析が元となっており、DNA分析が使えないのが現状なのである。
「我々はなぜ我々だけなのか」という問いに対しては、我々の移動速度があまりに速かったからだと結論づけられている。進化の速度よりも圧倒的に速く移動を果たすことができたため、現生人類はこれほどまでに一様なのだという。現生人類の特徴をその移動の速さに結び付けてもよいのかもしれない。
しかし、「我々はなぜ我々だけなのか」という問い - かつては確実にいた旧人や原人は世界のどこにも残っていないのはなぜか - についての答えはない。アジアの地でも人類と旧人は接触したのか。我々が駆逐をしたのか。それは我々の持つ本質がゆえなのか。なぜ我々だけがここにいるのか。彼我の差はどこにあったのか。
海部さんは、日本にどうやって人類が渡ってきたのかを実証するために古代の方法で船を作って海を渡るプロジェクトをクラウドファンディングで資金を募って実現するなどアグレッシブに活動されている。これからもまだいろいろとわかるのかもしれない。
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まず、とにかく読みやすくて面白い!なかなか学者さんが書いたのではこうはいかないだろう。
人類の進化、我々はどこから来たのかといったSFジャンルがあるが、リアルの世界でも随分と新しい発見が続いていることがわかる。
「かつていた多様な原人がなぜ滅びたのか」という謎を解く壮大なSF誰か書いてくれないかな。
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人類学の最新知見を,この分野の第一人者たる海部さんの監修,読みやすい筆致の川端さんの執筆によりまとめたもの。メインタイトルだけ見るとわかるようなわからないような気がするけど,本文を読んでいくうちにこのタイトルの意味がわかった。これまでは科博へ行っても人類の化石がたくさん並んでいるのを漫然としか見ていなかったけど,これを読んでそれぞれがどういう位置づけでどこがエキサイティングなのかが(はずかしながらやっと)わかった。まだ(2018年2月時点)展示には並んでいない,台湾で見つかった人類化石の話や航海プロジェクトの話もあって,これからの研究の進展が楽しみになる1冊。
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遡上はついに人類のはじまりに到達。自然人類学の最新の発見を、ジャーナリスト川端裕人が自ら見聞して臨場感あふれるレポートすることで、アジアにおける知られざる原人の存在や交雑の可能性を明らかにしています。
それにしても、先に読んだ『世界神話学入門』でも名前が出てきた海部陽介さんは、21世紀の知の巨人のような気がするだけに、今後も注目です。
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アジアの人類としての古代史が、こんなにも興奮に溢れる場だとは知らなかった!
ジャワ原人、フローレス原人、北京原人、名前は知ってるけど、はるか昔の曾祖父くらいのイメージしかなかった。
しかし実際は生物種としての適応と繁栄と消滅といったダイナミズムをもつ存在だった。
そして現在では我々は我々の種しかいないけど、それは昔からそうではなかった。多様な種が、祖先から綿々と旅をし、環境に適応し、進化し、そして(多分静かに)消えて行った、という壮大な物語の一端を味わえて大満足。
これからの研究の進展にも期待したい。
それにしても我々しかいないのは、拡散の速度が速すぎて均一化してしまった、というのは、宇宙はなぜこんなにも均一なのかというインフレーション宇宙論にも通じるものがあるなあと思ったりして、これもまたおもしろい
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数年前,「生命大躍進」という大変興味深い展示会を観ました。
そのとき,私が学校で学んだときから,かなり人類の進化に対する研究が非常に進んだことを知り,かなり驚きました。
本書は,その最新の知見について分かりやすく説明したもので,大変面白く読みました。
アジアには同時代に多様な人類の種類が存在した可能性があり,また旧人と我々人類は交雑したこともあるにもかかわらず,なぜ我々は我々だけなのか,この問いに対する答えが出るには気の遠くなるような研究の積み重ねが必要ですが,これほど興味の尽きないテーマもありません。
同じテーマを取り扱った本も読んでみようと思います。
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「我々はなぜ我々だけなのか」
我々人類がアフリカに端を発したホモ・サピエンスと言う種であることは知っての通りである。また、ネアンデルタール人は人類と共存した時期もあり、絶滅してしまっているがいろいろと研究が進んでいる。
その一方で、アジアに存在した北京原人やジャワ原人についてはそれほど知られておらず、研究も進んでいないように思える。
しかし近年インドネシアでジャワ原人の化石と石器が見つかっていて、ジャワ原人から進化したのではないかと思われるフローレンス原人の化石の一部も見つかっている。そして、人類が繁栄する前に多様な原人が存在したことがわかりつつある。
本書はジャワ原人を中心としたアジアでの原人の発掘、化石の鑑定を元にした進化についての本である。
タイトルからするとまるで人類がアジアの原人たちを絶滅に追いやった進化史を想像させるが、内容はさにあらず。地道な学問的な内容が主であり、ダイナミックな人類史を描いているのではないので少々がっかりした。
それでも、日本の調査チームが地道に研究、検証を積み重ねている様子は感心する。
著者は専門家ではなくサイエンスライターなので、発掘現場の様子や研究の様子などについての描写が多く、妙に思い入れが強く出て、感動的な描写になっているのが少々気になる。
発掘される化石も少ないのでまだまだわからないことが多く、化石が発掘されないことにはなかなか研究が進まない。それでも、想定される石器を使って船を作り、海を渡ってみるなど冒険的な実証的研究も進んでいる。あの、ハイエルダールのコンチキ号漂流記のような冒険的実験である。いまさらそこまでやるものだろうか思いびっくりした。
フローレンス原人は身長110cmとジャワ原人170cmから小さくなったと考えられている。人類も諸島効果で動物と同じように小さくなり、動物の進化が当てはまると思うと人間だけが特別という考えはおかしいことがよくわかる。
その一方で人類は島の中に閉じ込められるということがなく、地球上の多くの部分に拡散したと言うことが他の原人たちとの本質的な違いのようである。そして、それを可能にしたのはおそらく知性なのだろうが、本書ではそこまで述べられていない。
面白くはあったが、インタビュー的で少々深みに欠けたのが残念だ。
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私たちは、ホモサピエンスの末裔だと思っていますが、それが出現する前には、アジアには多様な「人類」がいたそうです。この本にはそれらについて、実際に発掘現場に行かれた、本書の著者である川端氏によって書かれています。
歴史の好きな私ですが今まで触れてきた「古代史」は、すでにホモサピエンスが我々のような生活をし始めてからのものです。それ以前に世界はどうなっていたのかについて思いを巡らす上で、良い機会を与えてくれた本でした。
以下は気になったポイントです。
・人類には大体700万年くらいの歴史がある、初期の猿人、猿人、原人、旧人、新人、これらの5段階を通って人類が進化してきたと考えられてきたが、一直線に変化してものではないと今では考えらている(p24、41)
・大きなくくりの、ホミニドは、大型類人猿と人類の共通祖先から進化した全ての子孫を含む、チンパンジー・ボノボ・オランウータン・ゴリラ、それよりも範囲が狭く初期の猿人(ラミダス猿人、アウストラロピテクス等)が、ホミニン、そしてその後の原人・旧人・新人は、すべてホモ属である(p46)
・オランダは300年以上にわたって、インドネシアを植民地にしており、19-20世紀初頭には現在のインドネシアのほぼ全土を手中に収めていた(p55)
・島嶼効果とは、利用可能なリソース(生息環境、食料資源など)が限られた島嶼環境では、大型動物は、代謝量が小さく性成熟も早い、小型の身体を持ったほうが有利なため、矮小化しやすい。フローレス原人は、島にいたほかの動物と同様に、島嶼効果によって矮小化してしまった(p143)
・今の時点で本当に一つだけ言えるのは、アジアには北京原人とジャワ原人がいました、だけではないということ(p240)
・移入種が在来種を駆逐するとき、直接バトルするというよりは、生態系の中での位置を奪う形で入れ替わる、血なまぐさい戦争をするわけではない(p252)
・新人サピエンスと、旧人・原人との違いは、サピエンスはいろんなところにあっという間に行けたということ(多様化しなかった)、旧人・原人は行けない(閉じ込められる)から多様化した、ホモサピエンスの均質化は、地球を股にかけることができる能力(創造性)の裏返しである(p256、257、258)
・ホモサピエンスがやってきたとき、今のインドネシアにいた古代型人類は、ジャワ原人かフローレス原人である(p267)
2018年2月25日作成
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最近のサイエンス系の新書は良書が多いですね。
興味のある分野やテーマは、本来なら専門書を当たるべきとは思います。
ただ、サラリーマンをしていると、現実にはなかなか難しい。
その点、新書は手っ取り早く概略を掴めるので重宝しています。
前置きが長くなりました。
本書も道新の「本」欄で紹介されていて気になったので、慌てて図書館に注文しました。
別に慌てる必要はないのだけれど。
早速、本書の肝を紹介したいところですが、その前に備忘録的に人類の進化についておさらい。
人類にはだいたい700万年くらいの歴史があります。
この間、どのように進化したかというと、①初期の猿人②猿人③原人④旧人⑤新人―と5段階で進化してきました。
これを書いている私も、これを読んでいるあなたも、あなたの恋人も等しく新人、ホモ・サピエンスです。
以前は、それぞれの地域で原人が旧人になり、旧人が新人になるという「多地域進化説」も一定の支持を集めました。
ただ、今では、アフリカの旧人から進化して、その後しばらくしてからアフリカを出て全世界に散らばっていったという「アフリカ単一起源説」が人類進化の定説となっています。
ホモ・サピエンスが世界に広がりかけた後に、各地にいた人類は絶滅したのですね。
だが 。
ここからがいよいよ肝ですが、ホモ・サピエンスがアフリカを出た時点では、まだ人類はずっと多様で、各地に旧人も原人もいたのです。
特に、私たちの住むアジアには、多様な人類がいたのですね。
たとえば、ジャワ原人。
しかも、アジアのジャワ原人は、同時代のアフリカのジャワ原人より歯が小さく、進化していたのです。
インドネシア・フローレス島で2003年に発見された「フローレス原人」の化石は世界中に衝撃を与えました。
何と言っても身長は大人でも1メートル余り。
これは「島嶼効果」が働いたそうなのですね。
島嶼効果とは、利用可能なリソースが限られた島嶼環境では、大型動物は代謝が小さく性成熟も早い小型の身体を持った方が有利なため矮小化する一方、小型動物は捕食者が少ないため隠れやすいよう身体を小さく保つ必要がないので大型化しやすいというものです。
他の動物とは一線を画した進化を遂げたホモ属が矮小化するというのは、それまでの定義を覆すものでした。
フローレス原人だけではありません。
2008年には台湾沖の海底から、「澎湖人」と呼ばれる、インドネシアのジャワ原人やフローレス原人、中国の北京原人とは異なる特徴を持つ「第4の原人」の化石が発見されたのです。
アジアにはことほど左様に多様な人類が、ほぼ同時期に存在していたのですね。
アジアはまだまだ未知の世界で、今後も新たな発見があるかもしれません。
ワクワクしながら注目し続けたいと思います。