- 販売開始日: 2018/01/12
- 出版社: 小学館
- レーベル: 栗本薫・中島梓傑作電子全集
電子書籍
栗本薫・中島梓傑作電子全集2 [真夜中の天使]
ナルシスのような妖しい美貌と甘い声をもつ天性のスター・今西良をめぐる衝撃作、『真夜中の天使』と『翼あるもの』を一気読み!探偵小説からSF、ファンタジー、ホラー、時代小説ま...
栗本薫・中島梓傑作電子全集2 [真夜中の天使]
05/02まで通常1,760円
税込 1,232 円 11ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
商品説明
ナルシスのような妖しい美貌と甘い声をもつ天性のスター・今西良をめぐる衝撃作、『真夜中の天使』と『翼あるもの』を一気読み!
探偵小説からSF、ファンタジー、ホラー、時代小説まで、ジャンルを越えて膨大な作品群を残した栗本薫。彼女は少年愛小説(いわゆるBL)の分野においても先駆けであった。当時、人気と美貌の絶頂期にあった沢田研二が主演したテレビドラマ『悪魔のようなあいつ』に触発されて、栗本が生み出した美少年・今西良。彼とそのライバル、森田透をめぐる切なくもスキャンダラスな愛のドラマは、こののちの『朝日のあたる家』、『嘘は罪』、『ムーン・リヴァー』へと繋がり、「東京サーガ」とよばれて熱烈なファンも多い。その端緒をなす2作をまとめて収録した。
付録として、収録2作品の自筆原稿の他、両作の装画を担当した漫画家・竹宮恵子氏との対談、栗本が同人誌に発表した『悪魔のようなあいつ』のプロデューサー、久世光彦氏に宛てた熱烈すぎるファン・レター「久世光彦様お慕い申し上げております」を収める。また、夫として、担当編集者として、最も近くで栗本を支えた今岡清氏が初めて綴るエッセイ(連載)など。さらに実母・山田良子氏の日記から栗本の誕生~大学卒業までを記した、『栗本薫の育児日記』(連載)を初めて公開!
※この作品にはカラー写真が含まれます。
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耽美の形を借りて、自由と孤独を語ろうとした一連の作品群
2021/02/03 23:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
『真夜中の天使』と『翼あるもの』が収められている電子全集第2巻。
『真夜中の天使』
基本的に栗本薫の作品はどれも好きなのだけれど、唯一(?)どうしても馴染めないのが美少年ものというのかBLとか耽美ものとでもいうのか、ともかくその手のジャンルの作品だ。
その手のジャンルの原点とでもいうべき作品だと思っていたのが、この『真夜中の天使』で、何故かこれは読めてしまった。というか、むしろ次へ次へと読まずにはいられなかった、とでも言うべきか。
これが単なる耽美ものとは違うということなのか、耽美であるにも関わらず何かこちらに迫ってくるものがあったのか、読んでいる最中にはよく分からなかったが、「あとがき」で作者自身が「私は、この小説を、「枯葉の寝床」のような、いわば耽美からのアプローチによっては書きませんでした」と書いてあるのを見て納得してしまった。そうか、これは耽美ものではなかったのだ。
作者は、「一人の人間が、どうしたら、ほんとうに孤独ではなくなるか」ということを知りたくて書いていたと言い、そして最終的には「彼らは生きた」ということと「このように時は流れ去りました」ということを書いたのだと言う。それならば、この『真夜中の天使』もまた、その他の膨大な栗本作品群と同じことを書こうとしたものだと言えるし、だから読まずにはいられなかったのだろう。
長編の小説ではあるが、登場人物はほとんど滝俊介と今西良、結城修二の3人だけであり、それ以外に数人が登場してもほんの添え物のようにしかみえない。そして、主要な3人のうちでもメインは滝俊介であり、今西良に至ってはほとんど感情があるような描写がなされていないように読めるのも特徴かもしれない。良はあくまでも狂言回しであり、滝がいかにして良を見初め、溺れ、壊れていくのかというのが、この小説の重要なところだったようだ。
『翼あるもの』
上下巻の単行本として刊行されたものであるが、上巻の「生きながらブルースに葬られ」と下巻「殺意」(さらに、「続・翼あるもの」まで含めて)は連続した物語ではなく、表裏一体の物語となっている。なので、上巻だけでストーリーは完結していると言えば言えるのだが、下巻まで読み通すことで初めて栗本薫が描こうとしたストーリーがはっきりと姿を現してくるというのが読み終えてわかった。
これって、すごくない?
しかも、「生きながらブルースに葬られ」は、『真夜中の天使』と重なるところの多い物語であり、『真夜中の天使』と『翼あるもの』を合わせて読むことで、何か迫ってくるものが、只ならぬものがそこにはあるという感覚を強くさせられる。
「生きながらブルースに葬られ」が最も初期に書かれたもの、しかもプロの作家として書かれたものではなく、文章はところどころわかりにくいところがあった。ストーリーの視点が定まっていないところが読み取りにくかったのだが、これは『真夜中の天使』を読んでおくことで何とか読み続けることができた。
そして、『真夜中の天使』と「生きながらブルースに葬られ」を読んでから「殺意」「続・翼あるもの」へと読み続けると、なんというストーリーなのかというのがこちらにひしひしと感じられてくる。これらは今西良の話だと思っていたのが、そうではなくて森田透の話だったのだということだ。しかも、森田透という一個人の話を通じて、自由と孤独の問題を投げかけているように思えた。
となると、これもやはり栗本らしい物語ということになるのだろう。