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日本史大好き
2018/07/31 17:24
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投稿者:KEY坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史や日本史の教科書に登場する太字の重要語句をテーマ別にわかりやすく、簡潔に説明されていて、頭の中を整理するには持って来いの新書となっています。
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七つのキーワードで読み解く日本史
2020/08/10 11:44
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、天皇・宗教・土地・軍事など七つのキーワード(ツボ)に基づき、日本史の流れをつかめる内容となっている。いつもながら著者のリアルに歴史を見るという視点には、教科書や通史のような退屈さがなく、日本史嫌いの読者も抵抗なく読破できるだろう。その視点の一端は次のとおりである。◆日本の仏教は聖なる存在としての独立性が乏しく、修行や教義の研究より形骸化した儀式を重んじるようになっている。仏教とは釈迦の教えを知ることで解脱への道を歩むものであり、お経はその教えを記したもの。中国ではサンスクリット語を漢字に訳したが、日本では自国の言葉にされることなく、今日に至っている。◆律令制は絵にかいた餅である。律令はすべて漢字、古代の日本で文字を読める人はごくごく一部であり、誰がこれを読み誰が守ったのか。◆戦の勝負の判定も歴史学者によってさまざま。著者の基準は明確。「戦を仕掛けた側が目的を達成できれば仕掛けた側の勝ち。達成できなかったら仕掛けられた側の勝ち。」したがって、何が戦の目的か誰が勝ったかを明確にしないと戦について論じたことにはならない。
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野心的な試み
2018/04/11 20:37
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
七つの切り口(天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済)から、日本史の流れを概観。
1項目で1冊となるような各テーマを30ページ程度でまとめるという、野心的な試みですが、雑駁な印象を否定できません。また首肯できない主張(天皇は土地争いを解決するための存在、源実朝の暗殺理由は京かぶれ等)も散見。
ただ、そうしたマイナス要因を差し引いても、目から鱗の指摘(「関東」の意味等)がたくさんあり、また原因と結果の積み重ねが歴史の流れとなっていることが良く理解できました。一読の価値はあります。
ところで本書は、暗記中心の勉強を強いられている高校生に推薦します。日本史全体を掴むことができ、歴史の断片をひたすら記憶する無味乾燥な勉強に潤いをもたらすでしょう。ただ、あくまでも本郷氏の一見解にすぎないことは念頭に置いて読んで下さい。
私は20代の頃、井沢氏に傾倒した時期があり、他の著者の著作は読みませんでした。その後、思うところがあって、井沢氏以外の著作を幅広く読むと、井沢氏の主張のほとんどが、梅原猛氏をはじめ他の学者等が唱える異説に味付けした程度と気が付きました。とにかく、一人の著者に傾倒するのは危険です。
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わかりやすい
2023/11/07 10:01
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本史が、分かりやすく解説されていてよかったです。政治、経済、文化など、流れをつかむことによって、理解しやすかったです。
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本書では7つの切り口で日本史が語られますが、それぞれが関連しあいながら、ストーリーを作っていきます。目から鱗の本。守護大名と戦国大名の関係や、室町幕府の日本統治感、米と銭の関係(なぜ江戸時代は米に後戻りしたのか?)など、勉強になりました。
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【最もコンパクトな日本通史】土地、宗教、軍事、経済、地域、女性、天皇。七大テーマを押さえれば、日本史の流れが一気につかめる。人気歴史学者の明快日本史。
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<目次>
第1章 天皇を知れば日本史がわかる
第2章 宗教を知れば日本史がわかる
第3章 土地を知れば日本史がわかる
第4章 軍事を知れば日本史がわかる
第5章 地域を知れば日本史がわかる
第6章 女性を知れば日本史がわかる
第7章 経済を知れば日本史がわかる
<内容>
ちょっと視点を変えて、日本史を俯瞰した本。専門家でない限り、こうした別の視点から日本史を描いてもらえると、新しい発見があって楽しいです。また授業への参考にもなってきます。もうちょっと書いてほしかったですね。
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楽しく読んだ。第6章の「女性を知れば日本史がわかる」が白眉。古代は貴族は中央のことしか考えていなかったが、応仁の乱で京都から地方へ貴族や武士たちが離れていって、地方の時代がやってきた。江戸に幕府が移ってそれまで何もなかった関東が栄え、関西だけだった日本は国力も文化も倍増した。関西、関東が車の両輪のようにして日本が発展した。今の停滞は東京一極集中によるもので、関西にも重心がなければならないし、地方もそうだと。おもしろかった。
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紹介のとおり、年代ごとに起きた出来事を知る歴史ではなく、軍事、女性、地域などテーマごとに日本史を通じて見る、という面白い内容でした。日本は、貨幣経済や女性の地位や外交も時代によって強弱があり多様で色々な体験をして来た面白い国だな、と
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暗記のために覚える歴史はあるのではなく、いろんな視点から歴史を解説し、なぜ歴史を学ぶのか、その有用性がわかる本でした。
例えば「土地」や「経済」をキーワードにして歴史を解説している章では、経済学が学べ、勉強になりました。
知らなかったこと:
・白村江の戦いに負けたことによる、日本に対するインパクトの大きさ。(白村江ショック)
・中央から見た地方。ヤマト朝廷は全国統一できてない。
「化外の地」は、影響範囲外で、律令制は努力目標。
・「職の体系」と呼ばれる土地システム、その不完全さから生まれた武士
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2018022
天皇、宗教、経済、土地、軍事などから日本の歴史を再発見。
貨幣経済に重きを置いた室町幕府。米を基準に経済を回そうとした徳川幕府。経済の一大中心地だった京都。いつの時代においても唯一絶対のものさしはないという印象を持ちました。
朝廷の時代時代による役割の変遷。支配者であり、象徴であったり。長く歴史が続いたことにより、不可侵な存在へと変わっていく。
そして、土地信仰だけは時代を経ても変わらないもの。
読みやすく、歴史から今の社会の有り方を考えるきっかけになるかなと思いました。
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著者は東京大学史料編纂所で「大日本史料」第五編の資料集の編纂が仕事。建長年間(1249~1256)の史料を読んでいる方。天皇・宗教・土地・郡司・地域・女性・経済の7項目を選びその「時代の流れ」を把握すべく本書を書いた。項目ごとの移り変わりがすっきりとし、また相互のかかわり具合もわかった。教科書とはまた違った著者の見解はおもしろい。・・と言って読んでる時は分かったつもりでも右から左に抜けてしまうのでメモ。
メモ
〇天皇 皇位継承がタテに繫がると安定、横に伸びると騒乱。親から子に継承されるともめごとは起きず、兄から弟、甥とかになると壬申の乱のように騒乱が起きる。当初は政治も行っていたが江戸になり権力は最小に。白村江の戦い、幕末、昭和の敗戦、と日本が「外圧」に晒されると、新しい期待を担って「ヴィジョン」(未来図)を掲げる。その時のシンボルになるのが天皇だった。
〇宗教 基本は「八百万の神々」の多神教で「安定&まったり」。外からいろいろな宗教が入り込んでもどんどん取り込み現地化する。世界的に古くからあるのは多神教で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の一神教は中東の厳しい自然の中で生まれ、正しい神は一つで非常に伝播力が強い。
8世紀初めの記紀神話で天皇が他の豪族より卓越した存在であると担保し「神道」の基礎ができた。が、大仏建立など仏教も天皇家により受容された。が仏教と政治が密接に結びつき教義の研究などより、形骸化した儀式を重んじ「おまじない化」した。
明治維新では天皇を中心とした新国家づくりに、神道を持ってきたが、もともと多神教なのに天皇中心の一神教的体裁を整えた。が結局は江戸以来の葬式仏教と、建前としての天皇教が共存することになり迷走。そして昭和の敗戦により天皇教が否定されると宗教そのものの軽視が起きた。
〇土地 律令の公地公民は理想であって、「実態」はなく土地を開いた者がその土地を自分のものにするという「現実」を「墾田永年私財法」で追認した。荘園は権利が京と在地と幾重にも重なっていたが、鎌倉室町でもそれは同じだった。それを乗り越えたのが戦国大名で、自領の土地所有はその地の戦国大名が武力により保証し中央に税を払うことも無い。これを全国規模で、一元的な統治能力による、所有権の保証を実現しようとしたのが織田信長だった。
〇軍事 戦国時代になると戦は国を賭けたものとなり、兵器を整え、足軽などの兵力を維持するにもお金が必要。つまり国が豊かでなければ戦争には勝てない。優れた戦国大名は優れた経済感覚を持った経営者だった。
〇地域 古代では進んだ文化は常に西から来た。朝廷のある狭い地域が畿内。それ以外は異界の地。日本の歴史は東と西をいったりきたりしながら進んできた。西(朝廷)~江戸幕府(東)~明治維新(西からの逆襲)~東京
〇女性 エマニュエル・ドットの家族類型論では、最も原始的なのが「核家族」で子供は結婚すると独立し親元を離れる、次に男子が一人相続人となり財産を受け継ぐ「直系家族」となり、最後に父親の元に男子の家族たちが同居する「共同体家族」となる。
日本では女性は政治の外側に置かれていたが、制度の外側で、イレギュラーな力を行使する存在として恐れられた。薬子、北条政子、日野富子、大奥など。・・恐れられた、とはまさにレギュラーなものが男性ってことですね。
〇経済 1225年から1250年の間に日本全体に貨幣経済が浸透した。が、鎌倉では売れるものが無かった。そこで室町幕府は金と物が集まる京都に置いた。信長が京都をめざしたのも同じ。江戸幕府が開かれたことで江戸と大阪と二つの経済の中心ができ文化も花開いた。
まとめとして、今の東京一極集中は京都中心だった室町幕府の東京版ではないか。次に来るべきは東と西、日本の各地がしのぎを削る、経済・文化の群雄割拠時代ではないか。
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日本歴史を様々な切り口で。
天皇の項は、なるほどと。天皇を語る時には、しっかりと歴史を学ばないとだめですね。
経済視点で、歴史を観るのも面白かった。
視野を広げてくれる書籍です。
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この人の放送大学をたまたま見たことある。放送大学って本当はいい内容だったとしても、先生が1人で延々喋るという単調なスタイルのせいで大半が途中でチャンネルを変えてしまうものだが、この人の戦国時代の信長解説&石垣見学ロケは面白かった。派手ではないがほどよく先生本人の考えを混ぜつつの解説で、思い入れが感じられ、何か引き込む力があった。
それが本になってる。
テーマ史型の構成で、7つの切り口から日本史全体を眺める。もちろん複数の切り口は互いに関連する。
まだ1章(天皇)を立ち読みしただけだけど、これは楽しい。もう少し前提知識があるともっと楽しい、というか、読む間にさらに問いを立てられるかもしれない。さらに勉強するきっかけにもなりそう。
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著者は最近よくTVのクイズ番組で見かけるのでチャラチャラした人物かと思っていたら、本職は「大日本史料」の第5編という史料集を編纂することで、そのため来る日も来る日も建長年間(1249~1256年)の資料を読んでいる真面目(?)な東大教授でした。
その本職から離れて、歴史学によって「むかし」を知ることを「いま」に結びつける、という過程の中で、歴史はどういうベクトルで動いているかを知るために、つまり日本の古代~明治以前までの流れを把握するために、「天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済」の7つの観点から、歴史の流れを捉えている。
読んで驚いたのは、本当に「ツボ」と思われる箇所をしっかりと押さえ、新しい歴史の見方を分かり易く解説しています。
一部下記に紹介します。
天皇
何故「天皇」が出来上がった?⇒白村江の敗戦による「日本ブランド」の確立???(詳細は本書をお読み下さい)
結果論ではあるが、白村江、幕末維新、昭和の敗戦と日本が「外圧」による危機に晒されたとき、新しい「ヴィジョン」を掲げる。それが日本の歴史における天皇の役割だと言えるかも知れない。
宗教
神道と仏教はどちらも天皇家によって、形成され受容されていた。
また、日本の宗教は政権と結びつくことによって、形式化して本来の内容を失った。
明治政府が打ち出した方針は、天皇を中心とした国家づくりを、思想的に補強するために、仏教や儒教といった外来の宗教ではなく、日本古来の神道を持ってくることでした・・・(略)・・・しかも明治維新でいきなり表舞台に引っ張り出されるまでは、肝心の天皇はむしろ仏教との繋がりの方が強かった。そこで、邪魔な仏教を排除しようとしたのが廃仏毀釈でした。
具体的には、天皇・皇后などの葬儀も、聖武天皇(724~749年)から江戸末期までずっと仏式で行われていて、神式でやるのは、明治以降のことだそうです。
土地
日本の土地制度の歴史として、教科書などでも最初に登場するのが、「律令制」であり、「公地公民」です。著者は、「実態とかけ離れたフィクションに近い説明なのではないか」と、この記述に異論を挟む。
この時代の政権は「そこに書かれている内容を実現できるだけの行政システムもなければ、インフラも未発達、支配の対象となるような公民というまとまりも未だ成熟していなかった」
以上内容の一部を紹介しただけですが、新しい切り口からのアプローチが面白く、本当に歴史を理解できた(?)ような心境になります。