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投稿者:たにぐち - この投稿者のレビュー一覧を見る
話の内容は暗いのに、書き方が面白くて笑えて面白い。容姿に対する小学生の残酷さを思い出して辛くなった…。
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「夫のちんぽが入らない」で衝撃デビューを飾ったこだまさんのエッセイ。おしまいの地と呼ばれるその場所は、西原理恵子さんの語る地に似ているのに、西原理恵子さんが生々しい極彩色だとしたら、こだまさんはモノトーンの静かな情景のなか、1点だけ強い色を発しているかのようである。
笑えないのに噴き出してしまう。
個性の大事さが叫ばれる昨今だが、やはり今も枠の中で生きる事が望ましいとされているようだし、そんな中、こだまさんの我が道を生きざるを得ない姿が美しい。我を張る、というより流される事が多いような気もするが、それでも、気づいたら書いていて、秘密を抱えたまま、飛行機に乗ることをやめないのはすごい。あと、文章のテンポが単純に面白い。
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ふとしたことで爪切男さんの「死にたい夜にかぎって」を知った流れで著者のこと、本書のことを知る。
こちらは田舎の書店でも発売日から比較的入荷されて並んでいた印象。
やっぱり、前作「夫のちんぽが入らない」が話題になったからですかね。
ちなみに、私はそちらは未読でした。なんとなく、敬遠。
まぁ、「ここは、おしまいの地」を読んで即、読みましたけども。
そちらの話はまた別に。
とにかく、1ページ目からおもしろい。
なんなんだ、この文章は。この著者は。何者だよ。
だんだん腹が立ってくる。
と、思えば、【川本、またおまえか】の章で泣かされる。
文のリズムが良く読みやすく、そのうえ、そこここでフレーズがおもしろい。
一体どうやったら、
こんなに純粋で、素直で、まっすぐなことばを紡げるのか。
わからない。
本書を読後に、前作の夫のちんぽが~を読んだとき
そのトーンの違いに驚いた。
こちらは明るく、あちらは暗い。
あの多様な出来事を経て、それらを受け入れることで
今の文章を書けるようになったのだろうか。
前作の読後にこちらを読むと、また異なる印象を受けそうだ。
さ、また読もう。
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ーーー予想外の出来事に遭遇しても、その状況ごと面白がりながら生きていけたら無敵に違いないーーー
勝手ながらたとえさせていただくと、こだまさんの印象はTBS系列ドラマ「カルテット」で松たか子が演じたマキさん。小さめの声と華奢でおしとやかな外見をしながら、すごいおもしろい着眼点を持っていて、それをキレイな文章におさめてしまう。
底が知れない。
一度だけ、イベントに登壇された姿を拝見した。
あがり症と仰る通り緊張されていたが、男性陣に囲まれて紅一点ドッカンドッカン笑いをかっさらう喋り口は文章のイメージとまったく異ならなかった。
教師をされていた過去がしっかりと根づいた丁寧な筆致で、急にきもちのよいほど悪態をつくから笑ってしまう。
前作が半生を描いた、ご主人とのことに焦点をおかれて書かれていたものだとしたら、二作目の本書は多方面にこだまさんの冴え渡る視点が散らばっていて、どちらかというと肩の力を抜いてクスクス笑ってしまうエピソードが凝縮されている。その中で時にポンッと不意打ちのような展開を迎えるお話がいくつかあって、ひとの優しさや哀愁みたいな、直視できない痛みやあたたかさをグイッと突きつけてくる。
「私の守り神」で、入院した著者のために母が「無印のパンツ」と間違えて購入してきたパンツのくだりは、親子だからこその可笑しみと、哀しみが交互にやってきてすごく苦しかった。
「川本、またおまえか」はクイックジャパン本誌で読んだときから、自分の中にいろんな感情が渦を巻いて、動けなくなった。
「モンシロチョウを棄てた街で」は、こだまさんが書くことをはじめた大切な一歩が描かれている。
ひとつひとつの目次をあげていけばきりが無いほど、この一冊はこだまさんのブログを以前からこっそり読み続けてきた身としては、こだまさんをこだまさんたらしめた環境、関係、経験、体験、すべてでできている。
ご夫婦の何とも言えない関係性がとても好きなので、「巻き込まれの系譜」もたまらなかった。ご主人がこだまさんのことを面白がっている様子がたまらない。そして全身でその期待を裏切らないこだまさんのギャグ漫画みたいな光景がたまらない。ドリンクバーの製氷機が壊れて「どこでも事件を起こすんじゃないよ。」とご主人に叱られるこだまさん、ふたりの関係性が夫婦であり親子のようになる瞬間がのぞくとお得感で胸いっぱいになる。
いつか、いつかという日が来るのだろうか。
秘密の共犯者であるような不思議な気持ちを勝手に抱きながら、言えないから書いていることを一粒残らずすくい上げて読んでいきたいと思っている。
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こだまさんの文章を読んだあとは 決まってこだまさんをギュッと抱きしめたくなる。
おしまいの地での思い出の記述は、自分の幼い頃の感覚(アザとか赤面症とか対人恐怖とか親の暴力とか)が蘇ってくるよう。どこか似ている。似ているので、笑いながら泣いてしまう。小さかった自分がここにいたら、きっと何も言わず抱きしめているだろう。
『川本、またおまえか』が特に残る。大人になってからの川本の最後の言葉に、胸がいっぱいになった。
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”夫のチンポが入らない”の著者の二作目エッセイ。
前作とは違い生まれ育った地での友人・家族との実話を綴っています。
学生時代の寂しさや葛藤・繰り返す入院生活と変わらぬ夫との日々。卑屈になりそうなストーリーを、彼女らしくユニークに受け止める彼女のエッセイは、面白いの一言です。
『失くなったものをあれこれ考えても仕方ないよ。残っている指で対抗するしかない。(文中より)』
陰気で卑屈な彼女が生きてきた中で、大切にしてきただろう言葉や考えが、強くて温かい。
私の中でエッセイの女王は”さくらももこ”さんでしたが、彼女を超える人は初めて。
ただただ面白いです。
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一気読み。
自分は何にこだわって
どこめざして
なに頑張ってるんだろーなぁ。
んなこと、どーでもいいな、と思える。
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結構不幸な人生を歩んでいるのに何故か悲壮感が漂わない不思議な感じ、積極的にガシガシ前に進んでるって感じではないけれど、後ろ向きでもなく少しずつゆっくり前に進んでる感じがとても印象的だった
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早くも今年一番の本だと思われる本に出会った予感がする。何年か前に笑福亭鶴瓶さんの鶴瓶ばなしという講演を聞きに行ったことがある。とても楽しくゲラゲラ笑っていたけれど、いつのまにか最後には感動していた。その時に話のプロのすごさを感じた。この本も同じく面白く大爆笑するが一行あとには、しんみりさせてくる。感情の起伏がジェットコースターのようにめまぐるしい。この感情の起伏は作者が狙って書いているんだろうなと読んでいて感じた。やはりプロの仕事を感じる。前作も読んでみようと思う。
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ヤンキーと百姓が9割を占める集落で生まれ育ち、心身共に病気を患い、様々な災難に見舞われながらも、おしまいの地で暮らす主婦こだまさんのエッセイ集。
著者のお父さんがスーパーで、魚を「虫より安い!」と興奮ぎみに言ったり、トイレットPという買い物メモをトイレットピーと読んで探しまくるというエピソードに思わず吹き出し、心を掴まれ、読み始めた。
が、次から次へと語られる著者の経験が想像を越えてきて時々心がヒリリともした。
恥ずかしいこと、辛いこと、悲しいこと、惨めなこと、あらゆるネガティブな出来事を自分の中で消化して(昇華して)静かに優しく語っていて、楽しさと尊敬と辛さと色々な感情が入り混じって一気に読みきった。
「私が入院や通院で得たのは「どのようにでも生きられる」という強いメッセージだった。」という文章が心に残った。
状況は泣きたくなるほど最悪でも、例えやユーモアが絶妙でクスッと笑えてしまう。
けど、狙い過ぎていなくて、伝えたいことや気持ちは素直でまっすぐに書かれているから伝わってくるのかな、と思った。
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どうしようもない不運の中で、ときおり差し込まれる奇跡のような言葉や瞬間がある。それはこだまさんだから掬い取れたものなのだろうな。
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<感想>
最近話題になっている「こだま」さんの自伝的エッセイ。
前作の「夫のちんぽが入らない」がすごく良かったので手に取る。
面白いなぁー、こだまさんが書く文章(´∀`*)
最初から最後までずっとニヤニヤしながら読んでた(笑)
「ヤンキーと百姓が九割を占める集落」で育った作者のオモシロ経験が豊富過ぎる…
あと「トイレットピー」を連呼する親父も(笑)
でもこの本は「笑い」の要素だけではなく、家族・人生についても考えさせられる。
こだまさんの家族に対する考え方。
いかに自分のことにしか目が向いてないか改めて気付かされる。
祖母、母、またはこれからの家族の幸せ。
現実から逃げずしっかりと考えないといけないと、そう思わせてくれた。
こだまさん自身がいわゆる「勝ち組」、「社外的な強者」ではないからこそできる考え方、優しさが作品全体に漂っている。
異なる異分子からの刺激で前向きになれる人もいれば、自身とベクトルの近い人が頑張る姿を見て前向きになれる人もいると思う。
自分は後者かなと、そういう意味で本作品はとても合っていたように思う。
押し付けがましくなく、そっと寄り添う人生論というか、そんな感じ。
いつかまたチョコモナカジャンボを食べながら再読しよう(´∀`)
<印象に残った言葉>
・蟹を見て「虫よりも安い」と冷やかす父、そんな父の言動を綴る私。ふたり揃って友達がいない。休日の予定もない。世の中を知らない。父と並んで無言でチョコモナカジャンボを食べる。隣にいるのは間違いなく二十年後の私だ。(P11)
・しかし注文したはいいが、どれも大して使われないまま祖父母の仏壇の前に並べられていた。まるで先祖へのお供えのようだ。ともすると生き返りを願うポジティブな宗派にも見える。仏間が本格的なジムになる日も近いだろう。(P16)
・中学生、あなたはなんとも頼もしく、神々しいのか。(P37)
・悲哀でも恨み節でもない。同情を求めたりもしない。だが仲間の体調な家族のように気遣う。投げやりにならず、かといって無闇に希望ばかりを語らず、ただ一日、一日を生きる。現実をありのまま受け入れている人たちだった。(P39)
・そんなこともあるよ。気にしないで。(P108、アメリカさん)
・家を出て気が付いた。自分はとても小さな枠の中で生きていたこと。家族や顔見知りの評価がすべてで、そこから外れてしまう私は救いようのない人間だと思い込んでいたこと。誰かと比べて落ち込んだり、いい気になったりすることに意味などないこと。この世には卑屈で陰気なままの私を好きになってくれる人もいるということ。(P158)
・違う、違う。第二の藤木直人よ!あの子、あの顔が好きなんだわ!(P167、母)
・いまの私に「ええい、うるせえ」と撥ね飛ばせるほどのこだわりがあるだろうか。人と顔を合わせると、どうしても流されてしまう。決意は砕け、自分がどこかへ消えてしまう。トニックシャンプーをぶっかけ、パサパサの髪を振り乱していた十代の尖りに立ち戻りたい。(P241)
<内容(「Amazon」より)>
スーパーの鮮魚コーナーを物色していた父が、
一匹八十円と書かれた蟹を見て「虫より安いじゃねえか」と呟いた。
『夫のちんぽが入らない』から1年。
“ちょっと変わった"人生のかけらを集めた自伝的エッセイがついに書籍化!
著者の実話を描いた私小説『夫のちんぽが入らない』。その衝撃の関係性が口コミで瞬く間に広まり、2017年1月の発売からいままでで13万部(2017年12月現在)に到達し、異色のデビューとなった。主婦こだまの満を持してのデビュー2作目は、『Quick Japan』誌上で掲載した読み切りと連載「Orphans」をもとに改稿した短編集。家族や職場、これまで経験してきた著者の半生を描く。
何もない“おしまいの地"に生まれた実家は空き巣に何度も入られ、訪問販売の餌食だったこと。中学の卒業文集で「早死しそうな人」「秘密の多そうな人」ランキングで1位を獲得したこと。引越し業者でさえ「これは最強っすね」と袖口で鼻を押さえながら言ってくる「臭すぎる新居」での夫との生活。
生まれ持った気質なのか、見事なまでに災難に巻き込まれる“おしまいの地"での出来事。
◆目次
父、はじめてのおつかい
雷おばさんの晩年
ふたりのおばさん
私の守り神
ここは、おしまいの地
金髪の豚
川本、またおまえか
モンシロチョウを棄てた街で
春の便り
先生のうわさ
巻き込まれの系譜
穂先メンマの墓の下で
偽者
傘
言えない
すべてを知ったあとでも
いちご味の遺品
春の便り、その後
首に宿る命
父のシャンプーをぶっかけて走る
あとがき
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元々ブログからのファン。
120%で生きてるのが伝わってきて、思わず笑っちゃうようなところがたくさんあるんだけど、ふとした所で号泣させられる。
例えば「お母さんを笑うな」のところとか、死ぬほど泣いてしまった。家族のことって笑ったりしやすいし、色んな可笑しみがあるんだけど、その根元にあるのはどうしようもない家族への愛情であって、他人にズカズカ入り込まれたくない部分だったりして、そういう普遍的なんだけど絶対的な感情を、グワッと目の前に突き出される感じ。この人の文章はなんかすごい。
何故かスムーズに生きられない人の、なんなんだ?この世界は?みたいな目線から書かれた文章がやっぱり私は面白いし心地よいから、幸せいっぱいな人が書いた文章は読めないな、と思う。性格が悪いかもしれないけど。
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前作に比べタイトルの衝撃度は大幅に後退したが、生まれ育った集落をはじめとする著者の半生が綴られた中身は今回も刺さる。読んでいて辛い話も多い中に微かな希望を見出す文章に前を向いて生きる力強さを感じた。個人的には『川本、またおまえか』と『いちご味の遺品』が温かくて好き。
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「戸をちゃんと閉めて歩きなさいな。戸を閉めない子はお股が緩むよ」
ー
「今のあなたは転んだだけで死にます」