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  • 販売開始日: 2018/03/16
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • ISBN:978-4-10-130527-1
一般書

冬を待つ城(新潮文庫)

著者 安部龍太郎

小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その兵力はなんと15万。わずか3千の城兵を相手に何故かほどの大軍を擁するのか。その真意に気...

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冬を待つ城(新潮文庫)

税込 924 8pt

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商品説明

小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その兵力はなんと15万。わずか3千の城兵を相手に何故かほどの大軍を擁するのか。その真意に気づいた城主九戸政実は、秀吉軍の謀略を逆手に取り罠をしかける。あとは雪深い冬を待つのみ――。跳梁する間者、飛び交う密書、疑心暗鬼、そして裏切り。戦国最後にして最大の謀略「奥州仕置き」を描く歴史長編。

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書店員レビュー

九戸政実はなぜ天下人に戦いを挑んだのか

ジュンク堂書店福岡店スタッフさん

九戸城を囲むのは豊臣方6万。それに対するは九戸軍3千。豊臣秀吉の下に天下が統一され、国内での争いが収まりつつある中、九戸政実はなぜ天下人に戦いを挑んだのか。

戦国最後の戦であるとされる『九戸政実の乱』は、一般にあまり知られていません。後北条氏が滅ぼされた『小田原征伐』の直後であったことの影響も大きいでしょうが、予想外の苦戦を強いられたため、豊臣政権による情報の隠ぺいが行われたためだとも言われています。舞台となるのは陸奥国糠部郡、現在の岩手県二戸市にあった九戸城。東北の一地方で起きた争いは、天下諸侯を巻き込んだ大きなモノへと変貌していきます。

物語の背景となる要素は主に三つあり、まずは一つ目は南部氏と九戸氏との関係性。本来ほぼ同格であった両氏の立場は、豊臣秀吉による『奥州仕置き』によって大きく変わり、両家の間で争いが起きる大きな要素の一つとなりました。

二つ目の要素は文禄・慶長の役。いわゆる朝鮮出兵です。『九戸政実の乱』が起こったのは天正19年(1591年)のことであり、文禄元年(1592年)に始まった文禄・慶長の役の準備がすでに始まっている時期のことです。なぜそんな時期に、東北への大規模な遠征が行われたかというのが、この作品の一つの肝となります。

三つ目の要素となるのは、『東北』という地域。古くはヤマトタケルや坂上田村麻呂による蝦夷討伐や、源頼朝により奥州藤原氏が滅ぼされた奥州合戦。近代においては戊辰戦争での奥羽列藩同盟など、『東北』という地域は、常に中央政権からの圧力にさらされて来た場所です。そうした歴史や地域性が、物語の根幹となります。

語り手となる九戸(久慈)政則、九戸実親などの九戸一族や郎党、そして敵方となる豊臣軍の諸将、蒲生氏郷や南部信直らも丁寧に描いている本作。しかしその中でも別格の存在感を放つのが、やはり主人公である九戸政実。九戸党の当主として長く南部家を支えてきた武辺者でありながら知略も備えおり、『東北』のために信念をもって戦いの道を選ぶ姿は見事の一言。

一人の男の気高い生き様が、巧みな筆致で描かれた素晴らしい作品となっていますので、興味を持たれた方はぜひご一読ください。

みんなのレビュー10件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (5件)
  • 星 3 (3件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

九戸政実ほか詳しく

2017/11/24 10:05

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る

九戸政実が圧倒的に兵が多い、豊臣軍に対して戦いを挑んでいったのか、その人生や他の武将との関係などから書かれ、九戸政実の生き方が分かる。

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深い味わい

2018/11/10 17:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ガンダム - この投稿者のレビュー一覧を見る

テーマからは想像するものとは違って、なかなか深く読ませる内容で、久しぶりに
面白い歴史小説でした。もう一度読んでみたいと「思いました。ぜひ一読を。

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見事な歴史小説であり、推理小説でした。

2018/09/28 08:57

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

見事な歴史小説であり、推理小説でした。持久戦を選択しておきながら、僅か4日で降伏したという“九戸政実の乱”の不思議(謎)の解明を主題とした歴史小説に、推理小説(石田三成-津軽為信-九戸家三男・康実という内通関係)を絡めた二重に美味しい作品でした。ただ個人的には九戸家4兄弟全員が死ぬことを前提とした戦い方が本当に理想的なものであったかという疑問が付き纏う。まあ結果的には4人中2人が生き延びているのだから、私の要望にも応えてくれてるのだが。歴史的人物や事象が様々な形で登場してくるのは本当に楽しいですね。本作では、津軽為信、石田光成、伊達政宗などが性悪な悪人として登場するが、特に津軽為信の極悪非道の悪人ぶりは少々可愛そうなくらいでした。

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思った以上に物語として面白い

2021/05/22 10:04

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る

九戸城に行く前に読みました。見る立場から見方は変わるとは思いますが、東北の人々の思いがよく伝わってきました。もう少しお城や合戦のことが詳しく書かれていたら良かったです。

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解釈と構成が絶妙

2019/10/12 22:59

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る

九戸政実の乱を描いた小説としては高橋克彦の作品があるが、違った解釈が採り入れられている点で楽しめた。
話の途中で、随所に挿入される手紙や会話により様々な視点が入り組んで、ストーリーが深くなっている。
陸奥の意地を感じられて、清々しい作品である。

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2017/11/27 17:50

投稿元:ブクログ

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2018/01/03 11:19

投稿元:ブクログ

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2019/01/26 12:04

投稿元:ブクログ

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2021/08/26 02:07

投稿元:ブクログ

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2021/11/03 07:27

投稿元:ブクログ

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