築100年の「刻の湯」に縁あって集った人たち。 命を削って書かれた生き抜くドラマ。 読むと生きる力が湧いてくる。 銭湯の広い湯船につかったように。
2023/03/14 09:52
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
近所の銭湯「みどり湯」(目黒区緑ヶ丘)の待合スペースにおいてあったサイン本。
「パニック障害は天才がなる病気ですよ。治らないほうがいいですよ。小説を書けなくなります。病気があなたを作家にしたんですよ」
作家宮本輝は、25歳の時から心の病と戦っていた。
仕事ができなくなり、引きこもり、文筆業を志し、31歳で芥川賞を受賞した。
その後も病は氏に襲い掛かった。
その時、担当医にかけられたのがこの言葉。
それからの氏の活躍はここに記すまでもない。
「メゾン刻の湯」の作者も、若くして心の病と戦っている。
苦しみ抜き、自分と向き合い続ける中でしか、見えないものがある。
この小説は、命を削って書かれた美しい人間の生き抜くドラマがある。
大学を卒業しても就職が決まらず、刻の湯に転がり込んだ主人公マヒコ。
自分に自信が持てず、さげすんでばかりいる彼が、刻の湯で春夏秋冬を仲間と過ごし、大事なものに気がついていく。
彼が変化したわけではない。
彼は彼のままで、彼にしかできない使命を果たしていくのだ。
抗いようのない運命に道をふさがれそうになっても、道半ばに倒れたように見えたとしても、また自分の足で歩いていけばいい。
そして疲れたら、広い湯船につかればいい。
読むと生きる力が湧いてくる一書。
築100年の「刻の湯」に縁あって集った人たち。 命を削って書かれた生き抜くドラマ。 読むと生きる力が湧いてくる。 銭湯の広い湯船につかったように。
2022/01/06 10:16
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「パニック障害は天才がなる病気ですよ。治らないほうがいいですよ。小説を書けなくなります。病気があなたを作家にしたんですよ」
作家宮本輝は、25歳の時から心の病と戦っていた。
仕事ができなくなり、引きこもり、文筆業を志し、31歳で芥川賞を受賞した。
その後も病は氏に襲い掛かった。
その時、担当医にかけられたのがこの言葉。
それからの氏の活躍はここに記すまでもない。
「メゾン刻の湯」の作者も、若くして心の病と戦っている。
苦しみ抜き、自分と向き合い続ける中でしか、見えないものがある。
この小説は、命を削って書かれた美しい人間の生き抜くドラマがある。
大学を卒業しても就職が決まらず、刻の湯に転がり込んだ主人公マヒコ。
自分に自信が持てず、さげすんでばかりいる彼が、刻の湯で春夏秋冬を仲間と過ごし、大事なものに気がついていく。
彼が変化したわけではない。
彼は彼のままで、彼にしかできない使命を果たしていくのだ。
抗いようのない運命に道をふさがれそうになっても、道半ばに倒れたように見えたとしても、また自分の足で歩いていけばいい。
そして疲れたら、広い湯船につかればいい。
読むと生きる力が湧いてくる一書。
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投稿者:森ひとつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
既存の社会や世間からのはみ出し者たちが集まる、刻の湯。悩み、考え、苦しみ、紡いだ時間は、決して無駄にはならない。読み終えるのが惜しくて、最後は一頁ずつ間をおいて読みました。
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就職活動が上手くいかなかった主人公をはじめ、はみだし感のある人たちが集まるお風呂屋さんでのシェアハウス。主人公のキャラが強いんだか弱いんだかブレがあるのが気になっていまひとつ入り込めなかった。ラストもなんだかな、とすっきりしなかった。救いがあるんだかないんだか…。
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テレビドラマになりそう。配役はどうなるかしら?
他の方のレビューにも書いていましたが、ちょっと詰め込み過ぎな感じがしました。お話作りはとても上手でぐんぐん読める作家さんなので、テーマを絞って掘り下げて書いた作品を読んでみたいです。
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近所の銭湯「みどり湯」(目黒区緑ヶ丘)の待合スペースにおいてあったサイン本。
「パニック障害は天才がなる病気ですよ。治らないほうがいいですよ。小説を書けなくなります。病気があなたを作家にしたんですよ」
作家宮本輝は、25歳の時から心の病と戦っていた。
仕事ができなくなり、引きこもり、文筆業を志し、31歳で芥川賞を受賞した。
その後も病は氏に襲い掛かった。
その時、担当医にかけられたのがこの言葉。
それからの氏の活躍はここに記すまでもない。
「メゾン刻の湯」の作者も、若くして心の病と戦っている。
苦しみ抜き、自分と向き合い続ける中でしか、見えないものがある。
この小説は、命を削って書かれた美しい人間の生き抜くドラマがある。
大学を卒業しても就職が決まらず、刻の湯に転がり込んだ主人公マヒコ。
自分に自信が持てず、さげすんでばかりいる彼が、刻の湯で春夏秋冬を仲間と過ごし、大事なものに気がついていく。
彼が変化したわけではない。
彼は彼のままで、彼にしかできない使命を果たしていくのだ。
抗いようのない運命に道をふさがれそうになっても、道半ばに倒れたように見えたとしても、また自分の足で歩いていけばいい。
そして疲れたら、広い湯船につかればいい。
読むと生きる力が湧いてくる一書。
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初出 2018年 ウェブサイトcakes
著者初の小説
大学を卒業しても就職先も住む場所も決まらないマヒコは、古い銭湯に住み込んで手伝うことになる。
同居人は、オーナーの戸塚老人のほかは同年代で、IT企業をやめた実質的経営者アキラ、片足が義足の美容師、トランスジェンダーのプログラマー、マレーシアとのハーフなど、社会からの疎外感をもっている。
迷い込んでくる徘徊老人を拒まず、戸塚老人の孫で母親に育児放棄されたリョータが加わると、いじめを受けていた学校に行かないという決断を尊重するが、銭湯寄席に出演させ自信をつけさせる。
メンバーはそれぞれに自分の問題に向き合い、仲間の絆を強めるが、老朽化した施設設備の更新のためのクラウドファディングの中で、アキラの秘密にマスコミが殺到して大混乱になってしまう。
なかなか深いテーマをさらりと書いているエンタメ作品。
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面白かった。
以前に作者さんの自伝を読んだことがあり、その時は「大変そう」なことはわかるものの、その大変さには共感できなかった。
しかし、このフィクションだと、架空であるがゆえに、たくさんの登場人物達の表現に、作者さんの気持というか、わからないものはわからないままに面白いという感じがすごくする。
この距離感の保ち方、ストーリーテリングの巧みさは個人的にはすごく好み。
自作も楽しみに読もう。
ただ、この作品をcakesの記事で知ったのだが、ネタバレない方が楽しかった。オチを知らないままに読みたかった、もったいないことをした!と言う気持もある。記事を読まねば新作が出たことを知れず、記事を読むとネタバレに当たる。つらい。
次作の特集の際にはネタバレに気をつけよう。
そして、作者さん単体でチェックしておこう。
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”正しく”なくても
”ふつう”じゃなくても
懸命に僕らは生きていく。
銭湯×シェアハウスを舞台に描く希望の青春群像劇‼
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自分の人生を改めて考え直すきっかけとなった...と言えば言い過ぎかもしれないけど、銭湯刻の湯を軸にした日常系小説かと思いきや、ものすごく深みのある小説でびっくりしました。
読み終わった後も心の中がなんだかグチャグチャとしてしまっているんだけど、今まで読んできた小説とは違った角度から自分の思考にいろいろなことを伝えてきて、今はなんだか謎の焦燥感に包まれています。
みんな何かを抱えていて、物語に登場する一人一人の口から語られる過去の出来事はとても壮絶で、、、
主役のマコもマコでそうなのだけど、マコは自分なりにその抱えているものと戦って、みんなを自分なりに助けようとしている姿はとても素敵で。
結果的に刻の湯で1番必要な存在だったのではないかなと。
マコが変わっていく姿は序盤がとても頼りない存在だっただけに笑、なんだかとても勇気づけられました。
過去にあった出来事がなければ、皆それぞれがまた違う人生を歩んでいたのかもしれないけど、刻の湯での出会いをきっかけに変わっていく姿はこれまで登場人物たちが壮絶な人生を歩んできたことを肯定してくれるようなそんな物語になっている気がしました。
過去にあった壮絶な出来事が今の彼らを形作ったことは確かで生きづらさを感じる人生を歩んできたのかもしれないけれど、それでもいづれそれと折り合いをつけて、自分なりの人生を歩んでいくことができるのであれば、それはそれでまたいいのかもしれないなぁと。
そうした自分が形作られていくのは過去の出来事があったからこそだと思うので。
ゴスピくんがオフ会で自分の似たような人たちと出会ってみたけどむしろ場違いに感じたというような部分があったかと思います。僕もそこにとても共感してわかるなぁと思いました。
趣味が合う人と同じ趣味について話していても全然楽しくなくて、一人で楽しむ方が自分にとっていいなと思うことがよくあるからです。
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片足の美容師がいいキャラクターだと思いました。
話は普通だと感じました。
セリフがややくさく、苦手だった。
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老舗銭湯に居候する若者達の物語。
普通の就職から離脱したマヒコは、アキラと出会い、下町の銭湯で居候達と暮らしだす。
マヒコの幼なじみで自由奔放な蝶子、セクシャルマイノリティのゴスピ、義足の龍くん、プライドの高いまっつん、銭湯主人の戸塚さんと孫のリョータ。
それぞれがいろんなbackboneを抱えながら不器用に暮らす。
しかし刻の湯の危機を発端として、歯車が狂いだす。
それぞれの運命はいかに。
作者初の小説です。
表現は少し回りくどい気もしますが、登場人物の心理を一生懸命描写しようとしている作風が伝わってきます。
自作も読みたいと思わせる作品でした。
人間完璧でなくてもいい、ありのままを受け入れる人と生きればいいと思う作品。
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歴史あるものの価値、とか、地域の資源、といった言葉の本質的な意味を、僕は実感することができない。刻の湯は僕にとっていささか年を取りすぎているし、この地域にだって成り行き任せで1年弱住んだだけの、ただの腰掛け野郎だ。けれど、そこにあるというだけで意味のある場所がこの世の中に存在することくらい、僕にだってわかる。刻の湯がなくなってしまったら、ここで暮らした月日が、僕だけじゃない、多くの人がここで過ごした途方もない量の年月が、瓦屋根や、水道管や、煙突とともに、全てごっそりと失われてしまうような気がした。(p.213)
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図書館で借りたもの。
”正しく”なくても
”ふつう”じゃなくても
懸命に僕らは生きていく。
銭湯×シェアハウスを舞台に描く、希望の青春群像劇!
初読みの作家さん。
銭湯が舞台で面白そうだなーと思って読んでみた。
シェアハウスのわちゃわちゃ感を期待してたけど…。
「青春群像劇!」って紹介にあるけど、最後の方「おっも…」って感じだったよ(笑)
『骨という骨の隙間が開き、そこに温もりが潜り込んでくる』
あー大きいお風呂に浸かりたい!!
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最後の結末は正直微妙…、だけど現代社会をそのまま切り取ったようなウィットさはよく表現できてて面白かった。下ネタが全体の質を下げている気がするのでもったいない。
しかし、さもブロマンスを匂わせ過ぎやろう…公式でやられると萎えちゃうアレ。なので主人公やトランスジェンダーの子より、認知症のおじいちゃんのエピソードが一番萌えた(笑)