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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は詩人ではない。
思いを言葉にすると、偽りに響く。
思いが言葉になって、流れ出てしまう人を詩人と呼ぶのだろう。
だからかもしれない。
こころと言葉が争ってしまう。
争いなんて。
不毛なものとしてしか存在しないのに。
死と、ことばに。
等しく意味が宿るなら。
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面白かったです。
始終、鬱々とした空気でした。でも、好きな鬱々です。
探偵くんが詩人で、詩人仲間…というには薄い関係ですが、彼らの死の真相を調べていきます。
各章の冒頭に詩が載っているのですが、どれもそれぞれ良いです。死が香る言葉たちで。遠野昼夜さんの詩が好みでした。
死について調べていくことで、何を探るんだろう…詩人とは死ぬことで完成する、永遠になる、ということ?と、これは推理小説なのか…?と思いながら読んでいたら、すっかりやられました。
探偵くんは10年前の探偵くんではないなんて。。
蒼ざめた馬≠蓮見くん。
盗作…自分の創造したものではないもので称賛されても誇らしくなれるのだろうか。わたしにはわからない感覚です。。
探偵くんは言葉を紡ぐかは分からないですが、これこらも生きていくのだろうなと思いました。
病んでいるから、言葉を紡げるという感覚はわかる気がします。
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文庫化。
ミステリ寄りの一般文芸というか、謎や理由というものは、そこまで重きを置かれていない感じがする。どんでん返しは最後に用意されているが、あるキャラクターが登場した時点で予想がつく範囲内。登場人物ひとりひとりに寄り添って読むタイプの小説だと思った。
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現代詩が好きなので、どうしても厳しい見方になってしまう。でも、日曜の夜に月曜日の活力を犠牲にして読んだということはまあ、それなりに惹かれていたのだろう。
なんつーか創作の業とか盗作のようなテーマは古すぎるよ。想像力のかけらもないと思う。たがみよしひさが90年代に30ページの漫画で描き切っていて、てことはそれ以前に大量の先行者がいたってことで、それを今更やる鈍感さには呆れ果てる。チェイサーとかアオイホノオとか漫画を描くことについての漫画がしかも良質なものばかりが量産されている現在に、創作者モノをしんきくさーくおセンチに高尚ぶって書くのはトップグループから何周も遅れてゴールして一位だと勘違いして喜んでいるのに等しい。どんなに深刻ぶってみても、等しい。
ただ、生きづらさに悩んで生きたり死んだりする人たちがリアリティーを待って作品の中に存在することは、それだけは尊いことだ。
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私もミステリーに対してホワイダニットに重きをおく。その悲劇性か人間の心理が好きだし、なんだったらトリックやアリバイは二の次でいい。それは物語の探偵が解いてくれるものだ。
主人公「僕」の異様なまでの探究心の正体を知った時、あぁ、と私は物悲しくなった。
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韻を踏むという技法がありますが、同じ音である「死」と「詩」が隣り合わせで紡ぎ出されるこの物語、ひたすら暗い重苦しい雰囲気なので、ふだんの私なら途中で嫌になる所なのに妙に引き込まれました。
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6月から秋にかけての物語なのですが、物語全体に纏わりつくような雨の気配が金沢らしい。金沢駅から香林坊まで歩いたことがある人は、思いあたる場所がたくさんあって楽しいと思います。犯人が追い詰められる崖の上や、2時間ドラマの殺害現場以外の石川県が読みたい人に。
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生きて詩は書けないのか。
詩と死を巡るお話。
主人公が鬱々としていて生きづらそうで、
なかなか読むのがしんどい。
探偵と呼ばれ執拗なまでに、なぜ?を追った彼の
動機が明かされたときは、やられたーと思いました。
まぎれもなくミステリー小説でした。
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自殺した詩人たちのことを調べる「探偵くん」。なぜ死んだのか、死なないと詩人になれないのか、生きて詩を書くことはできないのか。調べたからといって答えはないし、「謎を解いて遺された人を救う」なんてことにもならない。遺されたひとの「どうして」は永遠に解消されない。
どうしてそこまで拘るのだろうと、途中からちょっと思い始めてしまったけれど、最後で腑に落ちた。
「生きて、書いて、いいんだよ」
棗のようにそう言ってしまいたくなるし、そう言うしかないと思う。
その、棗。
健康的で、なんでも持っていて、いつだって日の当たる場所をなんの疑問もなく歩いていける、だいきらいな親友。
棗の執着は、本当に草間の思ったところにあるのかなあ。
棗視点のはなしがぜひ読みたい。
言葉を尽くしているのに言葉が足りない。
最初から最後まで、そんな印象。
そしてそれでいいのだろうな、と思う。
草間が絞り出すように紡いでいく言葉だから。
その言葉たちが、まだ私の心にも響くことが分かって、そのことがとても嬉しくて、ありがとう、という気持ちになった。
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詩を書いて生きたいと思っている人たちの、死のお話。死ぬことと生きることと詩を書くことがたくさん詰まっていて、息苦しいほどだった。最後まで読んで、やっぱりミステリなんだと思った。
2019/10/19
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タイトルと表紙から軽めのミステリー小説と思って手に取ったら完全に予想外の展開。
✖️ミステリー小説で謎解きやトリックを重視する人には向かない
「誰が」「誰のせいで」「どのように」死んだことより、「なぜ」死ぬことになったかについてを重視した話。根気強くないと前半で頓挫するかも(根気強く最後まで読んだら面白いけどね!)
◎いつもと違うタイプの小説を読みたい人におすすめ
ランキング上位の本や書店の店頭に平積みされている本では満足できない人は、数ページだけ読んでみれば良いと思う。街灯が10メートル間隔で立っている河川敷を歩くような、真っ暗ではないけれど不安定な暗さがずっと続くような文章の虜になる人は一定数いるはず。
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『それでも僕には欲望があるのだ。僕は、見つけたい。』
ーーーとある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者ら別れ際に、今後も創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。ーーー
凪……凪の物語だし、凪の心で読んだ。『何にもなれなかった創作者への哀悼を描く、謎と祈りの物語』って煽り文、とても良い。はっきりしたミステリ物が好きな人は物足りないと思う。ただ、『なぜ死んだのか』を追いかけるストーリー。創作者を軸に、死を見ながら正を考える物語。生きて書き続けても、死んで書き終えても、変わらない。哀悼……。趣味で散文を書いたり書かなかったり書かなかったりしていたのでとても染みた。凪……。
人の死と自分の死を改めて考える物語だった。何にせよ死というものは残っている人が考え感じる物なんだと改めて思う。創作は、創作については、しんどいの一言。作るのもしんどい、作らないのもしんどい。結局、答えというか、やりたい事は自分で頷いて行くしかないんだな、と、思った。スッキリとした回答はないから、ずっと考えていられる物語だった。
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創作サークルのメンバーが次々と不審死を遂げ、名探偵がその謎を追って、ついに意外な真相が、てな話ではなかった。一応、推理と謎解き的な展開はあるのだが、それは決してカタルシスをもたらさず、単に創作を巡る業みたいなものが一瞬顔をのぞかせると言った展開。
コミュ障の主人公にはいらいらさせられるが、こういう主人公しかあり得ないわけだし、期待してたような話じゃなかったが、つまらないとは言わない。
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SNSのコミュニティ「現代詩人卵の会」のオフ会に集まった9人。10年後の再会を約束し集まった時に、その半数が既に亡くなっていることを知る。
彼らは何故死ぬことになったのか。詩は彼らの死に関与するのか。そして何故詩を書くのか。
詩を書くことに疑問を抱くようなっていた僕は、彼らの死について調べることにした。
全編に「何故」という思いが満ちた物語。その「何故」がミステリとしての骨格を持ちながら、詩に対峙する僕の心情に影響を与える。
詩人の死は自死、変死が重なり、遺された親しい人たちに話を伺い真実をさらけ出すことは、新たなキズを生み出すことにもなる。それでも僕は知りたいと思う。
何故そこまで知りたいと思うのか。これもまた物語の骨格となり、終盤ミステリ的な意味も持つ。ミステリらしくない物語であり、驚愕の仕掛けや壮大なカタルシスがあるのでもない。それでもこれはミステリでしか書き得なかった物語でしょう。
暗く重く陰鬱な印象が強いのに、引き込まれて読み進めてしまう。そんな作品でした。
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1-4章までは正直それほど面白くなかった
上滑りする感傷的な文と動機しかないトリックで評価としては☆2くらい
でも最後の終章で主人公がやっと見えてきてそれはかなり良かった
感傷的な文に初めて少し私(読み手)5感情がのった
叙述トリックが上手かった
知ってから読むと矛盾してないのに初見で読んでも自然に読める
あと明日田さんの詩はどれも好き
終章の盛り上がりはかなり熱かったけど、それまでのそこに行き着くまでの道があまり惹かれなかった
☆4としたけど、気持ち的には☆3.5かな