紙の本
おもしろい
2018/08/21 19:46
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新薬をつくり出す先人たちの挑戦の歴史を、興味深く読ませていただきました。開発秘話や研究者の今後も、おもしろいです。
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訳者あとがきや解題に書いてある通りなんだけど、影響力が大きく、泥臭くてドラマになりやすいジャンルなのに取り上げられにくいという創薬分野の歴史とその時々の人物の挿話集。それぞれの話も面白く、分野全体としても得意性が強いので興味深い。特許などの制度は創薬に適応してるのかというとなんともインセンティブが歪んでる感は強い。
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新薬をめぐるドラッグハンターの歴史的攻防が描かれている。ドラッグハンターの思惑や、葛藤も記されていて親しみを持って読める。薬と同様に研究者も個性的である。
新薬探索のいつもの成り行き…新薬になりそうな分子の新しいライブラリーが発見され、主要な発見がいくつかなされ、業界全体がそのライブラリーに群がって短期間でライブラリーが枯渇する。
土壌、動物、植物、タンパク質、ホルモン、DNA操作
白血球は体で病原体を感知するとB細胞が速やかに増殖させる。短期間に数百万種類もの白血球を作り出せる。これらの白血球はそれぞれ異なる種類の抗体を作り出す。体は必要な時に必要なだけオンデマンド武器を作り出せるという事。人間ってすごいなぁ。
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話は面白くわかりやすく,しかも扱っている内容は深い.薬の開発にかける情熱の狂気じみた凄さや,偶然とも言える幸運や,製薬会社などの思惑など,アドベンチャー小説よりもワクワクした.
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大昔から現代まで、どうやって新薬が開発されてきたか、かなり分かりやすく説明してくれる。大収穫本。
以下気になった所を箇条書きメモ。
・マラリアの薬で儲けたのは、ルイ14世の王子を治療した英国人薬剤師のタルボー。彼は薬の原料を秘密としたが、死後それがキニーネだと明らかにされた。(多分マラリアの予防として飲まれていた)トニックウォーターには、キニーネが含まれていたが苦くて飲みにくいので、ジンが加えられ、ジン・トニックというのがカクテルが生まれた。(好きで呑んでたけど、そういう経緯があったのか)
・19世紀、バイエルがアスピリンとヘロインを作った話が面白い。また、フェンフルアミンというあまり効かない痩せ薬と、フェンテルミンというやはり効かない痩せ薬があった。その双方を合わせて摂取すると痩せられると分かった。しかし心臓に疾患をもたらすことが分かったとか。
・微生物から作ったペニシリンはとても貴重だった。摂取した患者の尿から排泄されるので、その尿を回収した。
・抗菌薬はせいぜい一週間ぐらいしか使ってもらえないので儲からない。ゆえに製薬会社はもう新薬を開発していない。耐性のある細菌の感染症には対処できなくなっていく(マジか!)
そんな話がてんこ盛り。新薬を開発するのは、意外なほど科学的ではなく、単なる偶然と一部の天才による思いつきによるものだと分かった。なぜ効くのか分からない(現代でも分からないの!?)薬があるそうだ。新薬開発は科学というより博打らしい。
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薬に関わるものとして、非常に面白く読んだ。解説にも書かれていたが、医薬品にまつわる経緯をこれだけ集めて、比較的分かりやすくまとめた本はなかなか無いと思う。植物からの薬の発見に始まり、化学合成のこと、抗生物質のことなどが製薬会社の動きなどと合わさって展開していくのは、ためになるところも多かった。
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新薬の開発はますます困難になってきており、ファイザーのようなメガファーマもこの頃では創薬からは手を引いて他社が作った薬の導入に専念したいと考えている。ここまで薬剤はどのようにして見つけられ(作られ)てきたのか、わかりやすい歴史的背景と豊富なエピソードで描かれた良書。
・薬剤の創造は当初は自然にある物質をそのまま使っていた。アヘンからモルヒネが合成され、さらにその誘導体としてヘロインが作り出された(日本におけるアンフェタミンのように当初は依存性のない薬として市販されていた)。ペルーのキナの木の皮からはキニーネが合成された。
・次に純粋に工業的に製造される時代が始まり、エーテルが麻酔薬として用いられるようになった。高価な塗料(巻き貝から作るティリアン・パープルやカイガラムシから作る深紅)の染料を作ろうとする中で、化学物質の構造を少し変えるだけで劇的な変化が起こることが知られるようになり、合成化学による創薬の時代が始まった。サリチル酸はすぐれた抗炎症作用を有するものの、胃痛や耳鳴り、吐き気などの副作用が強く使いにくい薬であったが、これにアセチル基を付与することでアスピリンが合成された。
・さらに、受容体仮説が提唱され、分子レベルで標的を定めた薬剤合成の時代が始まり、サルバルサンが作られた。
・そしてペニシリンが発見され、土壌由来の医薬品、特に抗生物質が大きなトレンドになった。当初はペニシリンは極めて貴重であったため、患者の尿は一滴残らず回収され、ペニシリンはリサイクルされていた。
・その後、分子生物学の発展により、大腸菌でインスリンが合成された。
・ピル、壊血病とビタミンC、セレンディップな抗精神病薬の発見
・グッドマンとギルマンはもともと大学の同僚であったが、ギルマンの方は息子をアルフレッド・グッドマン・ギルマンと名付け、この息子はGタンパク受容体に関する研究で1994にノーベル生理学賞を受けた。
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薬学概論の教科書として最適な本。薬学部に入学して最初に読むと良いなぁと感じた。創薬を目指す若手研究者にもオススメ。
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過去からの創薬にまつわるエピソードが紹介されている。
結局創薬は、今に至るも偶然に支配されている部分が大きいようで興味深い。
現在私がお世話になっているキイトルーダ(本庶先生のノーベル賞受賞で有名になったオプジーボと作用機序が同じ抗ガン剤)が使えたから、今生きながらえているので、今後もっと工業的手法で創薬ができるようになることを期待したい。そうなれば、創薬の確率が上がりもっと安価に開発できるようになり、もっと多くの人が救われると思う。
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日本語の副題「成功率0.1%の探求」とあるように、現在の新薬探しはビジネス的に成功する確率が非常に低く、さらに巨額の研究費が必要でほとんどの努力が無駄に終わることが多い。実際、創薬プロジェクトのうち、経営陣から資金を提供されるのが5%、そのうちFDAに承認されるのはわずか2%だそうだ。本書は、新薬を見つけ出すのがなぜ難しいか、新薬がなぜ法外な値段で売られているのか、新薬探求や創薬の歴史を振り返りながら解説している。
ノバルティス、バイエル、メルク、エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ、ベーリンガーインゲルハイム、ヘキストなど、名だたる製薬会社がなぜライン川沿いに本拠地を置くかにもふれている。19世紀後半、合成化学による合成染料産業の勃興と関係ある。
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我々は日々薬の世話になって生きている。 現在数多くの症状に効く薬が手に入るが、これは人類にとってごく最近の状況であり、多くのドラッグ・ハンターたちの苦闘のおかげである。 本書は新薬探索を、ボルヘスの名作「バベルの図書館」において「弁明の書」を探すことになぞらえ、その可能性の低さ、予測できない発見のストーリーを解説している。
それぞれの症状に適応する薬物を探すことは、その機序が分かっていてさえも困難で、不明な場合はなおさら難しい。 最も古くからある薬物の「ライブラリー」は植物であり、手に入る根や葉などを片っ端から試してゆくことで多くの薬が得られた。 新薬探索は、このライブラリーを拡げることでもある。化学の発展により得られた合成物質、土壌由来の微生物、バイオテクノロジー等々、新しい領域が開拓されてきた。 それでも目論みが当たることは稀で、試行錯誤や偶然が重なったことで得られた薬物が多い。
本書は創薬の第一線で40年近く活躍してきた研究者が著したもの。その難しさと面白さを、豊富なエピソードをまじえながら、歴史の流れに沿って語っている。薬が効く働きの解明、医薬品規制などの問題にも触れているが、解説は解りやすくて引き込まれる。
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めちゃくちゃ面白かった。薬学を半年しか学んでいない自分でもすでに授業で取り扱われるような有名な薬の生い立ちが描かれていて熱中した。ただドラマチックに書きすぎなところもある気がしてほんとに?ってよくなった。
薬学の起源、創薬の起源を知りたい人におすすめ。内容もさほど難しくないので教養として読んでもいい。
ピルの創薬の話はほんとワンピース感があった
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26203547
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創薬研究者による創薬の歴史を綴った本。
ものすごい情報量でした。
私たちが普段飲んでいる解熱鎮痛剤だったり、難病の方が飲む薬だったり、がん治療に使われいてる薬だったり、生活に「あたりまえ」にある「薬」。
その薬が、どのように発見され、使われ、安全を確保されてきたのか。それを、創薬の最前線を見ていきた著者が、過去の膨大な歴史を踏まえて説明している素晴らしい本でした。
この本を読んでわかったのは、私たちに役立つ薬を作るということは、ものすごくコストがかかり、ものすごく時間がかかり、そして何よりも、類稀なる発想力が必要であること。そして、時代や経済や運が全て合致していないとならないこと、でした。
そして、思ったのは、ヒトという物体が、まだまだわからないことが多い生命体だということ。効果の理由が解っている薬もあるけれど、解っていないけど効いている薬もある…。
少し前に聞いたPodcast「サイエンマニア」で、生命科学者のよう先輩が、人体を「オーパーツ」と表現していたけれど、本当に、人間の体の中で起こっていることは、当事者の人間すらまだ全然解っていないオーパーツなのだと…。
創薬に携わっている医学者・化学者の方々が戦いを挑んでいるのは、わけのわからない宇宙人が作ったわけのわからない道具のようはな「人体」なのだな、というのがわかりました。
最近聞いたPodcastの「いんよう!」で、100年後の医学はどうなっているか、というリスナーからの質問がありました。そこでヤンデル先生が、100年前はどうだったのか、と話を振っていたんですが、まさに、この本で読んだ世界でした。
薬学の教科書である「グッドマン・ギルマン薬理書」が出版されたのが1941年。
動物由来のインスリンが製薬として出ていたのが1923年(そしてヒトインスリンが発売されたのが1982年)。
ペニシリンが実用化されたのが1944年ごろ。
結核に効くストレプトマイシンが発見されたのが1949年。
ビタミンCが発見されたのが1930年代……。
この100年でどれだけ進んできたのか!
現代を生きる人が「あたりまえ」と思っている医薬品が、100年前にはあたりまえではなかったことに驚かされます。
この本は、図書館で借りて読んだのですが、後から参照したくなることがたくさんあったので、自分で買う必要がありそうな気がします。
薬を作っている研究者の方々、薬の安全性を評価してくださっている方々、薬を適切に処方してくださっている医師・薬剤師の方々に感謝です。
自分のために目次メモ
ーーーー
イントロ:バベルの図書館を探索する
第1章:たやすいので原始人でもできるー新薬探索の嘘みたいな期限
第2章:キンコン伯爵夫人の治療薬ー植物性医薬品
第3章:スタンダード・オイルとスタンダード・エーテルー工業化医薬品
第4章:藍色や深紅色やスミレ色ー合成医薬品
第5章:魔法の弾丸ー薬の実際の働きが解明される
第6章:命を奪う薬ー医薬品規制の悲劇的な誕生
第7章:新薬探索のオフィシャルマニュアルー薬理学が科学になる
第8章:サルバルサンを超えてー土壌由来医薬品
第9章:ブタからの特効薬ーバイオ医薬品
第10章:青い死からβ遮断薬へー疫学関連医薬品
第11章:ピルー大手製薬企業の外で金脈を掘りあったドラッグハンター
第12章:謎の治療薬ーまぐれ当たりによる薬の発見
結論:ドラッグハンターの未来ーシボレー・ボルトと「ローン・レンジャー」
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低分子から、中分子、遺伝子・再生、と新規モダリティの探索が進められている話を最近気にしているが、そもそも「低分子」の前はどうであったのかを知りたくなり、読みました。事前の期待以上に、知りたかったことをレビューできてよかったです。