紙の本
つまりは...「自分」を強く持つこと。
2012/02/07 08:11
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会に出て、困難にぶち当たる。その要因って、つまりは「人間関係」だと思う。仕事や学業そのものへの抵抗感もさることながら、いっしょの空間にいる人、パートナー、彼らと自分の間にあるものをどうとらえていくか、ここに集約されると思う。
こういった感覚にまったく無意識に対応できる人は素晴らしい才能だ。でも、やはりどこかでは「壁」が生じる。悩み解決系の本は数多あれど、
「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」
と考えた、「個人心理学」者のアドラーの主張は非常に興味深い。
本書は、そのアドラー心理学についての第一人者である著者が、事例を基に「お悩み相談」を提供する。職場、家庭、親子関係...そうなんだよね、「人間関係」ってどこにでもある。それゆえに「人間」「人生」である、ともいえる。
基本的な概念としては、「自分は変われる。他人は変えられない」というポイント。「他人を変える」ためには、まず自分が変わるように努力することが必要だが、その結果として他人が変わるかどうかは、また別の問題である。
そして「楽観主義」であろうとするところ。現実をありのまま受け入れる。そしてそこからできることをする。「そこから」何もしない「楽天主義」とは異なり、また当然に「悲観主義」でもない。これらとの相違点は、「できることをする」という点だ。
何が起こっても、何らかの意味があることだと考える。
まあ、分かっちゃいるけれど、「何かが起こった」時に、そういう心理状態を保てるかどうか...
それも「人間」だけれども。
アドラー本人の言葉を借りれば、
「今、ここに生きよう。するべきことやしたいことがあっても、できることから始めよう」
ということになる。シンプルだけど本質的な言葉だよね。
人間関係をどうこうするのは、もちろん「自分」次第。相手から受けるものと、相手に与えるものがあるけれども、自分が携わるべきことを、自分ができることをやっていくしかないのだ。
一番身近な「子育て」について、本書では、著者自身のことに多くページが割かれている。自らが子どもである立場と、親である立場とに分かれて。子どもも親も、一人の人間である。もちろんある程度の「教育」は必要ではあるけれども、子どもだっていずれは大人になる。だから、「自分で考える」ように教育するのがよい、そんなことを学びとった。
自分に置き換えても、親として、子として、社会人として、そこで関わる人たちとどう付き合っていくのか、考え直す必要に駆られる。いろんな環境の人はいるわけで、自分を合わせることが重要なのではなく、自分を強く持っていること、これにつきるんじゃないか。そういうレベルまで自分を高める。そのために「できることから始め」なければならない。
【ことば】この世で強制できないことが二つあります。一つは尊敬、一つは愛です。
私を尊敬しなさい、私を愛しなさい、って言って、相手がそうしてくれることはありません。自分の方に気持ちを向けようとすると、時に攻撃的になったり、威圧的になったり...本末転倒ですね。やはり、そう思われるような「生き方」をする以外に道はない。結果的に尊敬、愛をいただければ...でもそれを目的にしては「下心」丸出しになってしまうわね。
電子書籍
嫌われる勇気の作者の本
2015/11/24 00:03
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投稿者:mistta - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベストセラー「「嫌われる勇気」の作者が書いた本。
著者がカウンセリングで受けた相談事で、よくある事例について解説している。
岸見氏は説く。過去を問題にしても何も解決にならない。
自分のために自分が生きなければ、誰が自分のために生きてくれるだろう。
問題を考えるとき、最終的に誰にとっての課題であるかを考えることが重要であると
指摘する。その結果他人の課題であれば、私はどうすることもできないと考えるべきで
あると言う。
何よりも岸見氏が、父母との人間関係で悩み苦しんだ体験談を語っている点が
とても印象に残った。そして、改めてアドラー心理学はこれから困難にぶつかった時に
気持ちを強くする、正しい判断を下せる土台にしたいと本書を読み、思った。
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深刻な問題や悩みは、じつは思っているよりもシンプルであることを示してくれる。
課題の分離(それは誰の課題か、誰が責任をもつべき問題であるのか)や、〈原因〉ではなく〈目的〉を自覚すること、また、思いを正確に言葉にして伝えることを通じて、複雑にもつれた(ように思える)問題がほどけてくる。
問題を誤解したまま悩み続けても答えは出せないが、この本は、悩みの具体例に答えていく形で、問題を正確に把握することを教えてくれる。そうなれば、あとは自ずと答えは見えてくるはず。「深刻に」悩むのではなく、「真剣に」取り組めるよう援助してくれる。
著者と著者の父親とのエピソードは、私自身の親子関係の今後を予見させるような気がして、感慨深い。
また、様々な立場からの悩みをとりあげているので、たとえば親は子どもがどんなふうに悩んでいるのか、子どもは親がどんなふうに悩んでいるのか、一冊通して読むことで、相手の立場からの悩みを知り、考えることもできる。
ある意味では厳しく、しかし優しさに溢れた、一歩を踏み出す勇気を与えてくれる本。
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フロイトと並ぶ心理学の巨匠アドラーに学ぶ、対人関係を円滑にする方法。問題解決の糸口をどう見つけていくかを、アドラー心理学の基本的な考え方を説明することで明らかにし、具体的な質問を取り上げながら考える。
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情や執着を捨てて、問題が誰のモノか割り切って見るコトで、楽になっちゃおうみたいな感じ。こういうコトは、精神的に弱って困っている時には難しいから、困る前に心に余裕がある時から心がけといた方がイイと思う。
それから、思っているコトはちゃんと発言しておくこと。グジグジと心の中で恨んでも、問題は解決しないし、精神的に不衛生。
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流行りのアドラー。岸見さん、本出し過ぎでしょ、と思ったら2010年の再版。
アドラーがどうこう、というよりも、お悩み相談式でアドラー心理学のエッセンスをまいたような感じ。
入口と捉えるもよし、アドラーを一通り見てから実践編と見るもよし。
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やっぱり、おもしろい。おもしろいねんけど、なぜか後半別のひとが書いたのかと思うくらい、読みづらかった。
アドラー心理学は、たったいまから、この自分がどうするか。それを語っている心理学だと思います。もっともっと深く知りたくなる。
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アドラー心理学を理解するためには良い本だと思うが、著者の文章は読みづらい。何を言おうとしているのか読み返すことが多々ある。
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★心理学といえば、フロイト、ユングが有名だが、昨日、今少し話題になってきたアドラーを読んでみた。我々は、様々な現象に遭遇した時に反射的にその対象に対しての心の向け方を身につけてしまっている様だ。その反射的な対応の形態はそれぞれの個々人の、成長の過程で身につけたものの様で、遭遇する各現象に対して、アドラーの説明するように、余分な構え(欲・優位性の獲得)を脱ぎ去って、遭遇した現象の目的を見直すと、自分の欲・見栄と言ったものが見透かされてくる。
この本では、具体的に様々な場面を設定して、その時の心の向け方、考え方を示唆してくれる。
まずは、それぞれの個別具体的な心の向け方を、ひとつひとつ丁寧に自分の身に引きつけて考えて見る。ひととおり、この一冊をそうやって読み通してみると、幾つかの、抽象化された共通項が見えてくる。それは、この本の冒頭にも触れられていることだが、それが、頭にイメージできれば、具体的な対象方法は忘れても大丈夫。堅苦しくマニュアルとして活用すのではなく、その先にぼんやりうかんだ感覚と、自分を脱ぎ捨てる勇気と優しさを持つ習慣さえ身につければ…。以下その5点。
①悩んでも始まらない。②過去を問題にしない。③自分が正しいと思うと他の人と権力争いになる。④変われるのは自分だけで、他者にそれを期待してはいけない。⑤人の評価を気にしてはいけない。次の言葉があらゆる現象で悩んだ時のホームポジションになるかもしれない。『自分が自分のために生きていないとすれば、誰が自分のために生きてくれるのだろう』(ユダヤ教の教え)
2014.05.14
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アドラー心理学は現実的、実践的です。一般に知られている劣等感の代償の話ではなく、ここにあるのは社会の中での生きやすさへの有効な方法、考え方です。現代社会にとってますます必要とされる分野が昔からあったのは灯台下暗しです。
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それぞれの悩みに合わせたアドラーの考え方がのってて、読みやすくわかりやすかったです。この考え方は使えるなと思いました。
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岸見一郎"困った時のアドラー心理学"を読む。
2013年の『嫌われる勇気』で一躍評判を高めた岸見先生が有名になる前の2010年に刊行されたケース集。先生のカウンセラー経験を生かした豊富な事例が並びます。
「他者の評価が気になる」「気分の浮き沈みの激しい人との付き合い方」「上司が感情的で困る」「意地悪な同僚がいる」など、さまざまな困った人と状況への対応について、「自己の課題と他者の課題を分離し、自己の課題にのみ注目する」というアドラー心理学の見地から考え方のヒントを示しています。
◯そのような感情をコントロールできない人は精神的に未熟な人です。普通にしていれば、誰にも認められないと思っているか、仕事の無能さを隠すために感情を使って攻撃的になることで過剰に自己防衛しているのです。
◯感情的になって叱る人は、他の人と関わるための適切な方法を知らないのです。どんな対人関係についてもいえることですが、自分が他の人にしてほしいことがあっても、他の人が必ずそれをしてくれるわけではありません。そんな時に怒りを爆発させ、周りの人を怖がらせる人は、そのようにして自分の思いを通そうとすることを幼い頃からの慣わしにしてきたのでしょう。
◯まわりの人は、そぶりや感情に反応しないことが大切です。「何かできることがあったらいってね」というような言葉をふだんからかけておけばいいのです。そぶりや感情に反応すると、言葉で頼まなくてもまわりの人は動いてくれることを学ぶことになってしまいます。
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アドラー心理学をベースにした岸見先生の悩み相談。目的論や課題の分離などに基づいて、いまここに生き、できることから始めようという指針が示される。
目的論でも原因の影響を否定している訳ではないと理解できた。
著者の父母とのエピソードが赤裸々で、そちらの方が印象に残った。
15-44
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他者に囚われ、己を見失う愚かな弱き者たちよ、その妄執から今解き放たれん!人間関係に困ったすべての人にお勧めする一冊。
ベストセラー『嫌われる勇気』の著者の別著。これも面白い。カウンセリングの例を並べたものだが、きっと自分に当てはめられる人はいっぱいいるんだと思う。
サバサバしているから、無慈悲なようにも感じるけれど、それが大事なのである。
つーかこの本、大体仏教と言っていること一緒だから。
_____
p21 前に進めない、ために悩む
アドラー曰く「苦しいから前に進めないのではない。前に進まないために悩むのだ。」前に進みたくないから、悩んで言い訳を見つけているのが、悩んで苦しむということである。
もし悩んで苦しくなったら、それは覚悟が無いだけだよ。進むのか、逃げるのか、覚悟で解決できる。目をそむけているだけでは何も変わらない。
p23 過去を見ない
カウンセリングでは過去を見ないようにする。
カウンセリングは今直面している問題を解決するために行うものである。過去を振り返って、うっぷんを晴らしてスッキリしても問題は何も変わらない。過去のことで無駄に時間を浪費し神経を削るよりも、いまを解決することだけを考える。
相談事でよくあるのが愚痴をこぼしてスッキリして終わる。そしてまた不満がたまって愚痴をこぼしに来る。それはただのガス抜きで、カウンセリングという金を払ってすることではない。
p24 「正しい」は棚上げ
対人関係の在り方を変えたいならば「正しい自分」は棚上げにして考えなければならない。人間関係の悪化は「権力争い」である。どちらが正しいかを争うから拗れる。問題解決よりも、正否の問題にすり替わるからいけない。
まず、自分から「正しい」を求めることから下りなければならない。
p26 行動の目的を見る
行動の目的を見ることがアドラー心理学の基礎。子供の喧嘩や反抗など、すべてに意味がある。その意味を無視して、「正しいこと」で丸く納めようとするから何も解決せず、後回しになった問題が焦げ付くのである。
行動・行為の目的をよ~く見るのだ。
p34 役立てた時、自分を好きになる
自分のことを好きになれなくて悩む人は多い。自分を好きになるとは「誰かの役に立てた」という実感から生まれる。
しかし、自分の周りは自分を陥れようとする敵だらけと思い込んでいては、他人の役に立ちたいと思うことはなく、自分を好きになるなんて到底無理なのである。
そして対人関係がさらに悪化する。
自分を好きになりたかったら、まず周りを敵と思わないようにする。そして人の役に立つことをなんでもよいからする。それで解決。
つまり勇気だけで何とかなるのである。
p37 特別でないと話せない
若者は特別でないといけないという観念があるようだ。できる人間でないと価値が無い。悪い自分でないとかまってもらえない。そういう特別であるという理由が無いと話ができない不器用さんが多いのである。
何もない自���でいいんだと胸を張ってほしい。そしてそれを周りもその空気を作れないといけない。
特別は個性だけれど、無理やりつくられた個性もあるから厄介なのである。
p42 プレッシャーは失敗の恐れ、でも必要なモノ
プレッシャーは失敗を恐れることで、いつも以上の力を発揮しようと力むから発生する。また、他の人を仲間と思えず、失敗を許さない敵だと考えるから緊張してこわばるのだと考える。
失敗はしても大丈夫。周りの人はお助けマン。こう考えられれば無用な緊張は無くなる。
しかし、適度な緊張感があるから実力以上を発揮できるとも考えられる。プレッシャーは付き合い方を考えなければいけないすごくすごく大事なオトモダチ。
p45 すぐ与えるものは
「すぐ与えるものは二度与える」というラテン語の諺
メールもすぐに返事をもらうとうれしくなる。そういう感じで、行動の速い人は好感を与える。完全主義の人はこれがなくて損しているところがある。周りの人は完ぺきを求めていない。そんなもん。それよりも即座にレスポンスを与える方が点数高いのだ。
気を付けて。
p52 できないことを自力でするな
できないことを「できない」と言えることも自立のひとつである。
気持ちの浮き沈みが激しい人は、怒って、泣いて状況を自分の思うように動かそうとしているのである。できないことも激情を使って何とかしようとする。そういう人はできないことはできないと言えるようにならなければならない。そして、周りの人も「出来なければ何でも言って」と言いやすい環境を作ってあげる。そうやって余裕を作ることが大事。
p57 人の気は読まずにたずねよ
人の気持ちを読むことは高尚なものである。しかし、全ての人に強要するのはいけないことである。
人の気を読むということは、相手にも「私の気持ちを読み取ってよ」と強要することになる。勝手にギブアンドテイクの関係を作ってしまうのである。
気を読むのは、実際、本当に相手の気持ちを理解できない。なのにわかった気になるのは危険である。
相手の本当の言葉を引き出せるようになることの方がよっぽど大事である。
p70 若手への接し方
叱る人がいるが、すべきなのは「注意」すること。分かが失敗してしなくてはいけないことは、①原状復帰。自分で責任を取らせることを学ばせる。 ②謝罪。謝るべき対象が居たらきちんと謝罪させる。 ③反省。次同じことをしないようにするため何をするか明確にする。
この3点は叱るということを必要としない。叱るのは怒りの感情を持つ人である。怒っているならまだわかる。でも、怒る必要もない上司が訳も分からず怒りだすのはダメ。ということ。
p74 怒るとは
怒るのは対人関係が下手な人。怒りという激情でしか他人をコントロールできない未熟な人が怒りをぶちまける。思い通りにいかなくて、怒りだす。
もし理不尽な怒りを受けたら、それに怒りで対応してはいけない。何が言われているかだけに注目する。
p87 強制できないモノ
尊敬と愛。
人に自分のことを尊敬させることはできない。もしさせていても��面上だけであり、心は嘘をついている。愛も然り。
「年上は敬え」を尊敬しなくてはいけない。そう強制させる勘違い野郎がいるが、間違っている。その諺はあくまで自発的なものを促すだけであって、強制しては陳腐化する。
p92 占いが悪くてよかったね
占いが悪ければ、問題点が浮き彫りになって、改善の努力をして、本当の幸せになれる。
p117 ついカッとなった
これは嘘。始めから狙って怒りをあらわにしているのである。怒れば周囲は自分の思い通りになると、ゴリ押しできると知っているから、キレるのである。しかし、それが反射的に出るくらい染みついているから「つい…」という言い訳が出るのである。しかし、それは日ごろの行いから出るものなので、なんの情状酌量の余地にはならないのである。
p120 だだをこねる
駄々をこねる子には、言葉で戦おう。言葉で言ってくれなければわからないと言おう。言葉でわがままを述べてきたら、言葉で戦おう。諦めるまで、、、
これは…、あんまいい答えじゃないな。
p124 親の罪
子供のことでカウンセリングに来て、子供の悪い点をメモしてくる親がいる。その親は子供が悪くて自分は悪くないということを証明したくて来院しているのだ。
そんなことはない。子供にとって親は不可欠な存在であり、そうである以上、子供の問題は親の問題でもあるのである。子供の本当の目的が見えない親が問題なのに、子供の責任で終わらせてはいけない。カウンセリングで話し合うのは、問題行動からみる子供の声を解釈することである。
対人関係のトラブルで、相手の欠点にばかり目が行くのは、その人との人間関係を改善したいと思っていない証拠である。その決心をまず取り除き、どっちが正しいかの権力争いから脱却できるようにするのが大事。
p129 トークレス
夫婦が長く付き合えば話題が無くなるのは当然。無理に話題を作らなくてもいい心地よさを味わえるようになることが大事。しかし、どんなに話題が無いからと言っても、自分の気持ちを口に出さなくなるのは危険。
長い付き合いだから心を読むことができる。というのは危険。そのせいで心のボタンのかけ違いが起きる。
話題が無くても、気持ちを伝える言葉だけは忘れずに発することが大事なのである。
p134 下心のある言葉
家に帰らない非行に走った子供に対して親はどう声をかけるべきか。たまに帰った時に「(遠回しにもっと帰ってきてと言えば伝わるかな…)おかえり、随分久しぶりだね…」
なんて下心のある言葉をかければ、当然伝わって、感情を逆なですることになる。単純に「おかえり」とだけ、ここが帰る場所だという分かるような声をかけるだけでいいのである。帰るか帰らないかは子供の問題・責任であり、親は泰然として待ち構えるしかできないのである。
しかし、親は子どもの人生に関係ない、なんてこともないので注意。子供がかまってちゃんの時は構ってあげるし、ツンデレの時は優しく見守るのである。
p138 ひきこもり
子供のことに手出しはしないけれど、子供がしていることは知っている。これはとても大事。
子供の���属感を満たすことが大人の大事な大事な役割である。
p145 父との喧嘩
著者の親が宗教に入信して、息子にも入信を迫ってきた。親との関係の悪かった著者はそれをずっと拒んできた。それを相談した精神科の友人からのアドバイス
「入ってあげたら」
権力争いから下りることが何より大事なのである。入ってみればいい。それで自分にそれが合わなければ止める理由ができる。入る前から父の信じる宗教を否定したから、いつのまにか「宗教が正しいかどうか」の権力闘争になっていたのである。
意見の対立が起きたら、権力争いになっていないか。それをまず何より考えよう。
p156 働く
子供の親離れに困惑する親がいる。俗にいう「子離れできない親」彼らにするアドバイスは「働け」である。
自分を好きになるのは「他人の役に立つ」ことである。子供という自分の役に立つ場所を失う不安が親を子離れできなくするのである。それを外部に作ることで子離れできるようにするのである。
p157 自分「だけ」が変わる
自分が変われば子供も変わる。という親がいる。しかし、自分が変わっても相手が変わらなくて怒りだす人がいるのである。また、子供がこんな風になってしまったのは自分のせいだと、自分を責める人もいる。
子供が改心して、成功したとしよう。それは誰のおかげでもなく、子供が努力したからである。逆に、子供がいつまでもダメなのも、子供が何もしないからである。親のせいではない。
親は支配的であってはならないのである。
じゃあ親は何も変わらない子供を放置するしかないのか。そうではない。数あるアプローチをどんどん試せばいいのである。カウンセリングとか外部委託でもいい。そうやって子供に関心を持ち続けることが親の務めである。
p161 病気にならなくても
仮病を使って学校を休む子供にどう対処したらよいのか。子供が「学校を休むには病気にならなきゃいけない。」という考えを持たなくて済むようにする。
学校に行かなくていいというのではなく、言い訳はせず、行くか行かないかを決められるようにさせる。
それでもし、ただ単にサボってゲームしたいだけなら一日で解決するし、そうでないなら保健室登校など新しい解決方法に移れる。ようは、目を背けるなってこと。
p168 中性の行動
実質的には迷惑をかけないが、適切ではない行動をアドラー心理学では「中性の行動」という。
例えば、授業中に寝ている生徒は、迷惑をかけないが不適切行為をしている。悪い成績を取るのは生徒自身だから先生は厳しくしかることはできない。でも授業中におしゃべりする生徒は迷惑だから先生は注意できる。
寝ている生徒のような中性の行動をとっている人には強制介入できない。
しかし、親とか上司はついつい介入しちゃう。
中性の行動に対して介入するには適切な手順を踏まなければならない。「連日の授業中の居眠りについてお話しさせていただきたいのですが、、、」と事情聴取を依頼するなど、下手に出ないといけない。
p179 楽天:悲嘆
理想は楽観主義。気を付けないといけないのは楽天主義、��局何もしない奴。それと悲観主義も悪くはないが、行き過ぎて悲嘆主義になりかねないから注意。
p182 いじめ問題で親のすること
深刻ないじめ問題は親が出ていかなくてはいけないが、あまり手を出しすぎると子供がなにもできない人間に育ってしまうということも留意しなくてはならない。
親が解決の補佐をすると同時に、子供も解決のために動かなければいけないのである。
p191 生産性
生産性で人間を測ることを常としてきた人が、老後に自分に失望し、現実から逃避することがある。それが認知症の背景にあったりするのである。生産性以外にその人の存在意義を作れることが大事だということを覚えておけ。
p196 自由に生きている証
自分のことを悪く言う人がいる、それは自分が自分のために生きている証拠である。そう考えるべきである。
主義主張に絶対的な正義はない。認めてくれる人もいれば反発する人もいる。自分で自分の人生を選択して生きていればそれに衝突する人がいる。だから、それは自由に生きている証拠なのである。そう考えたほうが楽だよ。
p197 プライベート
プライベートという言葉の元の意味は「奪う」という意味である。オフィシャルな時間から、獲得してきた自分のための時間がプライベートな時間なのである。
p212 親にも門限
子供に門限を課す親がいる。家庭内ルールを作るなら、それは子供だけでなく家族全員に適用されるものでなくてはならない。それが法の概念だから。
家庭内ルールも、親が子供を支配するためだけのものに成り下がってしまっていたらダメなのである。学校のルールも然り、生徒が遅刻してはいけないのに先生が授業に遅れていたら秩序の崩壊、権威の横暴である。
子供に法の秩序を学ばせたいならば、大人も子供と同等にルールを守らなければいけないのである。大人なんだから、子供が守れるものは簡単に守れるでしょ??
p217 どうなると思う??
中性の行動にどう対処すればよいか。個人の責任にゆだねるのが一つの手段。だって介入できないんだもん。
もう一つが「このままだとどうなると思う??」と問題が悪化する前に話し合うという手段。
不適切な行為が自分に返ってくることは、薄々感じているに決まっている。だからそれを言葉にして、「なんとなく」から「リアル」な問題に具現化してあげるのである。
しかし、中学生以下の子供にはこの手段は難しくもある。わかっているようで、わかっていないからである。
「勉強しないとどうなると思う?」なんてわかるわけがない。社会で生きるリアリティなんて皆無だから。それに、勉強せずに不利益を被ったって、それは自分の責任だから、そんな自分の人生に土足で入ってきてほしくない。そう感じるはずである。
だから、良い教師はこの「どうなると思う?」という質問ができるほど、子供とやりとりができているということである。
簡単だけど、難しい言葉。「どうなると思う??」って問いかけたら、どうなると思う??
______
女性に読んでほしい本である。これは女と男の食い違いを解消するためにも非常に役立つ。���んつーか、無駄に小賢しい女に読んでほしい。
あと、教師も必読だね。
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内容はカウンセリングに訪れた患者との問答に解説を加えたものとなっている。
アドラーの考えを実際の生活に応用する方法が知りたい人は頭から読むといい。自分が直面している悩みがある人は、近い事例を探してその箇所を読むといい。