紙の本
十代という孤島から、大人への航海へ。
2000/11/30 18:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人に夢と書いて儚い(はかない)と読む、という言葉を聞いたことがあるんだけど、この話まさにそんな感じ。
無人島へ海水浴に出かけた17歳の女子高生5人組。あまりの島の美しさに遊びつかれてウトウト。気付いた頃には帰りの船が出港。こうして待合室で一晩過ごすことになったのだが、島に残っていたのは彼女たちだけではなかった。夜に仲間が一人消え、一夜明けても船の姿は見えず…
登場人物達は虚言癖、内弁慶、在日韓国人など、何か心に「歪み」を持つ者ばかり。高校でもアウトロー的という設定は『スクランブル』を彷彿とさせるところも。その十代の「歪み」の感性と、孤島の殺人鬼が交互に描かれているのだけれど、どちらの方面もちょっともの足りない。その所為か理不尽さが強調されて、中盤はミステリーよりもホラーのテイストの方が強いかも。
どうにも理由なき殺人が多く、なんだか後味悪いなぁという感じ。しかし、どうしようもない理不尽さが十代の芽を摘んでいく、というテーマに置き換えると、これはそんなに空想めいたことじゃない。誰にでも、あの日々に残されたままのものがあるんじゃないか。そう思うと、なんだかこの本のタイトルが意味深に見えてくるから不思議。いちばん高いところに置いてきたもの、この本で拾えますでしょうか。
紙の本
どうやって“生きる”か=どうやって“死ぬ”か。
2004/06/09 15:01
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投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
祥伝社の“400円以内で買える”文庫シリーズ。
それはとてもありがたいことなんですが、
いかんせん、この長さは中途半端。
ミステリーでないのはこの際おいといて(笑)、
せめてもうちょっと枚数を増やして膨らませるなり、
この長さにするなら、もうちょっと切れ味を良くしてもらうなり、
近藤さんなら、なんかもうちょっとやり様があったかなぁ、と。
夏休み。2泊3日で海水浴に出かけた17歳の少女5人。
「少し離れた小島に、遠浅のきれいな海岸があるからね」
その言葉につられ出かけた無人島で、思いのほか時間を過ごし、
帰りの船に間に合わなかった5人は、島で1夜を明かすことに。
決して優しくないのはとっても近藤さんらしくっていい。
それぞれ、それなりに悩みを抱える少女たちの
“生き様”が、否応なしにさらされるのが、無人島。
どうやって“生きる”のかが生死の分かれ目だったりします。
どうやって生きるか=どうやって死ぬか。
そんな、人生の最終目的を突きつけられた17歳が、
この1日でどうなっていくのかが、近藤さんらしく描かれています。
紫微の乱読部屋
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救いようの無さ、やりきれなさ、それから若さや強さやいろんなものがないまぜになっている感じ。恩田さんの少女ものが好きな人は好きなテイストかもしれないとかんじました。取り残された島での連続殺人事件。
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★あらすじ★夏休みに海水浴に来た17歳の五人の少女達。無人島で遊んでいるうち、定期船に乗り遅れて島に取り残されてしまう。仕方なく島で一晩過ごすことになったが、その島には怪しげな男が潜んでいた…
★感想★理不尽な体験を通して少女達の成長を描く…というテーマはわかるものの、あっという間に読めてしまう分、物足りなさも残りました。(でもユンジャという少女には惚れた!)
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普通です。祥伝社文庫の特別企画(中編小説)、テーマ競作「無人島」の1作品。サラッと読めますが、特に心に残る訳でもなく・・・さあ、次の本、次の本。
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少女たちの言う「理不尽な体験」は決して彼女たちだけが体験してるものではないし、体験した女性なら誰でも当然ながら理不尽に感じるわけで…。それに大人になることって、私はそんなに悪くはないと思います。むしろ、私は学生時代、早く大人になりたかった人間なので。まぁ、この辺りの感想は、それこそ十人十色かな。
あと犯人の少女たちに対する動機が曖昧、と言うかあやふやになってしまっていて、どうすれば良いか分かりませんでした。あくまでもメインは少女たちの成長なのかも知れないけれど、もう少し何らかのフォローがあっても良かったんじゃないかと思います。
でも読みやすい文章と程よいページ数でサクサクと読めました。犯人との攻防は読んでいてドキドキしましたし、それなりに楽しめました。
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5人の高校生がかわいそうな目にあうお話。理不尽さが恐い。お願いだから、ユンジャこういうときはひとりにならないで
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「少し離れた小島に、遠浅のきれいな海岸があるからね」夏休みに二泊三日の海水浴に出かけた十七歳の少女五人。無人島に渡った彼女らは、砂浜の美しさに酔いしれるあまり帰りの船に乗り遅れ、その島で一晩過ごすことに。ところが、島にはもう一人、男が潜んでいた!―理不尽な体験を通し、少女から大人に変わる瞬間を瑞々しい感性で描く傑作ミステリー。
《ブックデータベース より》
著者作品、
アンソロジーでは幾度か既読ではあるが、
きちんと読むのは今回が初となる。
・・・とはいえ、中編の企画物で、
“孤島の殺人ミステリー”。
2時間あれば充分に読み終えられる長さだ。
夏休みに同級生5人で出かけた海水浴。
泊った宿で聞いた
1日に船が一往復するだけの「無人島」が
海水浴にもってこいの穴場と聞き、
繰出す5人は、揃って眠り込み、
帰りの船に間に合わず、取り残されてしまう。
翌日の船を待てば帰れると楽観視するも、
迎えの船は来ず、
あろうことか、仲間の1人が行方不明に。
持っていたラジオのニュースで、
帰りに乗るはずだった船が事故で転覆し、
乗客の安否も絶望とのことで、
迎えの船への希望も薄れ、疲弊する中、
再び1人が殺される。
自分達意外に島にいる人間がいることが判明し、
恐怖の夜を向かえる。
立ち向かう残された少女たちの運命は・・・
少女たち5人は、みんながみんな、
それぞれを慕いあっているわけではないようで、
多感な少女期特有の心のひだを隠しつつ、
それでも友人としてのバランスを保っている。
1人ずつ殺されていくことの
“恐怖”ということに関しては、
可もなく、不可もなく、
「孤島もの」によくある設定。
少女が殺されていく背景となる“動機”は、
理不尽で、とても後味の悪いものだった。
中編という限られたなかで、
ストーリーやキャラを掘下げるのは難しいであろうが、
めまぐるしく起こる殺人に気持ちがついていきにくかった。
【少女から大人に変わる瞬間】を描こうとしていたようだが、
大人に変わる=性体験(しかも理不尽な)という
構図が見え隠れするのは、どうも納得がいかないし、
あまりに「さらり」と収束に向かうため、
拍子抜けした感も否めない。
これまで読んだ短編のイメージと違いすぎて
少々驚いているのが率直な感想だな
《2010年4月30日 読了》
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イメージ参照(http://kentuku902.seesaa.net/article/387166292.html)
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再読。
祥伝社文庫の企画、テーマ競作「無人島」の一つ。
発売当時は恩田陸や西澤保彦に比べてあか抜けないと思ったが、女子高生がよく描かれている。
残酷で切ない作品。
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えっと、これはミステリーではないよね?無人島に取り残された少女5人が、次々と殺されていく話。サスペンスにあたるんだろうけど、怖くない。短すぎて無人島サバイバルにもならない。少女から女性への転換を描くにしても、この枚数は短すぎ。
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ミステリーとしては★1。
少女たちを描く作品としては★3。
中高生は、いつでもいろんな意味で危うい。
まだ半分くらい神の領域にいて、向こうに連れ戻されてしまう子も、想像より沢山いるような気がする。
特に少女は、この時期ちょっと妖精のようでもある。
ミステリーから離れて、もっと少女たちを濃く描く作品であったなら、もっとずっと切なくて残酷で、印象深いものになると思う。
ユンジャを始めとして、ひとりひとりの設定がきちんとしてるので、その辺の絡みを、少し長めの時間で読んでみたい。
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無人島に取り残された女子高生5人のサバイバル感満載のミステリー
意外な展開で結構びっくりした。
ユンジャの「一度やると決めたことは歯を食いしばってでもやる」気質
がかっこいい。
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一時間くらいで読めるくらいのボリューム。少女達の物語としてはなかなか面白いけど、それにしてはちょっと物足りないかなー。ミステリーと思って読んだから、一体どんな仕掛けがあるのだろうと期待して読み進めていたのに、最終的にあっさり物語が終了してやや拍子抜け。
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一言で言えば、なんか消化不良みたいな読後感。
主人公4人の女子高生の背景がわりかし詳細に描写されてたので、もう少し奥の深い話にできなかったのかなぁ。と思うと残念。
個人的にヨンジャさんみたいなコに憧れます。