朝が来る
著者 辻村深月
第147回直木賞、第15回本屋大賞の受賞作家が到達した新境地!長く辛い不妊治療の末、栗原清和・佐都子夫婦は、民間団体の仲介で男の子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼...
朝が来る
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商品説明
第147回直木賞、第15回本屋大賞の受賞作家が到達した新境地!
長く辛い不妊治療の末、栗原清和・佐都子夫婦は、民間団体の仲介で男の子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平穏な日々を過ごしていた。そんなある日、夫妻のもとに電話が。それは、息子となった朝斗を「返してほしい」というものだった――。
自分たちの子供を産めずに、特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。
中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。
それぞれの葛藤、人生を丹念に描いた、胸に迫る長編。
河瀬直美監督も推薦!
「このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある。」(解説より)
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「広島のお母ちゃん」、その一言にありったけの愛が
2020/10/25 18:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画公開直前に、まさに一気読みでした。
辻村深月さん原作、川瀬直美さん監督の映画です。
特別養子縁組。
実の子どもを持つことが出来なかった夫婦と
自分の子どもを育てることが出来なかった14歳の少女が
いろんな奇跡が重なり、出会うことになる。
夫婦は迎え入れた男の子を朝斗と名付け、家族三人の生活を営んでいた。
当時、14歳だった少女は…。
ある日、夫婦の元にかかっていた電話で、朝斗を取り巻くおだやかな環境に、
突然、大波乱の嵐が巻き起こる。
その電話は誰からだったのか?
その電話の目的はなんだったのか?
謎の連鎖が続きます。
いろんな葛藤が、いろんな形で現れます。
多くはここでは言いません。
ただ、
「広島のお母ちゃん」
その一言でがズシンと響いた。
ありったけの愛が込められたこの一言で、
すべてが救われた気がしました。
朝が来る
2024/05/08 12:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供ができない夫婦が特別養子縁組で男の子を迎え入れた。ある日夫婦の元に生みの母が子供を返して欲しいと訪ねてきた。子供をかえすことを拒否すると金を要求される。ありがちな内容かと思いましたが、全然違いましたね。中学生で子供を産み、両親や同僚たちにことごとく裏切られてきた人生には同情しました。そしてラストもよかったです。辻村さんの作品が好きになってきました。
特別養子縁組
2023/05/30 15:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
満ち足りた生活をしていた夫婦が出産を希望し、不妊治療の果てに特別養子縁組を選択する話が前半、後半は特別養子縁組の子どもを出産した少女があらすじ部分に行き着くまでと行き着いた後の少しの時間の話で、最後が凄いです。
淡々と
2021/12/30 02:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はらみ79 - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供を養子に出す側と、受け容れる側の人生が交差するまでの出来事が淡々と、でもボリュームを持って(特に養子に出す側)書かれています。
筆者の取材力、想像力に熱いものがこみあげてきました
ほんの少しのズレで…
2020/10/13 10:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:笑う門ふう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひかりサンはほんの少しズレた。13歳の時に。
そのため、墜ちるところまで墜ちる。
人生は怖い。
でも朝が来る。
うん、すごい小説。一気読みでした。
良い作家の描くこどもは、抱きしめたくなるほどにかわいい
2020/10/10 22:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
栗原佐都子を描いた章と片倉ひかりを描いた章に分かれている。佐都子サイドから書かれた章を読んで、どう考えてもひかりに感情移入することはないな、私は健気に踏ん張っている佐都子と夫の清和を応援すると心に決めていたのだが、ひかりサイトから書かれた章を読み始めてから雲行きが怪しくなってきた。いつの間にか、親に見放され一人ぼっちで友達もいないひかり、だれか彼女を助けてやってくれと願いながら読んでしまっていた。この終わり方はいい、私自身が想像している佐都子とひかりと息子の朝斗の未来以外にないと結論付けて納得している、それにしても朝斗君はかわいい、ひかりに成り代わってここまでいい子に育ててくれた二人に感謝する。最後に、初潮がくるまえに妊娠することがあることを知って愕然としたことも付け加える。
ひかりにも朝が来てほしい
2020/08/26 13:29
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実母と育母の子をめぐる争いかと思いきや、全く違った。
出産を機に、自分と家族や周りの人達と違和感を感じるようになったひかり。自分が出産し、赤ちゃんを手放した無力感、喪失感を誰も理解してくれないし、認めてもくれない寂しさ。周りと、乗り越えられない程高い壁ができ、どうにも出来ない焦り。それが、刺さるように伝わってくる。絶望感の度合いは全然違うが、重松清の「疾走」を思い出した。
朝斗の両親が「きちんとした人たち」だったのが、救いだった。
タイトルに深い意味が込められていました。
2020/06/09 19:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どらやき - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めて止まらくなり、ざっと読み上げ、再度じっくり読み返しました。 ここまで引っ張られる小説も珍しく、筆者の力量に頭が下がります。
読書中は、心に重しが乗っかているような気分になり、ひかりの気持ちを理解しながら読むと、自分にも思い当たる節があり、家族に対する態度を反省してしまいました。
辻村さんの、他の作品をこれから読むのが楽しみです。
ハードカバー版で読んで・・・
2019/07/10 19:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マツモトキヨシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまりに感動したので文庫版も購入(笑)。
世の中には、色んな形の「不幸」がある。
自業自得なものから避けられない運命まで様々だ。
私は最初、「ひかり」の目線で物語を読んでいた。
でも読んでも読んでも救いがないひかりの人生。
どうしたらいい?読者も苦しい。
ラスト、現れるもう一人の主人公に
まさに「光」を見た!
最高傑作です、本当に。
朝が来た
2021/11/19 14:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭からわが子をめぐるトラブルで振り回される展開。わが子の言葉を信じるのか、「被害者」の言葉を受け入れるのか。一般的にはわ我が子を支えるものだが、この子は血のつながりはない「特別養子」。「こんな子をもらうんじゃなかった」と思うこともあるかもしれない。
少し前に読んだ「そしてバトンは渡された」では、離婚や再婚で家族の形が変わる中で、家族のつながりについて感じるところがあった。本作では特別養子を通して、生みの親と育ての親、そしてやはり家族の形態についての問いが立てられていたように思う。
不妊治療や望まぬ十代の妊娠など重いテーマもあって、途中読むのが苦しくなる部分も。その先に迎える「朝」でだれが日を浴びることができるのか。
子供の存在。
2019/07/13 02:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:優乃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は子供には恵まれたので、
本当の意味で理解することはできないと思いました。
そこまでして欲しい存在になるのだろうか。
ありのままの現実を受け入れることは無理なのかな。
人の価値観は本当に様々だと思わされます。
血のつながりが持つ意義とは。
2020/12/04 15:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は特別養子縁組を通して、家族の在り方を描いている。
と同時に、信頼することの大切さや意味をも描いていると感じた。
不妊治療や未成年者による望まぬ妊娠等の、命を預かることの難しさやそれに伴う苦悩を真正面から描いていた本作。
そこでは社会問題的な要素も浮き彫りになっていくのだが、個人的にそれ以上に問題だと感じたのは、周囲の人々の無神経さや理解不足である。
40歳を目前とした栗原夫婦に無神経な言葉を投げかける夫婦の両親。
片倉ひかりの考えや要望を聞かず、自らの考えを押し付け、臭い物に蓋をするといった対応に必死なひかりの両親。
また、ひかりの叔父がとった態度はあまりにも浅はかで愚かだ。
そんな栗原夫婦は「朝斗」の誕生により、長いトンネルから抜け出すことができ、幸せな日常を掴めた。
しかし一方で片倉ひかりは「朝斗」の誕生により、長いトンネルへと足を踏み入れることになる。
命の誕生がここまで人の人生の明暗を分けることになるとは思いもしなかった。
本作では栗原夫婦と片倉ひかりが徹底して対照的に描かれている。
血が繋がっていても自分の両親に信じられず、両親が掲げた教育方針から逸脱することを許されなかった、ひかり。
血は繋がっていなくとも、友人が怪我を負ったのは自分のせいではないと信じられた、朝斗。
いくら血が繋がっていようとも、そこに相手を信じようとする気持ちや思いやりが無ければ、そこでは望むような家族関係は築けない。
反対に血が繋がっていなくとも、そこに相手を信じようとする気持ちや思いやりがあれば、望むような家族関係を築くことが出来るのでないだろうか。
「朝」 昏冥に射す陽光?
2020/10/30 10:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女の「ひかり」という名前が、生き方の暗さに対して皮肉だ。対して、子供を特別養子縁組という方法で迎えた夫婦の真っ直ぐな生き方が、「暗」と「明」を分ける。
この話は「子供を返せ」と言われた時に「いいですよ」と答えていたら、成り立たない話だ。だが、人の情はそう容易く切れるものではない。
「血」は「水」より濃いと言う。血の繋がりを重視する人がいる一方で、生さぬ仲の子を深い愛情を以て育てる人もいる。ここでは後者だが、作者の辻村美月さんの設定で「それはそうだな」と共感を持てたのが、「子供に事実を告げる」 つまり告知をするということを選択している点だ。
これまで、実の親子ではないといった事情を告げずに脅迫されるといった話を読むたびに、初めから告げていたらと、ずっと考えていたので――。
現実にも、こういった事実はなるべく隠さない方が後のことを考えた時には良いように思う。誰から知らされるかということ、どうやって知ったかということで起こる問題の混乱は、多少なりとも避けられるのではないかと――。
そういった事を考えながら読んだが、子供を迎えた夫婦の話よりも、転落をしていく「ひかり」という少女が、闇を抜ける兆しに出合う方が話が濃かった。
totocat
2019/05/11 08:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:totocat - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性の視点というところで、限りなくリアルに描かれているので一気に読みすすめて読了しました。小説ではよくありますが、幸せ含みの終わりですね。ただ、ひかりちゃんが悲惨すぎてもう少し幸せにしてあげてから終わって欲しかったです。
それでいいのかと思う(ネタバレあり)
2020/11/25 21:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまばやし - この投稿者のレビュー一覧を見る
テーマは興味を惹くものがあったし、前半から、ひかりの話に入るまでは良かったのに。
ひかりの人格には嫌悪感を抱きました。親を、姉をばかにし、優越感に溺れ道を踏み外し(あえてこのように表現します)、辛い思いをしてその時々は反省のようなことをすることはあっても、追い詰められると自分に言い訳をし、逃げて人を、時には恩人をも心の中で責める。結局人生からも逃げようとしたところを救われる。
でも、結局ひかり本人は何も変わってないんじゃないか。たまたま聖人のようなさとこと朝斗が、そしておそらく清和が、「わかってあげた」だけなんじゃないか。
仮に実際にひかりのような人がいたら、おそらくまた問題を起こす。さとこたちが聖人のような人たちでも、その周囲の人たちともめて、さとこたちに迷惑をかけて、また逃げるんじゃないか。と思いました。
読み終わった後もすっきりしない話でした。