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とちりの虫
著者 安岡章太郎 著
昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係してお...
とちりの虫
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とちりの虫 (中公文庫)
商品説明
昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係しており、これは私には、ただの偶然とはとても思えない。――阿川弘之
私が仕事にかかるふりをしていると、襖がすこしずつ開いて、その隙間から嘲けるような笑いをうかべて、彼はじっと窺っているのである。私もそっと彼の部屋をのぞくと、安岡は布団の上に寝そべって天井を眺めながら鼻毛をぬいているのであった。――遠藤周作
浪人三年、落第一年、秋風がふくと終わらない夏休みの宿題を想い出してゾッとする。出がけには必ず忘れものをし、約束の時間を一時間まちがえてウロウロ。泥棒に入られれば何も盗まれるものがなく警察に困惑され、文学賞の授賞式では緊張してシドロモドロになる。どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい――青春時代をユーモラスにつづる自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によるエッセイを新たに収録。〈解説・中島京子〉
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昭和の初期に活躍された安岡章太郎氏によるユーモラスな自伝的回想録です!
2020/08/30 10:55
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和期に活躍され、『陰気な愉しみ』及び『悪い仲間』(芥川賞)、『海辺の光景』(芸術選奨文部大臣賞・野間文芸賞)、『流離譚』(日本文学大賞)、『伯父の墓地』(川端康成文学賞)など数々の名作を発表されてきた安岡章太郎氏の作品です。同書の内容は、「どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい」といったユーモラスな文章で綴られた自伝的回想です。作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集となっています。同書文庫版では、阿川弘之氏と遠藤周作氏のエッセイも新たに収録されました。