紙の本
素敵な案内書
2020/09/25 18:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:枝乃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ小説など読むのか。いったい何の役に立つのか。そんな無粋な質問をしてくるような人が目の前に現れたら、スッと差し出したくなる一冊でした。
非現実の自由な世界に国語のテストのような正解はなく、そのことを踏まえた上で同じ小説を読んだ人の感想に触れるのは楽しいですし、多様性を認識する訓練にもなるのではないかと思わせてくれました。
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろな小説を知るには良い1冊。最後に小説の紹介があり、長いので途中挫折しても仕方ないという本まで紹介しているのが面白い。この中からどれか読んでみようかと思った。
投稿元:
レビューを見る
書店に並び始めた頃から気にはなってたけど、やっぱり読んでみようってことで購入。帯の西加奈子推薦文も決め手。でもやっぱり、自分の感性に従ってっていうのは共通してますね。お酒に酔うよりもうっとりするような文章、情けないことにまだ知らないです。どんな感覚なんだろ?実際のお酒においても、じっくり味わう日本酒やワインより、パーッといくビールの方が好き、みたいな自分には、文章の味わいも分からんのかな?それはそれで切ない話。高い宝石よりずっと安価に手に入る宝物っていう考え方には大いに首肯。最後にオススメ作品一覧もあったし、買った甲斐はありました。
投稿元:
レビューを見る
文学とは何か→不特定の人に向けて書かれた文章
文学は読者=君に読まれることで存在できる、君のためにある
読みたくなった本・作家
カレル・チャペック『山椒魚戦争』
サマセット・モーム
室生犀星
ジェイン・オースティン『高慢と偏見』
ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』
ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』
トルストイ『戦争と平和』
ガルシア=マルケス『百年の孤独』
ボルヘス『伝奇集』
川端康成『みずうみ』
投稿元:
レビューを見る
これはちくまプリマー新書だから中高生に小説を紹介する本というコンセプトだと思うが、小説とは何か、というところに文字数を割きすぎてる感じがした。著者の熱い思いは伝わるけど、個人的な思い入れはそこそこにして、作品紹介にもっとパワーを割くべきだったのでは、と思う。
巻末に、「とっかかりが欲しい人のための小説案内」という推薦図書コーナーがあり、高慢と偏見、宝島、二都物語(私はオリバー・ツイストでもいいと思うなあ)などが紹介されているが、日本の作家は三島、川端、谷崎なんかはわかるけど、三遊亭円朝や寺山修司の「あゝ、荒野」が入ってるのは変わってる。本文で草枕と鼻、十九歳の地図が出ているので夏目、芥川、中上健次は既出。鴎外や太宰、志賀直哉なんかもあったら良かったのに。志賀直哉なんか「小説の神様」って言われてるのに。「あゝ、荒野」は、小説としては失敗作って気がするがなあ。「書を捨てよ」の方がいいけど、小説じゃないから?寺山修司を初めて読む若者に「あゝ、荒野」でいいのかな。
まあそこが藤谷さんらしいのかも。
ジュリアン・グラックは読んだことないので読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
小説を読むとぐったりするから避けていたけれど、小説はそういうものだと知ってホッとした。これからもう少しずつ読んでみる。
投稿元:
レビューを見る
ブンゲイ批評とか
かかった時間60分
中高生向けに、小説の意義?とか読みかた(HOWTOではなく)とかを書いた本。
自分にとっての小説の意義を知っていて、自分も小説を書いている筆者だからこそ書けるものだと思うし、正直、類書の中でも、入門書として優れたものだと思う。
文学は不特定多数に書かれたもの、小説は取るに足らない人間を自由に描くもの、小説は読み手と秘密を共有するもの、など、ああそうだなと思えることが多かった。あと、文意と味というのもよかった。
いろいろな分野で近年「ざっくり」が許されてきているのが非常に良いと思う。それぞれのひとにとって、「ざっくり」で終わるともったいないものもあるが、そういう場合は、さらに「ざっくり」を重ねるのもよいし、こんどは細かくじっくり知るのもよい。
筆者の意図どおり、そういう、はじめの「ざっくり」を、この新書はガイドしてくれる。
投稿元:
レビューを見る
「船に乗れ!」の藤谷先生による小説案内、中身自体は誤解を恐れず言うとどおってことない内容。語り口を楽しむ本だと思う。この本で作者のことが気になったら、「船に乗れ!」とか「世界で一番美しい」とかを読んでみてほしい。是非。
投稿元:
レビューを見る
◯抜粋
小説はを読むことは人生にどんな役割を持っているか?
・人生が増える
・こっそり考える
・現実を見直す
・多様性を知る
・すべての人の自分
・陶酔
投稿元:
レビューを見る
なぜ小説など読むのか。いったい何の役に立つのか。そんな無粋な質問をしてくるような人が目の前に現れたら、スッと差し出したくなるような一冊でした。非現実の自由な世界に国語のテストのような正解はなく、誰かの評価はその人自身のもので、読んだ本人が自分で評価しないと意味はない。そのことを踏まえた上で、同じ小説を読んだ人の感想に触れるのは楽しいですし、多様性を認識する訓練にもなるのではないかと思いました。
投稿元:
レビューを見る
以前小川洋子の物語の役割を読んだが、同じようなことを書いている部分があり、やはり同じところに行き着くんだなと思った。
一方、小川洋子のほうが体系化されているイメージ
投稿元:
レビューを見る
本を読めばいくつもの人生を体験する事ができる、という言葉はよく耳にしますが、この本は“何故”そうなのかを分かりやすく親しみやすい言葉で教えてくれます。本を読んで情報を得るのではなく、経験を得る為にはどうすれば良いのか……
読み終わった後、自分の本棚に並ぶ本たちが愛しく思えます。
投稿元:
レビューを見る
「小説は他の文章に無い特性ゆえに、僕や君の人生に意味を持ち、役割を持っている。ではその特性とは何?小説の可能性について考える。小説って何だろう。他の文章に無い特性ゆえに、僕や君の人生に意味を持ち、役割を持っている。ではその特性とは何か。小説の持つ可能性について考える。」
目次
第1章 文学とはなんだろう
・文学を乱暴に定義する
・文学を評価する
・文学はどこにあるか ほか
第2章 小説とはどんなものだろう
・小説には複数の人間と、その行為が現れる
・小説には作者がいる
・小説は自由に書かれている ほか
第3章 小説を読む経験
・人生が増える
・こっそり考える
・現実を見直す ほか
著者紹介
藤谷治[フジタニオサム]
1963年生まれ。小説家。日本大学藝術学部映画学科卒業。会社員を経て、東京・下北沢に本のセレクト・ショップ「フィクショネス」をオープン、2003年に『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』で作家デビュー。著書に『いつか棺桶はやってくる』(第21回三島由紀夫賞候補)、『船に乗れ!』(第7回本屋大賞第7位)、『世界でいちばん美しい』(第31回織田作之助賞受賞)、など