紙の本
パレードの上手い軍隊は役に立たない
2018/10/20 21:48
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章から第5章が日本への提言。第6章と第7章は戦争論。第8章と第9章は米中経済戦争についてでした。中でも日本の最優先課題は少子化対策であり、致命的な問題なのに、真剣に取り組もうとしていないと喝破。オバマの無策が招いた北朝鮮の増長、韓国に対する低評価、米国が仕掛ける中国との経済戦争の意味等、興味深かったです。特にトランプの外交戦略の真意については、非難一辺倒の日本のマスコミ報道では知ることのできないものであり、一読の価値ありです。それにしても、パレードの上手い軍隊は役に立たないという見解は面白かったです。
紙の本
日本の取るべき戦略を考えよう
2019/04/09 20:57
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投稿者:FA - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者曰く、日本人が戦略下手どころか、極めて高度な戦略文化を持っていると考えているからだ。また、現代は犠牲者を忌み嫌う時代である。実際の戦闘は起きない傾向にある。ただ、ロボット兵士を作者は無駄だと言い切っている。
「地経学」=「地政学」+「経済」を念頭に置いて考えてみる。日本は中国とは仲良くやっていけないとみる。まだ、西洋世界の方がましだろう。国体を変えない程度に西洋世界に合わせていくしかないだろう。国連をはじめ関係機関にロビー活動を進めていく。日本人としては苦手でも、得意な人を雇えばいいだろう。その際は、嘘ではなく、真実を極めていく方向で進めていく。徹底的に真実を訴えていく。これが一番だと思う。
電子書籍
戦略家の視点
2018/11/17 10:03
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投稿者:オビー - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕潘体制の江戸1.0。
西洋近代化の明治2.0。
経済シフトの戦後3.0。
次のフィールド、日本4.0のヒント。
北朝鮮の脅威、地経学的紛争、少子社会。
朝鮮半島問題、先制攻撃能力、ポスト・ヒロイック・ウォー。
鳥瞰的な視点を与えてくれる一冊。
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江戸幕府の1.0、明治維新を2.0、戦後の3.0。
日本は時々に合わせてアップグレードしてきたとルトワック氏が語ります。
そして今の日本が戦わなくてはならない戦場が北朝鮮、米中による地経学的紛争、少子化。これに対応するのが日本4.0。
「自滅する中国」で現在の対中包囲網を予見していたルトワック氏が語る日本4.0も当たるんじゃ無いでしょうか。
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かなり過激な書きっぷり。自衛隊は軍隊と言い切っている。日本よりも韓国についてアメリカのスタンスが良く分かる。最後の方は意味が分からない内容だった。日本の軍事的な位置付け、方向性を著者の視点で論じた本。
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表題の日本4.0(徳川幕藩体制を日本1.0、明治維新後を2.0戦後体制を3.0として)よりも、「ポスト・ヒロイックウォー」「特殊部隊論」「地経学」の方が興味深く読めた。
まあ、鵜呑みにするものではなく、思考の補助線としてなら有効かと。
「リスク回避を優先しすぎることのリスク」
米軍が例に出ているが、これをエネルギー問題でやっちゃってるのが今の日本なのでは?とも読めた。
「地経学」
米国が地政学から地経学にフェイズを移しつつあるとしても、
日本は90年代以降、地経学から地政学にフェイズを移してないか?とか。
だいたい、北京との間で冷戦以下で済む保証なんてなにも無い訳よ、実際。
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サブタイトルが「国家戦略の新しいリアル」というようにこれから国防に関するルトワック氏の提言。中国、ロシアよりも北朝鮮にもっと神経を使うべきというもの。核の廃絶を行わない限り、常に危険が伴っていることを忘れてはならないだろう。
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ルトワックの一気読み3冊目
取り巻く環境が変わったために、現在の日本がとっている戦略をアップデートする必要がある、と主張するのが本書の狙い。ただ似たようなタイトルの『中国4.0』と比較して全体に統一感がなく読みやすいとは言えない。
内容は『日本4.0』の方が『中国4.0』よりも上回ると思う。それでも一冊の本としての出来は『中国4.0』の方が上に感じる。
ルトワックは本書で、現代の戦争を「ポスト・ヒロイック・ウォー」と表して、現代の戦争における問題点をあげていく。
また地政学から「地経学」にシフトしていく点を主張し、今後は国家間の間において戦力のもつ戦略的な重要度が落ちていく点、戦略核を持つことにメリットがなくなってきている点、それとは逆に経済活動における戦略の重要度が増していく点なども含めて、あいかわらず視点は鋭い。
本書におけるルトワックの意見は、それほどセンセーショナルなことを主張しているようには思えない。これは本書の問題ではなく、日本国内で得られる情報の質と主張の質が上がってきているとも受け取れるので、本としての出来はいいものの、読み手の方が多分もう少し違う内容を求めている気もしないでも無い。
https://twitter.com/prigt23/status/1059056371369369600
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・日本では、いかなる目的であっても核兵器を使うことは不可能。絶対に使うことのできない兵器に、莫大な税金をつぎ込み、他のもっと有益な軍備を削るのは、政治的軍事的に合理性がない。
・日本が核武装の代わりにやるべきは、先制攻撃能力の構築だ。
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「冷戦後の世界は、軍事を中心とした地政学の世界から、経済をフィールドとする地経学の世界に軸を移しつつある。」1990年から言っていそうで、まさに現在ますますそうなっている。奥山さんの訳も素晴らしい。
大戦略の重要性。
地経学 ジオエコノミックス
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『中国4.0』の著者による日本4.0。
「内戦を完璧に封じ込めた江戸」が1.0。
「包括的な近代化を達成した明治」が2.0。
「弱点を強みに変えた戦後」が3.0。
そして「自ら戦える国へのアップグレード」が4.0です。
以下、本書より。
【安全保障と少子問題】
多くの読者は、北朝鮮や尖閣への危機対応という安全保障上の問題と、少子問題が並べて論じられる事に違和感を覚えるかも知れない。
しかし、これらの問題には二つの点で通底するものがある。
一つは、いずれもが日本がまさに直面している致命的な問題でありながら、実際的かつ有効な対処法に誰も取り組もうとしていない点。
そこに共通するのは、リアリズムの欠如。
日本は長年、少子化問題を議論しながら、人口減少という国家にとっての真の危機を間近にしても、思い切った施策を打ち出そうとしていない。そもそも将来の納税者が減少すれば、近代国家は衰退するしかない。
もう一つ、子供がいなければ安全保障の論議など何の意味もないという事。
人間の人生には限りがあり、未来は子供の中にしかない。
当然、国家の未来も子供の中にしかなく、それを守る為に安全保障が必要。
どんなに高度な防衛システムを完成させても、国内の子供が減り続けている国が戦争に勝てるのだろうか?
未来の繁栄が約束されるのだろうか?
今回、日本に来る際、私が乗った飛行機の席の近くに赤ちゃん連れの母親がいた。
この赤ちゃんが泣き始めたので、私は席を立って彼らの側にいった。
その母親は、不満を言いにきたと思ったのか緊張したようだったが、「私にも孫がいる。赤ちゃんは私に任せて、トイレにでも行ってリラックスなさい」と声をかけると、安堵の表情を浮かべた。ところが、私の隣に座っていた男は不満げに「俺はわざわざビジネスクラスのチケットを買ったのに、赤ん坊がうるさくてたまらん」と言うではないか。
私はその男に言ってやった。「お前は馬鹿だ。赤ん坊の側にいたくないという奴は、人生のセンスが全くない人間だけだ」と。
もし日本が本当に戦略的な施策を打ち出すのであれば、最も優先されるべきは無償のチャイルドケアだろう。スウェーデン、フランス、イスラエルは高い水準のチャイルドケアシステムを整備し、実際に子供が増えている。
「日本4.0」が最初に取り組むべきは、日本人が得意とする包括的なチャイルドケアシステムの構築だ。
まずは不妊治療の無料化。イスラエルはこれを100%実施している。
次は出産前の妊婦が必要とする諸費用、出産費用、更には小学校に行くまでのチャイルドケアの費用を国が負担する事。
イスラエルでは、大卒の女性が生む子供の数は平均で2.5人に達している。
もちろん彼女達は国からの援助を必要としていないが、いざとなったら無料のシステムに頼れるというセーフティネットが備わっている。
これは国内の心理的な空気も一変させる。
高齢化が行き着くと、国内の雰囲気は保守化し、悲観的になる。
未来の事を考えない近視眼的な思考���はびこるようになる。
私は日本の右派の人々に問いたい。
貴方が真の愛国者かどうかは、チャイルドケアを支持するかどうかでわかる。
民族主義者は国旗を大事にするが、愛国者は国にとって最も大事なのが子供達である事を知っている。
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国家戦略の新しいリアルという副題。タイトルは日本4.0となっているが、日本について言及しているのは前半の一部分だけで、内容は世界の軍事・経済戦略が中心。
内容は、現在持て囃されている地政学は地経学へ移行していること、世界がリスクを取らなくなっている、自衛隊への提言(核武装、特殊部隊)、米中関係の今後について論考している。読んでみて、内容が論文を集めたものであり、結論がやや曖昧でスッキリしない感じがした。
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今から35年以上前だと思いますが、ノストラダムスの大予言シリーズを読んでいた時、21世紀には日米安保条約が無くなっている、というフレーズがあり、その部分が鮮明に頭に焼き付いています。
それから30年間、つい最近までは、日米安保条約が破棄されないなんてありえないことだと思ってきましたが、どんな条約にも期限があり、それが延長されているという原則に立てば、破棄されることもあるのですよね。日露中立条約が延長されなかったように。
この本では、戦後日本を安定的に成長させてきたシステム(日本3.0)が終わって、新たな国家戦略の構築をする(日本4.0)必要があることを述べています。地政学から、「地経学」の考え方が重要とのことです、地経学とは、初めて聞いた言葉でした。今後、興味を持ちたい内容でした。
以下は気になったポイントです。
・日本の問題は、1945年以降、有効に機能してきた「戦後システム(=軍事的敗北を経済的勝利に変える)」が、北朝鮮というむき出しの脅威には対応できなかったことにある(p10、16)
・日本の400年を見てみると、そのシステムが危機に直面するたびに、新たに包括的なシステムに更新してきたこと。これは世界でもあまり例を見ないこと(p11)
・日本の近代化は、軍事を自らのアイデンティティとしていた侍が、自分たちの特権を否定する近代的な軍隊への転換を主導したことは画期的である。これを理解できなかった、西郷隆盛のような脱落者を出しながらも成功した(p14)
・韓国は、北朝鮮問題に対する当事者意識、国防への責任意識をまるで持ち合わせておらず、ビジネスだけに関心を示している(p42)
・戦争で守る原則とは、1)常にアクションを仕掛ける、2)即興性を恐れない、3)リスクをとる(p67)
・核兵器の使い道は、相手の核兵器の使用を抑止すること、それを使うと相手も使い自国は破滅する、と考えてくれるのが前提(p73)
・現在の特殊部隊が優遇されるのは、戦争による犠牲者を受け入れられないことに起因する、これにより戦争は長引き、コストは浪費する(p84、138)
・ローマ帝国が得意としたのは包囲戦であった、包囲技術の優秀さと兵站面での優位に立つと、敵の食糧が尽きるまで待つことが可能であった。その現代版が、貿易禁止・武力封鎖となる(p116)
・新しい「地経学」の時代は、経済がその紛争の最大の原因だけでなく、その紛争に使われる唯一のツールとなる(p155)
・平和は敗者が負けを認めないと訪れない、なのでパレスチナ戦争は続く(p182)
2019年3月3日作成
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2023/05/19:読了
本自体は、3つのフィールドのうち、「安全保障」に関する2つのフィールドについてだが、冒頭だけに記載されている、残りの1つである少子問題の対策が、いちばん興味深かった。
P18 北朝鮮危機という契機
私の考えでは、「日本4.0」が戦わなければならないフィールドは、
・北朝鮮の脅威
・米中対立を軸とした「地経学」(ジオエコノミックス)的紛争
・そして少子社会
である。
P22 安全保障と少子問題
多くの読者は、北朝鮮や尖閣への危機対応という安全保障上の問題と、少子問題が並べて論じられることに違和感を覚えるかもしれない。
しかし、これらの問題には2つの点で通底するものがある。
ひとつは、いずれも日本がまさに直面している、致命的な問題でありながら、実際的かつ有効な対処法に誰も取り込もうとしていない点だ。
(中略)
もうひとつ、子どもがいなければ、安全保障の論議など何の意味もないということだ。
(中略)
もし日本が本当に戦略的な施策を打ち出すのであれば、最も優先されるべきは、無償のチャイルドケアだろう。スウェーデン、フランス、イスラエルは、高い水準のチャイルドケアを整備し、実際に子どもが増えている。
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同氏の戦略観や中国の見方が窺えて、興味深い。「一糸乱れぬパレードを行う軍は●●である」には、妙に納得。