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北風 小説 早稲田大学ラグビー部
著者 藤島 大
早稲田大学ラグビー蹴球部、創部100周年。本書は、まさに早稲田ラグビー部の本流を当時の匂いまで再現している。──清宮克幸氏。「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そん...
北風 小説 早稲田大学ラグビー部
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北風 小説早稲田大学ラグビー部 (集英社文庫)
商品説明
早稲田大学ラグビー蹴球部、創部100周年。本書は、まさに早稲田ラグビー部の本流を当時の匂いまで再現している。──清宮克幸氏。「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そんな福島のツッパリ少年、草野点は高校でラグビーと出会う。上京し早稲田大学に入学した彼は、日本一を目標に掲げる伝統のクラブの一員となった。「グラウンドを一秒でも歩くな」それが早稲田。技術、体力、精神力。目指すべき高みは遠い。凄絶な練習の描写に、OBからレギュラー、補欠にも貫かれる早稲田ラグビーの本流が宿る。武骨な青春小説。
目次
- 第一章 春の北風/第二章 俺、何?/第三章 青いタオル/第四章 グラウンドの無限
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紙の本
早稲田大学ラグビー部の日常を描いたラグビーファン必読の1冊
2020/11/04 18:28
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
早稲田大学ラグビー部の春から大学選手権決勝に至る1年間を新入部員の草野点の視点から追ったスポーツ小説。あくまでもフィクションですが、おそらくは著者の藤島氏自身の経験(著者は元早稲田大学ラグビー部在籍)と取材を基に、描かれており、80年代の早稲田大学ラグビー部の実情をかなりのリアリティーで描いています。巻末の解説でも清宮克幸氏(元早稲田大学ラグビー部監督)が触れておられますが、本書に登場する個性あふれる部員の姿は「おそらくあの人」という、実在の選手がモデルになっているようです。
描かれているのは日常の練習風景が大部分です。冬の公式戦でのレギュラー獲得を目指して、部員一人ひとりが自らを鍛えぬく様子は、自らの実体験を通して描かれているだけに臨場感満載です。
草野点がフッカーというスクラム最前列のポジションであるがため、スクラムを組んでいる時にどんな駆け引きをしているのかという部分は非常に細かく描写されていて、本書のそれはおそらくは「やった人間にしか分からない」レベルです。
「サイドフォロー」、「ヘッドスピード」、「回転ヘッド」などの名称の各種練習メニューや菅平合宿の練習風景の描写、タックルの強化のために鉄柱に肩をぶつける個人練習を続ける先輩、後輩の指導に時折練習場に訪れ圧倒的なスクラム技術を披露するOB、多くを語ることなくラグビー部を引っ張る主将、草野点のライバル同級生の狂気じみたスクラムの様子等、魅力的な人物描写が読者を早稲田大学ラグビー部という独特の世界に誘ってくれます。
本書終盤、対抗戦終盤の早慶戦、早明戦直前のピリピリとした緊張感は読んでいるこちらまで張りつめてくる程でした。すべての試合が終了した後の懇親会のシーン。1年生部員から見て、あまりにも大きな存在で直接言葉を交わす事など1年を通じてほとんどなかった主将が「ありがとうな。俺、お前らの事、一生忘れないからな」と語りかけるシーンは印象的でした。
ラグビーを扱った小説はもともと数少ないですが、ラグビー好きの方なら絶対に一読をお勧めします。また学生時代に部活動を経験されている方なら、共感できる部分もたくさんあるのではないかと思います。私自身、弱小運動部ではありましたが、最後の公式戦に掛ける思いや、日々の練習に向けた気持ちとか、懐かしい思いを感じつつ読むことができました。