『ゆっくりおやすみ、樹の下で』
2018/09/24 20:39
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み、小学5年生のミレイちゃんは、おかあさんが育った鎌倉のおばあちゃんの家“さるすべりの館”ですごすことになりました
「あそこには、わたしたちの秘密がすべて隠れているからよ」
おかあさんのことばにはどんな意味があるのでしょう
赤の部屋、緑の部屋にはなにがあるのでしょう
ミレイちゃんは、ミレイちゃんとだけおしゃべりのできるテディベアのビーちゃんといっしょに“さるすべりの館”でふしぎなできごとを経験します
そして真夜中、止まっているはずの振り子時計が動き出して...
ゆっくりゆっくりとすすんでゆく「ひとりの女の子の夏休みの物語」は、やがて「この国の夏休みの物語」になってゆきます
高橋源一郎が初めて取り組んだ「児童文学」
「この作品ほど、長く時間をかけて構想を練り、資料にあたり、細部を考えた作品は、いままでなかった」(「あとがき」より)
「朝日小学生新聞」創刊50周年記念として2017年7月から9月にかけて90回連載した作品に加筆修正して単行本化
帯には「朝日新聞出版10周年記念作品」のクレジットも
夏休みに子どもたちに読んでほしい一冊
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
11歳のミレイちゃんの夏休みの物語です。3ページずつ進む物語は、ちょっと怖い感じを漂わせながら、優しく優しく進んでいきます。いいね。
少女の夏休み成長譚
2024/08/02 22:11
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投稿者:りら - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝日小学生新聞に連載時には読んでいなかったが、高橋源一郎氏の初の児童向け小説であり、気になっていた。
一話が1日分で、90日分がまとまっている。
90日間の話ではなく、連載期間。
夏休みに、今まで会ったことのなかったおばあちゃんの家に行くと、自分のかわいがっているテディベアのビーちゃんと同じものだがすっかり古くなっているビーちゃんを見つけ、誰のものかと不思議に思っていたら、曽祖母にあたる人が大切にしていたと知る。
小さな冒険を重ねて過去と現在を知るにつれ、いろいろな人とのつながりやその思いも知る。
今に感謝する気持ちに気づく。
戦争の頃の悲しく辛い場面もあるが、そこに固執せず全体的には少女の成長譚としてまとまっているので、読みやすい。
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いい言葉を使う。楽しい言葉を使う。
厳しいこと、辛いことがあっても、
明るい言葉を選びたい。
でももっと必要なのは時間か。
もっと時間をつくらないとな。
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11歳の女の子が、夏休み、おばあちゃんの家で、過去と現在を行き来して、ある人の手助けをする。何かを経験して知ることで、自分の幸せが実感されたり、周りの世界の見え方がかわる。
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この夏の、ベストな一冊。
「いい本を読んだなあ。読み終わるのが惜しいな」
本気で思いました。幸せな夏休みが終わるのが残念な気持ちと似ていて。
朝日小学生新聞に連載されたこのお話、まず表紙の美しさに惹かれ、次いで著者名を拝見して驚きました。
高橋源一郎さんが児童文学を?
過去、一冊、高橋さんが大学でお講義をなさった記録を、ご本として読んだだけなので、小説は拝読しておらず…最初の一冊をいつか読もうと思っていた私。
見事に大ヒット!と相成りました。
小学生のミレイちゃん、鎌倉のさるすべりの花が美しい館で、バーバとひと夏を過ごすことになります。
そこには、美しい緑と花。かつて豪奢だった館。
寄り添うように優しい人々。
ふしぎでおだやかな空気に包まれた毎日。
開かない扉の部屋。動かないのに自分にだけ時を刻む柱時計。
バーバに導かれて知る
だいじなだいじなことがらたち。
一度はこういうところに迷い込んでみたいと憧れる世界が、そこにあります。
それは、幼い頃、綺麗な箱に気に入りのあれこれを入れて、一人の時にそっと開けてみる、あの感じ。
戦争が残した、消えがたい痛みも描かれていますし、昨今の世相を映した著述にも、はっとなったり。甘く美しいだけのお話ではありません。
それでも、最後の一行まで、全編、とても幸せ。全ての年齢の読者にきちんと目線を合わせた、心地よい物語でした。
そして、もう一つ良いなと感じたのは。
ケストナーやリルケなど、この本の次に読んで欲しい名作が、印象的に作中に生かされ出典が明記されている点。実に印象的に、作品や作家が作中にいろいろ出てきます。それが少しも押し付けがましくなくて。
本を旅に例えるならば、この旅が終わった後に次の扉を開ける楽しみも、ふんだんに散りばめられているのが、とても良くて。
「あの本に出てきた、あのお話、次は読もう。」
って、わくわくしたことありませんか?
しゃっちょこばった読書案内のリストを睨んでいるよりも、ずっと『その次』に手を伸ばしたくなる。読み巧者を育てるうまい道標ですね。読んでも読まなくてもいい。でも、良い要石は置かれている。子供時代にはそういう出会いが、とても大事で。
あそこで見たな…というきっかけ、
意外と覚えているものです。
ちょっとお話が逸れましたが…。
ミレイちゃんが何を見て、何を知ったのか。
夏の終わりに、スマホの電源をOFFにして、彼女の体験した愛の時間を、ぜひ多くの方に読んで頂きたいなあ。きっとこの夏を猛暑の記憶だけじゃなく、忘れがたい夏に変えてくれると思います。
この本を抱きしめて、鎌倉散歩をしたら私にもさるすべりの咲く館が、見つかるかしら。久しぶりに、読み終わるまでに
「買おう。」
と決めてしまった本に出会いました。
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子ども向けに書かれたもの。
夏休みに子どもに読ませたい本として今後選ばれそう。
大人になりきっているので、子どもに読んでもらって感想を聞きたい。
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ミレイちゃんという11才の女の子が、初めて出会った祖母の館で過ごす夏休みの不思議な出来事。夜中に時計が動き出すのがミサトちゃんに出会うきっかけになる。クマのぬいぐるみのビーちゃんをともにして時代を超えることが、なんとも自然な感じで書かれている。挿絵も章ごとにあってとても柔らかいタッチで素敵だ。
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毎日新聞の人生相談欄のコメントで、著者の人柄に惹かれていた
初の児童文学
角野栄子さんも薦めておられるし
「さるすべりの館」
ミレイちゃんの今とひいおばあさんの時代が交錯する
美しい風景
テディベアに導かれて
語りかける口調も挿画も優しい
≪ ゆっくりと 歩いてみよう なつやすみ ≫
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今日マチ子さんの絵に惹かれて手に取りました。
児童書だけど、大人へのメッセージもあったので大人が読んでも良いと思います。
高橋源一郎さんの作品を読むのは初めてでしたが、読みやすかったので他も読んでみたいです。
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すっぴんで紹介されてからずっと読みたいと思っていた。
これを連載で読めた子は幸せですね。
やさしくて、哀しくて、しあわせな温かいおはなしでした。だいすき。
ラジオでの源一郎さんの語り口がとても好きなのだけれど、この本の語り口もなんだか源一郎さんっぽい。
夏休みの楽しい思い出ってのはたしかにおばあちゃんちのイメージ。こどものころのそーゆー体験ってのはとても大切。ちょっと大げさかもだけど、人生でのお守りみたいなもんだ。
作家のお父さんはどうしても源一郎さんをイメージしてしまいますが、そのへんは計算されてるのかしら?
遠い昔の人の言葉が今の私を救ってくれることがあるように、今の私があのつらい時代の人の心を救えることがあるといいのに。
とはいえ、現代のツライ現実にさえ手を差し伸べられるかどうかも…
どうして、信じられないほどに怖ろしいことが日々起こるのだろう。こんなにあたたかい物語が世の中には生まれてくるとゆーのに。
ともにいてくれるぬいぐるみとゆーのは大切。私にもいたみたいなんだけど、自分では覚えてないんだよなあ。
幼い私はその子とおはなしをしただろうか?
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一昨年(2017年)7月から9月にかけてちょうど三ヶ月、90回の連載として朝日小学生新聞に掲載された。その夏休み中のNHKラジオ第一「すっぴん」(著者の高橋源一郎がパーソナリティーをつとめるある月曜日の放送)で、毎日はなしの続きをとても楽しみにしている、という小学校四年生の女の子の投稿が読まれたのを聴いた。去年6月に単行本が出て、ぼくはその夏にゆっくりと読んだ。読んでいる間はずっと、連載の載っている朝日小学生新聞が配達されるのを心待ちにしていただろう小4女子の気持ちを考えていた。
先行作品として、『トムは真夜中の庭で』(フィリパ・ピアス)があります。この『トムは真夜中の庭で』は大江が、小説を「再読」することの意味を語るときに幾度か引き合いに出しています。『「話して考える」と「書いて考える」』(集英社文庫)の章「子供の本を大人が読む、大人の本を子供と一緒に読む」から引用してみます。
「しかし多くの本を読みかさね、人生を生きてきもして、ある一冊の本が持ついろんな要素、多様な側面の、相互の関係、それらが互いに力をおよぼしあって造る世界の眺めがよくわかってから、あらためてもう一度その本を読む、つまりリリーディングすることは、はじめてその本を読んだ時とは別の経験なのだ、と(ノースロップ・)フライはいうんです。(中略)そのような読書は、自分の人生の探求に実り多いものとなります。とくにそうした探求が切実に必要な人生の時になって、本当に役に立つ読書の指針・仕方です。つまり「もう時間がない……」としみじみ感じ取る大人にとっては、そうした読書が必要なんです。」
ここの「もう時間がない……」というのは、『トム〜』の中にある「time no longer」という句の日本語訳です。大江はこの句にこだわります。「大時計の箱の中に『ヨハネの黙示録』の、この世の時の終りを告げる天使の絵と、かれの発する言葉の文字とを見出す……。(中略)そして自分はその言葉を英語で覚えて、それを自分の小説にそのまま引用したことさえあった」(〜『読む人間』ー「故郷から切り離されて」(集英社文庫)より)と。じゃあ『ゆっくり〜』にもこれに対応する言葉があるかな〜と、あった、ありました、最初の方と、最後の方に。でもこの言葉は際立たない。当然のことだし、ミレイちゃんだって言われなくてもわかってることだったから。
さてもう一度、先の大江の『「話して考える」と〜』から引用します。
「子供の読書は、それによって生き生きした新鮮な世界にーーつまり言葉の迷路のような未知の風景にーーとびこんでゆく経験です。しかし、それは、自分の将来の日々のために、そこで人生のしめくくりにどうしても必要な、方向性のある探求をするための、時間をかけての準備でもあるんです。大人には、一緒に本を読む子供にそのことを予言してやる必要があります。そして本の選択に助言をしてやる責任があります。(中略)まずはじめての本として良い本を読む、ということは大切です。それがなければ、やがてやるリリーディングにも意味はありません。フライのいうとおり、真面目な読者は、「読みなおすこと」をする読者のことです。さらに私はそれが、自分の人生の「時」のつ��かさねの後で、やがてこの本をリリーディングするだろうとあらかじめ感じとりながら、はじめての本を読む読者のことでもあると思います。真面目な子供の予感を、大人は実現させてやらねばなりません。そして真面目な読者へと自分を仕上げねばなりません。」
『ゆっくりおやすみ、〜』はたぶん、よく本を読み本を読むことを大切にするひとを育てる小説でもあるだろうし、著者はそうなるように充分に意識的に配慮したと思う。小説家人生を賭けるくらいに。そっと、子供が目につくところにさりげなく置いておきたい。装丁も挿し絵もすごく良いので是非、文庫になるまえに単行本で。
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「あたしたちが生きている世界そのものが、一冊のとびきり大きい本で、しかも、どの頁をめくってもかまわないんだ」(本文より)
一人の女の子の夏休みの物語で、大好きな『西の魔女が死んだ』に少し雰囲気が似ていてとても良かった。今日マチ子の絵も作品とピッタリ合ってた。将来子供が生まれたとき、特に女の子に読み聞かせてあげたい一冊。
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本屋で表紙が可愛くて図書館に予約して借りた本。著者がはじめてかいた児童文学だそう。ミレイちゃんの夏休みの不思議な冒険。今までとは違う夏休みの冒険だったかな??
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児童書です。
百日紅の生命力が、良い意味でおそろしいく感じられてしまいました。
戦争の話しです。