紙の本
新書レベルでは日本外交についての最良級の本
2015/09/11 02:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ガオシュン - この投稿者のレビュー一覧を見る
時事的な外交案件の解説を読むのではなく、より長期的・本質的に日本外交のあり方を考える上で頭の枠組みづくりをしたいと思ったときに読むべき本として、新書レベルでは最良級と言えると思います。本書が著作されたのは1980年代の冷戦期最後の盛り上がりの時期なので、著作時の事象を扱った部分は隔世の感がありますが、本書が指摘する民主主義の下での外交のあり方、情報分析の重要性、日本の置かれた地政学的位置に鑑みた安全保障上のリスクとその対処法などは、今日でも十分通じる課題であり、そして本書はその課題を乗り越える上でのヒントを与えてくれます。
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日本ではあまり話題にならない国家戦略論についての入門書。初版は1983年と古いので、今読むと古さを感じさせる部分もあるが、それでも今もって頷かされるところが多い名著だ。日本の行く末に興味がある人は読んでおいた方が良いだろう。
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日清戦争から冷戦まで、戦略的に概括している本です。とてもよかった。この本は冷戦直後に書かれたようで、今の状況とは違う部分がありましたが、しかし、過去日本が置かれた状況と、その対処の方法を知ることはとても有意義なことと考えます。
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ちょうど、私が生まれた年に刊行された本だから、既に24年前ということになる。
近年巷間には「戦略的~」や「○○戦略」など、よく「戦略」という文字を見かけるが、その手の本に比して、本書はかなり真面目で読む価値があると思う。
構成を挙げておくと、
第1章 伝統的均衡
第2章 日清戦争と軍事バランス
第3章 北からの脅威
第4章 アングロ・サクソンとスラヴの選択
第5章 日露戦争からの四十年
第6章 デモクラシーで戦えるか
第7章 戦後世界の基本構造
第8章 核の戦略
第9章 新しい戦争
第10章 情報重視戦略
第11章 日本の同盟戦略
第12章 総合的防衛戦略
「戦略」とは何かということを、かなり平易な言葉で説明しているので、細かい歴史を知らなくても十分楽しめる内容となっている。とくに第2~第3章で説明される北方の地政学的価値は、改めて日本周辺に対する地理的感覚を研ぎ澄ます必要性を教えてくれる。
全体的にはよくできた新書だと思うが、著者の分析に首をかしげざるを得ない部分も何点かある。
たとえば、19世紀末から20世紀前半にかけての東アジアのパワーがスラヴ(ロシア・ソ連)とアングロ・サクソン(英米)の二極であるとするのは、あまりに杜撰である。十分に整備されていなかったとはいえ、民族ナショナリズムを標榜する新生中国の潜在的能力を評価しないことは、結果的には日中戦争に突入した軍部のアジア観と同調することになる。
また、アメリカ国内の世論の力を高く見積もりながら、リベラリズム・ウィルソニズムに依拠した外交戦略についてほとんど言及していない点も不可解と言える。岡崎氏はあくまで米ソ二極化とその周縁のパワー・ポリティクスに固執するあまり、アメリカが世界規模で行ってきた外交戦略に目が行き届いていないという感がある。
四半世紀前と今日では、日本国内の政治状況も国際情勢も全く違うので、著者の分析を真正面から受け止めるわけにはいかないが、国際情勢を読み解くファクターを歴史的文脈で捉えることには、何の異論もない。歴史学者でも国際政治学者でもないアマチュアの戦略論としては、十分評価できる。
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[ 内容 ]
[ 目次 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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名著。
国家戦略を筆者なりに考えた内容で、その意味でも呼んでいて面白いし、勉強になる。
これを企業や個人に落とし込んでいくと見えてくることもあるだろう。「戦略」が本来の意味から遠いところで使われる昨今、大局観をもって物事に望むべきであると思い直させてくれる。
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日本人は戦略で物事を考えるのは苦手ではないか? という問いかけで始まります。 確かに、太平洋戦争中に長期の戦略を持っていたかと決して持っていなかった。と言える。 まず、戦略そのものがあれば、決してアメリカとは戦争はしない。 その戦略を立て論理で物事を考えれないという国民性は現在も引き継がれている。
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(1988.07.21読了)(1988.05.21購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
先進国の大学で、戦略や軍事と題した講義を聴けない国は日本だけだ。しかし、日本が自らの意思にかかわらず戦争に直面せざるをえない場合を考えておくのは、平和を望む者にとって、ごくふつうの教養の一部ではないだろうか―。国家戦略の欠如を憂えた著者は、歴史と地政学を入り口に日本の戦略的環境を解明、その歩むべき道を示した。情報の役割を重視し、冷静かつ現実的な分析に徹した国家戦略論の名著。
☆岡崎久彦さんの本(既読)
「隣の国で考えたこと」長坂覚著、日本経済新聞社、1977.11.17
「国家と情報」岡崎久彦著、文春文庫、1984.08.25
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タイトルから企業戦略などの考え方に関する本と錯誤したが、本来の意味での戦略論であった。その意味では期待が外れたのだが、いざ読んでみると極めて論理的に状況を分析した力作であり、二重の意味で期待を裏切った良書である。北方領土の確保が日露両国にとって致命的に重要であること、日本にはアングロサクソンとの同盟しか安全を確保する術がないことがよく理解できた。
本書は冷戦中に書かれたものだが、大戦略は地理的条件と歴史的経緯でほとんど決まってしまうことを考えると今でも十分に通用する議論だ。ただ中国とのパワーバランスが大きく変化した今、日本の戦略をどのように修正すべきか著者に聞いてみたい気がする。
軍縮派の懸念が「復元力」なるものが本当に働くのか?にあるとの分析も当を得ているが、今の日本に復元力が働くかどうかはかなり怪しい。こういうものは国民性の深い部分に根差しており、付和雷同を旨とし空気で突っ走る特性は高々80年くらいでは変わるまい。悲惨な記憶を持つ世代が無くなりつつある今、本来の日本人らしさが悪い方に発揮される可能性は高いだろう。
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ソ連が崩壊する前の日本の戦略について書いてある。
アメリカのかさの下にいるという戦略がこれまで日本が上手くいっていた理由としている。
ソ連が崩壊して、中国に代わった世界情勢。
日本の立場は、ソ連があった時よりも厳しい状況に追い込まれている。
これからどのような戦略で世界情勢の荒波を乗り越えるか。
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ビジネス書と思いきや、戦争戦略。
国と国との関係。その時代の流れの中で
何をすべきだったか。
情報というものを、どのように料理して
戦略を練って行くか。。
読めば読み進むほど、面白くなる。
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石原慎太郎のような老人保守だと思っていたのだが、若いころは優れた著書もかけたようで。時代は移り変わってソ連を過大評価しすぎだろうとか細部はあるものの、大枠では日本で必要な外交および軍事的な考え方がまとめられておる。ほぼ納得。また、ちらほらと出てくる考えも目から鱗だった。例えば第一線からの距離と国家の集権度合いの関係とか。名著だと聞いていたが、今を見るとどうだか、と思っていた。しかしきっちり名著であった。
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ミスターシービーが三冠馬になり、ボクが生まれた1983年に初版でボクが買ったのは2014年の30版・・・
もはや古典でしょうか・・・
いまさらですが、集団的自衛権の騒動からちょっと読んでみようと思い購入・・・
日本の歴史と地理から日本にとってどのような国家戦略が必要なのかを説いた本・・・
80年代というと日本にはまだ旭日の勢いがあり、中国はまだまだ出遅れててあまり脅威ではなかった時代・・・
その代わりに北方にアメリカと世界を二分する超大国ソ連の脅威があった時代・・・
なもんで、結構話が古い・・・
けれども、変わらない点や学べる点もまた多い・・・
日本は平和ボケとか言われることがあるけれども・・・
気候や地理的な条件に非常に恵まれ、そして一部を除いて中国の歴代王朝や朝鮮半島の国々の外征を好まない傾向にも助けられ・・・
異民族に征服もされず・・・
家畜のように殺戮されたり陵辱されたりせず・・・
人間の肉を食べなきゃいけないような悲惨さも知らずに・・・
ずーっとやってこれた、世界的に見てマジで恵まれた国なので・・・
戦後は特にだけど、別に戦後だけじゃなく・・・
国内的なことは別としても、ほとんどの時代、平和ボケでやってこれたよね・・・
国際政治の厳しいやりとりに不慣れなのも仕方ないよね・・・
例外的だったのは、日清日露戦争の頃・・・
非常に正確に情勢判断をし、最適な国家戦略をとり、戦争に勝ち、国家存亡の危機を乗り越える・・・
綱渡りの状況のなか、この前後の伊藤博文や陸奥宗光などの明治維新の元勲世代、それから小村寿太郎などの第二世代など明治日本の指導者層の動向が光る・・・
そんな栄光の時から一転・・・
というか、その栄光の中にこそ40年後に来る破綻の芽が潜んでいたと著者は言う・・・
日露戦争後、再び国家戦略に翳りが生じ、迷走を始めていく・・・
そして日中戦争の泥沼にハマり、三国同盟なんて結んじゃって、日米戦争へと突き進んでいく・・・
結果はご存知の通り・・・
古代の白村江の戦い以来の日本の伝統・・・
戦略の欠如、はいかんともしがたい・・・
それだけ日本が他国に比べて平和で恵まれた環境にあったということですが・・・
それはそれで幸運で一面良かったことだとは思いますが・・・
中国の台頭により、緊張感が増している今・・・
戦略が欠如してたりしたらまた大正、昭和初期の頃のように迷走しかねない・・・
日本が・・・
日本人が・・・
少なくとも今のような暮らしを守り抜くには・・・
目先のことばかり考えず・・・
いきあたりばったりにせず・・・
感情に流されず・・・
情勢判断をクールに現実的に行い、混迷する東アジアの中で日本としてどうしていくべきか戦略的に考えないといけませんね、と・・・
そこで、今でも参考にしてもいいかな、と言う点をいくつか・・・
米国民はどんなことについてもフェアネスということを問題にする。
日本が犠牲を払わないで、自由民主主義の恩恵にだけ浴そうとすると、日本はアメリカから見捨てられるおそれがある。
大事な時にアメリカを不利にするかたちで日本が非協力、中立の態度をとると、米国民の怒りは相当なものだろう。
少なくとも米国のコミットメントがなくなって、中立した瞬間に、その中立がいつソ連に侵されるかわからないという事態が生まれることになる。
(今はソ連ではなく、中国でしょうね・・・)
戦争の当事国がある地域を攻撃するかどうか決めるに際して関係のあるのは、
まず第一にはその地域を占領するか破壊すると、そのあとの戦略的環境がどのくらい改善するかということで、
第二には、作戦が成功する見通しがあるか、成功してもどのくらいの犠牲を払わなければいけないだろうかということです。
つまり、物差しは、その地域の戦略的価値と、その地域をめぐる軍事力のバランスです。
第二次大戦でスイスとスウェーデンは中立できて、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、フィンランド等は中立を侵されました。
中立したい願望は同じでも、大国の物差しではかって中立できないものは中立できなかったということです。
戦略的に重要な場所は、敵が取る前に取ってしまうのが常道です。
まして、戦略的に重要で、しかも、中立国で、強力な同盟国もなく、独りで守るに足る防衛力もないところなど取られないはずがないといって過言でありません。
情勢というものは時々刻々変わる。
『過ちを改むるに憚ること勿れ』というのが情勢判断の極意です。
一寸先は闇というのが政治現象の真理。
日本だと過ちを認めると開き直りのそしりを受け、咎める方も追求せざるを得ない構造になっている。
同盟戦略にとって最も重要なのは、アメリカの世論の動向についての正確な判断と対策です。
どんなアメリカの政治家でも、政治学者でも、いったんアメリカの世論が動き出せば、それが理屈が通っているかどうかは問題外となって、動かし難い与件として扱います。
一度占領されたら終わり。
ここら辺は・・・
中国を念頭に・・・
アメリカさんをいかに絡めていけるか・・・
アメリカさんに見放されたら非常に厳しい状況が待っていることを考える上で重要かな、と・・・
古い本だけども面白かった・・・
いいです・・・
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秀吉の朝鮮出兵。
日本側の戦闘能力過信と、戦略の驚くべき粗雑さ、というよりも情報と戦略のまったくの欠如です。
天下統一の過程で、あれだけ戦略能力を発揮した秀吉が、対外政策は一転して無策になるーこのことの裏には、単に秀吉の頭脳が老化したのではないか、ということ以上に、もっと深い日本人の「外国なれしない」特性があるのでしょう。・・・当時明国のスパイが明の朝廷に送った報告に、日本人は勇猛果敢だが何事によらず計画性がない、と書かれたのもやむをえない。
アングロサクソンとロシアが極東の力の実体だというのは百年来のこと
最終ギリギリのところまで考えた基本的な判断はいつも見失わない、それが戦略的な思考
日英同盟の期間中とか、戦後の日米安保体制下の日本とか、アングロサクソンと同盟しているあいだの日本があまり素っ頓狂なまちがいを犯さないのは、アングロサクソン世界の持っている情報がよく入っていくるから。
民主主義の国は、いったん戦争になると、どこかで妥協して手を打つということができないで、相手を無条件降伏をするまで徹底的に戦います。だいたい、無条件降伏などということは、ジンギスカンの戦争と同じで、ルネッサンス以来の文明国同士の戦争ではありえなかったことです。
トクヴィル
民主社会では、戦争のおかげでいままでの平和的な生活や職業の基盤が失われると、平等から生まれた競争社会のエネルギーが戦争や軍隊の方に向かう
ジョージ・ケナン
Democracy is peace loving,but fights in anger.
日本の自由と平等のコンビネーション
こういう社会は、日本の左翼的思想家やマスコミが目標とした社会でもなく、まして努力して戦いとった社会でもなかったということ。理論なしで社会ができた。
硫黄島や沖縄での勇戦も、数々の特攻隊も戦争の大きな流れからみれば無益のことでした。むしろ本土決戦をした場合の犠牲の大きさを米国に印象づけ、原爆の資料やソ連の参戦を早めた効果さえありました。元の戦略が悪いと、戦術的に善く戦えば戦うほど結果が裏目にでることもあるという例です。
日本の安全保障という観点から見て、もし、各家庭、各企業が、食糧、燃料、原材料の供給がストップしても三ヶ月くらいは普通に暮らし、操業していける備蓄を持てば、それだけで日本の防衛は、シーレイン防衛用艦船何十隻、航空機何百機にあたる戦力になりましょう。
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#読書開始
・2017/5/1
#読了日
・2017/5/2
#経緯・目的
・林修先生推奨のため、購入。
#達成、感想
・経営戦略かと思いきや、軍事戦略から見る国家の在り方というような本。
・随所に孫子兵法も引用されており、戦略をたてるに核となる著書だと感じた。
・ただ、戦争メインとなるので、少し読みづらい。
#オススメ
・世界史を理解されている方は比較的読みやすい。
・純粋に経営戦略を求めるのであれば、別の本の方が実用的。