トルコの言語政策の実態を垣間見る
2020/12/12 15:10
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
一国の中で公式に承認されていない
少数民族の言語について調べたり、
学習したりすると、如何に大きな危険が
己の身に降り掛かってくるかを、
実体験に基づいて説得的に述べている、
まことに稀有な本です。
少数民族の言語に関心のある全ての人に、
是非とも手にとってもらいたい一冊です。
+αのある旅行記
2016/04/18 19:00
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投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
内部の民族問題を無いもののように扱うトルコに対する著者の主張が述べられているが、それ以上にトルコへの愛や憧憬が強く出ていて、旅行記のような読後感がある。二十年たち、著者の愛するトルコが、こういった問題を改善していることを願う。
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トルコ料理が好きになったので、トルコ語を学んでみたい、いつかトルコに行ってみたいと思っている。トルコへ行った人は、とてもいいところだった、トルコはいい人がいっぱいだ、と言う。でも、ニュースで見聞きするクルド人問題って一体? そんな疑問に大きなヒントをくれる本だ。正に「トルコのもう一つの顔 」の紹介(本のタイトルはこれ以外考えられない)。
もう20年程前の体験談で、著者はこれ以外に本を(少なくとも日本語では)出していないようだが、この著者の書いたものをもっと読みたい。
トルコの魅力も不条理なことも、トルコに住む様々な人々の境遇や思いも、読者にしっかりと伝わってくる本だった。
トルコ語を学ぶかどうかは迷っている。勿論トルコ語ができれば、トルコの人々(トルコ人(?)でも少数民族でも)と話すことができる。だが彼らが心から望んでトルコ語を話しているかというと、必ずしもそうとは限らないのだ。
【追記】
小島剛一でネットで検索しても、大した情報は得られない。Goichi Kojimaで検索すると、この本にも出てくるラズ語の文法書(共著)のページが見つかる。トルコ語(たぶん)のページなので内容はわからないが、…トルコ語のページということは、トルコ国内の事情なども良い方向へと変わったのだろうか? 何にせよ研究の成果の一端を知ることができて良かった。
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トルコ旅行を考えて読んだ本だったが、観光ではないトルコと、著者の経験に基く少数民族の国トルコは興味深った。
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トルコが抱える問題の一端が、筆者自身の体験に拠って書き出された名著。
非常に読みやすく、引き込まれるように最後まで読んだ。
生々しいの一言に尽きるが、それだけに、トルコが抱えている問題の根深さはしっかり書き出されていると思う。
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日本から見て遠い国であるトルコの、しかも我々が通常気づきにくいであろう「もう一つの顔」に焦点をあてた本書が提起している問題は、著されてから20年以上を経た今においても十全な解決を見ていない。問題とは単純に言えば、トルコ政府がトルコ共和国を民族国家として確立するために行ってきた長きに渡る支配であり、また、その方法によって抑圧されてきた少数民族の存在だ。詳しくは後述するが、トルコ政府は少数民族と彼らの話す言語の存在について、事実を認めようとしていない。*1しかしその一方で、彼が扱う題材、少数民族の言語研究というものはトルコ国内においては政治の影響を免れ得ぬものであり、そういう意味で物語としての本書はゴルゴ13のようである。ルポルタージュの形式を基本として書かれた本書は良く出来たスパイ小説のようにも見える。また、随所見られる、小島と彼が出会った人々の間の価値観の違い、教育の影響もまた興味深い。私はこの本を読んで初めて少数民族問題、ジェノサイドの問題について自分の中に何かを落とし込めた気がする。その理由には元来研究者である小島がフィールドワークを通してルポの仕立てで人々のことを語ってくれたことがあるだろう。人と人の関係を通してしか問題意識は芽生えてこない。革命も起こりえない。
http://d.hatena.ne.jp/ISBN404308305X/20100420/1271723870
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8月末のトルコ旅行に向けて、お勉強。1970〜1980年代末にかけてのフィールドワークに基づいたレポート。データ、政治情勢なんかは古いんだろうけど、トルコ人のこころやさしく暖かい側面と、少数民族に対する徹底的な圧政が併存していたことがよくわかる。とくにクルド人については、1990年代以降、いろいろと動きがあったように記憶しているので、現在どうなっているのか気になるところ。旅行するときには、表面的なことだけでなく、こうしたいわゆる影の部分も知っておくといいかな、と。トルコ関係の本はできるだけたくさん読んで行こうと思う。
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トルコ旅行中に読んだ。行く人は必読だね。観光では見えない一面が見えてくるかも。内容も面白くて勉強になる。
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私はよく中公新書を読みます。この本を読んで「アーロン収容所」を思い出しました。それは共通点があるからです。まず、著者の体験であること、しかも普通の人では体験できないことです。curiosity killed the cat.という言葉がありますが、これを著者だと言ってしまえば可哀想ですね。私もよく旅に出て国外退去の話を聞きますが、ほとんどが不法入国の話ばかりです。でもこれは違う。この本が出る前に、トルコにも行きました。私は東部までは度胸がなくて行けませんでしたが、イスタンブールのチャイハナにいた時に突然パスポートチェックされました。その時はクルド人がいないかのチェックでした。トルコ人の影を感じた一面でした。トルコ人の意識の中には自分たちが大国であったというプライドがあります。今の中国人にも共通するものを感じます。我々日本人も他民族を認めない風潮があるのではないでしょうか。トルコ人だけではないような気がします。
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トルコに卒業旅行で行くので、Amazonで購入した。
Amazonでトルコと検索すると、この本が引っかかった。
しかも、レビューは、かなり高いので安心して購入した。
しかし、読んでみると、内容が20年前の事だし、トルコの文化や歴史が勉強できると思ったのに、20年前に著者がバックバッカーで旅した話がメインなので、あまり参考にはならなかった。
Amazonのレビューが高かっただけに、残念でした。
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トルコになにかしら関わりたくて。
去年行ったトルコとは、全く違うもの。まさに『トルコのもう一つの顔』。
トルコになにかしら興味がある方は、一読を。
もう一つの日本の顔も海外にはあるんかいな。
『漂流するトルコ』も読まねば。
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特にトルコの民族、言語に関心がある訳ではなかったが、友人が面白いとブログに書いていたので読んでみた。面白いどころではなかった。30年前のトルコ事情なのかもしれないが、国家と民族、宗教、言語、個人の生活との関わりの複雑さに圧倒された。そして、学者のフィールドワークってここまでやるものなのか。まるでスパイ物語。続編も出ているらしいので読んでみよう。
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著者は少数民族の言語研究を長年続けています。トルコを最初に訪れたのは1970年。この本は約20年後、1991年に発行されています。しかも内容は、ある意味学術論文といっていいもの。出版した理由も「政治的圧力をかわすため」と、一風変わっています。それはトルコの複雑な民族情勢を、なるべく正しい形で公表しようという気持ちからだったのでしょう。
トルコの少数民族といえば、かつてはギリシャ、ユダヤ、アルメニア人といわれていましたが、実際にはクルド、アラブ、ラズ、ヘムシン……とたくさんの民族が暮らしています。それぞれが独自の言葉や文化を持ちながら、少数民族であることすら認められない社会。そんな中、言語学という視点でこの国の複雑な文化と取り組んだ著者は、しまいにはトルコから国外追放されてしまいました。
それでも、政治的立場を離れてトルコの人たちを分析したこの一冊は、トルコを訪れるバックパッカーたちの必読書とまで言われました。トルコ旅行の目的が世界遺産であっても、目を通しておいて損のない一冊です。
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親日国として有名なトルコですが、もうひとつの顔が描かれてます。
国民はとてもやさしく外国人の旅行者を迎える反面、国内の少数民族(特にイスラームではない民族)に対しての差別的な取り扱い。
政教分離とはいいつつ、実際には政教一致ではと思える政治。
国民は一流だけど、政治は四流というところなんでしょうか。
何事も表があり裏があるものだなと、改めて感じた1冊でした。
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随分昔のトルコの田舎に単身で潜り込み、聞き込みからトルコに暮らす少数民族の姿を明らかにしている。トルコは最も『穏健』な(この表現が正しいかは別にして)イスラーム教の国というイメージが強かったので、少数民族にこれだけ不寛容なのはちょっと衝撃的。
現在では、クルド語の歌がヒットするなど、かなり少数民族を取り巻く環境は変わっているようだが…実際はどうなのだろうか?現代トルコについての本も書いてほしい。