電子書籍
ようやく活字として彼の生き様を読む事が出来ました
2020/09/30 12:50
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投稿者:Regan - この投稿者のレビュー一覧を見る
タミヤのミリタリーミニチュアシリーズで1/35のフィギュアを惚れ惚れしながら着色したのは数十年前。ようやく活字として彼の生き様を読む事が出来ました。過去の文献を整理・選択して神話化した事柄や逆に貶める為の捏造を削ぎ落とした。 常に戦場の前線に立ち戦況に応じた作戦を立てる戦術家としての面と、その反面前線に立つ為危険な目に遭ったり、アフリカ戦線では前に前に進撃しすぎて補給路が伸び切り補給が間に合わず数量戦で競り負けると言った戦略家としてはダメなとこがあったりと、我らが義経の様な方です。 名著だと思う
紙の本
日本語で読めるロンメル伝記としては、新たなるスタンダード版
2019/10/14 13:46
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投稿者:瀬戸内在住の猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
WW2のアフリカ戦線で勇名を馳せて、“世界的な名将”と称えられ、現在の日本でも、女子高生が戦車に乗って活躍する某アニメでは、彼をモチーフにしたキャラクターがいる程人気が高い、エルヴィン・ロンメル元帥。
しかし、意外にも日本では日本語で読める彼の伝記が少ない事から、神格化された伝説が独り歩きしている中で登場した本書は、1970年代以降の世界的なロンメル研究の成果を盛り込む事で、ロンメルの実像をコンパクトながらも的確に描写した、新時代の伝記と言えるでしょう。
個人的には、これまでロンメルがアフリカを去った後、B軍集団司令官としてフランスへ赴任するまでの話が中々理解出来なかったのですが、本書で初めて明快に解説されていたので、大変助かりました。
本書の内容については、極端な批判をする人もいるようですが、今後、日本でロンメルの事を論じる時は、まず本書を読まないと議論が進まないと思わる位の内容を、新書版で纏めた著者の努力は、大いに評価出来ると思います。
紙の本
英雄の実像
2020/07/12 17:25
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
アフリカ戦線で名高い、ロンメル将軍の功績を再検証しています。いまだに人気は高いですが、楽天的な戦略など指揮官としての資質には疑問が残りますね。
紙の本
戦友を見捨てて逃げた男がロンメルの正体
2019/03/11 20:19
5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エル・アラメインから敗走した後にロンメルはゲーリングから「エル・アラメイン前面のイタリア軍を見捨てた」と主張されたとあるが、参考文献目録には兄弟本の「イタリア敗戦史」しか出ていないが同著者の「ムッソリーニの戦い」には「ドイツ兵はイタリア軍の車両をも奪い、勇敢に戦ってきたイタリア兵士を砂漠の真っただ中にほうり出して逃げたのであった」という「イタリアのある将校」の証言が引用されている。著者が非難しているパウル・カレルの「砂漠のキツネ」ですら「イタリア軍歩兵を救う事はむりなので、ロンメルとしてはドイツ軍歩兵部隊はもちろんラムケ降下猟兵旅団のような特殊部隊をも車両で後退させるわけにはいかなかった」と超婉曲話法で言及している。つまりロンメルは戦友であるイタリア軍から「車という車をすべてドイツ軍が没収した」(「ムッソリーニの戦い」)上で見捨てて逃げ出した卑劣な男なのだ。イタリア兵達にとって幸いなのは敵が心優しい英連邦軍であった事だろうか。よくムッソリーニがロンメルの解任をドイツ側に求めなかったものだ。
ロンメルはヴュルテンベルク人なのでヴュルテンベルク軍の将校だが、著者はバイエルン軍以下の「傍流」と表現している。しかし著者が「灰緑色の戦史」に収録した文章で書いたラインハルト将軍や大戦末期に参謀次長になってヴァイマル時代に再婚で失脚するまで政治の表舞台にいたグレーナー将軍がヴュルテンベルク軍出身だと書いていて、ラインハルトがユダヤ人女性と結婚した「『自由主義』的思想を持っていた」人物と書いたのを忘れているらしい。
「第二次大戦の〈分岐点〉」などではチュニジアにヴァルター・ラウフSS大佐が派遣された事やネーリング将軍がチュニジアのユダヤ人を「陣地構築に動員すると取り決めている」と書いたのに、この本では「砂漠のキツネ」みたいに一言も書いていない。ヒルバーグの「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」を読んで書いているのに何故だろう?
ロンメルが捕虜になった自由フランス軍の将兵やユダヤ人を含めた亡命ドイツ人の処刑する命令に従わなかった事やコマンド指令を焼いた事を書いているが、主戦場がイタリア領リビアで、ネーリングやラウフが「それだけのこと」(「第二次大戦の〈分岐点〉」)をしたのはフランスの保護領だったチュニジアだからだろうか。ドイツ軍がイタリアやイタリア領だったドデカネス諸島、イタリア軍が占領していた地域でユダヤ人を強制収容所に送ったり、過酷な支配を始めたのはイタリア休戦後だ。著者がこの本で言及しているロジャー・ムーアハウスの「ヒトラー暗殺」に書かれているようにフーベルト・ランツ将軍がイタリア休戦時に武装解除したイタリア兵を銃殺したり、「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」に書かれているかつての第90アフリカ軽師団長でロードス突撃師団長のウルリヒ・クレーマン将軍がロードス島のユダヤ人をアウシュヴィッツに送った。それだからか、悪名高い「砂漠のキツネ」に書かれているようにエル・アラメインでフォン・ビスマルク将軍が戦死した時にネーリングが負傷した事は書いてもクレーマンが負傷した事は書かれていない。「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」を読んだからクレーマンの所業を知っているにしても、彼の存在まで消す事はないだろう。
しかし何故か著者は「第二次大戦の〈分岐点〉」とこの本ではロンメルがコマンド指令に従ったのか、それとも従わなかったのか、書いている事がバラバラだ。
紙の本
作られた虚像
2019/05/28 14:22
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投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロンメルについてこれほど詳細な研究が行われているとは知らなかった。日本も今一つの歴史ブームと言えるが、過去の清算と今後の指針も含めて過去歴史に名を遺した
人を地道に研究するのは、とても意義あることだと思う。
ロンメルについて言えば傍系の出身の軍人だったが故にヒトラーに気に入られて出世したというところが、強く印象に残った。
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ロンメル将軍についてはアフリカ戦線で活躍した名将というレベルの知識しかなかったが、いわゆる出世コースではない生まれ、学歴でありながら功績をあげたこと、そのことが逆に能力の限界に突き当たってしまったことなど知見を得られた。欧州でのロンメル像の移り変わりやヒトラー暗殺計画を知っていたか?など興味深く読んだ
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『独ソ戦』で第二次世界大戦におけるドイツ軍の東方戦線の惨状を描いた大木毅氏が、主にアフリカ戦線で活躍したドイツ軍の将軍ロンメルについて詳細な資料分析を元にその人物像とともに描き切った力作。順序としては本書が先で、『独ソ戦』が後に書かれたものであり、ロンメルの研究はまあさに著者の専門とするところであり、記述もまるで見てきたかのように細部から臨場感が感じられる。
本書は、ロンメルがヒトラー暗殺計画に加担をしたとして処刑か自死の選択を迫られて服毒自殺をするところから始まる。読者は、その結論を知った上で果たしてロンメルは本当にヒトラー暗殺に加担をしたのかという謎を持ちながら読み進めるという仕掛けになっている。どこか映画的な手法で、戦場における勇猛果敢な戦いとともに、そこで描写される人物像に引き込まれざるを得ない。何よりロンメルはヒトラーに心酔し、ヒトラーはロンメルを信頼していたのだ。
ロンメルが軍事参謀としての十分な教育を受ける機会がなかったことが、大局観を持てず、行動力・決断力を含めた戦術面での優秀さに比して、戦略次元での考慮の不足が結果としてアフリカ戦線においても最終的な敗北につながったと指摘する。そこにもヒトラーによる独裁の軍事面での(独ソ戦ではさらに顕著であった)弊害を見ることができる。また、ロンメル自身の病的な功名心からくる組織内での軋轢や戦略上の失敗につながる判断があったことも事実だ。
そういった欠点を持ちながらも、ロンメルがあの状況においても戦時国際法を踏み外すことなく、軍人としてのフェアネスに忠実であったことを高く評価する。その事実が著者にがロンメルを研究対象として選んだ理由であり、本書が持つ熱量の源になっているのだろう。
果たして、ロンメルがヒトラー暗殺に加担をしていたのかは、ここでは書かない。まだ読まれていない場合には、楽しみに読み進めてほしい。その謎解きも含めて大変に面白く満足できる本。
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『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(大木毅)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4004317851
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「砂漠の狐」といえば、言わずもがなエルヴィン・ロンメル将軍の異名としてあまりにも有名で、寡兵であるにもかかわらず大量の連合軍を相手にアフリカでの砂漠戦で数々の勝利を成し遂げた名将として名高い存在である。
しかし、ロンメルが寡兵がゆえに苦労した原因としては従来、そもそもアフリカ軍団としてドイツは2個師団しか送り込まなかった、そもそもイタリアの尻拭いの戦いでありイタリア上層部との諍いが絶えなかった、言っても言っても補給が思い通りにならなかったなどが挙げられていたかと思う。
にもかかわらず戦術的な勝利を続けたロンメル将軍は「名将」の名を欲しいままにしていたわけだが、欧米では逆に作られた「英雄像」ということでロンメル批判ともいうべき言論も展開されていたそうである。
しかし、近年になって「ロンメル」像の再評価が行われているということであり、本書はそうした最近の知見を筆者の見解とともに論述した内容となっている。
「砂漠の英雄」として祭り上げられたのは、当時「英雄」を欲していたドイツ国内の事情も大きいとのことである。
ヒトラーの引き立てに加えて、宣伝相・ゲッペルスの「英雄」としての大喧伝、ロンメル自身の自己アピールの大きさがあったということである。
ロンメルはプロイセン出でもなく中産階級の出であり、参謀養成の課程も受けたことがなかったため、本来は出生する人物ではなかったということであるが、持ち前の戦術指揮の優れた才能や常に最前線で陣頭指揮を行う姿、それらの結果として成し遂げた功やそれ以外に他人の功まで自分の功として猛烈に自己アピールする自己顕示欲の強さなどが最終的にヒトラーに認められたことにより大出世を遂げたとのことであった。
(ま、こういう人は今でも少なからずいますね・・・)
しかし、そうした性格と才能が発揮できるのは戦術レベルの指揮官までであり、戦略レベルの構想や実行、補給など軍司令官レベルに求められる才能としては失格で、常に戦術レベルの有利さを追い求め、司令官が不在となるにもかかわらず陣頭に立ち続け、補給を無視した作戦を実行するということで、それなりの上司からは有能なのは師団長までという烙印を押され続けていたようである。
(ま、周りのフォローが続く間は良かったのでしょうね。今もいますね・・・)
そして彼の悲劇は、彼を引き立ててくれたヒトラーとの関係が悪化し、ノルマンディー上陸作戦への対応を見誤り、ヒトラー暗殺計画に関与しようとしていたことなのだろう。
次第にひどくなるヒトラーの国家戦略についていけなくなり、自らも決定的な戦略的誤りを犯してしまう。
結局、政略・戦略的な才能が無い分、逆の意味の運命に翻弄されたのでしょうか。
(今もそんな人が結構いますが、その運命は・・・!?)
「砂漠の狐」の実像ということで、結構面白かったです。
ヒトラーが指示した戦争犯罪行為には加担しなかったということなので、それなりに気骨もある人物だったのかもしれません。
やっぱり後世に名を残す「将軍」ということでいいんでないかな。
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連合国からも評価が高いロンメルを、ゲッベルスの宣伝による過大評価された前線型の指揮官だったと教えくれる。
多数のロンメルの著作を翻訳している著者だからこそ書ける評伝。
闘争の相手を尊重する騎士道精神はあったが、前方指揮の乱用、補給軽視という欠点もあったというのは初見の知識であった。
本作の欠点は、作戦の動向を示す地図が読みづらく、戦場の変化が理解しづらかった。
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ロンメル将軍といえばー、というはっきりとしたイメージは持っていなかったが、なんとなくすごい人、と思っていた。
「ロンメルは勇猛果敢、戦術的センスに富み、下級指揮官としては申し分なかった。さりながら、昇進し、作戦的・戦略的な知識や経験が要求されるにつれ、その能力は限界を示しはじめた」とある。その原因は本人にはどうしようもなかった点と本人が選んだ点があった、と。
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砂漠の狐、ロンメルの伝記です。
新たに世に出た多くの資料を取り入れ、英雄としてでなく人間としての姿が浮かび上がります。
記録が少ない故の伝説や神話ではなく、真実を求める研究に今後も期待します。
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ロンメルは第二次大戦中のドイツの将軍としてあまりにも有名だが、北アフリカで機甲師団を率いていたという程度のイメージしかなかった。
本書では、ロンメルの生い立ちや軍歴、特に、ドイツの軍人として非主流派に属し、軍幹部になるための高等教育を受けていなかったこと、そして、それが故に、前線指揮官としては有能でも、大軍団を率いるような戦略的視点を欠いていたことを幾つもの事実からあぶり出している。
その上で、ヒトラーやドイツ軍幹部との関係やナチスとの距離感なども幾分の推測を含めて記述し、人間としてのロンメルにも迫っている。こうした分析を日本語で読めるというのは幸いなことだ。
あとがきに、著者が本書を執筆するきっかけの一つに呉座勇一さんの著書の話が出てきたのも中々に興味深い。分野は違えども、気鋭の学者の刺激で、こうした面白い本が連鎖的に生まれるというのは、読み手としてはありがたいことだ。
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「砂漠の狐」として名をはせたエルヴィン・ロンメルは良くも悪くも脚色された物語を持つ英雄だと思います。
プロイセン軍人が幅を利かせた帝政時代にあってはそこから外れたアウトローからキャリアをスタートさせ、第1次大戦では大胆な戦術を駆使して次々と戦果を挙げ、ついにドイツ軍最高の勲章(ブルーマックス勲章)を獲得。
第2次大戦のフランス戦線において、彼が指揮した師団はその神出鬼没ぶりから「幽霊師団」と恐れられ、アフリカ戦線では常に劣勢な物量下で英国軍と互角以上にわたりあい、ついに元帥に上り詰める。
戦局が悪化するにつれて何とか講和による戦争終結を目指すものの受け入れられず、最後はロンメルにスポットライトをあてた当人であるヒトラーからの命により自ら毒をあおぐという悲劇によって人生の幕を下ろす・・・。まさに映画や小説のような筋書きです。
しかし逆に、どこまでが脚色でどこまでが真実なのかがはなはだわかりにくい人物でもあります。
本書を読むとわかりますが、ロンメルを題材にした著作物は様々な思惑によって彼を持ち上げ、またこき下ろしていることから事実が非常にわかりづらくなっている。
そんな中にあって本書は「真実のロンメル」を明らかにせんとして書かれた一冊なので大変参考になります(ただし、それがゆえに「夢から覚めてしまう」不安も付きまといます)。
読み終えての感想ですが、本書は非常に親切な構成でとても分かりやすいです。
文章は簡潔にして明快です。
章立てとしては、ロンメルの生い立ちから軍人としてキャリアを築いていく流れを時系列で説明しています。
その中で意外な事実も多々記されています(まさかあのロンメルがルチー(後の婦人)に黙って愛人との間に子をもうけ、しかもその子を公然と養っていたとは・・・!)
また各所で説明されるロンメルの人物評ですが、実際に彼と関わりを持った人物たちの証言が公平に取り上げられ、そこか浮かび上がる人物像として説明されているのでとても客観性が高いと感じます(当然証言者の思惑やバックボーンについても言及されています)。
それと同時に、巷のロンメル戦記の中では邪魔者として彼の足を引っ張ったかのように描かれている人物たちや、ロンメルに苦も無く蹴散らされたかのように描かれる将領たちの実際の姿も客観性を持って補足されているので、読んでいて感心します。
くわえて具体的な戦闘状況の文章描写とともに戦局図や地図が挿絵として豊富に掲載されているのも助かります。
本書を読んで浮かび上がってくるロンメル像は、大胆かつ勇敢な天才戦術家としての(馴染みのある)姿とともに、実際以上に自分を大きく見せたがる自惚れ屋、そして大きな戦略的見地を欠き、己が戦術の完遂のためには部下の命を顧みない非情な姿、です。
本書を読むとわかりますが、彼の指揮下で幾人もの師団長レベルの将領が戦死し、また捕虜になっています。この人数ははっきり言って異常です。あの血みどろの独ソ戦にあっても初期の時点ではアフリカ戦線よりましだったのではないか、と思わせるレベルです(師団長レベルがそうなのですから、下士官レベルは言わずもがな、です)。これだけを見ても、ロンメルの指揮には重大な問題をはらんでいたことが見て取れます。
個人的に彼の行動は、第1次大戦でのルーデンドルフや、もっとさかのぼって北伐における魏延の行動とかぶって見えました。
ちょっぴり夢から覚めて、真実のロンメル像を垣間見たい方におすすめの一冊だと思います。
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過去から何度も読んできたロンメル将軍の物語だが、こうした評伝は初めて。
こうした歴史上の人物は、近世の人と言えども様々な文献により評価が異なるのか。評価者の想いで意図的に曲げられもするのか。
そういう意味では読んでよかった。こうした軍人の再評価は中々行われない、と書かれてあったが、なるほど敗戦国ならなおさらだ。
ロンメルに関しては特に戦いのロマンチシズムの中で作り上げられたイメージが強くあったわけで、私のイメージもそうだった。
元帥まで昇進しながら「よく出来た師団長」程度との評価は正しかったのかも知れないが、それでも「戦いにフェアネスを重んじた」ところは、彼の面目躍如であろう。ちょっと嬉しかった。
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「砂漠の狐」とあだ名されたドイツの名将ロンメルの生涯を追った本。物語ではなくて、歴史を紐解き、そしてロンメルの評価が時代によってどのように変わっていったのか、本当に名将だったのかを検討している。おそらくは、優れた戦術家ではあったのだろうが、もっと大局から見るような作戦級の人物ではなかったようだ。ただその割には自己宣伝欲が強かったことの理由(ドイツにおいては王道の家柄に生まれたわけではなかったので出世してゆくにはアピールが必要であったこと)や、なぜ作戦級の能力を身に着けることがなかったのか(きちんとした軍事教育を受けていなかった)などが説明される。戦闘の解説が多いので、もうすこし地図や図表が多いとわかりやすかったと思う。