ホーキング著、青木薫訳という贅沢な組み合わせによる自然科学系読み物。期待どおりの充実の内容!
2019/08/31 21:14
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
2018年に亡くなられたホーキング博士が生前に書きおろされた最後の本。「神は存在するのか」、「宇宙はどのように始まったのか」、「宇宙には知的生命は存在するのか」、「タイムトラベルは可能か」、「人工知能は人間よりも賢くなるのか」、「ブラックホールの内部にはなにがあるのか」等々、10の難問に対するホーキング氏の見解が述べられています。
ホーキング氏はこれらの問題の「正解」を読者に与えようとするのではなく、敢えてちょっと過激な見解を述べることで、多くの人々にこれらの問題に関心を持ってもらい、自分なりの見解を持ってもらうことを望んでおられるように感じます。
「ビッグバン以前には”時間”そのものが存在しないのだから、”神”が宇宙を創造する時間もなかった。故に神の存在を問うことは無意味だ」、「コンピューターウィルスは生命であると考えるべきだ」、「核戦争、あるいは気候変動により次の1000年のいずれかの時点で地球は人間が住めない環境になるのは避けられないのではないか」、「人類は地球を離れて宇宙に目を向けなければ絶滅の危険にさらされる」、「人間が制御可能なAIでなければ、増大するテクノロジーの力とそれを利用する知恵との競争に敗れてしまう」など、警鐘を鳴らす見解が多いです。
AIにしても温暖化にしても、多くの人の無関心が最も危険であり、「科学を理解し、勇気をもって解決に向かて力を注ぐ世代が必要だ。勇気を持とう。知りたがりになろう。確固たる意志を持って困難を乗り越えてほしい」という一節が本書を通じて一番伝えたかった事ではないかと思います。
非常に広い分野にわたる問題を扱った本書の翻訳は青木薫さん。自然科学系の翻訳だったら、この人しないない!と思える人です。ホーキング氏と青木薫さんという組み合わせの本書、期待通りの内容でした。
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投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
宇宙やAIなどについて、ホーキング博士の考えがとてもよく伝わってくる本でした。人類の未来についてはどちらかというと悲観的。それでも、いやだからこそ、人類には宇宙進出の夢をあきらめてほしくないし、若者にはもっと科学に興味を持ってもらいたい、というホーキング博士の熱意をひしひしと感じました。難しい話もありましたが、大筋としては文系でも理解できるような平易な書き方で解説してあったと思います。博士自身の境遇を思えば、博士の言葉の重みを感ぜずにはいられません。博士が惜しまれつつ世を去って以降も、AIをはじめとする高度な科学技術は発展し続けています。博士の懸念が本物になる日も近いかもしれませんが、一方でAIと平和的に共存し、宇宙進出を遂げる、そんな素晴らしい未来がくればいいなと思いました。
どんな難問にも怯まず挑むことが博士の生き方だった
2020/12/15 10:23
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
一昨年、惜しまれつつこの世を去った世界的に有名な科学者(宇宙理論物理学者)のホーキング博士が最後に遺した著作が、「人類の難問」(ビッグ・クエスチョン)10問に答えることだったとは、なんと勇気に溢れた行為だろうか。
序章では、わざわざ何故「人類の難問」(ビッグ・クエスチョン)を問うかに触れて、それ(常に問いを発すること)が博士の生き方そのものだったことが明らかとなる。
科学研究者にとっては根源的な情熱の源泉であろうし、不治の進行性難病に侵された身の上では「何故」「どうして」を益々繰り返すばかりであったろう。幸運なことに、発展・進歩を遂げた科学技術が博士の生命を救った。
博士は、「科学的発見のスリルと興奮を、できるだけ広く若い聴衆に届ける」伝道者に生まれ変わったのだ。
科学が自然哲学と呼ばれていた頃から、不変の「物理学の法則」(自然法則)と「神の役割」が問われて来た(第1問、神は存在するのか?)。
ホーキング博士の答えは明快で、神(創造主)なしで科学は物質とエネルギーと空間を材料に「宇宙」を造れる。なにしろ、宇宙創造(天地創造)に費やすべき「時間」さえもビッグバンで始まったのだから、と。
第10問(より良い未来のために何ができるのか?)に対しては、人類の抱えた懸案事項(地球温暖化、人口増加、資源枯渇、絶滅危惧種、再生エネルギー、海洋汚染、森林破壊、感染症の蔓延など)を列挙する。
そして、「人間の真摯な努力に限界はないはず」と考える博士は、人類延命のための移住先惑星の探査と人工知能(AI)の利用が未来を拓くと断言する。
「限界」という困難な障壁を自ら乗り越え、試練を克服して来たホーキング博士だからこそ、その楽天的見解が大いなる勇気を読者に与えて呉れる。
難問も神は解けない
2019/10/03 08:47
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投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
当たり前だが量子力学の回答はわかりにくい。でも本当にやる気が出る本である。高校生までに読むと人生が変わるかもしれない。
又核・気候変動・AIの脅威・を知り尽くした人だった。ビッグバン、量子力学の世界は同じ世界。
共通の世界勇気を持とう、知りたがりになろう、確固たる意志を持とう、困難を乗り越えてほしい。これがクエチョンの回答であろう。
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ホーキング博士が、神はいるのか?などのビッグ・クエスチョンに答えてくれる本。
論理的というよりは、もう少しだけ大胆に飛躍した答えを出してくれているのが興味深いです。未来と人類の進化を見据えての回答に感じます。
なので、人類は宇宙に出るべきだし、AIなども活用して科学文明を進めるべきだという、大きな問いに対して大きな答えを出しているのではないかと思います。
おそらくそれは、博士がご自身の残り時間を考えて、我々に託した思い、希望なんだと思います。
訳者の青木氏には「フェルマーの最終定理」を面白く読ませてもらいましたが、本作も博士の特徴がよく分かる本になっています。
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ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を患い,車椅子の天才宇宙物理学者と呼ばれ,惜しまれながら2018年3月に亡くなったスティーヴン・ホーキング。
これは彼の最後の著作である。
宇宙はどのように始まったのか?,神は存在するのか?,ブラックホールの内部には何があるのか?,地球外に知的生命体はいるのか?などなどわくわくするトピックについて,極めて興味深い視点でわかりやすく語ってくれている。彼は科学者だから当然といえば当然だが,ややもすると情緒的に流されそうなトピックについても,極めて冷静に論理的に,科学的に答えている。
この本の中で彼はいくつもの示唆的な言葉を残しているが,最後のところで,力強いメッセージを残している。
「私はバウンダリー(限界)というものを信じない。個人が私生活のなかでできることについてであれ,限界があるとは思わない。(中略)顔を上げて星に目を向け,足元に目を落とさないようにしよう。それを忘れないでほしい。見たことを理解しようとしてほしい。そして,宇宙に存在するものに興味を持ってほしい。知りたがり屋になろう。人生がどれほど困難なものに思えても,あなたにできること,そしてうまくやれることはきっとある。大切なのはあきらめないことだ。想像力を解き放とう。より良い未来を作っていこう。」
亡くなるまでアツい科学者であったホーキングのこの本を,これからも折に触れて繙こうと思っている。
ところで,私はハッブル宇宙望遠鏡が撮ってきた写真が好きだ。鮮やかに映し出される宇宙の姿に,いつも私は心を奪われる。その中に,宝石箱をひっくり返したように一面,星たちが眩しく輝いている写真がある。こういう写真を見ていると,地球以外に何らの生命体も存在しないと考えるほうが困難だろうな、何らかの地球外生命体は居るんだろうなと思ってしまう。そうした地球外生命体に会ってみたいとは思うけれど,しかしそれは友好的に会うという前提で、である。ホーキングのいうように,「アメリカの先住民族がコロンブスに遭遇したとき」のように,駆逐されるような状況であれば怖いなと思う。
今後ますます,宇宙のいろいろなことが明らかにされていくだろう。日々,宙(そら)を見上げながら,そんな未知との遭遇を楽しみにしている。
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神の存在、宇宙の始まり、タイムトラベルの実現可能性ー。
これらの「ビッグクエスチョン」とあくまで科学的に向き合い、未来への示唆を提示している。
最晩年にしてなおこの探究心、洞察力を有しているという事実に心を揺さぶられる。
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ビッグ・クエスチョン 〈人類の難問〉に答えよう
スティーブン・ホーキング
青木薫 訳
2019年5月18日読了。
車椅子の天才、スティーブン・ホーキング博士による最後の著書。博士は2018年3月14日に76歳で逝去。
宇宙、ブラックホール、物理学、人類の未来など10個のビッグクエスチョンについて博士の晩年の考えをまとめたもの。
翻訳は青木薫。「宇宙はなぜこのような宇宙なのかー人間原理と宇宙論」など宇宙論に関する著書も出しており物理学、宇宙論にも造詣が深く翻訳も読みやすかった気がする。
人間原理の本も興味深かったです。
物理学、宇宙科学の話は面白いけど理解が追いつかない。動画とかと合わせて読むとより理解が進むと思います。
ただ、この本は複雑な数式とかほとんど出てきません。ホーキング博士が考えていたこと、ブラックホールに関すること、これからの地球に関することなどについて語ったもので文系でもそれなりに興味深く楽しめる本だと思います。
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ホーキング氏の最後の著書。人類が抱える10のビッグクエッションについてのホーキングが理論物理学の観点から答える。一つ一つのクエッションは、「神はいるか」などなんとも哲学的かつ神秘的なものだが、これらに対してのホーキングの回答は、最先端の理論物理学を用いた実に数学的で現実的な回答になっている。自分の頭でクエッションについて考えつつ、良質な回答を得られる良書。
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スティーブン・ホーキングという偉大な人物がいたその足跡であり、宇宙に興味を持つ入門編として読むのも良い。
彼と同じ時代を過ごせたことに感謝。
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2018年に亡くなられたホーキング博士が生前に書きおろされた最後の本。「神は存在するのか」、「宇宙はどのように始まったのか」、「宇宙には知的生命は存在するのか」、「タイムトラベルは可能か」、「人工知能は人間よりも賢くなるのか」、「ブラックホールの内部にはなにがあるのか」等々、10の難問に対するホーキング氏の見解が述べられています。
ホーキング氏はこれらの問題の「正解」を読者に与えようとするのではなく、敢えてちょっと過激な見解を述べることで、多くの人々にこれらの問題に関心を持ってもらい、自分なりの見解を持ってもらうことを望んでおられるように感じます。
「ビッグバン以前には”時間”そのものが存在しないのだから、”神”が宇宙を創造する時間もなかった。故に神の存在を問うことは無意味だ」、「コンピューターウィルスは生命であると考えるべきだ」、「核戦争、あるいは気候変動により次の1000年のいずれかの時点で地球は人間が住めない環境になるのは避けられないのではないか」、「人類は地球を離れて宇宙に目を向けなければ絶滅の危険にさらされる」、「人間が制御可能なAIでなければ、増大するテクノロジーの力とそれを利用する知恵との競争に敗れてしまう」など、警鐘を鳴らす見解が多いです。
AIにしても温暖化にしても、多くの人の無関心が最も危険であり、「科学を理解し、勇気をもって解決に向かて力を注ぐ世代が必要だ。勇気を持とう。知りたがりになろう。確固たる意志を持って困難を乗り越えてほしい」という一節が本書を通じて一番伝えたかった事ではないかと思います。
非常に広い分野にわたる問題を扱った本書の翻訳は青木薫さん。自然科学系の翻訳だったら、この人しないない!と思える人です。ホーキング氏と青木薫さんという組み合わせの本書、期待通りの内容でした。
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「神」人格を持たない自然法則
宇宙を作るために必要な材料
1.物質、2.エネルギー、3.空間
ブラックホール
内部では時間そのものが存在しない
ビッグバン以前にも時間がない
南極より南はどこか?ということと同じ
未来からの訪問者
想定性理論では光より早く移動できれば過去に戻ることもできる。しかし、未来からの旅行者が来たことはない。
宇宙からの訪問者
人類はまれな存在?
知的生命が進化するまでの25億年は、太陽の寿命のかなりの部分を占める。
小惑星や彗星の衝突や、生物系の不安定からの自滅がないことが奇跡。
次の千年
地球は人間が住めない場所になる。
小惑星の衝突は六千六百万年前、恐竜が死んだ。
それよりも気候変動の可能性が高い。
改良人間
のんびりとしたDNAをデザインする。
日改良人間との間で社会的政治的問題を生む。
ナノクラフト
レーザービームでライトセルに照射する光推進。
時速2億キロ。
AI
AI自ら加速度的に改良し、人類を超える。
何が危険か先回りする。
テクノロジーの進化で、余暇が増えるのではなく、
できることが増え、忙しくなった。
アインシュタインの想像力
地球は人類にとって小さくなってきた。
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惹かれるテーマに超有名物理学博士がどう答えるかに惹かれて読み進めるがだんだんわからなくてつらくなっている。。でも今までで一番わからなかった本は「超ひも理論」(著者わすれた) でもこの理論を概説しているこの本のあるレビューが一番よくわかったという落ちでした。これってあるある?(脱線)
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連休で時間あるときに読むに相応しい、世俗を離れて宇宙や時間などの概念的なものに想いを巡らせることができる本。
ビッグバン以前には時間はない、ということは永遠という概念はないのでは。という気づきがあっただけでも読んだ甲斐があった。
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2019年12冊目。
惜しくも去年亡くなったホーキングさんの遺作。「神は存在するのか」「未来を予言することはできるのか」「タイムトラベルは可能なのか」など、スケールの大きい10個のビッグ・クエスチョンへの回答集。
僕たちは、なんて不確定な世界に生きているのだろう。教育過程で一通りの物理法則は習ってきて、当たり前のように信じてきた原則から外れたことは「不思議」で信じられないものだと捉えてきたが、この本を読んで考え方が変わった。僕らが学んできた原則の方こそが、宇宙規模で見たら隅っこの隅っこだけで把握されているものに過ぎない。わかっていることの方が例外で、世界はまだまだわからないことに満ちている。それを思えば、時間そのものがなかったビッグバン前のことや、宇宙が11次元なんていう話も、変に頭で考えず、「きっとそういう状態もあるのだろう」と妙に落ち着いて受け入れられるようになった。
今知っている範囲なんてたかが知れている。その範囲内で物事を捉えようとしていては狭すぎる。アインシュタインは、今の知識からの延長で物事を考えず、先にあるかもしれない結論を想像していたという。枠を外した想像力こそが時代を切り開く。その想像力を喚起するものが、ホーキングさんにとっては、途方もないビッグ・クエスチョンに思いを馳せることだったのだろうと思う。
大きく考えよう。