紙の本
2作品とも面白い
2020/08/27 19:18
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投稿者:mm - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫本で追加された結末が面白かったです。
誰しも自分の考えが正義だとどうしても思ってしまいがち。タイトルの意味がわかったときは鳥肌が立ちました。
紙の本
単純な青春小説と思って読んでいったら、結末は意外に深い内容でした。
2019/08/26 22:11
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
単純な青春小説と思って読んでいったら、結末は意外に深い内容でした。そして、結末を知って思い返すと、主人公である香山雪子と吉野薫との物事に対する考え方の違いを詳細に記述してたことに気付かされる。2度読みしたらもっと作品の味わいが判るかも知れない作品ですね。なお、[1] レンタル世界に関しては、私好みではないという理由で低評価でした。
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【友だちは、天才少女。戦後最年少直木賞作家による短編集】平凡だが心優しい雪子の友人、薫は天才少女と呼ばれる。成長に従い、二人の価値観は次第に離れていき、決定的な対立が訪れるが……。
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すごく共感の出来る話だったと思うが、結末にあまり納得出来ていない自分がいる。
世界をふたつに分けるとするなら、必要なことと、不要なこと、だろう。その両方をまるっと愛せる人もいれば、不要なことは切り捨て、必要なことだけを愛する人もいる。本作はそんな理解し合えない2人が親友になったことから始まる物語。
どちらが良くて、どちらが悪い、異端だということではない。どちらもこの世界に存在していても良いのだ。ただ、強い言葉でお互いを否定せず、存在を許すという選択を取れないものだろうか。
“ままならなさ”は世界の進化を止めはしないし、自分と誰かの関係も壊さない。“ままならなさ”があるからこそ自分たちは出会えたのであって、不要があるから必要も際立つ。ずっと前からこれから先も、世界は「綺麗に揃って」いるわけではなく、「歪で不整頓」であり続ける。
自分の理解できない「何か」を否定せずただ認めることが現実世界にも要求されている、というのをこの作品は示してくれているように感じた。
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価値観の違いというものを
突きつけられる。
レンタル世界は、
高松さんの意見に一票
その通りだよね
表題作は、
やはり雪子に同情しちゃう。
薫ちゃんの考え方も理解できる。
でもね、その人の為にと思ってやっても、
その人が一番望まないものなんだよ…
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デフォルメされた人物造形ではあるけど、情緒的なものをとことん廃して合理性を追求する薫と、その人にしかできない唯一無二のものを大切にしたい雪子に現代社会の葛藤を見た気がする。雪子に共感するけど、薫の主張も尤もなところはある。あと朝井リョウが描く恋心が真に迫りすぎてて甘酸っぱくて苦しい。
最後には2人の子供たちが出てくるけど、それぞれその親とは反対の価値観のもとに生きてて、結局合理性と情緒性はバランスが大事なんだと思った。
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「レンタル世界」
「全てをさらけ出してこその信頼関係」も相当ながら、
「自分たちは、パートナーがいても平気で風俗に行ける側の人間」
っていう仲間意識・連帯感にげんなり。
そういう空気から離れるには、どうしたらいいんだろう。
違う価値観で生きる選択肢はあるはずだけど、
誰もがそれを選び取れるわけではない。
疲弊しながらギリギリで取り繕ってる人のためのレンタルサービス。
そんなものおかしい!って主張する人達の存在で需要が強まるという皮肉。
「ままならないから私とあなた」
興味がある分野も、大事にしてるものも違って、
真逆のような考え方なのに関係を続けてこれた雪子と薫。
相手が嬉しそうにしてると嬉しい。これは共通してた。
クライマックスの場面、どちらの意見も切実で、そこに優劣とかはなくて、だからこそ残酷だった。
「相手が大切にしているものを自分の中の正しさで排除しないだけの想像力」
マーカー引いてさらに付箋も貼りたい言葉。
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「ままならない」という言葉を、改めて辞書、いや、Google先生で調べてみました。
思いどおりにならない、という意味でしたが、そう言われると、なんだかわたしは勘違いして理解していたような、そんな気がしています。
相手と自分は違うということ。
これって、家でも家庭でも教えてもらえないことで、きっと、自分が社会に触れて自分で気づいていくものなんだと思う。でも、自分で気づくものにしては、ものすーごくレベルの高いもののような気がしていて。
わたしは30数年生きてきて、最近やっと気づけた。そして、わたしの母親は、まだそれに気づいていない。母はわたしを、自分の所有物だと思っている。自分の力で、わたしを、コントロールしようとしている。
わたしは今の、人と関わる専門家の仕事をしていなければ、きっとまだ気づけていなかっただろう。親の思いどおりに育たない、そんな自分が悪いと、今でも自分を責め続けていたかもしれない。
雪子は、小学校の頃から薫ちゃんとの違いに気付いていて、関わりの中で違和感を感じているのに、友人関係を継続していく。成長していくにつれ、「あの時、~したのはどうして?~しなかったのはどうして?」と、薫ちゃんを理解しようと、きちんとぶつかっていく。
わたしなら、違和感を感じた時点で薫ちゃんとは距離を置いて、「小学校の頃の友達」「中学校の頃の友達」と、過ぎ去った人間関係にしてしまうだろう。
今はそれなりに、どんなに近い人間関係でも、自分と他人は違う、と思えるようになったけれど、それでも、親や好きな人、親友となると、どうしても「わかってほしい」という期待が働いてしまって、わかってもらえなかった時に悲しくなったりする。それは、まだまだ違いを尊重できていないということだろう。
違いを尊重した上での人間関係、この関係性の継続は、どちらか一方ではなく、お互いに違いを尊重しあっていないと、破綻する。わたしは、雪子のように、相手にぶつかる勇気がない。かといって嫌われたくもないから、自分を守るために、さっと距離を置く。もう少し、自分が考えていることや、思っていることに自信を持てていたら、相手にぶつかっていけるんだろうか。いや、それでもきっと、面倒だから距離を置いてしまうんだろう。それは悪いことじゃない。だからせめて、相手にぶつかっていくことはできなくても、相手との「違い」に気づくこと、その違いを理解しつつも、自分の気持ちや意見には自信を持つこと。
今関わっている、とても難しい年齢の子どもたちには、まずはそれを伝えたい。
そしてわたしも、好きな人に対して、違いを尊重できる人間でありたい。
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タイトルでもある「ままならないから私とあなた」と短編の「レンタル世界」を含む2つの物語が収められた一冊。
ままならないから私とあなた。が衝撃的。
最初は何を言いたいのかもわからぬなんてこと無い日常だが読み進めるにつれて雪子と薫の13年間にわたる「違い」が描かれている。
AIが発展する中で「人間らしさ」が失われていく
こういう議論は実際に起こり始めていると思うがこのお話を通して私自身考えさせられた。
雪子と渡邊くんの恋愛という曖昧な、人間らしさが対比的に描かれていることで「違い」に深みが生まれているように感じた。
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『ままならないから私とあなた』(朝井リョウ)読了。ふんわりとした『ブラックミラー』のような読後感。他者は自己の鏡であるはずなのに、鏡のなかの自分は絶望の先にしか立ち現れない。テクノロジーがどれほど発達しようが、人間の"ままならなさ"はついて回る。
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2つの話が収載されているが、2つとも人間関係がテーマとなっている。
表題作は考え方が全く異なる女性2人の交流を描いた物語だったが、少し考えさせられた。人間的なものを大事する考え方と、あくまで合理性を追求する考え方。2人のやり取りは、人間的なものの価値や今後を示唆している気がする。今後、AIやデータ活用が進化する世界で生きることの怖さを感じてしまった。
文庫版で追加されたというエピソードも、合理性と人間性(人間的なもの)が対立するものではないと言いたかったのかもしれない。それは私にとっても明るい希望となった。
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私は合理的なのか薫の考え方にとても共感した。
とことんまでの合理性と、友達を想う気持ちは両立できるよね。私は自分の合理性をある程度隠して生きてるから、薫みたいな生き方が羨ましい笑
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「レンタル世界」
今の世界にずっといられるかどうかなんて、誰にもわかんない。そのたび世界の一部をレンタルしてどうにか生き延びてる人のこと、なんで笑えるの
戻さないと。自分を。
「ままならないから私とあなた」
ラクだね。だけど、それだと、ワタナベ君に話しかけてもらえなかったね。
恋ってその人じゃないとできないって思うもの、かも。
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39
朝井リョウ、初めて読んだ。
リトルトゥースで桐島の作者ってことしか知らなかったけど、こんな心に刺すような文章を書くんですね。
特にわたしはレンタル世界が響いたよ。
読み終わった後二、三日考えちゃったもん。
元の世界に戻らなきゃって言葉が痛い。
恥ずかしい話や辛いことを一緒に耐えたりしたから、自分に全てをさらけ出してるって考えは、その人のことを本当に見ていないよね。
ままならないから~は、利便性を追求する女と人間味あふれるものを求める女 どちらの言い分もわかる
けどわたしはユッコが一番大人だと思ったよ
20190523
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雪子派。だと思った自分は。でも、真剣に考えてみると、新技術が導入されても人間的なつながりってなくならない気がする。技術の中心にはいつも人がいる。(リッチマンプアウーマンより)
ただ、薫の作ったソフトにはやっぱ共感できない。マイケルジャクソンの曲がこれから作られても興奮しないでしょ?終わりがあるからいい。ストーリーがあるからいい。不完全だからいい。
歌ってそういうもの。
好きなフレーズ
渡邊君が、会話の端っこの部分を、すりこぎで丁寧に伸ばすように言った。
ままならないことがあるから、皆別々の人間でいられるんだもん。