精神現象学 下
著者 G.W.F.ヘーゲル , 熊野純彦
長大な遍歴のすえ、人間はいかにして「絶対知」へと到達するのか? この書により、哲学史上、かつてない壮大な哲学体系をつくりあげたヘーゲルが、最後に出した答えとは──。平明な...
精神現象学 下
商品説明
長大な遍歴のすえ、人間はいかにして「絶対知」へと到達するのか? この書により、哲学史上、かつてない壮大な哲学体系をつくりあげたヘーゲルが、最後に出した答えとは──。平明な語り口でありながら、今後のヘーゲル研究に絶大な影響を与えるであろう緻密な新訳が、その核心を明らかにする。下巻の巻末には、『精神現象学』に数多くちりばめられた、広く知られる名言を拾いあげた「フレーズ索引」を収録。従来のはるか先へと読者の理解を導く。「精神が偉大なものとなるのは、より大きな対立からみずからへと立ちかえる場合である」。【※本電子書籍版には、紙書籍版本文の上欄、下欄に付した4つの原典(グロックナー版全集第二巻、ホフマイスター版、ズールカンプ版全集第三巻および大全集版〔アカデミー版〕)とのページ対応は含まれません。】
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原文の明晰さを甦らせる翻訳
2018/12/18 13:17
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ponto - この投稿者のレビュー一覧を見る
本下巻に収められた最後の2章(「宗教」「絶対知」)は、従来の邦訳で読んでも十分におもしろい。いっぽうこれまでとりわけ難解に感じられたのは「精神」章だった。しかし、熊野訳であらためて同章を読み、霧が晴れるようにその議論の全体像を見通すことができた。頻出するタームがコンテクストに応じてていねいに訳しわけられていること(むしろこれが原文を精確に再現する効果を高めている)、練り上げられた訳文、いくつかのパラグラフごとに置かれた端的な小見出しのおかげで、一気に読むことができたおかげだと思う。この新訳には訳者による本文解説は含まれておらず、読解に関してはこれを読者に委ねる方針を取っている。いっぽう、数パラグラフごとに入る小見出しが、簡単な要約の役割を果たす。巻末には小見出し一覧が索引として置かれているので、後から複数箇所に繰り返し現れる共通論旨(たとえば、カテゴリーやことがらそのものをめぐるそれら)をたどる際などに便利である。この翻訳によって新たに教えられたことがとても多く、今後も長く参照していくことになりそうである。
ヘーゲル独自の理論を述べた難解で有名な名著です!
2020/04/16 10:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、観念論の立場に立ち、意識から出発しながら、弁証法によって次々と発展を続けることによって現象の背後にある物自体を認識し、主観と客観が統合された絶対的精神になるまでの過程を段階的に記述したヘーゲルの代表的著作です。カントの認識と物自体との不一致という思想を超克し、ドイツ観念論の先行者であるフィヒテ、シェリングも批判した上で、彼独自の理論を打ち立てた初めての作品として知られ、難解ではありますが、多くの哲学者に影響を与えた貴重な名著です。ちくま学芸文庫では、上下巻2巻シリーズで刊行されており、同巻はその下巻です。「死を避け、荒廃から身を清く保つ生命ではなく、死に耐え、死のなかでおのれを維持する生命こそが精神の生命である」という彼自身の言葉の中に彼の思想が詰まっているとされる名著を新訳で読んでみられては如何でしょうか。