電子書籍
歪んだ愛
2019/10/01 19:59
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投稿者:ルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
破綻している三組の夫婦と、その愛人達の歪んだ愛の物語。持って行き場の無い感情を、愛人に求めるが。
様々な希薄な愛を通して、「愛するとは、自分がどのように感じ、相手にどう接するのか」を問い掛けた作品と感じた。
紙の本
小説だから特殊な家庭?!
2020/07/06 08:04
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投稿者:ピーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
一見普通の家庭を持っている人たち。
その裏に潜んでいる背信行為や忍耐等々。
偽りの心を持っての毎日、なぜ離婚しない!と突っ込んでいる私が居る。
救いどころのない感じで暗くなった。
電子書籍
不思議
2020/01/08 12:55
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投稿者:ワガヤ - この投稿者のレビュー一覧を見る
不思議な感覚を持っているなと感じさせる登場人物達。執着したりしなかったりするけど、何かそこがキーワードのような。結婚相手、不倫相手、仕事など。現実にそんなことばっかり考えてたら生活なんて成り立つのかなって感じるところが多々あり、まぁ小説だしって感じです。
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うーわ…
と思わず読み終わったあと声に出してしまった。金原さんの作品毎回そうかも、うーわ。声が出てしまう、びっくりして? あらゆる意味で感銘を受けて? いろんな角度から呆れて? 不快で? 全てが詰まって思わずこぼれる。
蛇にピアスから15年も経ったのか。わたしより少し年上の彼女が芥川賞とったときは、こんな若くても作家になれるんだと驚いた以上に、彼女の描く作品があまりにも暴力的でしんどかった。あれから15年経ったこの作品は、まぁなんというか精神的にくる。
それと最後にえーっていう伏線が目眩したよ。いい人だと思ってたのに。すごくいい人だと思ってたのに。
コウボクノマックっていうハンネセンスいいなー好き。
途中時系列で迷子になったりもしたけど、わたしはこの作品すごくすごく好き。虚無感と幸福感があわさって、うーわーとしか言えない感じがすごく好き。怖いくらいにどうしようもなくて、好き。
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夫婦ってなんなんだ。しょせん他人同士だから完全に分かり合うなんて無理だ、とはわかってるし、そもそも分かり合う必要があるのか、という問題もある。分かり合えなくても一緒に暮らしていくことはできるから。
それでも、少しでも分かり合おうとしてお互いに歩み寄るから、平穏に暮らしていけるんだと思うんだ。
でも、その分かり合うためにお互いにお互いの、あるいは自分の心や身体を傷つけることを必要とする人もいるのだとしたら。
それは本当にきつい。きついし苦しい。皮膚をそっと切り裂いた時に薄くにじむ血。その痛みと傷跡でようやくつながる関係。苦しいなぁ。
なぜ、人は生きていくために誰かを必要とするのか。自分の中にあるある種の打算を白日の下にさらされるような、そんな痛みを伴う一冊。
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ベスト級に面白かった、最高に好きだった
けど、わたしがこの人の小説に求めていたものというのがすでに古びててわたしの方が化石になってて、その間にこの人はストーリーテリングの方の力をバキバキに伸ばしてて昔とは全く違った感じにわたしはこの人の小説を楽しんでいることに気付く ぜんぶ、楽しんでいる
楽しんで読むという感覚が昔はなかった
ただすごい力で糾弾され殴られ蹴られみたいな暴力的なインパクトに疲弊しながらそれでも強制的に体に穴を開けられてやっと自分の感情の流れがわかるような感覚に惹かれ続けてぼろぼろになって読み終えてしばらくしたらまた手に取ってという読書をしていた
やっぱりこの人の文章を読むと体に穴が開く それは変わらない その感覚も残したまま小説そのものの筋書きに夢中になっている
スカスカに穴が開いて、でも楽しかった 小説を読んだ すごく読んだ
わたしはこの人の小説が本当の本当に大好き 心から大好き 会社の人には絶対に言わない絶対に
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金原ひとみは全巻初版を持っているオタクですが、今回は抜群に面白かった。愛を求めたり、与えたり、拒絶されたり成長したり拗れてしまったり様々な人達の群像劇。最初オチの一つに「またこのネタか…」と思ったけれども、最後の2ページで一気に話がひっくり返され、その鮮やかな話運びに感動してしまった。オチだけでなく、一つ一つの章がそれぞれ物語として確立していただけあってその絡みようがまた見事。本当に面白かった!
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読み終わっても何も残らない。
マザーズのあの熱量はなくなってしまったのか。
この作家も文庫落ち確定。
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金原ひとみは昔蛇にピアス読んだけど挫折して以来。
なのでほぼ初読。
みんな救いようないし、ドロドロだし、読むの辛いのに、
どう着地するのか気になって無我夢中で読んだ。
私は倫理観が破壊しているといわれた由衣さんに一番共感できたな。
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初めての金原さん。
全体的に暗くてどろどろした中にいる印象。
読むのすごくつらかったけど、でも読み切らないとという気持ちにさせられる。
人間の中のどうしようもない感情とか、ままならない事情とか、言葉にすることが難しくて気持ち悪いことを、しっかり描いてくれている。
もやもやしたものを言語化することには勇気がいる。
たぶんこの本の中の人たちはわかっていないんだけど、それを金原さんが言語化してくれることで、同じような状況にいる自分を理解することを助けてくれる気がした。
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金原ひとみはデビュー時の印象が強すぎ、苦手意識から敬遠していた。本作が初読みだが意外にも相性はいいかもしれない。一人称の語り手が次々に代わり1つの物語が綴られていく、いわば“リレー小説”。とは言え、大きな事件が起きるわけではなく、その多くが不倫の悩みだったりする。タイトルの“アタラクシア”とは、心の平静不動な状態のことを言うらしい。登場人物の誰一人としてこの境地には達していないのだが……。
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初出2018〜19年「すばる」
金原ひとみが6年ぶりにパリから帰ってきて書いた作品。
パリで出会った元モデルの由依とオーナーシェフの瑛人が何年かぶりに日本で付き合い始める。由依は小説家の夫桂に罪悪感は持たない。感情を持たないような生き方の裏にあったことがだんだん分かってくる。
二人を批判する瑛人の店のパテシエ英美は、され妻で、夫にも息子にも愛情を持てない。出版社の編集者で由依の翻訳の担当真奈美売れなくなったミュージシャンのDV夫の補完として同僚の荒木と不倫を続けている。
由依の10歳下の異父妹で大学生の枝里は、姉を嫌い、援交やネット仲間のオフ会で男を捜すが、初対面のコウボクのマックにトイレで犯される。この男の正体が最後に分かる。
ここには人とうまく接して、穏やかに暮らす人がいない。そしてこれは、真奈美の次のような根本的な問題提起に行き着く。
「荒木とも俊輔とも表面的な関わりしか持っていないのだとしたら、恋愛や結婚や不倫とは、一体何なのだろう。幻想でなく、ほんとうにお互いの深部に触れる関係など、存在するのだろうか。」これは私も同感。
表題のアタラクシアとは、ギリシア哲学で、心の平静不動な状態のこと。
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物理的なものも、そうでないものもあるけど、とにかく皆暴力的だな…と思った。
恋愛感情、打算、逃げ、虚無…とにかく心が平静でいられるように。
なぜ別れない?
なぜ逃げない?
なぜ執着する?
最初は自分とはかなり遠い所にいる人々だと思ったけど、登場する人物たちの心の内が少しづつわかってきて、時系列も把握して来た時、この人たちの中に少しづつ自分もいるなぁと思えてくる。
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他人の気持ちには無頓着で目の前にある幸せだけを求める既婚女性と、その恋愛相手であるフレンチシェフ、浮気性の夫にも母親にも息子にさえ愛情をもてずに苛立つパティシエ、売れないミュージシャンである夫のDVに怯え同僚との浮気で息抜きをする編集者、それぞれの結婚生活と周囲の人たちの抱える心の闇を描く。
平穏な心という意味の哲学用語であるタイトルとは裏腹に、誰もが深く傷ついた過去をもち、不安定な現実のうえに起爆剤を抱え込んで暮らしている。持ち回りで語り手となる登場人物たちは、吐き出す言葉も行動も驚くほど激しくて、読んでいて心が削り取られていくようなつらさに襲われる。
それも、醜いものから目を背けずに心の奥底をのぞきこみ、冷静に分析して的確な言葉を丁寧に紡いでいく作者の力量があってこそ。圧倒的なパワーを感じる作品だった。
金原ひとみの未読の作品がいくつかあるので、ぜひ読みたい。
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あらすじ読んでも全然食指動かなかったけど金原ひとみだから読むか…と思って読み始め。
枝里の章「援交の交渉だよ文句あるかよ〜」の一文に笑ってしまった。エリちゃん切実で口が悪くてサイコー。
由依みたく生きるのがアタラクシアに一番近いのだろうか。でも全然幸せじゃなくね??
それとも瑛人なのだろうか。人としては一番まとも。